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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Death & Vengeance(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Death & Vengeance(モダン)
by 岩SHOW
良かったのやら、やっちまったのやら。「赤黒ディスカード」、通称「Hollow One」をプロツアー前に紹介したこと、だ。思いがけずプロツアーで大活躍、ケンちゃんこと行弘賢を準決勝まで導いたことで世界中から大いに注目されることになった新たなモダンのスターデッキ。これをプロツアー前に紹介したことで、「このデッキが大活躍だ!」と紹介できなくなってしまったことは予想外の事態だったのだ。予測できるものなんて何もない、これもまたマジックだな......と思いながらもケンちゃん祝福できへんやんけ!と(笑)
で、この度。現実世界ではこの記事の掲載日(2018年2月19日)から、モダンにて《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》、2枚の禁止カードが禁を解かれて自由に使うことができるようになりました。環境が大きく動くぞやったぁぁ新しいデッキが飛び出してくれるぞ嬉しいぃぃとこのコラム的には万々歳の展開だ。
Magic Onlineでは一足早く、2月14日からこれらのカードは使用可能に。とんでもないバレンタインプレゼントだぜ!と世界中のプレイヤーが興奮しながら新たなデッキを構築することになるのだろう。環境激変必至なので、2月13日に公開されたMagic Onlineのリーグにて全勝したデッキリストの数も特別にとんでもないことになっていた(いつもなら5個のみ)。今日はその中から、「Hollow One」の亜種を見つけたので紹介しようというわけだ。
というわけで、まずは件のプロツアーで活躍したリストに目を通そう。ケンちゃんおめでとう!
1 《沼》 2 《山》 3 《血の墓所》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《樹木茂る山麓》 1 《乾燥台地》 1 《沸騰する小湖》 3 《黒割れの崖》 -土地(18)- 4 《炎刃の達人》 4 《恐血鬼》 4 《炎跡のフェニックス》 4 《虚ろな者》 4 《通りの悪霊》 1 《黄金牙、タシグル》 3 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(24)- |
4 《燃え立つ調査》 4 《信仰無き物あさり》 4 《稲妻》 4 《ゴブリンの知識》 2 《集団的蛮行》 -呪文(18)- |
3 《渋面の溶岩使い》 2 《致命的な一押し》 2 《古えの遺恨》 1 《集団的蛮行》 2 《大物狙い》 2 《血染めの月》 3 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
手札を捨てる、本来ならばデメリットになる行動を勝利への最短ルートに置き換える《虚ろな者》。
《燃え立つ調査》《信仰無き物あさり》を用いてこれを高速で展開することを目指した、ぶっ飛んだデッキだ。実にモダンらしい。ピンピンに尖りまくった、鋭利な刃物のような姿。破壊力のみを追求した、後のターンのことは考えないスタイルが美しい。
このデッキは2017年秋ごろから存在感を示しはじめ、この冬には強大な勢力として成長したわけだが、元々はさらにもう1つギミックを仕込んだデッキが土台になっている。「Hollow Vine」だ。《虚ろな者》のみならず、《復讐蔦》も蘇らせて3ターン目にはゲームを終わらせるくらいの、気が強すぎる肉食獣のようなデッキだった。
よりシンプルに進化した赤黒に取って代わられたのだが......このデッキのアップデート版が先述の全勝デッキリストに掲載されていた。しかも、シンプルにではなく、もう1つアクションを追加するという貪欲な方向へ!
1 《沼》 1 《山》 3 《血の墓所》 1 《草むした墓》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《新緑の地下墓地》 3 《樹木茂る山麓》 -土地(18)- 4 《死の影》 4 《傲慢な新生子》 3 《炎刃の達人》 2 《ゴブリンの奇襲隊》 4 《復讐蔦》 4 《虚ろな者》 4 《通りの悪霊》 3 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(28)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《稲妻》 2 《冥界への呼び声》 3 《安堵の再会》 1 《集団的蛮行》 -呪文(14)- |
1 《致命的な一押し》 3 《古えの遺恨》 2 《集団的蛮行》 1 《突然の衰微》 1 《紅蓮地獄》 1 《ティムールの激闘》 2 《大物狙い》 1 《神々の憤怒》 1 《貪欲な罠》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《ヴェールのリリアナ》 -サイドボード(15)- |
《虚ろな者》のコスト軽減のためにマナを払わずサイクリング可能なカードとして採用されている《通りの悪霊》。このカードはライフの支払いを要求してくる。ライフを自らすり減らすことが可能なので、《死の影》を用いるデッキにも必ず採用されている。
おいおい、じゃあこの2つのコンセプトは《通りの悪霊》を橋渡しにして両立できるんじゃないか? という......まるで寿司と焼き肉食べ放題かのような欲張りすぎるデッキが登場だ! いやー、ここまでやると清々しいね。一見無茶苦茶なのにきっちり成立させるこのタイプのデッキの懐の広さも実感できる。
このデッキは赤黒2色型よりはスタートダッシュという点で劣る。《燃え立つ調査》が不採用だからだ。代わりに《復讐蔦》の速攻と、《死の影》を採用したことによる攻めの選択肢の多さが武器だ。
《信仰無き物あさり》《安堵の再会》《通りの悪霊》で手札を投げ捨てながら《復讐蔦》を墓地に落とし、コストが1 or 0マナになった《虚ろな者》を連打して、通常ではありえないターンに戦場をクライマックスへと持っていく。
《燃え立つ調査》というニトロ満載エンジンを諦めた代わりに、このデッキが搭載しているのは確実性・安定感をもたらす《冥界への呼び声》。
こんなカード初めて見たという方も多いだろう。マッドネスで0マナで唱えることができ、墓地のクリーチャーカードを回収することができる。これで手札からクリーチャーカードを捨てながら回収することで、《復讐蔦》が戦場に戻る条件である「同一ターンに2枚のクリーチャー呪文を唱える」というアクションが狙いやすくなっているのだ。
とりあえず捨てておいた《死の影》を後で拾って、《ゴブリンの奇襲隊》で速攻つけて走らせるなんていう意識の外からの攻めも可能だ。こんなカード1枚でデッキの様相が変わるのだから、マジックというゲームは本当に面白い。
解禁されたカード2枚が与えるインパクトはどれほどのものなのか。この原稿を書いている時点ではまだわからない。ただ、すごいことになる!というのは間違いない。モダン環境で生き延びるには、このぐらい尖ったデッキが適しているのかもしれないね!
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