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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Doomsday(レガシー)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Doomsday(レガシー)

by 岩SHOW

 Doomsday......最後の審判、即ち地球・人類最後の日......なんとカッコイイ響きだろう。この世の終わりを示すこのカッコイイ単語。そのルールは、法によって裁かれ刑罰を受ける、という意味合いだったらしい。

 DoomsdayおよびDoomはマジックのカード名でもその姿を見ることがある。その中でも最も使われたのは《破滅の刃》(Doom Blade)だろう、これは疑う余地がない。《はじける破滅》(Crackling Doom)が飛び交っていたのも懐かしい。しかし至高の1枚を選ぶとなると、そりゃもう《最後の審判》(Doomsday)以外にはあり得ない。カード名、イラスト、マナ・コスト、そして呪文自体の効果......そのどれもが美しい。

「あなたのライブラリーと墓地からカードを5枚探し、残りを追放する。選ばれたカードをあなたのライブラリーの一番上に望む順番で置く。あなたは自分のライフの端数を切り上げた半分を失う。」

 割ととんでもないことがテキスト欄に書かれている。裁きが下され、運命の5日間を戦えということなのだろう。マジック始めたてのキッズ時代はとにかくパックから出たカードは全部使う、レアならなおさらのことそうだった。そこに来てこのカードは見た目がカッコよく、効果もなんだか強そうだ。使ってみる。ん~何がしたいんだこれは! 当然のようにライフもライブラリーも足りずの敗北......運命は我を見放した......。

 長年、一体どう使うべきカードなのかはわからぬまま......大人になったある日、レガシーでこれを使用したデッキを友人が作ったので回したことがある。ライブラリーを上から《殻船着の島》《輝く根本原理》《最後の罰》《焼尽の風》2枚の5枚にし、《殻船着の島》で《輝く根本原理》を秘匿、ライブラリーがわずか3枚なので能力起動の条件を満たし、唱えられた根本原理からめくれた3枚を対戦相手がどう2つに分けても20点のライフを失わせることが可能という......なかなかに楽しいデッキだった。勝つまでにタイムラグが生じるのがどうしようもなく、《不毛の大地》《台所の嫌がらせ屋》なんかで簡単にコンボが不発という弱点があり、今振り返るとデッキと呼べる代物ではなかったが......コンボ欲は満たしてくれた。全5回戦のトーナメントで3勝2敗で終わったので、当時のレガシーがいかに牧歌的なものだったのかがよくわかる。わからん殺し、最高。

 それから数年......《最後の審判》を用いたコンボデッキ「Doomsday」は、相性の良いカードを複数手に入れて、立派なコンボデッキとして成立した。規模の大きめのトーナメントだと、このデッキを持ち込んでくるマニアが1人2人はいるもの。無視できない存在となった、テクニカルなデッキの全貌を紹介しよう!

g0ld_rook - 「Doomsday」
Magic Online Competitive Legacy Constructed League 5勝0敗 / レガシー (2017年2月17日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《
2 《Underground Sea
2 《Volcanic Island
1 《Tropical Island
1 《Badlands
4 《汚染された三角州
2 《溢れかえる岸辺
2 《血染めのぬかるみ

-土地(16)-

1 《研究室の偏執狂

-クリーチャー(1)-
4 《ライオンの瞳のダイアモンド
2 《水蓮の花びら
4 《暗黒の儀式
4 《渦まく知識
4 《ギタクシア派の調査
4 《思案
4 《師範の占い独楽
4 《強迫
3 《陰謀団式療法
1 《汚物の雨
3 《燃え立つ願い
2 《突然の衰微
1 《留まらぬ発想
3 《最後の審判

-呪文(43)-
3 《ザンティッドの大群
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール
1 《陰謀団式療法
2 《突然の衰微
1 《最後の審判
1 《冥府の契約
1 《巣穴からの総出
1 《虐殺
1 《苦悶の触手
1 《Tropical Island
1 《殻船着の島
1 《カラカス

-サイドボード(15)-

 《ギタクシア派の調査》と《研究室の偏執狂》を手に入れたことにより、このデッキは完成した。マナを払わずに即座に積んだカードを手札に引き込める《ギタクシア派の調査》のおかげでかなり早いターンからでも仕掛けられるようになった。《研究室の偏執狂》は簡単な勝ち筋をこのデッキにもたらした。簡単とは言っても特殊な動きには違いないが......このデッキについてパーツそれぞれについて語ってもあまり意味はないので、コンボの実例を紹介することにしよう。

ストーム基本形

 《苦悶の触手》で勝つには最終的にこのルートをたどることが多い。ということは、手札のキープ基準は《最後の審判》+ドロー+LEDと後は土地に《暗黒の儀式》があれば文句なしということになる。毎回全部そろっている手札がやってくるわけではないので、コンボに必要な3枚のうち2枚あって後は手札破壊と土地、という手札でキープすると良いだろう。対戦相手の《意志の力》などの妨害手段を潰して、満を持してコンボを始動させたいものである。

 審判積み込み後、《留まらぬ発想》を引く手段を《師範の占い独楽》にする手段もある。この方が多くストーム稼げるが、その分マナもいる。応用のひとつの形と覚えておこう。

マニアック基本形

 勝利条件カードの中でも、現実的なマナ・コストが売りである《研究室の偏執狂》で勝つルートだ。偏執狂=Maniac、かつ勝ち方としてもマニア向けなので、マニアックルートと呼ばせてもらおう。こちらもこれが基本形であり、例えば手札にある唯一のドロー手段が《師範の占い独楽》である場合は、積むカードを《師範の占い独楽》→《ギタクシア派の調査》に変更。独楽でドロー→発想で3枚ドロー→独楽LEDセットからのギタクシア派&LED起動→引いたギタクシア派おかわり→偏執狂出して独楽起動で勝ち、というように変化する。

 これらの基本形を基に、その状況に応じたルートを構築せねばならない。すなわち、ものすごく難しいデッキである。《最後の審判》でマナブーストとドローを積んでもう1回《最後の審判》、というストーム稼ぎなんかが、その場その場のアドリブでできなければならない。家持って帰って宿題でやっていいならともかく、こんなの即興で最適解を弾きだせないよ!と嘆く前に、練習あるのみじゃ。一人回しはこのデッキにおいて、必ずや君の血肉となってくれることだろう(身近に練習に付き合ってくれるプレイヤーがいればそれが最高だけども)。

 多分使い方が一番難しい......というか手なりで使っちゃいけないカードは《ギタクシア派の調査》だ。適当に使ってしまうと、確実に後悔する。

 《最後の審判》後のドロー手段として、これほど使いやすいカードもない。複数引いたからといって、無駄に2連打してライブラリーを掘る、とかはなるべくしないように!《陰謀団式療法》とセットできた場合は、遠慮なく相手の精神を覗いちゃえ!という状況もあれば、持たれていると困るカードが特定されているのであればそれを指定して調査は温存、という状況も。

 結論として、こういう見るからにマニアックなデッキは、急造付け焼刃ではその真価を発揮しないということ。コピーしてトーナメント出て全然ダメじゃん→解体、となる前に、もうちょっと練習してみよう。つまりは、《最後の審判》というカードが本当に好きな人が使うべきデッキだ。Enjoy your Doomsday!

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