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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アブザンを検証!(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アブザンを検証!(モダン)
by 岩SHOW
8月に時間があったので、検証シリーズと題して色々とスタンダードのデッキを回してその感想を書き連ねてみた。時間があれば、いつもより濃い内容のものが出来ることがよく分かったので、今後も続けていきたいなと考えている。
暑さがぶり返してきた9月上旬、少し時間が取れたのでまた何かデッキを集中的に回してみようかなと。やるなら、環境も終了を迎えて皆の興味が次のセットへ向いているスタンダードよりも、ローテーションがない他のフォーマットが良いかな~じゃあモダンにしよう! モダンで勝っているデッキを検索ポチ~......そこまで時間はないから、使い方がわかってハイ終わりと習熟度を必要とするデッキはやめておこう、動きの分かりやすい......「アブザン」が良さそう、とここまではとんとん拍子で決まった。
「アブザン」とは、『タルキール覇王譚』にて登場した白黒緑の3色からなる氏族。タルキール以降、この3色のデッキは「アブザン○○」と名付けられるようになったのだが、ではモダンにおける「アブザン」は○○がないのだが一体何なのか。○○の部分をあえて付け足すならば、ミッドレンジとなるのだろう。あるいは、今でも「アブザン・ジャンク」と表記する人もいるので、そう呼んでも構わない。
ミッドレンジは中速デッキ全般を指し、すっかりマジック公用語として浸透しているので、皆様もご存知のことかと。ジャンクというのは、白黒緑3色デッキの伝統的な呼び名であり、適当にパワーカードを寄せ集めたデッキという意味。元々は白赤のビートダウンがこう呼ばれたりしたのだが、説明していると長くなるのでこの辺で。
「アブザン・ミッドレンジ」や「アブザン・ジャンク」と呼ぶのは、正直なところ長い。なので「アブザン・カンパニー」のような特殊なデッキに○○を付け、寄せ集めアブザンはシンプルに「アブザン」と呼ぶのが一般的だ。
今回使用した「アブザン」は、Magic Online上のMOCSというイベントで8勝0敗、プロツアー予選の予選ラウンドも9勝0敗と勝ちに勝っているリストだ。
1 《平地》 2 《沼》 1 《森》 1 《神無き祭殿》 1 《寺院の庭》 2 《草むした墓》 4 《新緑の地下墓地》 3 《湿地の干潟》 2 《吹きさらしの荒野》 2 《乱脈な気孔》 1 《活発な野生林》 3 《花盛りの湿地》 -土地(23)- 4 《タルモゴイフ》 3 《残忍な剥ぎ取り》 2 《漁る軟泥》 2 《不屈の追跡者》 2 《包囲サイ》 -クリーチャー(13)- |
3 《致命的な一押し》 3 《コジレックの審問》 3 《流刑への道》 3 《思考囲い》 2 《突然の衰微》 1 《集団的蛮行》 4 《未練ある魂》 1 《大渦の脈動》 4 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(24)- |
3 《大爆発の魔道士》 2 《虚無の呪文爆弾》 2 《外科的摘出》 2 《石のような静寂》 1 《集団的蛮行》 1 《ルーンの光輪》 1 《鞭打つ触手》 1 《大渦の脈動》 1 《滅び》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード(15)- |
ご覧の通り、カード1枚1枚は文句なく強い。いずれもスタンダード現役時に、あるいはレガシーでも活躍するレベルのパワーカードたちだ。しかし、何かテーマがあって組まれたデッキかというと、そうではない。まさしく寄せ集め。それでもシナジーが皆無というわけではなく、《残忍な剥ぎ取り》と《未練ある魂》、《新緑の地下墓地》などフェッチランドと《不屈の追跡者》といった小技はある。
基本戦略は手札破壊、クリーチャー除去を行いながら《タルモゴイフ》らで殴る。そこに上述のテクニックなどを絡めてアドバンテージを稼ぎながら、対戦相手を圧倒しようというわけだ。
このデッキはフェアデッキである。フェアデッキとは何か、よりもアンフェアデッキについて話す方が早い。
例えば《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》を3ターン目に揃えて《解放された者、カーン》を叩きつける。ずるい。《風景の変容》から山である土地6枚と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を持ってきてお手軽18点。ずるい。こんな感じで、真面目にマジックをしないブン回りを武器としたデッキをアンフェアと呼ぶ、と覚えておいてくれたら問題ない。
これらに対して、「アブザン」は真面目も真面目、大真面目。真面目に手札破壊、真面目にタルモパンチ。モダンというフォーマットにおいて、ここまで真面目なデッキも珍しい。今日はそんな真面目デッキでリーグ戦に挑戦だ!
