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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ドラゴンストーム(ヒストリック)

岩SHOW

 この夏、ヒストリック環境には変化が起きた。《渦まく知識》が一時停止カードに指定された。

 これにより、一体どうなったか。最大勢力を誇っていた「イゼット・フェニックス」は数を減らすことになった。デッキの根幹をなすカードではないので、代わりに他のカードを採用すればまだまだ活躍することだろう。ただ、とりあえず唱えるドロー呪文としてはこの上えなく使い勝手がよく、プレイングを簡潔にしてくれるものであったことは間違いなく、使用者が減少することもやむなしというところ。

 青系のコントロールデッキにも影響が見られ、それらのデッキの使用率がダウン。しかしそれは同時に他のデッキにチャンスが回ってくるということでもあり、ポジティブに捉えられる出来事だ。

 実際、前日まではフェニックスやコントロールと頻繁にマッチしたが、翌日からは「ゴブリン」や「エルフ」、「オーラ」などといった少し前にヒストリックで活躍していたデッキを多く見かけるようになった。

 さあ、仮想敵が変わったことでどんなデッキでどう戦うか、新しく考察することが可能になったぞ。まだまだ遊べるヒストリック、ここ最近プレイしていなかったよというプレイヤーは復帰してみることをオススメするよ!

 《渦まく知識》はコンボパーツを掘りあてるという点では非常に優秀、しかしなければならないというほどのカードでもない。なので、あえてこのタイミングで青系のコンボデッキを使うというのもひとつの手。上述のデッキや、あるいはそれらを倒そうとするクリーチャー除去モリモリのデッキには有利に戦えるということからも、コンボは使う価値がある立ち位置だ。

 今回はそんな青を使ったコンボデッキを取り上げよう。その名は「ドラゴンストーム」!

Sam Beaulieu - 「ドラゴンストーム」
Insight Tier 1 Historic $5k Open 3位 / ヒストリック (2021年7月24日)[MO] [ARENA]
5 《
2 《
4 《蒸気孔
4 《硫黄の滝
4 《尖塔断の運河
4 《河川滑りの小道
-土地(23)-

1 《厚かましい借り手
2 《峰の恐怖
1 《パルン、ニヴ=ミゼット
3 《帰ってきた刃の翼
-クリーチャー(7)-
4 《信仰無き物あさり
4 《表現の反復
4 《記憶の欠落
1 《火の予言
1 《アズカンタの探索
4 《プリズマリの命令
1 《神々の憤怒
4 《ミジックスの熟達
1 《暗記 // 記憶
1 《海門修復
4 《ドラゴンの嵐
1 《覆いを割く者、ナーセット
-呪文(30)-
3 《厚かましい借り手
1 《霊気の疾風
1 《火の予言
2 《神秘の論争
1 《神々の憤怒
4 《サメ台風
3 《覆いを割く者、ナーセット
-サイドボード(15)-
MTG Arena Zone より引用)

 

 デッキ名はそのまま《ドラゴンの嵐》より。

 このソーサリーを運用するには2つ。1つは重いコストを払うため、またストーム数を稼ぐためにマナを得る呪文を連打する方法。現ヒストリックではこれは少々難しい。もう1つはマナを支払わずに何らかの手段でコストを踏み倒すという方法。

 このデッキでは後者を選択、そのキーカードは《ミジックスの熟達》。

 これの対象にして墓地から唱えようというわけで、他に呪文を唱えていなくても《ミジックスの熟達》でストーム数が1つは確保されているので、ドラゴンが2体戦場に出せる。4マナならそれで十分、早いターンにデカいドラゴン2体並べば勝負ありだ。

 墓地に《ドラゴンの嵐》を落とす手段だが、《信仰無き物あさり》《プリズマリの命令》で手札から捨てるか、《アズカンタの探索》でライブラリーから落とすかになる。軽いカードで行えるので簡単だし、同じターンに捨てて《ミジックスの熟達》して、と動けばストーム数も稼げる。

