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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アブザン・カンパニー:エルドラ中隊の記録(モダン)
※編注:本記事の原稿は「2019年8月26日 禁止制限告知」よりも前に執筆されております。
かつて、多元宇宙における最大の脅威の1つだったのがエルドラージだ。久遠の闇より誕生したこの種族は、侵襲した次元のすべてを食い荒らす。3つの血脈からなるエルドラージはそれぞれ環境に適応し、大小・能力とも変化に富む。一筋縄ではいかない神のごとき力を持った種族だが、プレインズウォーカーたちがその力を合わせ、ゼンディカーの民との共同作戦でこれを倒すことに成功した。人間やエルフ、マーフォークにコーといった、種族の垣根を超えた同盟軍が結成されたのも、なんだか懐かしい話である。その先頭には今は亡きギデオンが立っていたなぁ……。
そんなエルドラージ vs 同盟軍の戦いから時が経ち……今、マジックの多元宇宙で暴れ回っているのはまた別の脅威である。《甦る死滅都市、ホガーク》! モダンを中心に勢力を拡大するホガーク・デッキ。墓地から高速で繰り出される8/8トランプルはまさしく死そのものである。これに立ち向かうために人間やコーたちは、かつての宿敵だったエルドラージと抵抗軍を結成し、一個中隊がかつての指揮官であるギデオンの像のもとに集った……
そんなif世界のストーリーのようなデッキを、今日は紹介しよう!
2 《平地》 1 《沼》 1 《森》 1 《荒地》 1 《神無き祭殿》 1 《寺院の庭》 1 《草むした墓》 1 《湿地の干潟》 2 《吹きさらしの荒野》 2 《新緑の地下墓地》 3 《虹色の眺望》 3 《秘密の中庭》 2 《地平線の梢》 2 《エルドラージの寺院》 -土地(23)- 4 《貴族の教主》 2 《ルーンの与え手》 4 《潮の虚ろの漕ぎ手》 2 《前兆の壁》 4 《変位エルドラージ》 4 《ちらつき鬼火》 4 《不毛の地の絞殺者》 1 《刃の接合者》 -クリーチャー(25)- |
4 《霊気の薬瓶》 4 《安らかなる眠り》 4 《集合した中隊》 -呪文(12)- |
3 《オーリオックのチャンピオン》 3 《ガドック・ティーグ》 2 《溜め込み屋のアウフ》 4 《疫病を仕組むもの》 2 《罪の収集者》 1 《弁論の幻霊》 -サイドボード(15)- |
《集合した中隊》を用いて3マナ以下のクリーチャーを戦場に展開して立ち回る、「○○カンパニー」と呼ばれる類のデッキ。これは白黒緑の3色なので「アブザン・カンパニー」と分類しておこうか。
最大の特徴は、序文にもあるようにエルドラージが搭載されているところ。《変位エルドラージ》《不毛の地の絞殺者》という3マナのエルドラージを《集合した中隊》から同時に展開し、これらで盤面を支配するという算段だ。
《ちらつき鬼火》または《潮の虚ろの漕ぎ手》で一時的に追放したカードを《不毛の地の絞殺者》の能力で墓地に置くことで、それらは戦場や手札に戻ることなく、同時にタフネス3以下のクリーチャーを1体除去できる……細かいアドバンテージではあるけれども、堅実にゲーム展開を有利に持っていく、こういう積み重ねが好きな人にはたまらないシナジーだろう。
もともと、これらのカードを組み合わせた「白黒エルドラージ」はモダンの玄人向けデッキの1つとしてマニア人気を集めていたが、それに緑を足して中隊で欲しいクリーチャーをかき集められるようになっている。
これらのクリーチャーは真面目にクリーチャーなどのパーマネントを展開して戦うデッキ相手には実に良い仕事をする。…で、肝心のホガーク・デッキに対してこのデッキがどうレジスタンスなのかというと……これらのクリーチャー陣が、というよりは《安らかなる眠り》をメインから4枚採用している点。
墓地のカードをすべて追放し、以後墓地にカードは置かれることがなくなる。このシンプルにして最強の効果をたった2マナで得られるエンチャントをメインからフル装備することで、ホガーク・デッキに楽な勝利は与えない! 色が合っており、また自身のデッキが勝利するのに墓地をまったく必要としていないという点が噛み合っているのが、エルドラージ×カンパニーデッキにこのエンチャントがすんなり合流した理由だ。
序文で述べたギデオンの像というのは、この《安らかなる眠り》の『Signature Spellbook: Gideon』版のイラストのこと。ラヴニカで戦死した後、故郷テーロスにギデオンの記念像が立てられた光景である。死してなお多元宇宙を見守っているんだなぁ……。
ちょいと話が背景世界方面にそれたが、このエンチャントは《不毛の地の絞殺者》との相性も良い。追放領域から墓地に置いたらまた追放領域に、ってなわけで《変位エルドラージ》の能力で出し入れすれば何度も-3/-3修整をばらまくことが可能だ。この動きを後押しするためにも《エルドラージの寺院》や《貴族の教主》でマナ加速をしていくのである。
《ルーンの与え手》もエルドラージたちや《潮の虚ろの漕ぎ手》をプロテクションで護る、重要な新戦力。
サイドから投入される《疫病を仕組むもの》《溜め込み屋のアウフ》など特定デッキへのキラーカードを護っているだけでゲームに勝てるので、そのあたりを意識しながら運用していこう。
ホガークが生み出した環境のうねりより生まれた《集合した中隊》×エルドラージ×《安らかなる眠り》デッキ。今後のモダン環境の変遷に合わせて、このままより先鋭化されていくか、ガラリと方向性をチェンジするのか、進む道は2つ。ただ追放カードとエルドラージのシナジーや、中隊からのアドバンテージは相手を選ばずオールラウンドな側面もあるので、よほどの天敵が出てこない限りは環境に定着しそうな……そんな予感がする。まあそこは、今後現れる3マナ以下のクリーチャー次第な部分もあるんだけどね。
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