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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

黒赤リアニメイト(レガシー)

岩SHOW

 7月6日(Magic Onlineでは5日)、《死儀礼のシャーマン》がレガシーにおいて禁止カードとなった。長きに渡って、お疲れさまでしたと言ってやりたい。で、これにマナ基盤などを頼っていたデッキは弱体化どころか退場とまでなってしまうわけで……レガシー環境勢力図は大きく塗り替わることに。

 コンボデッキ側もまた、究極の安全確認《ギタクシア派の調査》を同じく禁止で失った。これで『新たなるファイレクシア』以前の、読み合いが重要なレガシーの妙味が蘇ることになった。これまでのように相手の手札は自分にとって都合がいいか悪いかを把握した上で、安全圏なタイミングでゴリゴリ押し付けるという戦術がとれなくなったので……手札破壊なり打ち消しなりのバックアップが前環境以上に必要になってくる。

 今回のコラムは禁止改定が実行される直前に書いているので、実際にこの環境がどうなるかはわからないが……《ギタクシア派の調査》にそもそも頼っておらず、《死儀礼のシャーマン》が消えたことで多少楽になる、でもそれで、かえってサイド後にはしっかり用意された対策カードとの戦いが避けられなくなった……そんなコンボデッキを紹介したいと思う。黒赤のリアニメイト・コンボだ!

Curtis Evans - 「黒赤リアニメイト」
StarCityGames.com Classic Atlanta 14位 / レガシー (2018年7月1日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
2 《Badlands
1 《Bayou
4 《血染めのぬかるみ
2 《湿地の干潟
1 《汚染された三角州
1 《新緑の地下墓地
-土地(14)-

1 《狂気の種父
4 《別館の大長
1 《大修道士、エリシュ・ノーン
4 《グリセルブランド
-クリーチャー(10)-
4 《水蓮の花びら
4 《暗黒の儀式
4 《納墓
4 《信仰無き物あさり
2 《思考囲い
4 《再活性
4 《動く死体
4 《死体発掘
2 《集団的蛮行
4 《暴露
-呪文(36)-
1 《月の大魔術師
1 《墓所のタイタン
1 《灰燼の乗り手
1 《潮吹きの暴君
1 《魅力的な執政官
1 《墨溜まりのリバイアサン
1 《エメリアの盾、イオナ
1 《真髄の針
3 《突然の衰微
4 《恭しき沈黙
-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)
 

 デカくて強いクリーチャーを埋めて、釣り上げて勝利する。その際に重視しているのは、何よりも速度! 1ターン目で勝負を決める、その覚悟がこのデッキにはある。

 かつてのリアニメイト・コンボと言えば黒に青を足して《意志の力》《目くらまし》で打ち消し合戦を制して押し通すというスタイルだった。ここ2年ほどでその戦略はマイナーなものになり、リアニメイトデッキといえば黒赤で強引にぶっ放すものとなった。

 とはいえ赤い要素はとても薄く、洗練されたリストでは《信仰無き物あさり》ぐらい。

 まあ、クリーチャーを埋めながら釣り上げる呪文と妨害手段を探してくる、1枚で二役分の働きをし、しかもいざという時にはフラッシュバックでリカバリーも図れる……という使い勝手の良さが、青をパートナーにするよりも勝ったってことだね。

 この物あさりと《納墓》、そして《集団的蛮行》のコストで捨てるなどして《グリセルブランド》を始めとする、強烈なクリーチャーたちを墓地に落とす。そしてそれを《再活性》《動く死体》《死体発掘》で釣り上げる。あとはそのままクリーチャーのパワーを活かして圧倒する……

 このシンプルなコンボを《水蓮の花びら》《暗黒の儀式》で加速し、何がなんでも早いターンに決めるぞという極端な前傾姿勢でゲームを開始するデッキである。その速さは環境随一とも言われている。

 で、ただこれらをすべて注いで開幕コンボだ!と動くと、《意志の力》なんかで邪魔されてしまうので、これを手札破壊でサポートして無理やり通そうというのが「黒赤リアニメイト」の流儀。定番の《思考囲い》に先にも触れた《集団的蛮行》(これは死儀礼も除去できた)も頼りになるが、このリストが最も重要視しているのは《暴露》である。

 手札にダブった《暗黒の儀式》や《グリセルブランド》などどうせ1枚しか使わないのだから、このカードをマナを払わず唱えるコストに充ててしまおうというわけだ。能動的に使える黒い《意志の力》とでも呼ぶべきこのカードがあれば、ただ覗き見るだけの《ギタクシア派の調査》なんていらないわけだ。

 まあ調査は《陰謀団式療法》との組み合わせで相手の手札をズタズタにできるが、このデッキは《狂気の種父》でそもそも全部捨てさせることができるので関係ない、というお話。先手1ターン目に種父が降臨してしまえば、どんなデッキを使っていようが絶句するしかない(「ドレッジ」以外の話ね)。

 これら手札破壊と《別館の大長》のゲーム開始時に誘発する能力が組み合わされば、理論上どんなデッキ相手にだって勝てる。もちろん、そんな都合のいい手札が毎回来るわけではないが……来たら勝てる、ということが大事なのだ。ノっている時は勝ち続けられる、中途半端じゃないからこその魅力がこのデッキにはある。

 で、冒頭でも触れた通り、環境の変化はこのデッキにとっては大いにチャンス!でもあり……サイドボード後は大ピンチの可能性もある。何せ、ご覧の通り前環境そのままのリストで戦える。そんなヤツは目の敵にされるに決まっているのだ。ありとあらゆるデッキが、墓地対策カードをしっかりとサイドボードに仕込んでくることだろう。

 それらを乗り越えて勝つことができるのか?というのが問題点だが……このリストのサイドにおいて特徴的なカ-ドが、答えになるかもしれない。《突然の衰微》以外にパーマネントに触れる手段として採用されているのは《恭しき沈黙》。

 黒が最も苦手とするエンチャントの破壊手段であり、《Bayou》をコントロールしていればマナを払わず、代わりに相手を回復させることで唱えることができる。これで《虚空の力線》に対処できるというわけ。ゲーム開始時に2枚出されてしまっても、1枚で対処できる点が素晴らしい。

 《月の大魔術師》の採用も面白い。

 自分はさして被害を受けず、対戦相手の土地を封じて行動不能にしてしまう。釣っても良いし、3マナなので普通に唱えるのも無理がない。これと《墓所のタイタン》のような、いざとなれば普通に唱えて勝ちに行けるカード、というのが今後は鍵になってくるのかもしれない。

 弱点が明確であるからこそ、そこを突かれた時の対処法を考えるのもそれほど難しいことじゃない。今後のレガシーで今よりも一歩進んだ最強に近い存在となるか、あるいは……プロツアーやグランプリも控えているレガシー、今年もまだまだ楽しめそうだ!

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