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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

赤単ケルド(スタンダード)

岩SHOW

 赤という色の万能さときたらね。ここ1年、スタンダード環境では赤いデッキが中心的な存在となっている。

 赤はクリーチャーの質が素晴らしい。《ボーマットの急使》《損魂魔道士》と優秀なトップバッターから始まり、2マナ圏でも《地揺すりのケンラ》《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》とアグレッシブな面々が揃う。

 まあこれぐらいは昔の環境でもあったことだが、最近の赤はここからがスゴイ。選択肢がもう豊富すぎる。ガンガンいこうぜなデッキであれば《アン一門の壊し屋》は最高の選択肢となる。でも今、一躍スタンダードの顔となっているのは《ゴブリンの鎖回し》、コイツで対戦相手のクリーチャーを薙ぎ払うのがスタンダードの基本ムーブ。その上には《熱烈の神ハゾレト》《再燃するフェニックス》《栄光をもたらすもの》とすっかりお馴染みとなった現スタンダードのスーパースターたちが控えている。

 クリーチャー以外にも《反逆の先導者、チャンドラ》もあり、パワーカードと言えば赤、そんな状況にある。これらのカードを用いるために今の赤単やそれに近いデッキは土地の枚数が多めで、中速寄りのデッキも増えている。

 赤単好きからすれば願ってもないシーズンの真っただ中というところだが……一方で、ちょっと寂しかったりもしないかい? 赤いデッキと言えば、昔は不器用極まるものが主流だった。軽いクリーチャーばかりで構成され、土地も20枚以下、とにかく速く相手を倒す。もし削り切れずに向こうの体制が整えば……しゃーない、次行こうぜってなね。

 荒武者のような赤単ではなくなってしまったのか、赤はすっかりスマートになってしまったのか…と嘆く方もいらっしゃるかもしれない。大丈夫、ご安心を! 脳みそ筋肉系の突っ込むことしか考えていない、スピード狂の赤単もまだ存在するのだ。そして、つい先日グランプリトップ8入賞というデカい花火も打ち上げちゃったんだ!

Joakim Stahle-Nilsson - 「赤単ケルド」
グランプリ・コペンハーゲン2018 5位 / スタンダード (2018年6月9~10日)[MO]
18 《
2 《屍肉あさりの地
-土地(20)-

4 《ボーマットの急使
4 《狂信的扇動者
4 《ギトゥの溶岩走り
4 《損魂魔道士
4 《地揺すりのケンラ
3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
2 《アン一門の壊し屋
-クリーチャー(25)-
4 《ショック
4 《稲妻の一撃
3 《ケルドの炎
4 《魔術師の稲妻
-呪文(15)-
1 《不死身、スクイー
2 《チャンドラの敗北
2 《マグマのしぶき
4 《削剥
2 《カーリ・ゼヴの巧技
2 《霊気圏の収集艇
2 《反逆の先導者、チャンドラ
-サイドボード(15)-
 

 《ケルドの炎》! 英雄譚の中でも異色の、Ⅰ章能力が手札をすべて捨てるというとんでもないデメリットから入るこの1枚。このデメリットが痛すぎて、普通のデッキで使えるようなカードではない。

 でも軽いカードを連打する赤にはうってつけだ。手札が空の時にプレイすればデメリットは無し! 軽いクリーチャーなんかは序盤を逃すと殴りにいけなくなるし、土地は3枚もあれば十分。これらを手札に持っていてもどうにもならないから捨てることに躊躇せず済む、そんなゲーム展開もあるだろう。

 さて、捨てるだけではただ損するだけのカード。《ケルドの炎》のⅡ章能力ではその失ったアドバンテージを補填すべく、カードを2枚引くことができる。上述のようにダダダッと手札を吐き出した後にこれを唱えれば、遅れてやってくる2枚ドローとして純粋に得することができる。その場で即手札が手に入らないのも、黒が相手だと手札破壊が効かないなどの良い方向に作用することもある。とにかく開幕ダッシュの猛ラッシュを息切れしないように続けさせるエンチャントだ。

 でも、引いたところで、これまた先に触れたような軽いクリーチャーばっかりだったらあんまり効果がないのでは? と思われるかもしれない。それを解決するのがⅢ章能力だ。相手がタフネス4以上を出してくるとピタッと止まりがちな赤単だが、Ⅲ章能力で赤い発生源が与えるダメージに2点上乗せしてやれば……パワー2でも相討ちがとれるようになり、また脇をすり抜けたものが致命的なダメージを叩き込んでくれるだろう。Ⅱ章能力で引き込んだ火力呪文にもダメージボーナスがつくので、これらを対戦相手本体に投げつけて電光石火の勝利を目指すべし!

 普通の赤単の定番《ショック》《稲妻の一撃》に加えて、《削剥》ではなく《魔術師の稲妻》を採用しているのはこのため。で、これを1マナで唱えるために《損魂魔道士》のみならず《ギトゥの溶岩走り》も採用しウィザードの数を増やしている。ベストパフォーマンスで1マナ5点火力!う~ん、これは狙いたい!

 プレイングはとにかく止まらず、手札を吐き出していくことを優先するので簡単ではあるが、だからこそこのデッキで勝ち続けるのは容易なことではない。ワンミスが命取り、何せ手札が空っぽになってしまうときもあるからね。でも、あえて少し損をしてでも先のことを考えて《ケルドの炎》をプレイしなければならない局面もあるだろう。幸い1ゲームが短いので、同じ1時間でもプレイできるゲームの数は段違い。何度も何度も回して、このカードのみが与えてくれる快楽を突き詰めてみるのも楽しいぞ! 普通のデッキに戻れなくなるかも?

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