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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
赤単ミッドレンジ(スタンダード)
前々回、『灯争大戦』スタンダード環境始動時には赤単を使用するプレイヤーが多いと書いた。そのデッキ内容は前環境のものと大きな差はなく、新カードを採用するというよりはむしろ《批判家刺殺》までたっぷり採用して、ブン回った時の強さを優先した『ラヴニカの献身』最初期の形に先祖返りしているという、なかなかに面白い現象が起きている。
赤単と言えば、意外にも器用だったことも忘れちゃいけない。《ゴブリンの鎖回し》は攻めにも守りにも優れているため、これで軽量クリーチャーを薙ぎ払いながらより重いマナのカードに繋げてカードパワーで勝負する中速のデッキなんかも前環境では見られたものだ。
新環境でも同様のコンセプトで組まれたデッキが開幕時から存在感を発揮している。何せ赤には、新しいパワフルな4~5マナ域のカードが追加されたから……では、そのリストを早速チェック!
22 《山》
-土地(22)- 4 《凶兆艦隊の向こう見ず》 4 《遁走する蒸気族》 4 《ゴブリンの鎖回し》 4 《軍勢の戦親分》 -クリーチャー(16)- |
4 《ショック》 4 《溶岩コイル》 4 《稲妻の一撃》 4 《実験の狂乱》 4 《炎の職工、チャンドラ》 2 《主無き者、サルカン》 -呪文(22)- |
4 《再燃するフェニックス》 4 《宝物の地図》 2 《チャンドラの螺旋炎》 4 《危険因子》 1 《無頼な扇動者、ティボルト》 -サイドボード(15)- |
クリーチャー陣は鎖回しをはじめ、《遁走する蒸気族》《凶兆艦隊の向こう見ず》《軍勢の戦親分》と一筋縄ではいかない相変わらず強力なラインナップ。
蒸気族は特に、赤単の心臓とも言える《実験の狂乱》との相性が抜群。序盤は相手のクリーチャーを《ショック》《稲妻の一撃》《溶岩コイル》で捌き、鎖回しらで食い止め、そして狂乱設置から蒸気族でマナを得てライブラリートップをバンバンと連打して戦力差をつけて圧倒……というのがデッキの狙い。
この戦略に加わった新機軸が、プレインズウォーカー! 以前までは赤単色のプレインズウォーカーとなると、クセが強いものばかりだった。だが『灯争大戦』で加わった2人は、扱いやすくシンプルに強い!
ニューフェイスその1、《炎の職工、チャンドラ》はライブラリーの一番上のカードをそのターンの間プレイできるという[+1]能力で確実なアドバンテージをもたらすのが仕事だ。
彼女のエライところは、《実験の狂乱》とも相性が良いという点。狂乱はライブラリーの上に土地が連続して並んでしまい何も唱えられずにターンが終わってしまう、という悲しい事件が多々発生するが、そんな時はチャンドラでその土地を取り除いてしまえば問題なし! 土地以外でもより効果的なカードを求めてとりあえず起動して掘り進むということもでき、より動きがより柔軟になった。単体でも十分強く、エンチャント対策では破壊されない点も頼もしい。
彼女をクリーチャーで攻撃してしまうと、失わせた忠誠カウンターの数だけダメージも飛ばしてくるのも厄介な点。実際にプレイしてみると、このライフ損失を嫌がってスルーするプレイヤーも多く、そうなるとチャンドラは生き延び続けてガンガンカードを供給してくれて有利にゲームを進められた。いや~思ってたよりもずっと強いよチャンドラ。
ニューフェイスその2は《主無き者、サルカン》。
彼はプレインズウォーカーたちをドラゴン変化させるという唯一無二の能力で大きく注目されたが、その能力の破壊力は本物だ。大体チャンドラから続けて出てくるので、彼女を即ドラゴン化させてライフを詰めることができる。次のターンは2人そろってタンデムアタック8点! 凄まじいぞサルカン。盤面次第では[-3]でドラゴンを呼ぶのから入っても良し。ドラゴンがいればサルカンの自衛能力も力を発揮し、低タフネスのクリーチャーの攻撃を抑え込めるだろう。
サイドボードにはさらに3人目《無頼な扇動者、ティボルト》の姿も!
主にネタキャラとして長らく愛されてきたティボルトも、今回は相手のライフ回復を封じるという赤が欲してやまない能力を引っ提げ、ナイスサイドカードとして活躍してくれそうだ。
メインもシンプルな構成だが、サイドもシンプルなのもこのデッキの魅力かな。遅いデッキには《危険因子》でより攻撃性を増して、赤単などには《再燃するフェニックス》や《宝物の地図》でアドバンテージ勝負の側面をより強くする。わかりやすいのは環境初期には良いことだ。
多彩だった赤の引き出しは『灯争大戦』でまた増量した。今後のシーズンでどのようなデッキバリエーションが出てくるかも楽しみのひとつだ。
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