- HOME
- >
- READING
- >
- 岩SHOWの「デイリー・デッキ」
- >
- 自然の怒り、戦争の犠牲:スゥルタイ・ランプ(スタンダード)
READING
岩SHOWの「デイリー・デッキ」
自然の怒り、戦争の犠牲:スゥルタイ・ランプ(スタンダード)
もう何度目かになるが、マジック用語の1つを解説しよう。今日のお題は「ランプ」だ。もう知ってるという方は流してくれてOK、知らない人はほ~んと軽い気持ちで。深い話をするわけじゃないからね。
ランプとは、多くの方が知っているようにデッキ名に用いられているフレーズだ。「○○ランプ」というデッキ名はここ1年以上、ずっとスタンダードの強力デッキとして存在し続けている。
バリエーションの多いこのデッキの共通点は、緑のカードを用いて戦場に土地を置くなどして、使えるマナを増やすというアクションを積極的に行っていく点だ。マジックの原則として、コストが軽いカードよりも重いカードの方が強力である。だったらマナの生産量を増やして重いカードで勝負しようとなるのは自然な発想だ。緑にはクリーチャーもその他の呪文も、土地を戦場に出すカードが多くある。手札から、あるいはライブラリーから。
「ramp up」という動詞は「強める・強化する」などの意味で用いられる。マナを生産量を強化していくという意味で「マナ・ランプ」と呼ばれるようになり、簡略化されて「ランプ」のみでデッキタイプを示すようになったってわけだ。「ramp up」は調べてみたところ、ビジネスシーンでよく用いられるらしいので知っておくとどこかでドヤれるかもしれない。
また緑にはかつてランプ戦略を支えた《不屈の自然》というカードがあり、これの英名は「Rampant Growth」であることから頭の部分を取って「ランパン」と呼ばれることが多々ある。このカードから「ランプ」という呼び名が付いたという説もあるが、決定的な理由は定かではないので真実は各々の解釈に委ねたい。
わざわざこんな説明をしたのだから、今日は「ランプ」デッキの紹介だ。現行スタンダードのランプといえば……土地を伸ばすか《楽園のドルイド》を用いて4ターン目には《世界を揺るがす者、ニッサ》を繰り出し、彼女の能力でマナ生産力を大幅強化して《ハイドロイド混成体》に繋げて盤面・ライフ・手札とすべての面で優位に立とうとするパワフルなデッキである。
このデッキは『テーロス還魂記』からおあつらえ向きな1枚を授かっている。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》だ。
序盤は3マナのソーサリー版《成長のらせん》感覚で用いてマナを伸ばし、ゲームが長引いてこちらの墓地にカードが溜まれば、ズズッと脱出してきて戦場をのし歩くフィニッシャーとなってくれる。なんとも理想的なカードなのだ。
これを用いた最新の「ランプ」リストがこれだ。
2 《森》 2 《島》 2 《沼》 4 《繁殖池》 3 《神秘の神殿》 4 《湿った墓》 4 《草むした墓》 3 《疾病の神殿》 4 《寓話の小道》 -土地(28)- 4 《楽園のドルイド》 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 4 《大食のハイドラ》 4 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(16)- |
4 《成長のらせん》 3 《死の芽吹き》 4 《戦争の犠牲》 1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(16)- |
2 《強迫》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《害悪な掌握》 3 《神秘の論争》 2 《煤の儀式》 4 《永遠神の投入》 -サイドボード(15)- |
そもそもニッサとランプ用カードのために緑は必須、ハイドロイドとウーロのために青も確定。そこに黒を足してみたのがこの「スゥルタイ・ランプ」だ。
黒が足されるとどうなるのか。いろいろと利点はあるが、やはり最大の恩恵は《戦争の犠牲》だ。
種類を問わず多数存在する強いパーマネント。それらをまとめて粉砕するこのカードは、最強除去と言って差し支えない。相手より先に6マナ圏に到達し、何かとともに土地を巻き込んで破壊してマナ差をつける。これぞ黒絡みのランプの醍醐味である。
黒が入ったことで《戦争の犠牲》以外にも除去が使えるのは嬉しいところ。アンチ軽量パーマネントの《ゴルガリの女王、ヴラスカ》は、後半余りまくって使い道がない土地や《楽園のドルイド》を生け贄に捧げてドローと回復をしつつ、ウーロの脱出コストを補充してやるというシブい仕事もこなしてくれる。
そして序盤のランプのやりたいことである「土地を伸ばすこと」と「生き延びるためのクリーチャー除去」を同時にこなす《死の芽吹き》も黒を足したデッキに許された特権であろう。
これらと《大食のハイドラ》がいれば、対クリーチャーデッキではよっぽどのラッシュでない限りは食い止められるだろう。いずれのカードも、ただの除去ではなくプラスで何らかの仕事をこなすという点が重要である。ゆえに無駄になりにくいのだ。
サイドボードも印象的なリストだ。青と黒の手札破壊・全体除去・打ち消し・色対策……とこれぞサイドボードというカードらが並んでいる中、4枚の《永遠神の投入》が存在感を放っている。
