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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

戦慄衆の指揮(Witch-Maw Command)(スタンダード)

岩SHOW

 墓地から戦場にクリーチャーを戻す。マジックでは最初のセットからこれを行うカードが存在する。一度破壊されたり手札から捨てさせられた失われたものを再度使えるという点、また本来なら重いマナを払って唱えなければならないものを格安のマナで得られるという点でとても強いアクションだ。

 なので、それを行うカードのデザインには美味しいことばかりではなくデメリット、というか対価が付加されているものが多い。魂には魂を。ということでプレイヤーのライフを失わせるのは定番中の定番だ。戻したクリーチャーの点数で見たマナ・コスト分だけライフを失わせる《再活性》はその代表格。

 この人気呪文のリメイクというか、発展形が『灯争大戦』に収録されている《戦慄衆の指揮》だ。

 6マナとコストは重めだが、墓地から戻せるクリーチャーの枚数はなんと好きなだけ。相手の墓地からも奪うことができ、戻したカードの点数で見たマナ・コストの合計分のダメージを受けるというハイリスク・ハイリターン仕様。

 このカードのさらにすごいところは、クリーチャーのみならずプレインズウォーカーも蘇らせるという点。戦慄衆はゾンビ軍団、それを指揮するのはリリアナ。リリアナのパワーってすげー!

 というわけで彼女のフルパワーを発揮させられるのがこのデッキだ!

10189011 - 「戦慄衆の指揮」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2019年5月19日)[MO] [ARENA]
1 《
4 《草むした墓
4 《森林の墓地
3 《湿った墓
1 《繁殖池
3 《内陸の湾港
4 《寺院の庭
4 《次元間の標

-土地(24)-

4 《マーフォークの枝渡り
4 《野茂み歩き
1 《イクサーリの卜占師
4 《翡翠光のレインジャー
2 《虐殺少女

-クリーチャー(15)-
3 《繁茂の絆
3 《戦慄衆の指揮
3 《覆いを割く者、ナーセット
3 《時を解す者、テフェリー
3 《ゴルガリの女王、ヴラスカ
2 《伝承の収集者、タミヨウ
2 《ドミナリアの英雄、テフェリー
1 《戦慄衆の将軍、リリアナ
1 《人知を超えるもの、ウギン

-呪文(21)-
3 《クロールの銛撃ち
2 《再利用の賢者
3 《古呪
2 《漂流自我
1 《黄金の死
1 《支配の片腕、ドビン
1 《時を解す者、テフェリー
1 《復讐に燃えた血王、ソリン
1 《放浪者

-サイドボード(15)-

 赤以外の4色から選りすぐりのプレインズウォーカーをたっぷりと。これらとともに運用するのは、すっかりお馴染みとなった探検パッケージ。《野茂み歩き》を出してから《マーフォークの枝渡り》《翡翠光のレインジャー》で探検してライフ回復+サイズアップで戦線を支える。

 これらの守護を受けてプレインズウォーカーたちものびのびと各々の仕事に取り掛かれる……という相性バッチリな組み合わせなのだが、このデッキの探検パッケージの役目はそれだけにあらず。

 探検はライブラリーの一番上のカードが土地でない場合、それを墓地に落とすことを選択できる。《戦慄衆の指揮》が手札にある状態ならば、プレインズウォーカーおよびクリーチャーが見えたらガンガン落としてしまって後で釣り上げれば良いのだ。探検でライブラリーを掘り、相手のクリーチャーと相討ちしたり除去を撃たれた後に《戦慄衆の指揮》で複数の《野茂み歩き》と探検持ちが同時に戦場に出て……能力が大量に誘発することでライフ超回復! デメリットを帳消しにしてしまおうという、相性が良いを通り越してコンボの域にまで突入している恐ろしいデッキだ。《イクサーリの卜占師》が採用されているのを見れば、このデッキがどれだけ探検したがっているかが伝わると思う。

