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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

宝物求めて天頂へ(ヒストリック)

岩SHOW

 マジックプレイヤーにとっての宝とはなんだろうか。

 絶版セットやプロモーションの手に入りにくい希少なカード、アーティストのサインなどが施された特別な1枚、友人や家族からのプレゼント、そして何よりそれらの仲間と過ごす楽しいひと時……いろいろあるだろう。

 でも手っ取り早いお宝といったら、「勝利」だったりするんじゃないかな。勝てるデッキを求めて各種フォーマットを旅する姿は、まさしく秘宝を探す冒険者。宝物を探す……まさしくそれを体現したカードがあったな、《宝物探し》だ。

 まだエルドラージが封印から目覚める前のゼンディカー次元は、地形を変える秘境にて冒険者らが隠された何かを求めて同盟を組んで探検する、アドベンチャー感あふれる世界だった。

 《宝物探し》はロケーション的には海や湖の底、マーフォークの冒険者が海底洞窟に眠る秘宝を見つけた瞬間をカード化したような、アートを見ているだけで脳内で物語が進む素晴らしいアートを誇る。カードの効果もオンリーワンのもので、土地でないカードが公開されるまでライブラリーをめくり、公開されたらそこでストップして、公開されたカードが全部手に入る。いくつもの地形を乗り越えて宝にたどり着くというフレイバーが綺麗にカードに落とし込まれており、改めて感動。

 で、このソーサリーは要するに、以下のような使い方をするためにある。

  • 「大量の土地カードを採用したデッキで手札を膨れ上がらせる」
  • 「ごく少数のキーカードを確実に手に入れる」

 この2つが有効活用法だ。MTGアリーナのオリジナルフォーマット、ヒストリックにはこれを用いたデッキが存在する。

「宝物探し」サンプルデッキ
ヒストリック(BO1) (2020年5月)[MO] [ARENA]
48 《
4 《孤立した砂州
4 《神秘の聖域

-土地(56)-

1 《タッサの神託者

-クリーチャー(1)-
3 《宝物探し

-呪文(3)-

 土地56枚! こんなデッキで《宝物探し》を唱えれば、往々にして20枚くらいの土地と2枚目の《宝物探し》が手に入るってなもんだ。

 ちなみにライブラリー内に非土地カードが0枚であれば、すべてのカードを手札に加えられる。こうしてライブラリーを空か、それに近い状態にして《タッサの神託者》で勝つ。以上!

 この開き直りっぷりは芸術的でもある。一見、弱そうに見えるだろうが、これがなかなかどうして戦えるデッキで、その最大の理由は現行のマリガンルールにある。

 何度マリガンしても、7枚引いてから手札を減らすという現マリガン形式であれば、ゲーム開始時の手札に《宝物探し》が加わるまで強気に探しに行けるのだ。最悪、初手が1枚だけの《宝物探し》になってしまっても、2ターン連続で土地を引いて唱えたらいいや、ってな精神だ。

 この「宝物探し探し」という手法によって、このデッキは4ターン目くらいには勝負を決められるデッキとして、一部のプレイヤーに愛好されている。

 中速デッキを相手にした際には、相手のデッキのパーマネント対策など大部分のカードが無駄になった上にキルターンがこちらの方が早いので圧倒的有利。ただしあらゆる妨害手段を持ち合わせていないので、1ターン目から動いてくるようなアグロデッキには押し負けてしまうことが多く、相性差がはっきりと出るデッキになっている。《神秘の聖域》でリカバリーもできるが、《否認》などで《宝物探し》を打ち消されても苦しい。

 この《宝物探し》デッキに、突然別バージョンが誕生した。宝は海底にて待つ《タッサの神託者》がもたらすのみかと思っていたが、まさかのその真逆の方向にも存在したらしい。天空だ。

martypunker - 「サイクリング・宝物探し」
ヒストリック(BO1) (2020年5月19日)[MO] [ARENA]
3 《
1 《
1 《平地
4 《蒸気孔
4 《神聖なる泉
2 《神秘の聖域
4 《インダサのトライオーム
4 《ラウグリンのトライオーム
4 《ゼイゴスのトライオーム
4 《サヴァイのトライオーム
4 《ケトリアのトライオーム
4 《隔離されたステップ
4 《孤立した砂州
4 《やせた原野
4 《忘れられた洞窟
4 《平穏な茂み

-土地(55)-


-クリーチャー(0)-
4 《宝物探し
1 《天頂の閃光

-呪文(5)-
1 《黎明起こし、ザーダ

-相棒(1)-
martypunker氏のTwitter より引用)

 

 このリストのインパクトよ、トライオーム全種入り!

 このデッキの目指す勝ち方はこのトライオームなどが持つサイクリングにある。『ヒストリック・アンソロジー2』に収録されていた単色のサイクリング土地と併せて、サイクリング持ちの土地は全部で40枚。これらのカードを《宝物探し》でたっぷりと手札に加えて……そして捨てる! おもむろに墓地にぶちまける! しかる後にたどり着いた宝物である《天頂の閃光》を対戦相手本体に叩き込み大ダメージ、完結!

 大量に手に入った土地を捨てることに活路を見出した逆転の発想に拍手。《宝物探し》の連打が止まってしまっても、土地を素直にサイクリングすることで墓地のカウントを稼いでいけるという点もこのデッキの良いところだ。トライオームのサイクリング・コスト軽減のために《黎明起こし、ザーダ》を相棒にしている点が芸が細かい。

 《天頂の閃光》は与えたダメージの分だけ回復もついてくる。これにより、除去として使って同時に回復し、アグロデッキ相手に時間を稼ぐということもできるようになった。ライフを削り取れるだけのサイクリングが墓地に溜まったら《神秘の聖域》でライブラリーの一番上に置いて、サイクリングで手札に迎え入れて改めて撃ちなおして勝利する。この動きでもアグロ相手に間に合わないことはあるだろうが、そういうプランも狙えるようになったのは大きな変化である。

 どちらの形も一長一短、ただ他のデッキでは味わえない勝ち方ができるという点で見ればドでかいお宝であることは同じだ。興味を持ったのであれば、《宝物探し》もコモンであるわけだし、組んでみてほしいね。

 とりあえずこれをプレイしてヒストリックをやってみて、対戦相手が使っていた魅力的なデッキを後から作っていくというのもひとつのデビューの形。さあ、宝を探しに行こう。

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