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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
青単アグロ(スタンダード)
理論上最強。好きな5文字の単語をあげろと言われたらこれかな。あくまで「理論上」なところがポイント。最強になり得る、そのポテンシャルにこそロマンがある。机上の空論で終わることもあれば、その力を存分に発揮し、とてつもない強さを見せつけることもある……
マジックにおける理論上最強デッキというのは、「ゲーム開始時の手札が理想的なものであれば」「キーカードをきちんと引き込むことができれば」などなど、要するに都合の良いドローに恵まれていれば強い、ブン回り系のデッキを指すことが多い。
具体的にどんなものかというと、1枚1枚では弱めのカードで構成されているデッキだったりするね。しっかりと理想的な動きができれば、相手がどんなデッキであろうと寄せ付けない圧倒的な強さを持っているデッキだ。
競技シーンにおいて、あえてそのようなデッキを選択するプレイヤーもいる。予選抜け以外の成績はどんなスコアだろう負けは負け、という勝負の世界において、ノリにノッているのであればぶっちぎりで決勝ラウンドまで導いてくれるデッキを選択する、というのもまた有効なアプローチなのだ。
今日はスタンダードにおいて、ドローに恵まれなければ脆いという側面はあるものの、ホットな状態であればあらゆるデッキを粉砕するパワーを秘めたデッキを紹介しよう。ミシックチャンピオンシップでも使用者はそこそこいるんじゃないかな、「青単アグロ」だ!
20 《島》 -土地(20)- 4 《セイレーンの嵐鎮め》 4 《プテラマンダー》 1 《水底の生術師》 1 《霧まといの川守り》 4 《マーフォークのペテン師》 1 《戦凧の匪賊》 4 《大嵐のジン》 -クリーチャー(19)- |
4 《執着的探訪》 4 《潜水》 3 《呪文貫き》 1 《選択》 2 《航路の作成》 2 《本質の把捉》 1 《火消し》 4 《魔術師の反駁》 -呪文(21)- |
3 《波濤牝馬》 2 《排斥する魔道士》 1 《呪文貫き》 2 《本質の把捉》 2 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 2 《睡眠》 2 《幻惑の旋律》 -サイドボード(15)- |
《大嵐のジン》の登場以降、スタンダードに定着し続ける青単色のアグレッシブなデッキだ。
1~2マナのクリーチャーを展開し、殴る。相手の行動は打ち消すなどしていなす。隙あらばジンを投下し、そのパワーで速やかにゲームを終わらせる……というのがこのデッキの狙い。
一見、安定しているようにも思えるが、クリーチャーや打ち消しを全く引かないなど、ドローが変に偏ってしまうと機能不全に陥る。特に土地。土地ばかり引くとマナの使い道がないので完全に無駄ドローになってしまうのだが、かといって引かなさすぎるとそれはそれでジンが唱えられなかったりパワーが低かったり……という、引きムラに左右されやすい点が弱点だ。どの対戦でも土地、クリーチャー、インスタント呪文をバランスよく引ければ、完全無欠と言っても良いほどの強さで相手に何もさせずに勝ってしまうだろう。
一応、引きムラ問題を解消する手段はあるにはある。《執着的探訪》だ。
1ターン目に回避能力持ちのクリーチャー、2ターン目にこれを貼ってパンチ、という動きがこのデッキの最も理想的な動き。殴っていれば手札が増える。引ける枚数を増やしてしまえば問題解決ってわけだ。この青単を成立させているカードでもあるのだが、これをサーチする手段などはデッキ内になし。初期手札に来るか、トップで引き込むか。それが叶わなかった場合、このデッキで勝つことは難しくなってくる。逆に、きちんと持ってりゃこれほど強いものもない!ってくらいには強力だ。
『ラヴニカの献身』環境においての青単は、前環境のそれと大きく構築が変わったわけではない。ただ、細かい部分が新カードに置き換わってはいる。相手の展開を食い止めていた《本質の散乱》が《本質の把捉》に変わったのは純粋に強化された点。
{U}{U}なんて、《島》のみでマナ基盤が構成されたデッキでは痛くもないからね。相手のクリーチャーを打ち消しながらこちらの打点アップ、ハマれば思わず顔はほころぶ。
このカードとの相性の良さを評価して、最近では《水底の生術師》を少ない枚数採用するのが流行っている。
《本質の把捉》で+1/+1カウンターを置ければ、1枚引いて捨てる。本体は回避能力もなくひ弱だが、この潤滑剤的な働きは悪くない。
同じく新戦力の《プテラマンダー》が加入して、1マナクリーチャーのスロットは大きく入れ替わった。
かつてスタメンだった《霧まといの川守り》は減少傾向にある。「ゴルガリ(スゥルタイ)」などのデッキを相手にした場合、飛行は「ブロックされない」能力と同じようなもので、そして逆にクリーチャーを全く用いない「エスパー・コントロール」などのデッキ相手にはブロックなどそもそもされず、だったら順応能力を持っている分、プテラの方がイカしてる、というわけだ。
実際、このプテラの順応能力は「イゼット・ドレイク」と違ってそう簡単には起動はできない。グダった時に引いて、すかさず2マナ5/5飛行として出せる、という保険的なものと考えるのが良いだろう。なので、飛行が簡単に止められてしまうようなマッチアップ、同型戦などが頻発するようならまた《霧まといの川守り》が優先される可能性はあるね。
環境を読んだうえで上記のようなクリーチャー構成になっているのだが、環境と言えばサイドの《波濤牝馬》も忘れちゃいけない。
このカードも緑のクリーチャーを壁役にする中速デッキが多いからこそ採用されている。それらをすりぬけてダメージを刻み、手札を回転させる。シブいねぇ。これも《本質の把捉》で育てたいものだ。
引き次第ではどうにもできずに負けてしまうこともあるが、噛み合った時はまさしく天下無敵。さあ、記念すべき第1回目のミシックチャンピオンシップにて、この尖ったデッキはぶっちぎりで駆け抜ける姿を見せることができるのか? 乞うご期待!
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