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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジェスカイ・メンター(ヴィンテージ)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジェスカイ・メンター(ヴィンテージ)
by 岩SHOW
先日、ルイス・スコット=ヴァーガスLuis Scott-Vargasがこんなツイートをしていた。
On the draw vs unknown with Jeskai Mentor. Keep or mull? pic.twitter.com/GgrEg82X1a
— Luis Scott-Vargas (@lsv) 2017年3月4日
「後手、対戦相手のデッキは不明。この手札、キープorマリガン?」という問いかけだ。あなたはどうする?
......使っているデッキがわからないから何とも言えない? ごもっともだ。ルイスがこの時使っていたのは「ジェスカイ・メンター」。近年生み出されたクリーチャーの中でも指折りのパワーカード《僧院の導師》を用いたデッキだ。導師=Mentorなので、これを用いたデッキは概ね○○メンターと呼称される。
《僧院の導師》はスタンダードやモダンしかプレイしていないとその真価が分かりづらいカードかもしれない(とは言ってもどっちでも強かったけど)。エターナル環境には、他のフォーマットにはない強力な軽量呪文があふれかえっており、これらを連打することで導師のポテンシャルを最大限に発揮することができる。レガシーの「奇跡コントロール」でも定番の勝ち手段となっているが......今日はヴィンテージでの暴れっぷりを見ていこう。その上で、キープorマリガンを考察してもらえればなぁと。
2 《島》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《沸騰する小湖》 2 《不毛の大地》 1 《露天鉱床》 -土地(16)- 2 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《瞬唱の魔道士》 4 《僧院の導師》 -クリーチャー(7)- |
1 《Black Lotus》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Sapphire》 1 《Mox Ruby》 1 《Ancestral Recall》 1 《思案》 4 《定業》 1 《渦まく知識》 2 《ギタクシア派の調査》 4 《剣を鍬に》 1 《断片化》 3 《精神的つまづき》 3 《石のような静寂》 1 《Time Walk》 4 《意志の力》 4 《噴出》 1 《時を越えた探索》 1 《宝船の巡航》 1 《ダク・フェイデン》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(37)- |
3 《封じ込める僧侶》 4 《墓掘りの檻》 2 《断片化》 2 《紅蓮破》 1 《精神的つまづき》 1 《静寂》 1 《突然のショック》 1 《平地》 -サイドボード(15)- |
実にヴィンテージらしい1枚挿しの雨あられ。《渦まく知識》《思案》なんかも制限カードなので、こうなってしまうのはしょうがない。なぜレガシーで4枚使えるカードがヴィンテージで制限なのかって? これらのカードはたった1マナでライブラリーを掘り進む能力が非常に高く、他の制限カードにいとも簡単にアクセスできてしまう。それゆえに、このフォーマットでは制限という措置が取られている。閑話休題。ジェスカイ(白青赤)カラーのデッキであり、デッキの中心は青。導師のための白と、サポート用にちょっぴり赤といった色配分だ。
制限カードたっぷりのヴィンテージ、一見ややこしいフォーマットに思えるかもしれないが、このデッキは比較的簡単な動きをする方だ。導師を出す、呪文を唱える、導師が生み出すトークンと導師自身の果敢を誘発させ、殴り勝つ。複雑怪奇なコンボデッキの類に比べれば、随分楽なデッキだ。とにかく目指すところは導師を素早く展開すること・展開した後にこれを護りつつトークンを増やすこと・果敢で殴ってジ・エンド! デッキに採用されているカードは、これらを円滑に行うためのものである。
ヴィンテージは青いデッキと、アンチ青デッキの戦場である。《僧院の導師》を戦場に出すためには、打ち消しの打ち合いや、あるいは戦場に出なくさせる妨害の類との攻防を制さねばならない。《意志の力》はこのデッキのフィニッシャーを強引に通すためのものである。どうせ《Ancestral Recall》や《宝船の巡航》で失ったリソースは回復できるので、惜しみなく手札を追放しながら唱えていこう。
《精神的つまづき》はどちらかと言えばカウンター合戦で生きるというよりは対戦相手のカードを探しに行くことを妨害する1枚。こちらもさっさと投げつけてしまって良いだろう。後に《瞬唱の魔道士》でお代わりすれば良い。《ギタクシア派の調査》はこちらの仕掛けるタイミングを調整するにはもってこいのカードであり、導師着地後はマナなしでトークンと果敢を誘発させるナイスカードだ。
先述のように、消費した手札はドロー呪文で回復させる。そこから引いてきたカードをつなげていって、対戦相手を圧倒する盤面を築き上げるのだ。今さら《Ancestral Recall》なんかについて書くこともないので(1マナ3ドロー!めちゃ強い!)......ここは《噴出》をピックアップ。
5マナで2枚ドローだとさすがに弱いが、それがピッチ(代替コスト)だと0マナになるとしたら?このカードは《島》を2枚手札に戻すことでマナ・コストを支払わずに唱えてOKという、とんでもないカードである。戻した島カードを戦場に出し直せば、マナが増える。戻した不要の島カードを《渦まく知識》《精神を刻む者、ジェイス》でライブラリーに戻して《溢れかえる岸辺》などでシャッフルしてやれば、あるいは《ダク・フェイデン》で入れ替えてやれば......もたらすアドバンテージはカード2枚ってレベルじゃない! 導師との相性も抜群で、これをギャリギャリ唱えてモンクまみれの戦場を構築したいというのがこのデッキの魂胆だ。
「ジェスカイ・メンター」はアーティファクトに頼らないデッキというのも見逃せないポイント。導師をいち早く唱えるために《Black Lotus》など0マナのマナ・アーティファクトを採用しているが、色の合わないMoxも取り入れてまでそれを狙おうとはしていない。アーティファクトを必要最小限に抑えることで、メインから《石のような静寂》を採用することが可能となった。
アンチ青デッキの筆頭であるアーティファクトを大量に用いたデッキ、「MUD」などの類のデッキに対してメインデッキから最終兵器を用意してあるのだ。アーティファクトが何も能力を起動できなくなってしまいまさしく石ころになってしまうこのエンチャント......アーティファクト・デッキ側から見ると血も涙もない1枚だが、そっちはそっちで無茶苦茶してくるので、これでおあいこ。極限のレベルでバランスが取れていると言えよう。
冒頭のルイスのツイートに話は戻って......彼はあの手札をキープ。対戦相手のデッキは同型、1ターン目のドロー(あるいは《思案》でのドロー)が都合の良いものだったようで、最終的にゲームにも勝ったとのこと。あの手札だと......土地引いて《思案》唱えて導師見つかって《Black Lotus》から唱えて相手の《意志の力》に《意志の力》で応戦して、相手の《剣を鍬に》を《精神的つまづき》で弾いて、続くターンに土地置いて《Time Walk》......みたいな無茶苦茶でもやってのけたのだろうか。
こういうことが瞬時に思いつくか否か、これは日頃からトレーニングしていないと身につかない! Twitterなんかを見ていると国内外を問わずさまざまなプレイヤーがキープorマリガンツイートをやっていたりするので、そういうのを検索してみると良い暇つぶしになるかもしれないよ。
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