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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
マインドストーム(レガシー)
エターナル環境は、マジックが25年にわたって生み出し続けた数多のカードを自由に使えるのが魅力だ。なんでもありのパワーカードの応酬がこの環境の魅力である。
ただ「なんでもあり」とは言っても真の意味でそういうわけじゃない。健全で楽しいゲームとして成立させるために、ヴィンテージでは制限カード、レガシーでは禁止カードを設けて、世界のバランスを保っている。これらがなければ、エターナル環境は1ターンキルがバシバシ横行する真の魔界となってしまう。秩序を守るために法は存在しているのだ。
時折、この法を破ろうとする者が現れる。大魔術師、メイガスサイクルだ。『時のらせん』ブロックで初登場した「○○の大魔術師」というカードたち。これらはいずれも、過去の強力なクリーチャーでないカードと同様の能力を与えられており、普通に再録するには強すぎるカードをクリーチャーにすることで蘇らせることに成功した。古くからマジックをやっているものなら思わずニヤリとできる能力を持った連中で、人気も高い。
同ブロックの後、『統率者(2015年版)』にて《輪の大魔術師》が登場。ここから5年かけて各色に1枚ずつ、過去の強力なソーサリーと同じ能力を持った大魔術師が作られるとのことで、現在は赤黒青と3体が揃っている状況。いずれも《Wheel of Fortune》《ヨーグモスの意志》《精神の願望》とレガシーでは禁止カードになっているスーパーパワーカードだ。
特に《精神の願望》は使用可能になった日よりレガシーの前身フォーマットにて禁止されており、この環境で使えたタイミングは存在しない。今日は大魔術師の力で、その禁を解くぜ……。
1 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 1 《Bayou》 4 《汚染された三角州》 2 《霧深い雨林》 1 《血染めのぬかるみ》 1 《新緑の地下墓地》 -土地(14)- 1 《精神の大魔術師》 3 《グリセルブランド》 -クリーチャー(4)- |
4 《水蓮の花びら》 3 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 3 《思案》 3 《陰謀団式療法》 1 《思考囲い》 4 《暗黒の儀式》 4 《納墓》 4 《浅すぎる墓穴》 2 《陰謀団の儀式》 2 《集団的蛮行》 2 《死体のダンス》 1 《首謀者の収得》 1 《炎の中の過去》 -呪文(42)- |
3 《沈黙の墓石》 2 《ザンティッドの大群》 1 《花の絨毯》 1 《蒸気の連鎖》 1 《狼狽の嵐》 2 《突然の衰微》 1 《ハーキルの召還術》 1 《巣穴からの総出》 1 《虐殺》 1 《苦悶の触手》 1 《Tropical Island》 -サイドボード(15)- |
マナ加速の連打から唱えるだけで勝てると言われる《精神の願望》。
デッキの一番上のカードをマナを支払わずにプレイでき、これを唱えるまでの間にそのターン唱えられた呪文の数だけコピーが生まれる「ストーム」という能力を持っている。ということは、これで《精神の願望》をまためくることができれば……そこからまたジャンジャンとストームが連鎖して、デッキ内のカードを全てプレイしてしまえる、極端な話そんなレベルのことができてしまうのだ。そうやって大量にストームを稼いで、《苦悶の触手》のようなさらなるストーム呪文でフィニッシュ、簡単だ。そりゃあ禁止にしないとマズい。
ただクリーチャーとなり、能力の起動にタップが必要となることで、随分とマイルドなカードになった。これならマナ加速とドローを連打してから唱えても、そのターンにゲームが終わることはない。ターンを返せば除去される可能性も高く、かなり使いにくい。
ただ、クリーチャーとなったことはデメリットのみではないのも事実。むしろ悪用もできてしまうのだ。このデッキでは《納墓》などで墓地に落としたのち、《浅すぎる墓穴》《死体のダンス》というクリーチャーを墓地から戦場に出しつつ速攻を与える呪文で釣り上げることで即座に能力が使えるようにして使ってやろう、という手法を取っている。
これだけだとよくわからないかもしれないが、例えばこんな動きができる。
- 1ターン目に《ギタクシア派の調査》で安全確認。
- 《水蓮の花びら》→《暗黒の儀式》で{B}{B}{B}。
- 《納墓》《浅すぎる墓穴》で《精神の大魔術師》を戦場へ。
- 土地を置いて能力を起動、ライブラリーの上から5枚が《渦まく知識》《ライオンの瞳のダイアモンド》《死体のダンス》を含むものだったとしよう。
- ダイアモンドから{U}{U}{U}を得て、《渦まく知識》で3枚引いて2枚戻し、
- 《死体のダンス》から再度大魔術師を復活させ、能力起動で8枚めくって、その中に《浅すぎる墓穴》があって……
無茶苦茶動くでしょ? 最終的には十分なマナを得てから《首謀者の収得》でサイドボードの《苦悶の触手》を見つけて吸い尽くす!と、理論上1ターンキルも可能なクールなコンボデッキなのだ。
まあ、ここまでパーフェクトに動くことはそう簡単ではないので、実際には2ターン目や3ターン目に仕掛けることになるだろう。それでもコンボデッキとしては十分だ。《ギタクシア派の調査》からの《陰謀団式療法》で相手の妨害をするなどして準備してから、コンボ始動といきたいところ。
リアニメイトとストームという2つのコンセプトを融合させたようなコンボデッキはこれまでにもいくつかあったが、このデッキの面白いところはコンボが始動してからのリアニメイト呪文が無駄にならない点。例でも示した通り、《精神の大魔術師》は能力を起動する際に生け贄に捧げられ墓地に行くので、その能力で《浅すぎる墓穴》《死体のダンス》がめくれると即時釣り上げて「おかわり」が可能なのだ。大魔術師が願望を解放して死亡し、また蘇って大きくなった願望を吐き出す……他のデッキではなかなか見ることのできない、ユニークな動きで、こんなデッキを知ってしまったら使いたくなるに決まってるって!
大魔術師オンリーではなく定番の《グリセルブランド》も採用しており、大量ドローからのストーム勝ちを狙えるようなっている。
これだけ墓地に依存しているデッキなので墓地対策は苦手、特に《死儀礼のシャーマン》《漁る軟泥》《外科的摘出》などのレガシーで使われる墓地対策カードは厳しいものであるのだが……《沈黙の墓石》でそれらに対抗しようというのが面白い。
それらの呪文や能力ではこちらの墓地の大魔術師らを対象に取れず、こちらのリアニメイト呪文は「墓地のクリーチャーカードで一番上にあるものを戦場に戻す」という対象を取らないカードであるため、これの影響を受けない。これで意表を突いて勝利できたら最高だね。
とにかく動きが魅力的なデッキなので、ぜひとも一度回してみてほしい。メイガスサイクル、今年は一体どんなカードがやってくるのだろうか。今から楽しみだ。
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