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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ジャンド・トード(ヒストリック)

岩SHOW

 好成績を残しているデッキリストと出会ったら、とりあえずコピーして回してみるという人も多いだろう。

 リストだけ見た時は「言いたいことはなんとなくわかる」くらいに思って、いざ実戦で初手を見てみると「うぅん?」と、何がキープ基準なのかわからない。とりあえずプレイできるカードもあるしとキープして動かしていくうちに、徐々にカードの役割がわかってくる。なるほど、このカードはこの仕事をするために入っていたのか! そんな発見を重ねているうちに気付くのである。「あれ、これ勝ってね?」と。自分でも全く想定していなかったターンに、突然降って沸いてくる勝利。こういう「とんでもない角度で勝つデッキ」との出会いは、マジックの醍醐味である。

 先日もそんなデッキに出会ったので紹介させていただこう。フォーマットはヒストリックだ。

 ヒストリックと言えば、先日の禁止制限告知の際に一時停止カードだった《死者の原野》が解除され、再び使用可能になったことが大きな変化であった。

 これは『ヒストリック・アンソロジー2』にて《幽霊街》《ゴブリンの廃墟飛ばし》といったこのカードに直接対策できるカードを再録したことにより、一時停止となる以前のように支配的にはならないと判断されてのことだろう。

 今日紹介するデッキも、そんな事実上の解禁直後・同セットのリリースの後に作られたものだ。そのデッキを紹介するツイートでは、15勝1敗というすさまじい成績で使用者をミシックランクへと導いたとのことだ。なんちゅう勝ちっぷりだよ。

 気になったのでコピーして回してみたら……冒頭で述べたような「あれ、これ勝ってね?」という体験ができたのだった。

AliEldrazi - 「ジャンド・トード」
ヒストリック (2020年3月15日)[MO] [ARENA]
1 《平地
1 《
3 《
1 《
2 《
3 《寓話の小道
1 《血の墓所
1 《悪意の神殿
1 《草むした墓
1 《森林の墓地
2 《疾病の神殿
1 《踏み鳴らされる地
1 《根縛りの岩山
2 《奔放の神殿
1 《ボジューカの沼
4 《死者の原野
1 《爆発域
1 《オラーズカの拱門
1 《廃墟の地
1 《幽霊街
-土地(30)-

4 《イリーシア木立のドライアド
4 《むら気な長剣歯
4 《翡翠光のレインジャー
4 《戦慄の存在
3 《不屈の巡礼者、ゴロス
1 《ギトラグの怪物
-クリーチャー(20)-
2 《世界のるつぼ
2 《風景の変容
4 《僻境への脱出
2 《大いなる創造者、カーン
-呪文(10)-
1 《不屈の巡礼者、ゴロス
1 《隕石ゴーレム
1 《白金の天使
1 《航海士のコンパス
1 《墓掘りの檻
1 《沈黙の墓石
2 《魔学コンパス
1 《魔術遠眼鏡
1 《彩色の灯籠
1 《世界のるつぼ
1 《不滅の太陽
1 《ボーラスの城塞
1 《影槍
1 《多勢の兜
-サイドボード(15)-
AliEldrazi氏のTwitter より引用)
 

 《死者の原野》を用いるデッキなので土地の種類は可能な限り散らしてあり、その枚数も30枚とたっぷり。スタンダード時に最良の友であった《不屈の巡礼者、ゴロス》はもちろん、《イリーシア木立のドライアド》《むら気な長剣歯》と土地を置ける枚数を増やすカードで、いち早く「7種類以上の土地」という原野がゾンビを生成する条件を満たすのだ。

 《翡翠光のレインジャー》は戦闘を行いつつ手札に土地を補充し、ドライアドと長剣歯へと土地を補給する。《僻境への脱出》も加速用のカードであり、かつ大量のアドバンテージをもたらす重要な1枚だ。

