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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:副陽コントロール(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:副陽コントロール(スタンダード)
by 岩SHOW
この夏も、マジックプレイヤーたちが熱い試合を繰り広げた。プロツアー地域予選(以下RPTQ)である。
プロツアー出場権利の獲得方法はいくつかあるが、最も一般的なものはやはりこのRPTQである。各店舗にて開催されているプロツアー予備予選(PPTQ)を通過したプレイヤーのみが参加できるトーナメントであり、このトーナメントを勝ち抜いたプレイヤーにはプロツアーへの出場権利および航空券が授与される。夢をつかむために、さながら夏の甲子園のような熱戦を、いち観戦者として楽しませてもらった。
日本では毎回西と東に分かれて2つのRPTQが開催されている。今回は東京大会にて勝利したリストを1つピックアップしてみよう。
8 《平地》 6 《島》 4 《大草原の川》 4 《灌漑農地》 1 《港町》 2 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地(25)- -クリーチャー(0)- |
4 《神聖な協力》 4 《検閲》 4 《至高の意志》 3 《停滞の罠》 4 《排斥》 4 《天才の片鱗》 3 《ヒエログリフの輝き》 4 《燻蒸》 4 《副陽の接近》 1 《農場 // 市場》 -呪文(35)- |
3 《威厳あるカラカル》 2 《終止符のスフィンクス》 4 《領事の権限》 2 《払拭》 2 《否認》 2 《罪人への急襲》 -サイドボード(15)- |
《副陽の接近》を勝ち手段としたコントロールデッキだ。
このコラムでも《ルクサの恵み》を用いたバント(白青緑)カラーのものは紹介したことはあったが、あれ以降主流となったのはこのリストのように青白2色の「純正」とでも呼ぶべきものだ。
Magic Onlineや各種トーナメントの結果を見るに使用者は多いようで、「ラムナプ・レッド」「黒緑巻きつき蛇」「黒単ゾンビ」といったデッキ群よりは使用率は落ちるものの、それに次ぐ地位は確保していると言えよう。
こういった流行デッキの階層構造におけるトップにあるもの、「ラムナプ・レッド」なんかをTier1(ティア1)と呼ぶ。元々はインターネットの最大手プロバイダーや、自動車会社に直接部品を供給する企業を指す言葉だが、対戦ゲームにおけるデッキやキャラクターの強さ・流行具合を示す言葉として目にする機会が増えた。マジックで勝つ上ではかなり重要な概念なので、しっかり覚えておこう。
先に挙げたよく見る連中がTier1なら、「副陽コントロール」はTier2~3に属しているデッキだ。この数字が小さければ小さいほど流行しているデッキというわけだが、ではTier3のデッキとTier1のデッキがぶつかり合うとTier1が勝つのかいうと、決してそういうわけではない。1は誰でも扱えて勝つことのできるプレイングが簡単なデッキ、万人に愛されるタイプのデッキで、2や3に属するものはそれらよりもプレイング技術を要求されたり、玄人好みのデッキだったりする。このデッキなんか、まさしく「好きな人は好き」な玄人デッキの典型だ。
対戦相手のアクションを各種除去と《検閲》《至高の意志》で捌いて捌いて、土地を置いていって《副陽の接近》を二度唱えて勝つ。戦略自体はシンプルながら、その特性上ビートダウンなどが持つ「ブン回り」というものがなく、基本的には長期戦になる。
副陽を唱えてライブラリーの上から7枚目に→次のターンに通常ドロー&《天才の片鱗》の占術で2枚で底に送りつつ2枚引き、さらに《検閲》などのサイクリングで合計6枚掘り進めて、タイムラグを最小限に抑えて2度目の副陽を唱えて勝ち、というのがこのデッキの最速勝利か。序盤に上記のドローカードなどを使用していた場合、もう1~2ターンほどかかってしまうものだ。その1~2ターンが勝負を分けることはざらにある。そもそも、デッキに2枚だけ採用とかだと7ターン目に唱えられるかも怪しい。いつまでも陽が昇らないまま、ゾンビやドラゴンに殴られて敗けてしまう、という経験をしたことがあるプレイヤーも少なくないはず。
このリストはその問題点の解決に、《副陽の接近》を大胆にも4枚採用するという手法を取った。確実に7ターン目に唱え、そして唱えた次のターンに即座に二度目の接近をもって勝利するという、「勝つ」という決意を表明するかのような意志を感じることのできるリストだ。青赤のコントロールが《奔流の機械巨人》を4枚採用しているのが当たり前のように、「副陽コントロール」が副陽4枚積み構築になるのは何もおかしいことじゃないのだ。
どれだけ盤面を有利にしようと、ライフ差をつけようと、副陽による勝利を妨げることはできない。ある種コンボデッキ的な武器を手に、主に「ラムナプ・レッド」に強い各種中速デッキを狩ろうというわけだ。このアプローチがRPTQの場では成功し、見事権利獲得と相成ったわけだ。
サイド後は《威厳あるカラカル》が地上をがっちりと食い止めてくれ、序盤に失ったライフの回復も担う。これがなんとも頼もしく、速攻デッキにとっては悪夢以外の何物でもない。
このデッキと当たった際に、クリーチャー除去がいらないからとうっかり全抜きすると、痛い目を見ることになるかもしれない。このあたり、どのカードを何枚残すかなどはサイドボーディングの読みあいの妙味であるので、使う側も使われる側もぜひ楽しんでいただきたい。
明日も同様にRPTQ突破デッキを紹介するので、お楽しみに!
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