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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
君は偶数派?それとも奇数派?(新スタンダード)
マジックの楽しさは多岐にわたるが、至福のひと時として、あるいは試行錯誤を繰り返すものとして、とことんマジックと向き合えるデッキ構築の時間は、個人的に最も好きなタイミングかもしれない。
脳内で描いたコンボやシナジーを軸に、カードリストをチェックしながら周りを固めていって、規定枚数に収める……決して簡単ではなく、いつも取捨選択に迷うんだけれども、それが何よりも楽しかったりするのだ。
特に新セットが出た直後、まだ誰の使用感も頭に入っていない真っさらな状態でデッキを組むひと時。これは僕にとって(そしておそらく多くの読者の方にとっても)とても意味のある時間なのである。『イコリア:巨獣の棲処』でも実際にカードを手に入れてデッキを組むのが楽しみでしょうがない。
デッキ構築を楽しむプレイヤーの中には、自ら制限を掛けるタイプの方々を見かけることがある。絶対に○○を使う、あえて○○は使わない、というように選択肢を狭めることで、逆に可能性を拡げるというマニアックな楽しみ方である。
『イコリア』ではそんな制限を設けたデッキ構築を、カードの方からプレイヤーに要求してくるものが登場する。これはマジック史においても初のことだ。「相棒」という能力を持ったクリーチャーは、それを用いるデッキに制限をかけることを条件にメインデッキではなくサイドボードに入り、そこからいつでも唱えることができるという、まるで統率者のように扱える伝説のクリーチャーたちのことだ(詳しくはメカニズム記事を参照いただきたい)。
相棒のサンプルとして最もわかりやすいものが、デッキ内の土地以外のカードの点数で見たマナ・コストがすべて偶数か奇数で統一されていることを要求するものだ。今日はその2種類を用いたデッキ案をそれぞれ紹介しよう。皆がデッキ構築を楽しむひと時を後押しできれば幸いだ。
7 《島》 6 《沼》 4 《湿った墓》 4 《欺瞞の神殿》 2 《ヴァントレス城》 1 《魔女の小屋》 2 《寓話の小道》 -土地(26)- 3 《ボーラスの占い師》 2 《半真実の神託者、アトリス》 1 《永遠神ケフネト》 1 《夜帷の捕食者》 -クリーチャー(7)- |
4 《思考消去》 4 《暴君の嘲笑》 2 《苦悶の悔恨》 2 《本質の散乱》 1 《否認》 2 《煤の儀式》 4 《タッサの介入》 4 《無情な行動》 2 《食らいつくし》 2 《願い与えの加護》 -呪文(27)- |
1 《深海の破滅、ジャイルーダ》
-相棒(1)- 3 《霊気の疾風》 3 《魔術遠眼鏡》 2 《苦悶の悔恨》 2 《害悪な掌握》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《戦慄衆の将軍、リリアナ》 1 《人知を超えるもの、ウギン》 -サイドボード(14)- |
《深海の破滅、ジャイルーダ》、デーモンでありクラーケンでもある禍々しい海の巨大生物。
こやつが戦場に出たらすべてのプレイヤーのライブラリーを4枚削って墓地に落とし、そこから点数で見たマナ・コストが偶数のクリーチャーを1枚選んであなたのコントロール下で戦場に出す、という間接的なコントロール奪取能力を持っている。6マナ6/6に+αが狙えるため、シンプルに強くてアドバンテージも取れるカードである。
これを好きなタイミングでサイドボードから直接唱えられるのは、盤面を制圧してからカードパワーで押し切りたいプレイヤーにとってはなかなかに嬉しい話だろう。
とりあえずはコントロールデッキを組みたくなることだろう。偶数に絞り込んでも手札破壊・クリーチャー除去・打ち消し・ドローとコントロールに必要な者はひと通り揃っている。特に《無情な行動》などの除去に関しては最高品質のものを扱えるのでライフをきっちりと護り、相手の攻め手を絶やしにかかれる。
ドロー好きの皆さんには《願い与えの加護》で気持ち良くなってほしいね。
クリーチャーの枚数はコントロールということで少なめだが、《ヴァントレス城》や《魔女の小屋》でうまくライブラリーの上にクリーチャーを持ってきてアドバンテージを取れたら嬉しいなというところ。いっそのことクリーチャーを大盛りにして《深海住まいのタッサ》と組み合わせ、ジャイルーダや他のクリーチャーを何度も出し入れしてウハウハになるという構築も楽しそうだ。
ジャイルーダという名前も印象に強く残り魅力的だが、《鎌爪の未来怪獣、ガイガン》としても同じデッキをプレイすることが可能だ。
悪役怪獣の花形として高い人気を誇るガイガンでお供を呼び出し、対戦相手を踏み潰そう!
19 《山》 4 《エンバレス城》 -土地(23)- 4 《熱烈な勇者》 4 《焦がし吐き》 4 《ブリキ通りの身かわし》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 4 《砕骨の巨人》 -クリーチャー(20)- |
4 《ショック》 1 《立腹》 4 《舞台照らし》 4 《殺戮の火》 2 《批判家刺殺》 2 《怪物の兵器化》 -呪文(17)- |
1 《獲物貫き、オボシュ》
-相棒(1)- 4 《軍勢の戦親分》 4 《レッドキャップの乱闘》 2 《初子さらい》 3 《無頼な扇動者、ティボルト》 1 《主無き者、サルカン》 -サイドボード(14)- |
蟲系統の見た目が怪獣マニアにはグッとくる《獲物貫き、オボシュ》。
このヘリオン・ホラーは点数で見たマナ・コストが奇数の発生源が与えるダメージを倍にするというド派手な能力の持ち主だ。《ショック》が1マナ4点火力になると考えればとてつもないな。
この能力を活かすために組むのはもちろんアグロ。アグロデッキを組むにあたって、偶数のカードが使えないことは大きな足かせのように見える。が、今の赤であれば1マナ圏には速攻持ちや打点に優れたクリーチャーが多数、3マナ圏にも《鍛冶で鍛えられしアナックス》《砕骨の巨人》がいたりとカードが揃っているので恐れることはない。
《舞台照らし》のようなアドバンテージをとるカードもしっかりと使用できるので安心だ。《殺戮の火》《批判家刺殺》などの火力を投げつけて一気に畳みかけるべし。5ターン目のアクションはおおむねオボシュを出して全軍突撃でフィニッシュとなるだろう。
赤と黒のデッキであれば、前環境終盤で大人気だった「ラクドス・サクリファイス」なんかとこのオボシュの相性はどうだろうか。《大釜の使い魔》《魔女のかまど》とキーカードは両方とも奇数であり、《波乱の悪魔》が2点ダメージを飛ばすというのはなかなかに魅力的だ。もちろん偶数のカードも多く使っているデッキなので大きな変更は必要になってはくるが、その過程も楽しめるというビルダー気質あふれる方々はチャレンジしてみるのも一興ではないだろうか。
「デッキを考える」という原初の楽しみ方を全く新しい方法で味合わせてくれる相棒クリーチャーたち。他にも《呪文追い、ルーツリー》《集めるもの、ウモーリ》などなど、一癖も二癖もある面々が目白押しだ。相棒としてでなく普通にデッキに入れても良いが、どうせなら個性的な面々を相棒にしたデッキ作りに挑戦してみてほしい。最強相棒決定戦とかを仲間内でやっても盛り上がりそうだね。
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