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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
バベル・デプス(レガシー)
むか~しむかし。世界には1つの国しかなく、人々が用いる言語は1つだった。彼らは文明を進歩させ、レンガやアスファルトを用いた高い建築技術を誇った。その能力を用いて天にも届く高い塔を作ろうと、人々は協力して取り掛かった。この行いを人類の挑戦と受け止めた神は、塔を崩して人々を世界中に散り散りにさせ、共通の言葉を奪った。これが今日、世界中の人々が用いる言語にバリエーションがある理由である……という「バベルの塔」の話を聞いたことがあるだろう。天にも届く塔、そのように実現不可能な理論・行動を現代でもバベルの塔と比喩することがある。
マジックにおいても、この無謀とも言える塔の建設に取り掛かった勇者が多数いた。ライブラリーの残り枚数が200枚以上あれば勝利可能な《機知の戦い》。このエンチャントで勝ちたい!という夢を抱く者は『オデッセイ』以降後を絶たない。
その無謀っぷりと、200枚を超すライブラリーがさながら塔のようであることから、このエンチャントを勝利手段にしたデッキは「バベル」と呼ばれる。
今日はそんな「バベル」の最新型、レガシーでの使用例を見てみよう。手間暇かけて見やすくカードを並べ替えて形成したリスト、ぜひ最後まで目を通していただきたい。Are you ready!?
4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《樹木茂る山麓》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《湿地の干潟》 4 《新緑の地下墓地》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 1 《Tundra》 4 《Underground Sea》 4 《Bayou》 4 《Tropical Island》 1 《異臭の池》 3 《闇滑りの岸》 3 《花盛りの湿地》 3 《植物の聖域》 3 《忍び寄るタール坑》 2 《孤立した砂州》 2 《やせた原野》 2 《平穏な茂み》 4 《トレイリア西部》 4 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 1 《カラカス》 1 《ボジューカの沼》 1 《ドライアドの東屋》 4 《不毛の大地》 2 《幽霊街》 2 《古えの墳墓》 3 《暗黒の深部》 3 《演劇の舞台》 1 《島》 1 《冠雪の島》 1 《沼》 2 《冠雪の沼》 1 《森》 2 《冠雪の森》 -土地(101)- 1 《森を護る者》 4 《悪意の大梟》 4 《闇の腹心》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《瞬唱の魔道士》 3 《吸血鬼の呪詛術士》 1 《漁る軟泥》 3 《トレストの使者、レオヴォルド》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《永遠の証人》 1 《不屈の追跡者》 1 《再利用の賢者》 1 《原始のタイタン》 -クリーチャー(31)- |
4 《水蓮の花びら》 4 《モックス・ダイアモンド》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《定業》 4 《血清の幻視》 4 《狼狽の嵐》 4 《思考囲い》 4 《強迫》 2 《トーラックへの賛歌》 4 《突然の衰微》 3 《大渦の脈動》 2 《破滅的な行為》 1 《仕組まれた爆薬》 4 《致命的な一押し》 3 《悪魔の布告》 4 《毒の濁流》 4 《緑の太陽の頂点》 4 《直観》 4 《北方行》 4 《森の占術》 4 《輪作》 4 《探検の地図》 4 《生ける願い》 4 《壌土からの生命》 4 《アズカンタの探索》 4 《森の知恵》 4 《ヴェールのリリアナ》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 4 《機知の戦い》 -呪文(110)- |
