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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ゾンビラリー(パイオニア)
私はゾンビ映画ってやつが好きでねぇ。そのほとんどが結局のところ同じことをやってるんだが、人々が生ける屍に食われまいとあの手この手でサバイバルする90~120分間ってのは至福のひと時だ。 一見グロテスクで、それでいてどことなくユーモラスだったり、カッコよさや悲哀さも感じさせる……そんなゾンビの造形にこだわったものであればパーフェクトだ。クライマックスはどこからともなく押し寄せる死者の波に飲まれるか否か。お約束の展開になるとはわかっていても、手に汗握るものである。
ファンタジー色が強いもの(ゾンビの時点でファンタジーとか言うんじゃない)だと、太古の時代のゾンビが封印を解かれて蘇るタイプのものもある。マジックでも古今東西、多元宇宙の次元それぞれで死者の蘇り方は大きく異なっていて面白い。インパクトがあったのは《先祖の結集》だ。
砂漠の砂がブワーッと舞うと、その下から遥か昔の文明人の肉体が……という、なかなかにワクワクさせてくれるものだ。このソーサリーはコストの軽いクリーチャーをまとめて墓地から戦場に戻すことが可能で、ただ蘇らせて次のターンで攻撃ということはできない仕様。クリーチャーが戦場に出るか、あるいは死亡させるかして大きな効果を得ようとするコンボデッキ用の1枚であり、《鍛冶の神、パーフォロス》や《ズーラポートの殺し屋》などを絡めて勝利する「○○ラリー」なるデッキを成立させていたものである。
ゾンビ映画っぽいシーンを演出できるフレイバーと、コンボパーツとしての強さ。これを両立させてやろうじゃないのと、アツいゾンビ愛を感じるデッキがパイオニアに現れた。砂漠には気を付けろ! 死者に喰われるぞ!
5 《沼》 4 《神無き祭殿》 4 《孤立した礼拝堂》 4 《秘密の中庭》 4 《静寂の神殿》 1 《コイロスの洞窟》 -土地(22)- 4 《墓所破り》 4 《縫い師への供給者》 4 《ラゾテプの肉裂き》 4 《死体騎士》 4 《むら気な召使い》 4 《呪われた者の王》 2 《戦墓の巨人》 2 《ナントゥーコの鞘虫》 -クリーチャー(28)- |
4 《思考囲い》 3 《先祖の結集》 3 《死が触れぬ者、リリアナ》 -呪文(10)- |
2 《荒廃甲虫》 1 《残忍な騎士》 2 《致命的な一押し》 2 《断片化》 3 《夢を引き裂く者、アショク》 1 《最後の望み、リリアナ》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《真面目な訪問者、ソリン》 -サイドボード(15)- |
ゾンビのメインカラーは黒、そして《先祖の結集》は白。都合がいいことに、白黒2色でなおかつゾンビデッキの一員としても強くてかつ結集と合わさるとコンボになる、そんな完璧なゾンビがこの環境にはいる。しかも2種類も!
クリーチャーが戦場に出ると対戦相手のライフを1点失わせる《死体騎士》と、同じような能力だが誘発はゾンビ限定でこちらのライフも1点回復する《むら気な召使い》だ。これらを8枚体制で搭載したこのデッキの名はまさしく「ゾンビラリー」! う~んB級臭漂うな。
基本的にはビートダウンとして動く。1ターン目は1マナ、2ターン目は2マナ、3ターン目には3マナ or 2マナ+1マナと、マナを使い切って最大効率の展開を行って盤面を作っていきたい。
攻めの起点である1マナ圏は《先祖の結集》を唱えるための下地作りを行う役目も担っている。モダンなどでも大活躍のライブラリー掘り役《縫い師への供給者》を戦場に出して3枚落とし、ゾンビを墓地に貯めよう。《墓所破り》はゾンビを捨てることでゾンビ・トークンを生成し、盤面と墓地両方を満たしてくれる。ゲーム終盤には3体タップで1枚ドローの能力も効果的に働く。
これらのゾンビで墓地を死骸まみれにすることで恩恵を受けるのは結集のみならず、《戦墓の巨人》が特大サイズになったり《死が触れぬ者、リリアナ》の[-3]能力から大量展開したりと、美味しく利用できる。盤面と墓地を同時に作っていく。これが肝要だ。
ゾンビを展開し2マナ域の連中でライフを攻め、《呪われた者の王》で強化して殴り勝つ……と動ければ理想的だが、現実には戦場が均衡して殴りに行けなくなったり、《至高の評決》で掃除されたり。そこで《先祖の結集》コンボで決着をつける。X=3で唱えればこのデッキのすべてのクリーチャーを墓地から戦場に戻すことができるので、とりあえず5マナあれば問題なく狙える現実的なコンボだ。
先述の墓地肥やし要員の働きや、普通に除去されたりでゾンビで満ち満ちた墓地。そこから結集で一気にゾンビを戻す! 《死体騎士》《むら気な召使い》が複数体、他のゾンビとともに戦場に出ることで能力が多数誘発し、一気に相手のライフが溶ける!というのが狙いだ。
これは何も墓地にゾンビがそれほどいなくても狙いに行けるものである。戦場にいるゾンビを全て《ナントゥーコの鞘虫》の能力で生け贄に捧げてしまえば良いのだ。
敵陣とにらみ合っていたゾンビが突然崩れ落ち、かと思いきや再度蘇って呪いの力で大ダメージ! なんとも味わい深い光景であり、決めている側は気分が良い。
何度も言うようだが、理想は普通に殴って勝つこと。墓地は対策がされやすく、特にサイド後はさまざまな対策カードに苦しめられることになる。ここぞという時に《先祖の結集》を引いたが、墓地は空っぽ……なんてのは虚しさ極まるので、サイド後にはこれを回避するために戦場を作って勝つプランを強化するカードが用意されている。
それも、ただクリーチャーを出すというわけではなく、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《真面目な訪問者、ソリン》といったトークン生成と打点アップ能力を用いて、単体で戦場を作り上げるプレインズウォーカーを使うという作戦だ。
メインでしっかりと《先祖の結集》を見せつけることで相手にそれを強く意識させ、墓地対策カードをサイドインさせる。こちらはそんなもの全く意に介さないプレインズウォーカーと墓地関係のカードを入れ替えてどっしり盤面を作って戦う……そんなゲームプランに持っていけたら最高だ。
逆に考えれば、こういったデッキと当たった時には墓地対策カードをしこたま積めば良いってわけじゃあないということ。ここの読み合いの部分を考えてサイドボードを行えば、マジックはもっと楽しくなるはずだ。
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