 これらのカードとともに土地を加速させる役目であり、かつ戦闘も行いアドバンテージまで生み出すのが《ギトラグの怪物》。

 デッキ名「ジャンド・トード」のトードはヒキガエルのことであり、ブロールのイベントの賞品としてアリーナへとやってきたこのカエルの怪物が印象的なためにそう名付けられたのだろう。

 毎ターン土地の生け贄を要求するが、土地を置ける枚数を増やし、かつ土地が墓地に落ちるとカードが1枚引けるというなかなかに強烈な能力を持っている。

 このカエルの化け物と相性が良いのが《世界のるつぼ》。

 土地を生け贄に捧げて墓地から置き直す、この動作を毎ターンするだけで手札もゾンビもザクザクと増えていくってわけだ。《ギトラグの怪物》は《寓話の小道》など生け贄に捧げることで能力を起動する土地とも相性が良く、またそれらはもちろん《世界のるつぼ》とも相性抜群だ。

 この《世界のるつぼ》と、《不屈の巡礼者、ゴロス》というキーカードにアクセス可能なのが《大いなる創造者、カーン》。

 このカーンから持ってくるアーティファクトには《墓掘りの檻》《魔術遠眼鏡》など特定のケースで力を発揮するものも仕込んであり、さまざまな局面に対応できるようになっている……というのは当然、このデッキはさらにその上を行くとんでもない勝ちパターンを仕込んである。

 土地以外なら何でもパーマネントを破壊できる《隕石ゴーレム》と、《多勢の兜》の組み合わせでパーマネントをバキバキと粉砕するコンボ。ライフを糧にアドバンテージをもたらす《ボーラスの城塞》。そして城塞でライフが擦り減ってもゲームに敗北しないようにするための《白金の天使》……これらのシークレットウェポンをサイドボードに忍ばせているのだ。

 そして《死者の原野》デッキと言えば《風景の変容》。

 これで大量の土地を生け贄に捧げて、7種類以上の土地と複数の原野を同時に戦場に出すことでゾンビが二桁一気に発生する、というコンボはこのデッキにも仕込んである。なのだが、どちらかというとこのデッキでは原野よりも速くゲームを決めるカードとの組み合わせが強烈だ。そいつの名は《戦慄の存在》。

 沼が戦場に出るたびにドローするか2点ダメージを飛ばすことが可能なクリーチャーだ。これが《風景の変容》とどう関係あるのかって? この2枚だけではデッキ内の《》が多くないので大した効果は得られない。3枚目のカードとして、土地を伸ばす役目も担っている《イリーシア木立のドライアド》とともに使うのである。ドライアドによりすべての土地が沼タイプを持つので、《風景の変容》で土地を10枚戦場に出せば《戦慄の存在》の能力が10回誘発し、20点のダメージを叩き込めるのだ。さながらモダンの《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》のごとし。

 リストをパッと見た時にこの3枚コンボに気付かなくて、初プレイの際に「……ん?」と気付いた時には24点ぶち込んで勝利していた。いやぁ、新鮮な体験だったよ。このド派手な決め技だけでなく、《寓話の小道》を《世界のるつぼ》で回している横に戦慄&ドライアドコンビが並んでいるだけで、回復と除去やドローが連続して行えるので、コントロールとしても強力だった。とにかくカードが絡み合っており、無駄がないのが凄いリストだなと唸らされた。

 土地を着実に並べてゾンビを生成しての制圧を狙いつつ、カーンからのコンボや《風景の変容》での一発逆転という、予想だにしない角度からの勝利を狙えるのがセールスポイントのこのデッキ、ヒストリックのカードも持っているというプレイヤーは一度試してみて欲しいね。とにかくとんでもない角度から勝てるので楽しいぞ!

 今週はこのデッキのように「とんでもない角度から勝利するデッキ」というのをひとつのテーマとして紹介していこうと画策している。次回のデッキも……そんな勝ち方ある?と驚かされる逸品だ。それじゃ明日も観に来てくれよな!

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