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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.08.25

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:「黒単ゾンビ」を検証!(スタンダード)

by 岩SHOW

 日本選手権2017の日が迫ってきている。プロツアー予備予選などでモダンに熱くなっているプレイヤーも多いことかと思うが、スタンダードの練習もぼちぼち行っていかないとね。参加される方はもちろん、各種配信を観戦する予定の方々も、スタンダードのデッキを改めて知る必要がある。僕もこの一大トーナメントの結果からこのコラムを書くことになるので、今のうちにスタンダードをしっかりと予習しておきたいなと。

 そんなわけで今回も、あるデッキを回してみようと思う。「黒単ゾンビ」だ! 『アモンケット』以降、イニストラード産のゾンビたちはついにその本領を発揮。クリーチャー間でのシナジーが多数あり、そのしぶとさ・盤面を作る能力の高さが強みであり、現スタンダードでも使用率は「ラムナプ・レッド」に勝るとも劣らない、環境の頂点に君臨するデッキの1つだ。

 今回は改めてこの「黒単ゾンビ」がどのようなデッキなのか検証してみよう、ということなのだが......実は現環境の黒単色のゾンビデッキを回すこと自体が初めてで、果たしてうまく使えるのか自信がなかった。

 ゾンビは簡単なように見えて、難しいデッキであると言われている。クリーチャーと除去で構成されているデッキでありながら、環境に存在する他の似たような構成のデッキ......「ラムナプ・レッド」や「黒緑巻きつき蛇」に比べて、速攻性がグンと落ちる。決して前のめりアグロというデッキではなく、腰を据えて盤面を構築していく、中速のデッキだ(《呪われた者の王》連打での早期決着もあるのだが)。

 まあ難しいかどうかはいったん置いといて、まずは主流のリストを確認してみよう。

Terribad - 「黒単ゾンビ」
Magic Online Standard PTQ 9位 / スタンダード (2017年8月12日)
19 《沼》
4 《イフニルの死界》
2 《屍肉あさりの地》

-土地(25)-

4 《墓所破り》
4 《戦慄の放浪者》
4 《無情な死者》
4 《戦墓の巨人》
4 《呪われた者の王》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》

-クリーチャー(21)-
2 《致命的な一押し》
4 《闇の掌握》
4 《リリアナの支配》
4 《闇の救済》

-呪文(14)-
2 《屑鉄場のたかり屋》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
4 《精神背信》
1 《霊気圏の収集艇》
1 《失われた遺産》
1 《殺害》
2 《不帰+回帰》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》
2 《最後の望み、リリアナ》

-サイドボード(15)-
MTGO Standings Standard PTQ より)

 デッキリストの行数が少なく、実に綺麗にまとまっている。このデッキは比較的マナを食うもので、《闇の救済》《リリアナの支配》などを用いるためには5マナは欲しいところ。4マナ以下で土地が止まってしまった、という状況で勝利するのは、よっぽど《呪われた者の王》を固め引いた時くらいか。

 なので土地の枚数は25枚。これでも土地が詰まって負けてしまうことが多々あるので、安定して運用したい場合は24枚以下に減らさないことをお勧めする。ゲーム開始時、土地1枚の手札ではとてもじゃないがスタートできず、2枚でもやや不安が残る。土地3枚+クリーチャー3枚+除去1枚、みたいな手札が理想的だ。

 あとはマナ・カーブに沿ってクリーチャーを展開しつつ、除去を撃ちつつ殴るという一般的なビートダウンの動きを取っていくことになるのだが......《無情な死者》という、このデッキのアドバンテージの軸を担うクリーチャーのことを、しっかり考えながら動いていきたい。

 このゾンビは死亡すると(ゾンビが死亡?)能力が誘発し、マナを支払うことで自身を手札に戻すことと墓地のゾンビを戦場に戻すことができる。この2つの能力に支払えるマナを残した方が良いのか? あるいは《無情な死者》を除去されてアドバンテージ獲得機会を損失してしまってでも他のアクションを優先した方が良いのか? 毎ターン、行動に選択肢が浮上してくる。

