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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

小鬼のお通りだ!~帰ってきたゴブリンデッキ~(レガシー)

岩SHOW

 2016年5月のこと。かつての方式で配布されていたフライデー・ナイト・マジックのプロモーションカードにある異変が起こった。その月のプロモは《ゴブリンの戦長》になった……スタンダードとまったく関係のない、エターナルでしか使用できないカードが。これまではスタンダード環境のコモン or アンコモンが選ばれるのが習わしだったので、このカードがひょっこりと姿を現したときは「なんで今これが?」とちょっと話題になったものである。

 それから約2年、2018年4月に発売された『ドミナリア』で戦長は再録された。まさかあのプロモが伏線だったのか?

 この『ドミナリア』と続く『基本セット2019』ではゴブリンの部族シナジーを持ったカードがいくつか収録され、ここから先のセット次第ではゴブリンが再びスタンダードで暴れることになりそうな予感だ。《ゴブリンの鎖回し》もいるしね!

 スタンダードではまだ巣穴から姿を現してきたぐらいではあるが、レガシーでは久しぶりに表に出てきて暴れている。それもこれも、《死儀礼のシャーマン》がいなくなったのが大きいだろう。ゴブリン・デッキのキーは《ゴブリンの従僕》で、1ターン目に出したこれの攻撃を通して2ターン目から《包囲攻撃の司令官》で初っ端にクライマックスを迎えたり、《ゴブリンの戦長》を出して手札を高速展開したりという動きが強いのだが……返しに死儀礼という1/2を出されるだけで従僕がもじもじしてしまう羽目になっていた。もうそんな心配はなく、従僕からの超展開を決めやすくなった。これによりゴブリン・デッキが息を吹き返し、使用者が増えてきている。

 宿敵がいなくなっただけでなく、最新戦力も得たゴブリン・デッキのリストを見てみようじゃないか!

l337erhosen - 「ゴブリン」
Magic Online Competitive Legacy Constructed League 5勝0敗 / レガシー (2018年7月27日)[MO] [ARENA]
11 《
4 《魂の洞窟
4 《リシャーダの港
4 《不毛の大地
-土地(23)-

4 《ゴブリンの従僕
4 《ゴブリンの群衆追い
2 《モグの戦争司令官
1 《棘鞭使い
4 《宝石の手の焼却者
4 《ゴブリンの女看守
4 《ゴブリンの戦長
1 《ゴブリンの鎖回し
1 《ゴブリンの名手
4 《ゴブリンの首謀者
1 《ゴブリンの損壊名手
1 《群衆の親分、クレンコ
1 《包囲攻撃の司令官
-クリーチャー(32)-
4 《霊気の薬瓶
1 《タール火
-呪文(5)-
1 《ゴブリンの損壊名手
4 《大祖始の遺産
2 《灰からの再興
3 《紅蓮操作
4 《虚空の力線
1 《精神壊しの罠
-サイドボード(15)-
 

 一時期は《スレイベンの守護者、サリア》を招き入れた形が主流になったりもしていたが、やはりゴブリンは赤単に限るね! このデッキは部族ビートダウンになるのだが、ただただクリーチャーを展開するだけのデッキではない。自分は先にも登場した《ゴブリンの従僕》と《ゴブリンの戦長》、それに《霊気の薬瓶》を用いてマナを軽減させたり、そもそも支払いを無視してクリーチャーを展開する。一方、対戦相手に対しては《不毛の大地》と《リシャーダの港》でマナを自由に使わせない。こうして互いの展開力に格差をつけて、手数の差をつけてゲームを制することを狙ったデッキだ。

 ゲーム展開を左右するのは上述のカードに加えて、アドバンテージ&サーチを担う《ゴブリンの首謀者》《ゴブリンの女看守》だ。従僕 or 薬瓶からマナ踏み倒しでプレイできれば、これほどヤバいカードもない。

 首謀者は最大で4枚ドロー! 切れ目のない展開を支える、ゴブリンデッキでも最も恐れられているカードの1つだ。《魂の洞窟》から唱えるのは、一部の青いデッキにとってはこの上ない地獄の光景にも映るだろう。

 見た目の派手な首謀者のヤバさに勝る静かな危険性を秘めているのは女看守の方。ゴブリンなら何でもサーチできる、この万能さは、初見で抱いたイメージを大きく上回ってくるはずだ。対戦相手のクリーチャーを除去したい・一時的に戦場から排除したい、単体ではなく大量のトークンに対処したい、アーティファクトに対処したい、横並べで頭数を増やしたい、手札を補充したい……これらの欲望はこれ1枚あればだいたい叶えられる。それもこれも、多数の次元に存在し、さまざまなバリエーションがデザインされているゴブリンだからこそできる芸当だ。サーチできるから、この手のデッキには《タール火》が採用されていたりするのだ。

 この2018年には《ゴブリンの鎖回し》《ゴブリンの損壊名手》という素晴らしいカードを得ている。

 鎖回しはストーム系のデッキが《巣穴からの総出》から大量のトークンを展開してきたり、エルフ・デッキに対してズバッと刺さる。先輩である《ゴブリンの名手》と使い分け、組み合わせることによって、さまざまな局面に対応できるようになったのは大きい。

 損壊名手はアーティファクト・デッキに対して劇的に効果がある。これまで採用されていた《タクタクの潰し屋》と違って複数のアーティファクトに対処できる点が素晴らしく、また先に出しておいて牽制にもなり、かつ自軍のゴブリンを強化する。文句なしの性能だ!

 流れは良い、追い風が吹いている。ここからゴブリンが崖を転がり落ちてどこまでレガシー環境で存在感を示すのかが楽しみだ。対戦経験が薄いプレイヤーは、とにかく思いがけないカードが強烈な働きをしている点に気を付けてほしい。例えば最強ブロッカーの《真の名の宿敵》を出して安心しているところを《ゴブリンの群衆追い》にすり抜けられて大ダメージを受けて負け……という光景はこれから見られそうだね(笑)。

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