READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

プロツアー『ドミナリア』直前のおさらい その1(スタンダード)

岩SHOW

 ワオ!明日深夜からプロツアー『ドミナリア』じゃんか! ちょっとちょっと、準備はできてる? コーラ、コーヒー、エナジードリンク……大人はお酒もいいね。深夜につまむもの、スナック菓子やスルメなんかを……夜中に飲み食いして良いのかって? プロツアーだもん許される! たった1人のチャンピオンを目指して世界中のプレイヤーが火花を散らす熱戦を見届けるんだ、熱気で燃焼されてノーカロリー!

 夜を戦い抜くお供を手に入れたら、次は環境把握だ。まっさらな状態で観るプロツアーも良い。どんなデッキが飛び出すかワクワクするからね。ただ今回は、『ドミナリア』発売から1か月経過している。すなわち、環境の研究はある程度進んでいる状態ってわけで……そんな中、強豪たちがどのデッキを選択したのか、あるいはまったく新しいものを作り上げたのかを見届けるのも醍醐味だ。

 そんなわけで、今日&明日の当コラムはスタンダードの強力デッキのおさらいだ。今一度、環境に君臨するデッキを振り返ってみよう。

 
赤黒機体
Simon Nielsen - 「赤黒機体」
グランプリ・バーミンガム2018(スタンダード) 優勝 / スタンダード (2018年5月12~13日)[MO] [ARENA]
11 《
1 《
4 《泥濘の峡谷
4 《竜髑髏の山頂
2 《燃え殻の痩せ地
2 《産業の塔
1 《霊気拠点
-土地(25)-

3 《損魂魔道士
4 《屑鉄場のたかり屋
4 《ゴブリンの鎖回し
2 《ピア・ナラー
2 《再燃するフェニックス
2 《栄光をもたらすもの
2 《歩行バリスタ
-クリーチャー(19)-
2 《マグマのしぶき
4 《削剥
3 《無許可の分解
3 《キランの真意号
2 《反逆の先導者、チャンドラ
2 《ウルザの後継、カーン
-呪文(16)-
1 《栄光をもたらすもの
3 《強迫
2 《チャンドラの敗北
1 《大災厄
1 《焦熱の連続砲撃
1 《無情な略奪
1 《ヴラスカの侮辱
1 《木端 // 微塵
1 《グレムリン解放
1 《反逆の先導者、チャンドラ
1 《ウルザの後継、カーン
1 《炎鎖のアングラス
-サイドボード(15)-
 

 グランプリ・バーミンガム2018(スタンダード)における上位進出数が圧倒的に多く、環境の王者的なデッキと目される「赤黒機体」。赤のアグレッシブなカードに《屑鉄場のたかり屋》《無許可の分解》と黒いカードをほんのり足したデッキで、《キランの真意号》を用いることからこう呼ばれる。

 以前にもまとめたように、1ターン目からガンガン攻めるタイプなのか、1マナ圏不採用でどっしり目に戦うのかで、同じアーキタイプでも派閥は分かれる。《再燃するフェニックス》《栄光をもたらすもの》と純粋なカードパワーで押し勝つことができるデッキなので、プロツアーでも使用者は多くなることは間違いないが、どのような構成のものが優秀成績を収めるのか、そこが注目ポイント。

 グランプリやそれ以下の規模のトーナメントには独創的なデッキを持ち込むプレイヤーも少なくない。《無許可の分解》などでそれらを蹴散らすことができる安定感が赤黒の魅力であるが、より洗練されたプロツアーという環境では果たしてどうか。2日目進出率を見るのも今から楽しみである。

 
白黒機体
Tirentu - 「白黒機体」
Magic Online Standard PTQ #11364533 優勝 / スタンダード (2018年5月12日)[MO] [ARENA]
9 《平地
3 《
4 《秘密の中庭
4 《孤立した礼拝堂
4 《イフニルの死界
-土地(24)-

