『ラヴニカの献身』発売前に、活躍してほしい思いを込めてマーフォークデッキをこのコラムで取り上げてみた。あれがもう２か月前か……早っ。

　この環境ももう末期、その最終盤を飾るのが今週末に開催されるマジックフェスト・京都2019。カードやデッキの評価はすっかり固まったタイミングだ。

　この２か月を振り返ると……マーフォークは前半には目立った活躍をすることはなかった。そのまま環境に爪痕を残すことなく終わってしまうのかというとそんなことはなく、なんとミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019にて8勝2敗という結果を残し、存在感を示した。使用者はラファエル・レヴィ/Raphael Levy。プロツアー最初期から連続で今日に至るまで、常にトーナメントに参加し続ける歴戦の英雄だ。レヴィがマーフォークを選んだことは意外だったが、この伝説のプレイヤーが使用したということはそのデッキパワーは確かなものという証拠だ。

　最初のミシックチャンピオンシップで好成績を残したマーフォーク、日本国内初のマジックフェストにて輝くか？ 最新のリストを紹介しよう！

　１マナ・マーフォークが12枚！ 圧巻の構成だ。

　どうしても１ターン目からクリーチャーを展開してガンガン攻めたい！というデッキの場合、1マナクリーチャーを９枚入れれば往々にしてそれができると言われている。それを上回る枚数からは絶対に開幕からクリーチャーを出す！という強い意志を感じる。

　同時に、それら１マナのクリーチャーに1ターン目以降にも価値があるということを証明してもいる。《水底の生術師》は順応能力でサイズアップしつつ、手札の入れ替えができる。《翡翠をまとう者》はこれにさらに＋１/＋１カウンターを与えて能力をおかわりすることも可能だ。このエンジンで１マナのカードを他のものと交換できるかもしれないということも、この構築を後押ししているのだろう。

　《深根の水域》もまた、ゲーム後半における軽量マーフォークの価値を高めてくれる１枚である。とにかくうじゃうじゃと、水底から川守りたちを展開して戦おう！

　大量の１マナ域をさらに肯定するのが２マナ域の強化部隊。シンプルに全体を強化する《マーフォークの霧縛り》で全軍突撃してよし、《深根の精鋭》で１体をモリモリ強化して単騎駆けってのもアリだ。

　その後続にはマーフォークのボス《オラーズカの暴君、クメーナ》が控えている。

　伝説だが４枚採用されているのは、それだけこのカードの全体強化＆ドロー能力を頼りにしている証拠であり、かつ前述の手札入れ替えエンジンで、固め引いてしまっても無駄にならないということだろう。

　これらのサイズアップに貢献するマーフォークが対処されなければ、そのゲームはもらったと思っていい。逆にこれらを簡単に全滅させちゃダメってことで、そのあたりはきちんと考えながら、最悪のシナリオを回避しつつ最大打点を目指して展開しよう。

　《孵化 // 不和》は使い勝手の良い、マーフォークのためのカードと言っても良いだろう。

　基本的には同族が並んでナンボのデッキなので除去はあまり入れたくないが、ゼロの時にはもしもの事態に対処できない……というジレンマを解決してくれる、イカした分割カードだ。基本的には《孵化》で強化能力持ちをサーチしつつ、勝負所で相手の肝となるクリーチャーをカエル・トカゲに変えてやろう。《野茂み歩き》なんかを変身させてやりたいね。《孵化》のおかげでサイドに採用している《クロールの銛撃ち》を引き込みやすくなっているのも嬉しいところだ。《プテラマンダー》《弾けるドレイク》《正気泥棒》などの飛行クリーチャーをサクッと対処してやろう。

　リストを見てもらえばわかるが、実にシンプルなデッキである。だが、＋１/＋１カウンター関係のシナジーや《マーフォークのペテン師》などで、細かい小技は有している。レヴィに憧れてマーフォークをしこたま練習して京都に臨んでいるプレイヤー、いると思うんだよなぁ。フィーチャーマッチでまさしく水を得た魚のごとく暴れ回れば、大いに盛り上がるだろうね！

グランプリ・京都2019 実況生放送