 マナを使い切って動き続けるデッキとはわけが違う、プレイングの正しさを要求されるハードなデッキ。それが「黒単ゾンビ」だ、ということを今回は勉強させてもらった。とにかく、慣れないうちはこの選択肢を外しまくるので負け・敗北・Loseを積み重ね続けることになる。我々一般プレイヤーはめげそうになるのが、段々とゾンビと呼吸が合ってきて、相手を思うように苦しめることができるようになると......一気に楽しくなる! ゾンビ映画のゾンビが出てこないシーンを耐えるような、忍耐力が要求されるってわけだ(何の話や)。


対「ラムナプ・レッド」

 《ゲトの裏切り者、カリタス》という回復要員がいるので有利、という話。だが、このカリタスは「ダメ押し」というやつで、ゾンビデッキが事故ったりせず普通の動きをしていれば、相手の攻撃は全く通らなくなって自然と勝利している、という印象を受けた。

 先述したことと矛盾するが、このマッチアップでは《無情な死者》は2ターン目に出してしまって良い。相手に除去された場合、《焼夷流》なり《ショック》なりダメージ源となるものを消費しているので、他のデッキに《致命的な一押し》を撃たれるのとは話が変わってくる。甘んじて受け入れ、3ターン目の《呪われた者の王》へと繋げたい。これが生き延びれば、もう相手の1マナクリーチャーたちがこちらのブロッカーを乗り越えてくることはなくなる。

 《闇の救済》が最も輝くマッチアップで、これで相手のアタッカー排除兼ブロッカー確保を繰り返すだけで相手は辛い。《熱烈の神ハゾレト》もゾンビ・トークンなんかで簡単にいなせるので脅威ではない。怖いのは《栄光をもたらすもの》くらいかな。

 5戦当たってすべてで勝利することができた。プロツアー『破滅の刻』で2番人気の使用率となったのもうなずける。


対「巻きつき蛇」「マルドゥ機体」など他のビートダウン

 「黒緑巻きつき蛇」相手は《新緑の機械巨人》に泣かされることになるが、それ以外のカードは持ち前の耐える力でなんとかなる。《無情な死者》を回収できない状況下で戦場に出してさっくり除去されてしまうと負けてしまう。こらえていれば《リリアナの支配》か機械巨人、叩きつけたほうが勝つといったところ。少し不利、くらいに感じた。1勝2敗。

 いまだにそこそこ当たる「マルドゥ機体」相手も「巻きつき蛇」戦と似たようなところがあるが、こちらは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がそれほどキツくないのでまだマシだ。このタイミングでは多数当たって3勝1敗。


 実は、この検証期間ではなぜかMagic Onlineのリーグ戦で「よくわからないデッキ」と多数当たったので、「赤緑ランプ」編ほどデータを得ることができなかった。なので検証と題しておきながらさほど役に立つ情報はないのだが......「ラムナプ・レッド」にプロツアーを経てまだまだ有利なままということがよくわかったのは収穫だったかな。

 ちなみに、このタイミングで当たった謎のデッキとは、白黒の《忘却蒔き》デッキ、《スカラベの神》と青黒のクリーチャーを大量に詰め込んだ墓地シナジーデッキ(《王神の贈り物》デッキではない)、プレインズウォーカーもりもりコントロール、白黒トークンなどなど......とにかくバラエティ豊かなデッキと当たり続けた。持ち前の持久力と展開力で戦えるのはゾンビデッキの強みだなと思いつつ、「相手のデッキ面白いな......」とマイナースキーの血が騒いだことをここに白状しておこう。

 慣れるまではゾンビで勝ちを重ねることは難しい。使えば使うほど、ゾンビとの呼吸が合っていくのが面白いので、最初勝てなかったからと言って投げだすのはまだ早い(ゾンビが呼吸?)。じっくりと、終末世界の構築を楽しんでみてほしい。あ、「赤緑ランプ」とも当たったけど、手も足も出ないどころの騒ぎじゃなかったよ! 僕はこんな残忍な所業を重ねてきたのかと、相手目線になって初めてわかったのだった。

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