結果
- バーン:×○×
- 同型:○○
- 親和:○××
- アブザン・カンパニー:××
- バーン:○○×
むむむ。もう1回。
- 同型:×○×
- 親和:××
- グリクシス死の影:○○
- バーン:×○○
- 青赤ストーム:××
う~ん。真面目に勝つのって難しい。というか当たるデッキがモダンとは思えない幅の少なさでちょっと驚く。「親和」も「バーン」もかなり苦しいね。
「親和」はこれだけ除去があればなんとかなるんじゃないかと思っていたのだが、向こうの攻め手もなかなか尽きない。《不屈の追跡者》で手札を補充することができない、いわゆるトップ勝負となってしまうとまあ勝てない(勝てなかった)。そりゃ《石のような静寂》が出せたら勝てるけどね。
「バーン」もメインは不要カードが多く、苦しい。「青赤ストーム」には手札破壊を用いても手も足も出なかった。「アブザン・カンパニー」に至っては、手札破壊と除去でズタズタにしてやっても《集合した中隊》→《永遠の証人》で回収してもう1回、とか無茶苦茶されて敗け。
とにかく、「アブザン」はトップ勝負に弱い! パワーカードは入っているのだが、劇的に戦場をひっくり返すようなカードはない。有利な状態をとにかく維持して、維持し続けてなんとか押し切る......維持できずに決壊してしまうともうどうしようもない。そんな印象を強く受けた。難しい!
1 《平地》 2 《沼》 1 《森》 1 《神無き祭殿》 1 《寺院の庭》 2 《草むした墓》 4 《新緑の地下墓地》 3 《湿地の干潟》 2 《吹きさらしの荒野》 2 《乱脈な気孔》 1 《活発な野生林》 3 《花盛りの湿地》 -土地(23)- 4 《タルモゴイフ》 3 《残忍な剥ぎ取り》 2 《漁る軟泥》 2 《不屈の追跡者》 2 《包囲サイ》 -クリーチャー(13)- |
3 《致命的な一押し》 3 《コジレックの審問》 3 《流刑への道》 3 《思考囲い》 2 《突然の衰微》 1 《集団的蛮行》 4 《未練ある魂》 1 《大渦の脈動》 3 《ヴェールのリリアナ》 1 《最後の望み、リリアナ》 -呪文(24)- |
3 《大爆発の魔道士》 2 《虚無の呪文爆弾》 2 《外科的摘出》 3 《石のような静寂》 1 《集団的蛮行》 1 《鞭打つ触手》 1 《大渦の脈動》 1 《滅び》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード(15)- |
まだやり足りなかったので、同型対決で対戦したMO界の著名人の形にしてみた。変更点は《ヴェールのリリアナ》が1枚《最後の希望、リリアナ》に置き換わっていること、サイドボードの《石のような静寂》の増量。
「親和」の爆発力はまさしくアンフェア、勝つには妥協せずこれぐらいしないとダメだということは身をもって味わったのでこれには納得だ。リリアナも、ヴェールの方じゃ効きにくい相手もいるなと感じたので最後の望みは是非とも試してみたかった。もう1回リーグじゃ!