4 《模範的な造り手
4 《屑鉄場のたかり屋
3 《悪意の騎士
2 《黎明をもたらす者ライラ
3 《歩行バリスタ
-クリーチャー(16)-
4 《致命的な一押し
4 《ベナリア史
2 《排斥
4 《キランの真意号
2 《試練に臨むギデオン
4 《ウルザの後継、カーン
-呪文(20)-
2 《賞罰の天使
2 《強迫
2 《宝物の地図
2 《大災厄
1 《俗物の放棄
1 《排斥
3 《燻蒸
1 《翦草 // 除根
1 《
-サイドボード(15)-
 

 《キランの真意号》を使うデッキは赤黒だけにあらず、「白黒機体」も環境の有力ビートダウンのひとつだ。

 白を採用することで《排斥》《賞罰の天使》などでさまざまな状況に対応できるし、《試練に臨むギデオン》という真意号との相性抜群なカードでゴリッと攻めることも可能。

 《悪意の騎士》と《ベナリア史》の騎士シナジーも魅力的で、コントロールデッキに対する継続した攻めも期待できる。ゲームがグダって総力戦になれば《黎明をもたらす者ライラ》の絆魂が決め手になることも。

 赤黒もそうだが、機体デッキはサイド後に除去をマシマシにしてコントロール的に戦えるのも魅力。追放系の万能除去で対処可能なパーマネントが多く、《燻蒸》のような優れた全体除去を持つため、この戦略に限って言えば白の方が秀でていると言ってよいだろう。より高い対応力を持ったビートダウンを使いたいなプレイヤーが選択してくるんじゃないかな。

 
赤単アグロ
Alex Hon - 「赤単アグロ」
StarCityGames.com Standard Classic Louisville 準優勝 / スタンダード (2018年5月20日)[MO] [ARENA]
23 《
2 《屍肉あさりの地
-土地(25)-

4 《ボーマットの急使
2 《損魂魔道士
4 《地揺すりのケンラ
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 《ゴブリンの鎖回し
4 《熱烈の神ハゾレト
4 《再燃するフェニックス
-クリーチャー(24)-
2 《マグマのしぶき
2 《ショック
4 《削剥
1 《火による戦い
2 《反逆の先導者、チャンドラ
-呪文(11)-
3 《栄光をもたらすもの
1 《マグマのしぶき
3 《宝物の地図
3 《火による戦い
2 《焼けつく双陽
1 《グレムリン解放
2 《反逆の先導者、チャンドラ
-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)
 

 赤黒に押されて存在感が薄くなっているが、赤単のアグロデッキもまだまだ健在。《地揺すりのケンラ》や《アン一門の壊し屋》、そして《熱烈の神ハゾレト》による速攻ラッシュでモタモタしている相手を一瞬で殴り倒す爆発力に変わりなし。

 3マナ圏に複数のクリーチャーらに影響を与える《ゴブリンの鎖回し》を得たのも大きい。このリストではアン一門ではなくこれを4枚採用し、タフネス1のクリーチャーが1~2マナ圏のクリーチャーの足を止めないような構築になっている。

 必須パーツに思える《稲妻の一撃》が不採用で、メインサイド併せて《火による戦い》が4枚など、独自の構築が面白い。

 シンプルにしてディープ、赤単道は奥が深い。ハゾレトが大好きなんだというプレイヤーは赤黒ではなくこちらを選択することだろう。


 今日は環境を代表する3つのアグロデッキを紹介した。いずれもパンチ力があり、また《反逆の先導者、チャンドラ》や《ウルザの後継、カーン》といったプレインズウォーカーを採用しているため一筋縄ではいかないデッキたちだ。

 これらのデッキを選択し、3日間勢いを維持し続けたプレイヤーが王者になる可能性は……決して低くはないはずだ。大半を占めるであろうこれらアグロデッキを相手取るために他にどんなデッキが持ち込まれるのか、という点も見どころかな。とりあえず、今夜は早く寝るかやることをさっさと終わらせちゃって、明日からの夜更かしに備えよう!

 
  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索