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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

デス・ドメイン(モダン)

岩SHOW

 勝ちたければ貪欲になろう。我儘を押し通すことこそ強さだ。

 マジックの強いデッキの多くは、そりゃもう我儘、大ワガママだ。特にモダンはその傾向が強い。どいつもこいつも、自分の主張を押し付けて他を圧倒したがる芯の強いデッキばかりだ。そもそも《解放された者、カーン》を3ターン目に出したいとか、《燃え立つ調査》で都合よく《虚ろな者》だけを手札に残したいなんて、そんな無茶なって話だ。でもそんなヤツらこそが環境の覇者なのだ。

 今日紹介するデッキが主張するのは……「相手にダメージを与えつつ、リソースも奪いたい」。おいおい、そんな無理を言うんじゃない…と言いたいところだが、これを叶えてくれる素敵な1枚がある。《荒廃稲妻》だ。

 かつてスタンダード環境で「ジャンド」旋風が巻き起こった。このデッキが備えた《血編み髪のエルフ》の続唱で《荒廃稲妻》をめくるという動きは、そりゃあもう相手にとっての悪夢だった。3/2速攻と本体ダメージに加えて、手札を2枚捨てさせられる……これがたった4マナなんて!

 「ジャンド」でのこの動きのみならず、《荒廃稲妻》は赤単タッチ黒のバーンデッキを成立させもした。3点という無視できないダメージと、手札2枚の痛い損失。改めて見てみると、この呪文のスペックの高さに驚かされる。

 今日はこれを武器に、他にも随分と貪欲な構築を試みたド派手なデッキを紹介しよう!

TYHENDO - 「デス・ドメイン」
Magic Online Competitive Modern Constructed League 5勝0敗 / モダン (2018年8月23日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《
1 《血の墓所
1 《聖なる鋳造所
1 《湿った墓
1 《繁殖池
1 《神無き祭殿
1 《寺院の庭
3 《沸騰する小湖
4 《乾燥台地
4 《樹木茂る山麓
3 《湿地の干潟
-土地(22)-

4 《死の影
4 《タルモゴイフ
4 《カマキリの乗り手
3 《血編み髪のエルフ
4 《通りの悪霊
-クリーチャー(19)-
4 《稲妻
4 《思考囲い
3 《コジレックの審問
4 《部族の炎
4 《荒廃稲妻
-呪文(19)-
2 《大爆発の魔道士
4 《呪文貫き
3 《未練ある魂
4 《虚空の力線
2 《摩耗 // 損耗
-サイドボード(15)-
 

 5色で、モダン環境の優秀なクリーチャーがあれもこれもと詰め込まれている。《タルモゴイフ》《カマキリの乗り手》《死の影》って、1色も被ってないヤツらばっかり!

 この貪欲すぎるリストの原型となっているのは「ドメインZoo」なるデッキ。「Zoo」とは、赤緑白の軽量クリーチャーと火力呪文で詰めていくビートダウンデッキで、猿やライオンなど動物盛りだくさんだったことからこう呼ばれている(悲しいことに近頃はほとんど動物がいない)。ドメインというのは「版図」能力のこと。自身がコントロールしている基本土地タイプの数を参照するカードを指し、「ドメインZoo」というのは、一般的には《部族の炎》入りの5色ビートダウンを指す。

 このデッキはその「ドメインZoo」を下敷きに、《死の影》デッキのコンセプトを乗っけている。手札破壊で相手のやりたいことをさせず、各種土地と《通りの悪霊》で自身のライフを削り、《死の影》を早いターンに戦場に繰り出して殴る。これとともに、手札破壊デッキではサイズが期待できる《タルモゴイフ》、3マナ3/3速攻・飛行・警戒と素晴らしいスペックの《カマキリの乗り手》、そして先述の《荒廃稲妻》との相性抜群の《血編み髪のエルフ》らで攻めまくる!

 これらが除去されてしまっても、残り数点のライフは火力呪文が削ってくれる。そんなアグレッシブな早期決着狙いのデッキに仕上がっている。

 手札破壊とライフ攻め、同時進行で両方やらなくちゃならないのが辛いところだったりするのだが、《荒廃稲妻》がその点を見事にカバーしてくれているのが素晴らしい。このカードを今、2018年に使用するという発想も素晴らしいし、これを《死の影》を使った5色デッキで使おうというセンスにも拍手だ。

 普通じゃない、貪欲すぎるデッキを使いたいときや、《荒廃稲妻》で育った世代にオススメ! あんまりそういう機会はないかもしれないが、これでプレインズウォーカーを焼き払いつつ手札をぶっこ抜いた時の爽快感は、筆舌に尽くしがたいよ!

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