これは除去と回復、ブロッカー生成を同時に行うので対アグロデッキにおいて活躍するわけだが、おまけのようについているライブラリーを4枚墓地に落とす効果がこのデッキでは活きてくる。そのライブラリー削りを自分に向かって使用することで、ウーロを墓地に落としつつ脱出のためのコストを捻出するというわけだ。一桁まで削ったライフが永遠神で4点増え、次のターンにはウーロ脱出で3点増え、その次にはウーロが殴って3点……こうなればもう勝負ありッッ。
多くのカードがきっちりと4枚採用されているので、動きにムラも出にくい。カラーリングも相まって、かっこいいビジュアルのデッキである。ニッサ・ハイドロイド・犠牲の三本柱がある限り、この類のデッキはスタンダードに居続けることになるだろう。
このデッキに対抗するなら、中途半端なことは狙わないガン攻め一辺倒な超アグロデッキを組んでみると良いかもね。
RANKING ランキング
-
広報室
年末年始もマジックづくし!「お年玉キャンペーン」&「プレマ&スリーブゲット!年末/年始スタンダード」開催決定|こちらマジック広報室!!
-
戦略記事
とことん!スタンダー道!アルカニス降臨、3枚ドローはこうして狙え!(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
戦略記事
今週のCool Deck:海賊デッキ&兎デッキ、プレイされた国にも注目!(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
コラム
スクウェア・エニックスで「マジック体験会」を開催!?『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』に向けたインタビューも|企画記事
-
戦略記事
ラクドス・サクリファイス:クリーチャーともう一つの生け贄要員(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
NEWEST 最新の読み物
-
2024.12.20読み物
第51回:0から始める統率者戦|クロタカの統率者図書館
-
2024.12.19戦略記事
とことん!スタンダー道!まさかまさかの複製術、コピーされ続ける先駆者(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.12.19コラム
スクウェア・エニックスで「マジック体験会」を開催!?『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』に向けたインタビューも|企画記事
-
2024.12.18戦略記事
ラクドス・サクリファイス:クリーチャーともう一つの生け贄要員(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.12.18広報室
2024年12月18日号|週刊マジックニュース
-
2024.12.17戦略記事
魂剥ぎ参戦!トレンドは新生化との組み合わせ(パイオニア)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
CATEGORY 読み物カテゴリー
戦略記事
コラム
読み物
BACK NUMBER 連載終了
- Beyond the Basics -上級者への道-
- Latest Developments -デベロップ最先端-
- ReConstructed -デッキ再構築-
- Daily Deck -今日のデッキ-
- Savor the Flavor
- 射場本正巳の「ブロールのススメ」
- 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
- 浅原晃の「プレミアイベント三大チェックポイント!」
- ガフ提督の「ためになる」今日の1枚
- 射場本正巳の「統率者(2017年版)のススメ」
- かねこの!プロツアー食べ歩き!
- ロン・フォスターの統率者日記
- 射場本正巳の「統率者(2016年版)のススメ」
- マアヤのマジックほのぼの日記
- 金子と塚本の「勝てる!マジック」
- 射場本正巳の「統率者(2015年版)のススメ」
- 週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
- なかしゅー世界一周
- 中村修平の「デイリー・デッキ」
- 射場本正巳の「統率者(2014年版)のススメ」
- 中村修平の「ドラフトの定石!」
- 浅原晃の「プロツアー観戦ガイド」
- 鍛冶友浩の「プロツアー観戦ガイド」
- ウィザーズプレイネットワーク通信
- Formal Magic Quiz
- 週刊デッキ構築劇場
- 木曜マジック・バラエティ
- 鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」
- 鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
- 渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
- 「明日から使える!」渡辺リミテッド・コンボ術
- 高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
- 高橋優太の「このデッキを使え!」
- 黒田正城の「エターナルへの招待」
- 三田村リミテッド研究室
- 新セットめった切り!
- シングルカードストラテジー
- プレインズウォーカーレビュー
- メカニズムレビュー
- その他記事