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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ティムール・アドベンチャー(スタンダード)
デッキのバランスというものは本当に難しい。どの役目のカードもまんべんなく採用されているものがベストバランスだったり、意図的に歪めた構築をしなければならなかったり……狙う戦略、目指すべきゴールによってそれは大きく異なる。
いつもアグロデッキを使っているよ、という人がゼロからコントロールデッキを自作すると、土地・除去・ドローにフィニッシャーといった各パーツの最適枚数がわからずに苦労させられるはずだ。その逆もまた然り。
アグロとコントロール、両方の性質を持つ中速デッキ……いわゆるミッドレンジも、クリーチャーと非クリーチャー呪文とのバランスひとつでかなり印象が異なるものになる。カードタイプや役目ごとの採用枚数は、明確なビジョンを持って設定することで、デッキの性質を自分の理想形へと近づけていこう!
こういう導入から始まる時は、理想的だったり極端だったり、バランスがテーマのデッキを取り上げるんだろうなというのはご明察。そして本日のデッキというものは、極端に偏った構成でありながらクリーチャーと非クリーチャーのバランスが非常に優れている。
そんな矛盾した存在があり得るのか?あるんです! というわけでバランスを偏らせたことで、デッキ内のバランスが美しい均衡を保つに至ったデッキを紹介しよう!
6 《森》 4 《島》 2 《山》 4 《繁殖池》 1 《神秘の神殿》 4 《踏み鳴らされる地》 1 《奔放の神殿》 3 《蒸気孔》 1 《ケトリアのトライオーム》 -土地(26)- 4 《エッジウォールの亭主》 4 《願いのフェイ》 3 《スプライトのドラゴン》 4 《砕骨の巨人》 4 《厚かましい借り手》 4 《恋煩いの野獣》 4 《豆の木の巨人》 -クリーチャー(27)- |
4 《幸運のクローバー》 3 《僻境への脱出》 -呪文(7)- |
1 《墓掘りの檻》 1 《魂標ランタン》 1 《レッドキャップの乱闘》 1 《霊気の疾風》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《ドムリの待ち伏せ》 1 《投げ飛ばし》 1 《否認》 1 《自然への回帰》 1 《過去と未来》 1 《嵐の怒り》 1 《僻境への脱出》 1 《グレートヘンジ》 1 《発展 // 発破》 1 《影槍》 -サイドボード(15)- |
このコラムでも何度目かの登場となる「ティムール・アドベンチャー(出来事)」や「クローバー」と呼ばれるデッキだ。デッキの大部分を『エルドレインの王権』のカードが占めるこのデッキは、スタンダードの節目に浮上してはその存在感を示す、根強い人気と実力を持ったアーキタイプだ。
その名の通りアドベンチャー、出来事メカニズムと《幸運のクローバー》をキーカードとしている。
出来事で唱えられたインスタントかソーサリーをコピーし、その威力を倍増させる《幸運のクローバー》。1枚当たりの威力はおとなしめの出来事でも倍増すれば十分な威力を発揮するし、もともと強い《願いのフェイ》の《成就》などは超強力なゲームを決める1枚へと跳ね上がる。
これを活かすために、デッキ内はほぼ出来事クリーチャーで固められている。クリーチャーにかなり寄せた構成でありながら、それらは同時にインスタントやソーサリーとしての仕事もこなす。非常にバランスの取れた構成というわけである。
デッキとしては上述のようにクローバーを置いてから出来事を唱え、その出来事を追放領域からクリーチャーとして再度唱えることで盤面を作っていく。この時に数少ない非出来事クリーチャーである《エッジウォールの亭主》を絡めることでカードを引き、1枚のカードを2度のインスタント or ソーサリー+クリーチャー+ドローと猛烈に仕事をさせ、アドバンテージを重ねる。
この一連の流れが二度三度繰り返されれば、相手と大きく盤面及び手札に枚数差がつく。そうやってゲームを有利に進め、勝利へと至るのだ。
《厚かましい借り手》《砕骨の巨人》で盤面をひっかきまわしつつ安定した戦力を展開、《豆の木の巨人》をクローバー複数枚と噛み合わせることで一気に使えるマナが伸びることがセールスポイント。
しかしながら出来事の中で最強は、先にも触れた《願いのフェイ》の《成就》。サイドボードから非クリーチャー呪文を手札に加えるこのソーサリーをクローバーでコピーすれば、対戦相手への妨害とこちらが一気に得をする呪文とを同時に手に入れられる。
具体的に言うと、安全にターンを得るための《否認》《軽蔑的な一撃》を構えつつ、次のターンにぶっ放すことで土地が伸びると同時に使えるカードも補充される《僻境への脱出》を手札に加える、という感じ。
この《僻境への脱出》はメインも合わせれば計4枚採用されている、クローバーデッキならではのカードでもある。その性質上マナを多く食うデッキなので、《僻境への脱出》を2連打などして二桁枚数の土地を確保することは勝利への最短ルートである。そうやって土地を並べればフィニッシャーである《豆の木の巨人》のサイズもバカデカいものとなり、《成就》から持ってきた《投げ飛ばし》1枚でゲームエンドなんてことも狙えるのである。
このクローバーデッキの最新リストには《エッジウォールの亭主》以外にも非出来事クリーチャーが採用されている。《スプライトのドラゴン》だ。
なるほど、アドベンチャーはすべてクリーチャーにして非クリーチャー、であればこの小さな速攻持ちドラゴンが成長する能力を誘発させるのは実に簡単というわけである。サクッと5/5以上に育てて、空からガツンと殴って勝つ。新しいブン回りパターンが用意されたことで、デッキパワーは上昇した。
以前にもアドベンチャーデッキを使っていたという人には再び、まだ体験したことがないという人にはこれから、ぜひとも手に取ってほしいデッキだ。あまり相手を選ばずに、クローバーと亭主が生み出すアドバンテージで相手をねじ伏せる快感、味わってほしいね!
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