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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

食物連鎖(レガシー)

岩SHOW

 レガシーをやっていると最も出くわす光景が「1ターン目《死儀礼のシャーマン》」であることは疑いようもない。

 最強1マナ圏として、彼は今日も世界のどこかしこで1ターン目から対処を迫っている。すぐ処理できなかったら2ターン目から好きなように動かれてしまう。これまで1マナのマナ・クリーチャーは緑の特権だったのに、それが黒にももたらされたことでマジックの常識は大きく変わってしまった。まあ、今日ではもはやそれが常識か。

 では、死儀礼を繰り出してくるデッキは環境にどのくらいあるのだろうか? まず現レガシーの最大勢力「グリクシス・デルバー」、次いで多い「4色コントロール」、それから伝統の「エルフ」。あとは緑と黒が絡んだクリーチャーが採用されているデッキの大半……つまりむっちゃ多いってことだ。死儀礼だけを見て「おっ、○○か」と相手のデッキを断定してプレイするのは危ないってことだね。

 他にヒントになるものは土地だが、《Underground Sea》から唱えられても選択肢は多数ある。まあ「グリクシス・デルバー」か「4色コントロール」だろうと高を括ると、その正体はこんなデッキだったりするかもしれない……。

Cosmo Kwok - 「食物連鎖」
StarCityGames.com Legacy Classic at #SCGCON 4位 / (2018年6月10日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
1 《
2 《Underground Sea
2 《Tropical Island
1 《Bayou
4 《汚染された三角州
2 《霧深い雨林
4 《新緑の地下墓地
1 《宝石の洞窟
-土地(20)-

4 《死儀礼のシャーマン
4 《悪意の大梟
2 《断片無き工作員
1 《呪文探求者
1 《永遠の災い魔
1 《トレストの使者、レオヴォルド
3 《霧虚ろのグリフィン
1 《人質取り
1 《潮吹きの暴君
1 《墓忍び
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール
-クリーチャー(20)-
4 《渦まく知識
1 《ウルヴェンワルド横断
3 《突然の衰微
3 《運命の操作
4 《食物連鎖
4 《意志の力
1 《残忍な切断
-呪文(20)-
1 《ヴェンディリオン三人衆
2 《外科的摘出
2 《狼狽の嵐
2 《真髄の針
2 《思考囲い
1 《墓掘りの檻
2 《集団的蛮行
1 《仕組まれた疫病
1 《毒の濁流
1 《最後の望み、リリアナ
-サイドボード(15)-
StarCutyGames.com より引用)
 

 このコラムでも以前に取り上げたことがある、「食物連鎖」デッキを久しぶりにご紹介だ。

 このデッキの狙いは、無限にマナを生み出すこと。《食物連鎖》というエンチャントは、自身のクリーチャーを追放してそのクリーチャーの点数で見たマナ・コスト+1点分の好きな色マナを得ることができるという能力を持つ。このマナはクリーチャーを唱えることにしか使用できず、まさしく追放されたクリーチャーを餌により大きなクリーチャーが唱えられるという自然界の食物連鎖の様子を体現している。

 通常は次のクリーチャーが唱えられてそこでオシマイだが、一部のクリーチャーは自然の在り方を歪めてしまう。

 《永遠の災い魔》《霧虚ろのグリフィン》は追放領域から唱えることができるクリーチャーで、これらを追放して4~5マナを得たら、追放されたそれを再度唱えて追放、以下好きなだけ繰り返して欲しいだけのマナを得ることができる。ここから大体は《引き裂かれし永劫、エムラクール》を唱えてジ・エンドとなる。このデッキではもう1つの勝ち手段として《潮吹きの暴君》も採用。これを出してグリフィンらを何度も何度もグルグル唱えることで、相手のパーマネントを完封してしまえる。

 キーとなる《食物連鎖》を唱える際に、あるいはこのプランがうまくいかなかった時は《死儀礼のシャーマン》《トレストの使者、レオヴォルド》なんかで普通に勝ちに行くこともできるのが魅力である。《墓忍び》が採用されているのもそういう狙いである。

 『ドミナリア』が出た際には《不死身、スクイー》もこのコンボに組み込むことができると少々話題にはなったが、無色であり運用しやすい《永遠の災い魔》や、青いため《意志の力》のコストとなる《霧虚ろのグリフィン》には及ばないということで新戦力とまではならなかった。

 だがまさかその後、梅雨の時期に新戦力を得ることになろうとは。それは『バトルボンド』で初登場した《呪文探求者》だ。

 このカードは《食物連鎖》コンボと絶妙にマッチしている。無限マナを担う2種のクリーチャーをライブラリーから追放する《運命の操作》、コンボの終着駅である大型クリーチャーに繋げるための《ウルヴェンワルド横断》をサーチすることができる。状況によっては《渦まく知識》や《突然の衰微》、サイドインした《外科的摘出》《狼狽の嵐》などをサーチすることもでき、大変に便利なクリーチャーとして活躍してくれるだろう。

 このデッキに限らず《呪文探究者》を実験的に採用したコンボ寄りのデッキは今後増えることだろう。双頭巨人をプレイすることはないな……と思っていた君も今一度『バトルボンド』の内容を見返してみよう! 思わぬ発見があるかもしれないし、気が付けば双頭巨人戦が遊びたくてしょうがなくなったりしてね。

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