1 《暗黒の深部》 1 《演劇の舞台》 1 《吸血鬼の呪詛術士》 1 《カラカス》 1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 1 《イクスリッドの看守》 1 《漁る軟泥》 1 《再利用の賢者》 1 《森を護る者》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《アンデッドの大臣、シディシ》 3 《トーモッドの墓所》 1 《Zuran Orb》 -サイドボード(15)- |
土地101枚って(笑)。物量の暴力に圧倒されそうだが、冷静にこのリストを読み解くとこのデッキのしたいことが分かる。
多くの「バベル」はコントロールデッキのフィニッシャーの1つとして《機知の戦い》を採用していたが、このデッキはそれらとは全く趣が異なる。ただでさえ異端のバベル界でもことさら異端、大異端のコンボデッキベースだ。
このコラムでもたびたび取り上げる「ターボ・デプス」がそのベースになっている。《暗黒の深部》から20/20飛行・破壊不能の破壊神を呼び起こすために《吸血鬼の呪詛術士》で氷カウンターを0個にする・《演劇の舞台》でコピーして氷カウンターが乗っていない《暗黒の深部》を用意する、このいずれかの方法を高速で決めるスピード重視のコンボデッキだ。
このデッキを、採用カードを4倍にして《機知の戦い》という勝ち手段も搭載した……深部から塔という落差のあるフレイバーも面白い、実にパンチの効いたデッキに仕上がっている。
しかしまあコンセプトは分かっても、果たして本当にデッキが機能するのか? と疑問に思ってしまうのは、言葉は違っても世界中の皆の共通の感想じゃないかな。ここで、以前に当コラムで紹介したリストと比較してみたいと思う。
普通の60枚デッキの場合、コンボパーツである《暗黒の深部》および《演劇の舞台》は枚数が合計8枚、それに加えて土地サーチカードが《北方行》《輪作》《森の占術》で合計9枚。そこにもう1つのコンボパーツである《吸血鬼の呪詛術士》が4枚加わり、あわせて21枚のカードでコンボパーツが狙えるようになっている。
では、このバベルスタイルのデッキはどうかというと……まず《暗黒の深部》《演劇の舞台》が3枚ずつ。《吸血鬼の呪詛術士》も同じく3枚だ。なぜそんな枚数なのか? これはそれぞれ4枚目を《生ける願い》でサーチできるようにサイドボードに置いているからだ。
てなわけでまずこれらが合計13枚。そして通常の「ターボ・デプス」と同じく《北方行》《輪作》《森の占術》を採用し、これらを4枚ずつ。これに加えて《探検の地図》も4枚加わり、これで合計29枚。でもまだまだこんなもんじゃない、土地は0マナであり《トレイリア西部》の変成能力でサーチ可能!4枚追加! さらに、このデッキではバベル化することで青が足され、となると《直観》で深部&舞台+《壌土からの生命》をサーチすることで対戦相手がどのカードを選ぼうともコンボが揃う!4枚追加だ! これで計37枚。
これに加えて青を足したことで使用可能となった1マナドロー呪文が4種16枚あったり、《アズカンタの探索》《森の知恵》で探しに行ったり、インスタント&ソーサリーを《瞬唱の魔道士》で使いまわせば……膨大なライブラリーからでもコンボ―パーツをかき集めることができる! ライブラリーが4倍分厚ければ、探しに行けるカードを4倍にしてやれば良いというパワフルな考え方に拍手。一体合計何枚かもうカウントしていないが、《原始のタイタン》まで入っているなんてもう最高じゃないかということで許してほしい。
ライブラリーが分厚くなれば、元のデッキが採用できなかったカードをメインに投入できるというメリットもある。《突然の衰微》に始まる各種パーマネント破壊カードが、《罠の橋》などで耐えようとするプランを打ち砕いてくれるだろう。
これらパーマネント破壊カード+《機知の戦い》が、本来デプスコンボがメインから勝ちにくかった相手への相性を改善してくれていると考えると……ただのネタデッキではない、のかもしれない。いやもうわからんわ。これでMagic Online競技リーグで5戦全勝とかされると、もうわからんよ。愛こそすべて。
「バベル」は使って楽しいデッキだが、注意すべき点もある。僕も何度か対戦したことがあるのだが、とにかくシャッフルが大変(笑)。このリストの場合はサーチカードも上述の通りてんこもりなので、その都度シャッフルして相手にもシャッフルしてもらう必要がある。骨が折れるし、うっかり崩してしまいかねないので注意。僕が過去対戦した方々も、つるつるのスリーブに入れてきて自分でライブラリーを滑らせてしまい、完全崩壊させてジャッジを呼ぶってことが何度かあったなぁ……(笑)。
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