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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

青単アグロ(スタンダード)

岩SHOW

 赤黒によって支配されていたと言ってもいい前スタンダード環境。そんな中、颯爽と現れた《大嵐のジン》を用いた青単色のビートダウンデッキ。

 一見、あまりにも線の細いデッキなのでネタデッキかと思いきや、八十岡翔太や行弘賢といった日本トップレベルのプレイヤーたちもこのデッキをトーナメントに持ち込んでいるし、結果も残している。高いプレイスキルを求められることは間違いないが、地力は高いデッキということだ。

 このデッキはローテーションにより少しだけカードを失った。しかしデッキに致命的な打撃を与えるものではなく、主力を務める《大嵐のジン》らは健在。失ったスロットに収まるカードも既存のセットに含まれていたし、『ラヴニカのギルド』から新戦力も得ている。

 そういうわけで、「青単アグロ」は新環境でも絶賛活躍中だ!

DitrihAntelson - 「青単アグロ」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2018年10月7日)[MO] [ARENA]
21 《

-土地(21)-

4 《霧まといの川守り
4 《セイレーンの嵐鎮め
4 《マーフォークのペテン師
2 《夜帷のスプライト
2 《戦凧の匪賊
4 《大嵐のジン
2 《排斥する魔道士

-クリーチャー(22)-
4 《執着的探訪
2 《潜水
2 《呪文貫き
3 《本質の散乱
2 《航路の作成
4 《魔術師の反駁

-呪文(17)-
2 《歩哨のトーテム像
3 《金剛牝馬
3 《否認
3 《中略
2 《軽蔑的な一撃
2 《睡眠

-サイドボード(15)-

 相変わらずクリーチャーはひょろひょろに見えるが、この小さな連中が案外シャレにならない。基本戦略はクロック・パーミッション。クリーチャーを展開し、相手の行動は打ち消しで防ぐ。長期戦になる前に殴りきることを想定したデッキだ。

 クリーチャーの大部分はパワーが低くても飛行やブロックされないなどの回避能力を持っている。これを活かして、相手のブロッカーを無視して攻撃し続けるのだ。

 このデッキのキーカードは《執着的探訪》だ。

 これでクリーチャーを強化しつつ、攻撃が通ればドローを得て、打ち消しなどの妨害を構え続ける……というのが理想のムーブ。《霧まといの川守り》はこのカードのベストパートナーで、ブロックされない能力を活かしコツコツと着実にダメージを刻みながらカードを補充する。

 ダメージレースで優位に立とうと、より大きなクリーチャーを展開したり、こりゃたまらんと除去を使ってきたら《本質の散乱》《魔術師の反駁》《呪文貫き》で打ち消そう。クリーチャーには《マーフォークのペテン師》《排斥する魔道士》でも対処可能、除去に対しては《セイレーンの嵐鎮め》《潜水》も用いてことごとく弾いてやろう。

 2ターン目からこの動きで優位を保ち続けることで、いわゆる「マウント」を取り続けることが勝利への道だ。

 もちろんこれだけでは守り切れないこともあるし打点が足りないので、他の飛行クリーチャーも展開して攻撃していくことになる。《大嵐のジン》はいきなりパワーが6になったりして、あっという間にゲームを終わらせてくれる頼もしい最終兵器だ。これの連打もこのデッキの勝利への鍵である。

 また、新カード《夜帷のスプライト》にも注目。

 攻撃時に諜報1を行い、これで次のドローの質を高めることができる。《執着的探訪》や《航路の作成》との相性の良さは言うまでもないね。いらないカードは墓地に落として、欲しいものを取りに行こう。これにより、以前よりもチャンス・細い勝ち筋を掴みやすくなったのは間違いない。

 サイドボードには再録カード《軽蔑的な一撃》の姿が。

 このデッキが絶対に唱えられたくない《煤の儀式》《浄化の輝き》《残骸の漂着》といった全体除去や《黎明をもたらす者ライラ》といったダメージレースをひっくり返すカードを1枚でシャットアウトだ。これと《呪文貫き》で重たい呪文に対抗し、単体除去は《潜水》でしのぐなど、かなりプランは立てやすくなったんじゃないか。対「青単アグロ」のサイド後はこの打ち消しの存在を念頭に置いて、まんまと罠にかからないように気を付けたいところ。

 ここまで書いてきたことを踏まえると、大きくパワーアップしたデッキに見えるかもしれないが……やっぱり、このデッキで勝ち切るのは簡単なことではないだろう。呪文のプレイ順、展開か構えるかの見極め、マリガンなどなど……実戦の場で学んで、積み重ねた経験を用いてこそ真の力を発揮できるデッキだ。

 単色で特殊な土地を必要としない分組みやすいため、興味がある人には使ってほしいデッキではある。「このデッキを極めてやる!」という覚悟を持って、さあトーナメントへ繰り出そう!

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