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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

Food, Dragon and Fire(スタンダード)

岩SHOW

 前回は今スタンダードで強烈なインパクトを放つ1枚、《戦争の犠牲》を軸としたデッキを紹介した。パーマネントを複数枚まとめて吹き飛ばすというアクションは言うまでもなく強いもの。そこに至るまでの時間稼ぎさえしっかりしていれば、コストが重く効果が大きい呪文を主役に据えたデッキはきちんと成立するのだ。

 では、今日は昨日のデッキの発展形を紹介しよう。まずはおさらい、基本的な部分は同じだ。

 《大釜の使い魔》《魔女のかまど》《パンくずの道標》、この食物トリオを揃えたら、あとは毎ターン使い魔をかまどで生け贄に捧げ、それにより生成された食物を使い魔の生け贄に捧げ、食物を生け贄に捧げたのでパンくずの能力が誘発……と綺麗に繋がる。これによりライフを回復しながら手札も増え、盤石の状態に。後はパンくずから土地も得られているので潤沢なマナから手札を吐き出していって、《戦争の犠牲》などのカードパワーで圧殺する。

 うん、今日のリストも全く同じことを狙っているのだが……より貪欲に、徹底的にカードパワーを求める仕様になっている。一目瞭然、リストをご覧あれ。

Zvi Mowshowitz - 「5色かまど」
スタンダード (2019年11月25日)[MO] [ARENA]
5 《
1 《平地
1 《
2 《
1 《
4 《草むした墓
4 《踏み鳴らされる地
2 《血の墓所
4 《寓話の小道

-土地(24)-

4 《金のガチョウ
3 《大釜の使い魔
4 《楽園のドルイド
4 《波乱の悪魔
4 《ニヴ=ミゼット再誕

-クリーチャー(19)-
4 《魔女のかまど
4 《パンくずの道標
3 《創案の火
4 《戦争の犠牲
2 《天上の赦免

-呪文(17)-
4 《恋煩いの野獣
2 《意地悪な狼
3 《虐殺少女
3 《強迫
3 《燃えがら蔦

-サイドボード(15)-
Zvi Mowshowitz氏のTwitter より引用)

 

 《ニヴ=ミゼット再誕》!?

 というわけで5色になったかまどデッキである。まあ確かに、《金のガチョウ》に《楽園のドルイド》と5色生み出せるマナクリーチャーが入っているので、5色化はそれほど無茶なことではない。《寓話の小道》もあるしね。

 ただ初見時のインパクトはやはり凄まじい。こんなの回るのか?ってね(笑)。ただこれが案外回るものだったりするのだから、マジックはわからない。

 このデッキがニヴ=ミゼットを用いて獲得を狙うカードは以下のラインナップ。

 ……少ない? そう、たった3種類しか2色のカードは採用されていないのだ。ただ何度も言うように《戦争の犠牲》のカードパワーは疑いようもないもので、かつこれはパンくずでは手札に加えることができない。わざわざこれのためにニヴを使う価値があるのだ。

 ついでに、かまどエンジンが揃った時に生け贄というアクションが多数取られるので、《波乱の悪魔》も入れてある。くるくると猫と食物が入れ替わるだけでマシンガンのようにダメージを飛ばしてくれるし、何より相手の生け贄でも能力が誘発するので同じ食物系のデッキ相手にはクリティカルな1枚として機能してくれる。

 さらには対クリーチャーデッキ全般と《大釜の使い魔》へのアンサーである《天上の赦免》も! これが戦場にある限り使い魔は戦場にいることができないので相手の生け贄エンジンはストップする。後から赦免が破壊されることはあるかもしれないが、起動型能力で前もって猫を墓地から追放しておけば憂いなし。

 これらの3種10枚、ニヴで10枚めくった中にさすがにどれかあるだろう。1枚でも十分強力、2枚以上ならウッハウハ。

 さて、ニヴといい犠牲といい赦免といい、重くて色拘束が強い呪文ばかりで構築されたこのデッキ、これだけでは安定して運用できる!とは断言しづらい。そこで、このデッキを成立させている屋台骨を紹介しよう。《創案の火》だ。

 スタンダードではすっかりお馴染みの「ファイアーズ」デッキの中核をこのデッキも備えている。これでニヴを唱えることも難しくないし、そこから手に入れた犠牲や赦免もタイムラグなしで即座に唱えられる! なんてワガママなデッキなんだ……こういうのこそ、マジックをやっていると実感できるパワーカード好きプレイヤーも少なくないだろうね。

 《創案の火》というチョイスはなかなか理にかなっており、ニヴとか以前に、そもそもパンくずのためにマナを払うことが前提のかまどデッキの動きを円滑にしてくれる。2マナ払って《金のガチョウ》から食物を出して、それを2マナ払って生け贄に捧げて、1マナ払ってパンくずで……と動けば大抵は手に入れたカードを唱えられないものだが、《創案の火》があればそこからビッグアクション2連打なんてのもお手の物。創案とパンくずでチャンスを掴める可能性がグッと上がるのだ。

 紆余曲折を経て迎えられた現スタンダード。かまどデッキはその中心的存在として君臨している。前回の黒緑型やこの5色型のような派生形すべてに言えることだが、プレイにはとても時間がかかることに注意しよう。誘発型能力も多く、クリックを求められる回数は他のデッキを大きく上回る。つまり、時間切れの危険性があるのだ。

 実際に僕もこのデッキを配信しながら使ってみたが、残り時間1分30秒とかいうぎりっぎりのところでなんとか勝てた。テーブルトップでもデジタルでも、タイムマネジメントをしっかりと行っていきたい。盤面圧勝なのに負けや引き分けは悲しいからね~。

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