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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ジャンド・ミッドレンジ:不屈と熱烈と(ヒストリック)

岩SHOW

 『アモンケットリマスター』がリリースされてから、はや2週間。皆、このセットを楽しんでいるかな?

 『アモンケット』『破滅の刻』をリアルタイムで経験しているプレイヤーは「このカード懐かしいなぁ」と思い出に浸りながら、初遭遇となるプレイヤーは「こんなカードが過去にあったのか!」と驚きながら、ある意味この8月にふさわしい灼熱の砂漠を舞台にしたセットでそれぞれのマジック体験を送ってくれたらなと願う。

 このセットに含まれるのは、アンタップしないことを条件に強力な能力でゲームを有利に進める「督励」能力を持ったクリーチャー、砂漠タイプを持った土地とそれとシナジーを形成するカード、お馴染みのサイクリング、ゾンビとなって戻ってくるクリーチャー……さまざまなメカニズムで満ちあふれている。

 それらの目玉の1つであるのが「神」だ。『テーロス還魂記』や『灯争大戦』でも複数体の神が登場してすっかりお馴染みの存在となった、神タイプを持つクリーチャー。しかし『アモンケット』発表当時は初代『テーロス』ブロック以来の2度目の登場であり、神はテーロス以外にもいるのか!と大いにエキサイトしたものである。

 『灯争大戦』でラヴニカに侵略してきた《永遠神オケチラ》など4体の永遠神の、その生前……と言うと変かもしれないが、ゾンビの神となる前の姿……アモンケットの人々に信仰される神々だった頃の姿をリマスターでは拝むことができる。

 今日はそんなありがたい神々を共演させている豪華絢爛なデッキを紹介しよう!

John Roberts II - 「ジャンド・ミッドレンジ」
スタンダード (2020年8月16日)[MO] [ARENA]
4 《踏み鳴らされる地
4 《根縛りの岩山
4 《草むした墓
4 《森林の墓地
4 《血の墓所
4 《竜髑髏の山頂
-土地(24)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《運命を紡ぐ者
4 《無法の猛竜
4 《砕骨の巨人
4 《グルールの呪文砕き
3 《不屈の神ロナス
3 《朽ちゆくレギサウルス
3 《熱烈の神ハゾレト
3 《探索する獣
-クリーチャー(32)-
4 《思考囲い
-呪文(4)-
3 《解き放たれた狂戦士
2 《うろつく蛇豹
3 《蔦草牝馬
2 《高山の月
2 《害悪な掌握
3 《悪性の疫病
-サイドボード(15)-
John Roberts II氏のTwitter より引用)
 

 黒赤緑の3色デッキ、分類するなら「ジャンド・ミッドレンジ」となるか。3~4マナのクリーチャーが多めなのでミッドレンジとしたが、軽いクリーチャーも相当数採用されているのでアグロと認識しても良いだろう。

 このデッキが採用している神々は……《不屈の神ロナス》と《熱烈の神ハゾレト》だ。

 どちらも破壊不能を持ちパワー5。それぞれ接死と速攻、色を象徴する能力を持つ。これらの神々は、条件を満たさなければ戦闘を行うことができない。神々への信仰心を高め、試練を達成することで顕現して戦ってくれるというフレイバーなのだろう。

 ロナスは他にパワーが4以上のクリーチャーをコントロールしていれば、ハゾレトは手札が1枚以下であれば条件クリア。これらの条件を同時に満たすデッキということは、すなわち手札をガンガン展開していくビートダウンということになる。《ラノワールのエルフ》と《無法の猛竜》でマナ加速して展開していくのだ。

 《グルールの呪文砕き》《砕骨の巨人》《探索する獣》などがロナスをサポートし、またこれらのクリーチャーをロナスの能力で強化・トランプルを付与して強引に殴り勝つことも狙える。

 そこに破壊不能のパワー5速攻のハゾレトも突っ込んでくるのだから、毎ターン1アクションがはちゃめちゃに重い一撃だ。

 赤と緑の優秀なクリーチャーで固めている中、ロナスともハゾレトとも色が異なる黒が足されている点に注目したい。このデッキ唯一のクリーチャーでない呪文として採用されているのが《思考囲い》。

 このカードは、相手を選ばない。手札を確認しその中からカードを1枚捨てさせる。このアクションはどの相手に対しても平等に効果を発揮する。2点のライフを失うのはアグロデッキ相手には痛かったりするが、ライフを2点以上減らしてくるカードを捨てさせれば元は取れる。これで《神の怒り》などの除去や、殴り合いの邪魔になるクリーチャーをぶっこ抜きながらゲームを進め、ロナスとハゾレトを顕現させるのを狙うのだ。

 また黒のクリーチャーとしては《朽ちゆくレギサウルス》の姿も。

 パワー7なので問答無用でロナスに戦闘を行わせ、手札を捨てるデメリット能力も不要な土地などを捨ててハゾレトを殴りに行かせる後押しとなると考えればプラスに働かせることもできてしまう。赤緑両方の神との相性の良さが光る、これと《思考囲い》のためだけに色を足すのは大いにアリなのだ。

 最後にこのデッキで共演する神について簡単に解説しよう。ニコル・ボーラスによって封じられていた3体の神、その一柱である《蠍の神》が蘇り、人々の前に立ちはだかった。ロナスはこの邪悪なる神に対して名乗りを上げ、アモンケットでも最強とされる腕力を活かしてこれを打ち倒した。アモンケットの人々に対して勝利宣言をしているところを、背後から蘇生した蠍の神に襲われ、不死の神々さえも死に至らしめるその毒針によって絶命させられたのであった。

 同じくオケチラ、ケフネト、バントゥの神々も絶命していく中、ハゾレトだけは、サムトなどの協力を得て蠍の神を倒すことに成功。そしてそのままこの大事件を生き延びて、わずかな生き残りとともに今でもアモンケットの砂漠にいるようだ。だから彼女だけは永遠神になっていないのである。

 そんなわけで今後ハゾレトとロナスが肩を並べることはないのだが……ヒストリックであれば、まだまだ共に戦えるね。

 他の神々も面白いカードなので、ぜひともデッキを作るのに挑戦してほしいね! 存命時と永遠神とを同デッキで共存させるという冒涜的な構築も……怒りに燃えるハゾレトに見つからないようにこっそり楽しもうじゃないか。

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