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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ターボ・フォグ(スタンダード)
ワールド・マジック・カップも閉幕し、2018年の世界的なイベントは終了した。
この1年はスタンダード環境に大きな変化が起こり続けていたが、中でも秋からのローテーション後の盛り上がりはすごかった。『ラヴニカのギルド』環境、まだまだ楽しいもんな。これほどまでにデッキの組み甲斐があるセットは、なかなかないのではないかな。
ワールド・マジック・カップでは、チーム共同デッキ構築・スタンダードという形でこの環境の豊潤さを味わうことになった。『ラヴニカのギルド』ではギルド=2色の組み合わせでデッキを組むことが推奨されている。3人チームでカードの被りなしにデッキを3つ用意するのはそう簡単なことではないが、このラヴニカ環境であれば各ギルドをピックアップすればほとんど問題なくデッキを組めるのだ。同じ色が被るにしても、例えばトークン戦略のセレズニア(緑白)と探検主体のゴルガリ(黒緑)ではデッキのベクトルが大きく異なり、メインを構成するパーツがほぼ被らない。
というわけで環境の強いデッキを変形させることなく3つ用意できるこのフォーマットで、多くのチームは2色デッキ3つという編成だったが、2色デッキ2つ・3色デッキ1つというチーム編成で挑んだチームも少なからずあった。
トップ8には2つのデッキが用いなかった、主に青いカードを中心とした3色の、コントロール色の強いデッキを採用したチームが目立った。この環境の3色デッキといえば、すなわちジェスカイ(白青赤)! というわけで優勝国・フランス含む3チームが《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《パルン、ニヴ=ミゼット》というパワーカード擁する「ジェスカイ・コントロール」をチョイスしていた。
のだが、ただ1チーム、オーストラリアだけは赤ではなく緑、白青緑のバントカラーのデッキを持ち込んでいたッッ!
3 《森》 1 《平地》 5 《島》 4 《寺院の庭》 3 《陽花弁の木立ち》 4 《内陸の湾港》 4 《氷河の城砦》 1 《オラーズカの拱門》 -土地(25)- -クリーチャー(0)- |
4 《航路の作成》 4 《根の罠》 3 《アズカンタの探索》 4 《楽園の贈り物》 2 《内省のための小休止》 2 《不快な冷気》 2 《薬術師の眼識》 1 《残骸の漂着》 1 《浄化の輝き》 4 《運命のきずな》 2 《発見 // 発散》 2 《ウルザの後継、カーン》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(35)- |
2 《協約の魂、イマーラ》 4 《秋の騎士》 1 《蔦草牝馬》 3 《呪文貫き》 2 《否認》 2 《不快な冷気》 1 《イクサランの束縛》 -サイドボード(15)- |
この夏にスタンダード環境に現れ、話題をさらった「ターボ・フォグ」。
フォグとは《濃霧》のこと、つまり緑が担当する、クリーチャーが戦闘ダメージを与えられなくなるインスタント全般を指す。これを唱えて相手の攻撃をいなし、プレインズウォーカーでドローなどしつつ、最終的には《運命のきずな》を唱え続けて相手から勝ち目を奪う……
超ロングゲームを狙ったヘビー・コントロールデッキは一部の層のハートをガッチリつかんだが、秋のローテーションで《花粉のもや》を失い、デッキパワーが大幅にダウンした……。
と、多くのプレイヤーは思っていたが、代役として1マナ重いが得られる効果に違いはない《内省のための小休止》が入れ替わりでやってきた。
《根の罠》は健在で、これらで以前と同じ戦略を用いる新生「ターボ・フォグ」はマニアの中で愛されるデッキとして、ほんのり存在感を示し始めていた。
まさかワールド・マジック・カップにて活躍するとは思わなかったが、確かにこのデッキは手札を捨てさせたり打ち消したりといった干渉手段を持たないデッキ相手に、メイン戦ではめっぽう強い。しかもサイド後にフォグを狩りにくる《嘲笑 // 負傷》ももうないので、以前よりも立ち位置は良いかもしれない。この戦績は不思議なものではないということだ。
フォグ呪文の中に《不快な冷気》が含まれている点が以前より進化したポイントか。
パワーの低いクリーチャーを横並べにするデッキが多い中なら、同じコストでダメージを抑えながらドローもできるこのカードの方が働く場面が多いというわけだ。
《楽園の贈り物》でマナを増やしてテフェリーを出して、これらフォグで粘って、あとは《水没遺跡、アズカンタ》から毎ターン《運命のきずな》を見つけられるようになれば、対戦相手には投了以外の選択肢は残っていない(無限に続くターンの中、《ウルザの後継、カーン》が生成するトークンで殴り倒されることになる)。
次期セット『ラヴニカの献身』ではアゾリウス(白青)とシミック(青緑)の新カードがこのデッキに加わることになる。《成長のらせん》はマナを伸ばす優良ドローとして使われるに違いない。
2019年もターボ旋風が吹き荒れるのか? マニアには嬉しい1年になりそうだ。
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