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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
フォージ・ショップ(ヴィンテージ)
「いやぁ~今年は収穫の多い年でしたよ、例年とは比べものにもならない」「この夏は特に得るものが多かったですね」……2019年、特定の層を対象にインタビューを実施するとこういった返答が多くなりそうだ。
その対象とは、ヴィンテージのアーティファクト・デッキ愛好家! 激狭な範囲だって言われそうだが……彼らがこの2019年に新カードをデッキに迎え入れ、その強さを上の次元に引き上げたことは事実である。
ヴィンテージを代表するカードの1つが《Mishra's Workshop》(以下ワークショップ)。
アーティファクトを唱えるためにしか使用できないという条件付きではあるが、{C}{C}{C}を供給する恐るべき土地。ヴィンテージではこの土地を縛りなく4枚用いることができるため、レガシーでもおなじみの《古えの墳墓》《裏切り者の都》とあわせて驚異的なロケットスタートが可能だ。
《Black Lotus》《Mox Sapphire》など0マナのアーティファクトをばら撒いてからの、制限カード《トレイリアのアカデミー》という大技もあり、1ターン目からクライマックスと言える怒涛の展開ができる。
ワークショップから《電結の荒廃者》などアーティファクト・クリーチャーを高速展開する「Ravager Shop」というデッキがヴィンテージの強デッキの一角だったが、件の新戦力の参入でその構成は大きく変化することとなった。
今日はそんな最古のカードを用いるフォーマットの最新デッキを紹介しよう。
4 《Mishra's Workshop》 4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 1 《トレイリアのアカデミー》 -土地(13)- 4 《鋳造所の検査官》 3 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(7)- |
1 《Black Lotus》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Sapphire》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Emerald》 2 《オパールのモックス》 1 《ライオンの瞳のダイアモンド》 1 《魔力の墓所》 1 《太陽の指輪》 1 《魔力の櫃》 4 《多用途の鍵》 4 《師範の占い独楽》 4 《厳かなモノリス》 4 《防御の光網》 2 《血清の粉末》 4 《神秘の炉》 4 《大いなる創造者、カーン》 2 《ウルザの後継、カーン》 -呪文(40)- |
1 《歩哨のトーテム像》 1 《歩行バリスタ》 4 《トーモッドの墓所》 1 《通電式キー》 1 《魔術遠眼鏡》 1 《Time Vault》 1 《罠の橋》 4 《精神壊しの罠》 1 《マイコシンスの格子》 -サイドボード(15)- |
ワークショップ・デッキの形を変えた2019年生まれの1枚は《大いなる創造者、カーン》!
ゲーム外からアーティファクトを手札に加えることができるこのプレインズウォーカーで《マイコシンスの格子》を持ってくる……それはヴィンテージでも日常の光景となった。ワークショップで簡単にマイコシンスを設置できる分、他のフォーマットよりも確実性・速度ともに高い。
しかし、ヴィンテージにおけるカーンは何もマイコシンスのみが勝ちパターンではなく、より軽くて強烈なコンボにたどり着くための鍵でもあるのだ。制限カード《Time Vault》をサイドボードに仕込み、カーンでサーチ。タップすることで追加ターンを得られるが、アンタップするにはターンを飛ばす必要があるというこの《Time Vault》を、《通電式キー》でアンタップすることでお手軽無限ターン!
ボルト・キーと呼ばれるヴィンテージの定番コンボを、《修繕》や《求道者テゼレット》に頼ることなく無色マナのみで行えるようになったのは非常に大きい。
このキーの新種である《多用途の鍵》もこの夏に新登場したカードだ。
これらのおかげでメイン・サイドあわせて4枚以上のキーが採用できるようになり、その結果1ターン目にカーンからボルト・キーコンボを決める!なんてことが不可能ではなくなってしまったのだ。これぞヴィンテージ!
カーンは、とりあえず出しておけば相手の各種Moxなどのマナ加速がストップするのも強い。そういったカードを全く用いないデッキは「ドレッジ」くらいなもので、大概のデッキは《Black Lotus》やワークショップから繰り出される《厳かなモノリス》などからストンと降臨するカーンに手を焼くことになるだろう。ヴィンテージを支配する1枚と言っても決して過言ではない。
カーン、新しいキーに加えて、さらにデッキの方向性を決定づけた新しい1枚が《神秘の炉》!
土地の枚数が少なく、それ以外がすべてアーティファクト&無色のカードであるこのデッキであれば、このカードでライブラリーからプレイできる可能性はかなり高い。
これでアドバンテージを得つつ、じっくり戦えるようになった……だけではない。ヴィンテージではワークショップと同じく、他のフォーマットでは使用できない《師範の占い独楽》を4枚使用することが可能だ。これでライブラリーを並べ替えて一番上に土地が来ても安心!
……というのもまた生温い話。その真価はここに3枚目のパーツ《鋳造所の検査官》が加わることで発揮される。
検査官の能力で独楽を唱えるコストは{0}になる。独楽をタップしてカードを1枚引き、独楽をライブラリーの一番上に置く。《神秘の炉》の能力で、その独楽を唱えることができる、そしてそのコストは何度も言うように{0}! もう言いたいことが分かったことだろう。この3枚が揃えば、マナ不要でライブラリーを好きなだけ引くことができるのだ! これぞアドバンテージを越えたアドバンテージ!
足止め、サーチ、無限ターンにあふれるドロー……ゲームに勝つための絶対的な力を増したワークショップ・デッキ。「カーン・ショップ」や「フォージ・ショップ」と呼ばれるこのデッキは、ヴィンテージだからこその魅力にあふれている。最古のセットのカードが最新のセットのカードで強さを増す、未来と過去を繋ぐという意味でも、時間旅行のために造られたカーンにおあつらえ向きのデッキと言えよう。
……と、この原稿を書いた2時間後。2019年8月26日付の禁止制限改定が発表され、ヴィンテージでは《大いなる創造者、カーン》《神秘の炉》《精神的つまづき》《ゴルガリの墓トロール》が制限カードに指定された。エターナル・ウィークエンドの結果も踏まえてのことなんだろうね。2019年の大いなる収穫による最高形とも言えるこのリストで遊べたのは、ひと夏の思い出となってしまった。
代わりに、《Fastbond》が制限解除となったが、果たしてこのエンチャントはヴィンテージに新たな流れをもたらすだろうか? とりあえず来年のエターナル・ウィークエンドが今からもう楽しみになっちゃうね!
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