 探検のみではなく、もう1つライブラリーからクリーチャー&プレインズウォーカーをダイレクトに墓地に送る手段が用意されている。《伝承の収集者、タミヨウ》だ。

 彼女の[+1]能力で《戦慄衆の指揮》か、あるいはそのタイミングで欲しいカードを指定→ライブラリーの上から4枚にそれがあればめでたくGET! なくてもカードが4枚墓地に落ち、《戦慄衆の指揮》の威力上昇が見込める。

 常在型能力のおかげで手札破壊から決め手となるカードを護れるのも嬉しいし、[-3]で《戦慄衆の指揮》を拾って再トライできるのもパーフェクト! まさにこのデッキのためのプレインズウォーカーだと言えよう。

 他に《覆いを割く者、ナーセット》&《時を解す者、テフェリー》のあらゆるデッキに派遣されている3マナ妨害コンビも駆使して、序盤の攻防を制していきたい。

 今のスタンダードでは3ターン目からプレインズウォーカーの出し合いが行われるが、その中で輝きを放つのが《ゴルガリの女王、ヴラスカ》。

 彼女は環境にあふれる3マナのプレインズウォーカーたちを直接破壊できる点が素晴らしく、現在評価が再上昇中。[+2]能力で探検クリーチャーを墓地に送って《戦慄衆の指揮》の威力を高めつつドロー&回復という動きも良いし、大車輪の活躍を見せてくれるはずだ。《虐殺少女》との組み合わせで強引に盤面を壊滅させにいける、[-9]能力で一撃で相手を葬れるなど、評価できる点は非常に多い。

 相手が干渉する力を持っていなければ、探検パッケージとプレインズウォーカーで盤面を制圧。もしも相手の反撃にあったり猛攻によりこれらのカードが失われても、6マナのスイッチひとつで元通り。この安心感が素晴らしい4色《戦慄衆の指揮》デッキ。《放浪者》を先出ししておけば完全ノーダメージで運用できることも覚えておこう!

 ところで……ここからは余談。このデッキは「4色リアニ」「4色プレインズウォーカー」「4色ミッドレンジ」などの名で呼ばれていくことになると思うが……4色ってのがどうにもスマートじゃない響きに聞こえないかい? 赤抜き4色ってのもカッコよくないし、そもそもどれかの色が赤と置き換わった4色になる可能性がある。

 そこで……ちゃんとこの「赤以外の4色」を表す名で呼んでみるというのはどうだろう。マジックでは2色の組み合わせはギルド名、3色の組み合わせは断片&氏族の名前で表現する。

  • 白青:アゾリウス/Azorius
  • 青黒:ディミーア/Dimir
  • 黒赤:ラクドス/Rakdos
  • 赤緑:グルール/Gruul
  • 緑白:セレズニア/Selesnya
  • 白赤:ボロス/Boros
  • 赤青:イゼット/Izzet
  • 青緑:シミック/Simic
  • 緑黒:ゴルガリ/Golgari
  • 黒白:オルゾフ/Orzhov

  • 緑白青:バント/Bant
  • 白青黒:エスパー/Esper
  • 青黒赤:グリクシス/Grixis
  • 黒赤緑:ジャンド/Jund
  • 赤緑白:ナヤ/Naya
  • 白黒緑:アブザン/Abzan
  • 青赤白:ジェスカイ/Jeskai
  • 黒緑青:スゥルタイ/Sultai
  • 赤白黒:マルドゥ/Mardu
  • 緑青赤:ティムール/Temur

 これらと同様のものがちゃーんと4色の組み合わせにも用意されているのだ! それが……

  • 白青黒赤:過去耕し/Yore-Tiller
  • 青黒赤緑:光り眼/Glint-Eye
  • 黒赤緑白:砂丘生み/Dune-Brood
  • 赤緑白青:墨流し/Ink-Treader
  • 緑白青黒:魔女の腑/Witch-Maw

 これらの由来は『ギルドパクト』にて登場した4色クリーチャー・ネフィリムたちの名前だ。

 これに当てはめると今回のデッキは「魔女の腑戦慄衆」とか「Witch-Maw Command」とかいうデッキ名で呼ぶことができるぞ! ちゃんと色が伝わってスッキリ一安心! 「魔女の腑で調整してたけど最終的に砂丘生みになったわ」とかやり取りもバッチリ!……なわけないわな。

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