 墓地利用コンボとしては「イゼット・フェニックス」と被る部分はあるが、あちらが手数なのに対してこちらは一撃の重みで勝負。ドカンと決めたいプレイヤーに遊んでほしい逸品だ。

 《ドラゴンの嵐》から戦場に叩きつけるドラゴンは……まず《峰の恐怖》。

 戦場にクリーチャーを出せばそれのパワー分のダメージを与える、直接ライフを狙える破壊力あふれるヤツだ。まずは解決された《ドラゴンの嵐》でこれを出す。ストームからさらにドラゴンを出してダメージ、これでプレイヤー本体を削っても良いしクリーチャーやプレインズウォーカーに押されているなら除去しても良し。

 もちろん、2体目のドラゴンを《峰の恐怖》にするのはより強力だ。ストームでのコピーが2つ以上あるならば、峰→峰→他のドラゴンと繋ぐことで2桁ダメージを瞬間的に発生させることが可能だ。

 他のドラゴンに関して、このリストで重視されているのは《帰ってきた刃の翼》。

 墓地からドラゴンを復活させる能力持ちで、手札に来てしまったドラゴンを捨てて墓地に置いてもそれを最終的にダメージ源とすることが可能となっている。

 そうやって釣り上げる対象の中で、最も嬉しいものは……《帰ってきた刃の翼》自身だ。墓地から2枚目の刃の翼が飛び出し、同じ名前の伝説のクリーチャーが並んだことで片方は墓地に落ちる。その後、2枚目の刃の翼の能力が解決され、墓地に落ちた刃の翼を対象に取れる。後はもうこれを好きなだけ繰り返す。そうすれば《峰の恐怖》で無限ダメージ! 墓地に《ドラゴンの嵐》と《帰ってきた刃の翼》が落ちればコンボ必殺の構え完了だ。

 もう1体のドラゴンは《パルン、ニヴ=ミゼット》。

 これは《ドラゴンの嵐》から呼び出しても強くはあるが、どちらかというと現実的な運用も見据えている。6マナなので無茶なコストではなく、コンボが封じられた際にこれを普通に唱えて勝つのだ。

 《峰の恐怖》も普通に唱えることはできるのだが、それよりもニヴの方が圧倒的に決定力のあるフィニッシャー。インスタントやソーサリーを唱えると1枚ドロー、この能力は自分でも対戦相手でも誘発する。カードを引くたびに1点ダメージを飛ばすので、これでライフか盤面を薙ぎ払う。

 ここで活きてくるのが《信仰無き物あさり》《プリズマリの命令》、コンボを成立させる手札を捨てる呪文だ。これらは「2枚引いて2枚捨てる」で、本来は手札の枚数が減るものだが、ニヴがいれば1枚追加でドローできるので、手札は減らない。損失なしで計3枚ドローで3点ダメージ、これで引き込んだカードでさらにドロー……とあっという間に勝ってしまえるスーパーカードだ。

 実際にこのデッキをプレイしてみたが、《帰ってきた刃の翼》2枚を揃えられない時にはコンボが決まってそのまま即勝利とはならない点は気になる部分ではあった。

 大ダメージと戦場に2体のドラゴンで実質勝ちだろ、みたいな盤面は作れるのだが、ヒストリックではそこから逆転されることも日常茶飯事。《峰の恐怖》をもう少し増量したり、《星山脈の業火》で攻撃したりと、叩き出せるダメージを伸ばす工夫をしても良いかもしれない。

 《選択》などの軽いカードを追加してストームをきっちり稼いで、ドラゴンの数なり刃の翼ループなりで致死ダメージを叩き出せるようにカスタマイズを施したいね。

 あるいは手札からドラゴンを捨てるという点をより活かせるように《掘葬の儀式》を足してリアニメイト要素を付加するとよりコンボ味も強まる。色が増えるがヒストリックの土地とこのデッキが生み出せる宝物があれば……そう無茶な話でもないかな。

 宝物ついでに《マグマ・オパス》も足しちゃうか? と、夢はストームのように膨らむ。青が絡んだコンボが好きなら、やや癖のある《ドラゴンの嵐》を乗りこなしてやってほしいね。

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