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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ゾンバーメント(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ゾンバーメント(レガシー)
by 岩SHOW
マジックをやっていれば非常に愛着のわくカードというものが出てくるものだ。好きな理由はなんだっていい。強さ、デザイン、イラスト、フレイバー、使って優勝した......いろいろあるだろう。僕が好きなカードは......山ほどあって、「全部好きじゃねーか」と言われてしまいそうなくらいだが......《ゴブリンの砲撃》なんかは好きな1枚だ。
イラスト、フレイバーが楽しく、カードとしてもさまざまなシナジーやコンボが見込めて、使っていて勝利に直結するし楽しい。赤いエンチャントの中では相当好きな方だ(イラスト1000点の《さし迫った災難》と良い勝負)。昔、レガシーをやっていた頃にあまりにも《殴打頭蓋》《梅澤の十手》を出されて戦闘でライフを回復されるのが嫌だったので、「Zoo」に投入したこともある。ブロックした・されたクリーチャーを本体に投げつけることで絆魂や戦闘ダメージを与えたことにより誘発する能力を封じようというアプローチだった。確か、1回も戦場に出すことなく「これを採用しているか否か関係なく、このデッキは潮時」と諦めて解体。
その後、アメリカの鬼才ビルダーであるサム・ブラック/Samuel Blackがこの《ゴブリンの砲撃》を主軸に据えたデッキを開発。墓地から何度でも蘇る《墓所這い》、追加の生け贄エンジンとしての《屍肉喰らい》などのゾンビと、爆撃/Bombardmentを組み合わせ、クリーチャーが戦場と墓地をグルグル回って勝利する「ゾンバーメント」は、美しくため息が漏れた。死骸を掘り起こしてブン投げまくるという冒涜的な行為が楽しくまた強いときたもんだからすごい。以降、愛するデッキの1つとなった。
先月の話になるが、グランプリ・静岡2017春にて。今回は主催側のスタッフとして携わり、ステージイベントでマジックの魅力を伝える仕事をさせてもらった。休憩時間はサイドイベントのカバレージを担当するスタッフたちと同じ作業スペースで過ごすのだが、その時にレガシーのイベントを担当していた子から「今レガシー決勝やってますよ」との情報が。何対何?と聞くと「「奇跡」vs「ゾンバーメント」みたいなもの」だと言う。
おうおう、「奇跡コントロール」な。強いね、いつも変わらず。プレイヤーは?あぁ、いつも強い彼ですね。勝ちすぎててむしろ驚かないという状態ですよ......で、相手は?「ゾンバーメント」?ほんまに?みたいなもの?気になるやんけ!!デッキリストはよ!となっているうちに出番が来て、魅惑のデッキの全貌を知るのはお預けに。
1 《沼》 2 《Badlands》 2 《Scrubland》 1 《Bayou》 1 《Plateau》 4 《血染めのぬかるみ》 3 《汚染された三角州》 2 《湿地の干潟》 2 《新緑の地下墓地》 1 《知られざる楽園》 1 《ファイレクシアの塔》 1 《不毛の大地》 -土地(21)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《恐血鬼》 -クリーチャー(8)- |
4 《陰謀団式療法》 4 《信仰無き物あさり》 3 《ギタクシア派の調査》 2 《悟りの教示者》 2 《思考囲い》 4 《秘密の備蓄品》 2 《苦花》 1 《ゴブリンの砲撃》 4 《未練ある魂》 1 《汚染》 1 《梅澤の十手》 1 《融合する武具》 2 《墓穴までの契約》 -呪文(31)- |
3 《才気ある霊基体》 2 《外科的摘出》 2 《思考囲い》 1 《真髄の針》 1 《浄化の印章》 1 《アーボーグの報復》 1 《汚染》 1 《罠の橋》 3 《摩耗 // 損耗》 -サイドボード(15)- |
グランプリが終わり、遂に明らかになった「ゾンバーメント」みたいなものの正体。それはなんと......ゾンビレス!そ、そんな進化があるのかと驚いたものだが、僕も《ゴブリンの砲撃》を突き詰めるあまり《ドライアドの東屋》と《壌土からの生命》《踏査》を投入したデッキを作った末に「これ『土地単』でええやんけ!」と深夜に叫んだ経験があるので、進化しすぎてゾンビレスになるのはよくわかる。もはやあるあるネタだ。そんなことはどうだっていい。
このデッキの最大の特徴は、4枚採用された《秘密の備蓄品》。そう、紛争デッキなのである。
紛争条件を満たしていればターン終了時に1/1の霊気装置トークンを生成するこのエンチャントと、蘇るクリーチャー(このデッキでは《恐血鬼》)とを併せて、生け贄エンジンに無尽蔵のガソリンをぶち込み続けようというわけだ。爆撃紛争デッキ、というわけである。
《恐血鬼》と相性の良いカードが多数。《信仰無き物あさり》で捨てて、土地を置いて戦場に戻したら《陰謀団式療法》のフラッシュバックコストで手札をズタズタにしてやろう。《ギタクシア派の調査》でカンニングするのも良いぞ。
《ゴブリンの砲撃》で投げつけたり《秘密の備蓄品》で占術したりしながら《墓穴までの契約》でクリーチャーは根絶やしに。攻勢に転じたら《融合する武具》《梅澤の十手》を装備させて敵陣に突っ込ませる!《汚染》でマナロックしてやっても良いね。これに《苦花》《未練ある魂》《秘密の備蓄品》とトークン生成カードまで加われば、エンジンが回らない方がおかしいってぇ!
このようなエンチャントとアーティファクトを多数採用した構築は、レガシーにおいては《悟りの教示者》を使えるのが強みとなる。《ゴブリンの砲撃》は1枚しか採用されていないが、デッキには実質3枚入っていることになる。メイン&サイドともに1枚挿しがしやすくなる、エターナル・フォーマットならではのテクニックだ。
これは、ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifがグランプリ・シカゴ2009にて披露した《悟りの教示者》+14種類サイドボードが世に知られてから一般的なものになったように記憶している。こういう構築はデッキに柔軟性を持たせられるので好きだ。ただ、《ゴブリンの砲撃》1枚のみで回してみると手札破壊や打ち消しで対処されてしまうと悲しくなるので、個人的には2枚目が欲しいかなとも思ったり。
独創的なリストでレガシーの100名を超えるトーナメントで準優勝、素晴らしい。まだまだここから進化しそうなリストで、これからにも期待。僕はトラディショナルなゾンビ型を今一度見直してみようかなと思ったり。こういうデッキが流行って、レガシーのメタゲームももうちょっと動いてくれるようになったら嬉しいんだけどなぁ。
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