- 同型:○×○
- 青赤ストーム:×○×
- グリクシス死の影:○○
- アブザン・カンパニー:××
- アブザン・カンパニー:×○×
- ジャンド死の影:○×○
- アブザン・カンパニー:○××
- グリクシス死の影:○○
- 同型:×○×
- アブザン・カンパニー:×○×
あああああああああもうっ! 対アンフェアがしんどい! 特に顕著に感じたのは、マナフラッド時の何も出来なさ。マナフラッド=マナがあふれる、すなわち土地ばっかり引いた際に、あふれるマナの使い道がなくて負けてしまうことが多い。クリーチャー化する土地なり、《不屈の追跡者》なりが引ければ......というところなのだが。これらも除去1枚でやられてしまう。
手札破壊、クリーチャー除去で相手の猛攻を防いでも、結局トップ勝負こっちが土地を引いている間に相手がリカバリーして負けてしまう。上手い人が使えばカードの扱い方、マリガンの基準なども違うものになって勝てるのだろう。僕のような一般人には、何かこうもっと簡単に勝てる工夫が必要だ!
そもそも「アブザン」は、1年ほど前には《貴族の教主》を採用している形が多かった。そんなことを考えていると、あるカードを思い出した。《ガヴォニーの居住区》。
《未練ある魂》より生成されたスピリットを強化して殴る、まさしく今の僕に必要なのはこれじゃないか? とか思いながら「アブザン」のデッキリストをもう少し調べてみると、さらに好みのカードを採用しているものがあった。これかぁぁぁッッッと喜び勇んで、ガヴォニーと併せて採用し「マイ・アブザン」を作ってみた。
1 《平地》 2 《沼》 1 《森》 1 《神無き祭殿》 1 《寺院の庭》 2 《草むした墓》 4 《新緑の地下墓地》 3 《湿地の干潟》 1 《吹きさらしの荒野》 2 《乱脈な気孔》 1 《活発な野生林》 3 《花盛りの湿地》 1 《ガヴォニーの居住区》 -土地(23)- 4 《タルモゴイフ》 3 《残忍な剥ぎ取り》 2 《漁る軟泥》 1 《不屈の追跡者》 2 《包囲サイ》 -クリーチャー(12)- |
3 《コジレックの審問》 3 《流刑への道》 3 《思考囲い》 2 《致命的な一押し》 2 《突然の衰微》 1 《集団的蛮行》 4 《未練ある魂》 1 《大渦の脈動》 3 《ヴェールのリリアナ》 1 《最後の望み、リリアナ》 2 《野生語りのガラク》 -呪文(25)- |
3 《大爆発の魔道士》 1 《不屈の追跡者》 2 《外科的摘出》 2 《虚無の呪文爆弾》 2 《石のような静寂》 1 《集団的蛮行》 1 《鞭打つ触手》 1 《大渦の脈動》 1 《滅び》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード(15)- |
大好きなカードを使うということは精神衛生上とても大事です。《野生語りのガラク》!
これの採用により、キラームーブがとれるようになった。3ターン目《未練ある魂》、4ターン目ガラクから[+1]能力で土地2枚を起こして魂フラッシュバック、5ターン目ガラク[-4]能力で4/4飛行トランプルのスピリット4体で攻撃! ガヴォニーで5/5にもできるぞ!
......アンフェアの皆さんに比べると大人しく見えるが、爆発力は確実に上昇した。手札破壊も除去もしたがゲームがずるずる長引いて敗ける、あの悪循環を断ち切りたい!
- アブザン・カンパニー:×○○
- 同型:○×○
- バーン:○××
- 親和:○×○
- バーン:×○○
ガラク&ガヴォニー最高ッッ!
対「アブザン・カンパニー」では相手が決める前に殴り切るという思い描いたプランで勝つことができた。対「親和」でも、ガヴォニーがスピリット・トークンを強化することで、《墨蛾の生息地》による毒殺プランを完封しつつ、ライフを詰める逆転の1枚となってくれた。ガラクは戦場に出たら相手も無視することはできず、無理なアタックや除去によって消耗してくれるし、生き延びればゲームが終わる。最高だ。この形が環境のベストであると言うつもり微塵はないが、自分にとってとても扱いやすい「マイ・アブザン」であるとは堂々と言い切れる。
皆も、プロが勝っているデッキを丸ごとコピーして使ってみて勝てなかった時に、「ダメだった」で終わらずに、そこからいろいろ試して、コピーデッキをマイデッキに調整するということに挑戦してみてほしい。とにかく、勝ちが1つでも増えるたびに達成感を味わえる。背伸びせず自分の好きなカード、合っていると思うカードを使うのが、何よりも楽しいんだよなぁ。
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