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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
赤単アグロ(スタンダード)
射程圏内。マジックでこのフレーズを用いるのは、概ねガンガン攻める「アグロ」と呼ばれるタイプのデッキだ。対戦相手のライフをクリーチャーなどで攻撃して減らしていき、後は特定のカード数枚の組み合わせでライフを削り切れる可能性がある時に用いられる。
例えば《稲妻》《溶岩の撃ち込み》などを持っているモダンの「バーン」デッキにとっては、残りライフ9点はカード3枚で削り切れてしまうので、この射程圏内には入らないようにライフを護ってプレイしていきたい……という風に実況しているのを耳にすることもあるはずだ。
デッキの射程圏を理解することはアグロデッキを使う際にも使われる際にも大事なことだ。ただ、時として「こんなん読めないよ!」というとんでもない爆発力でライフをかっさらっていくデッキが登場する。ライフ20点は射程圏内だった…⁉
『基本セット2020』が発売されて最初の大規模トーナメント、Star City Games Openの優勝デッキは、とんでもない長距離射程を誇る新型赤単だ!
20 《山》
-土地(20)- 4 《狂信的扇動者》 4 《ギトゥの溶岩走り》 4 《燃えさし運び》 4 《遁走する蒸気族》 4 《チャンドラの吐火》 4 《ゴブリンの鎖回し》 -クリーチャー(24)- |
4 《ショック》 4 《稲妻の一撃》 4 《舞台照らし》 3 《批判家刺殺》 1 《実験の狂乱》 -呪文(16)- |
4 《溶岩コイル》 3 《丸焼き》 3 《実験の狂乱》 3 《無頼な扇動者、ティボルト》 2 《炎の侍祭、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
ここ最近のスタンダードではずっと一線級のデッキであり続けた「赤単アグロ」。このリストもその基本的な構造と大きく異なるというわけではない。1~3マナのクリーチャーで序盤から展開と攻撃を繰り返し、《ショック》《稲妻の一撃》でブロックしようとするクリーチャーを除去、攻撃を通したら《舞台照らし》でアドバンテージを得て攻め手が尽きないように畳みかける。シンプルにして強力な戦術だ。
そのオーソドックスな面はそのままに、爆発力を生み出す可能性に満ちた1枚を採用している。《チャンドラの吐火》だ。
3マナ1/3と素のサイズでは打点に欠けるが、戦闘でないダメージが対戦相手に与えられるたびにパワーが3上昇するという驚異的なパンプアップ能力を持っている。さらに飛行があるので、上空からパワー4で攻撃、というのが狙える、額面以上にアグレッシブなカードである。
なんだか懐かしいカードが再録されたもんだな、くらいにしか思っていなかったのだが、このリストを見て気づいたことがある。こいつの能力、《ゴブリンの鎖回し》で簡単に誘発させられるんだね。火力を本体に撃ち込んで何点叩き出すか、くらいしか考えていなかったので、この単純なコンボにはちょっと驚かされた。《狂信的扇動者》も良い火種になるし、同じく再録カードである《燃えさし運び》も相性Good。
これらのカードで吐火のパワーをゴリゴリっと上げて殴りきる、赤単に新プランが付与されたってわけだ。吐火が2体並ぶと《稲妻の一撃》《批判家刺殺》と唱えて攻撃するだけで20点のライフを0にすることができる。え、えげつない……このエレメンタルが戦場にいる限り、自分は射程圏内なのだということを肝に銘じながら対処した方が良いだろう。《実験の狂乱》と絡むと手札が空の状況からでもあっという間にお陀仏なんてことも。やってる方は最高に楽しいので、赤単好きはこの形をぜひお試しあれ。
サイドボードは非常にシンプルな作りで分かりやすい。以前まで《軍勢の戦親分》が入っていたスロットには《炎の侍祭、チャンドラ》が。
《ケイヤの怒り》のような全体除去に強く、プレインズウォーカーにも睨みを利かせられる。[-2]能力で火力を再利用することで吐火から瞬殺も狙えたりとデッキには非常に噛み合っている。
あと、このリストでは採用されていないが、《発火の力線》も今後の赤単のサイドでは常連になるであろう1枚だ。
ゲーム開始時に戦場に出せて、こちらのクリーチャーが攻撃できずに除去されてしまっても2点ダメージを与えることで最低限の仕事をさせる良いエンチャント。2枚以上貼った状態でゲームが始まれば、相手は除去を唱えた方がライフが減るというわけのわからない状況に追い込まれてしまうだろう。冗談と思っているなら、一度試してみるべし!
秋になればローテーション、そこで赤単を支えている《ギトゥの溶岩走り》や《ゴブリンの鎖回し》は退場となる。それまでの間、このデッキを使い込んでMTGアリーナのランク上位を狙ったり、日本選手権を駆け抜けたり……熱い赤単の夏を送ってほしいところだ。くれぐれも熱中症には注意して、この夏もマジックを楽しんで!
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