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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
プロツアー・指輪物語 前編
どうも!市川です。今回もプロツアーに向けての調整記、大会レポートを綴っていこうと思います。
前編では、7月28日から30日までに行われた「プロツアー・指輪物語」に向けての調整記をお送りします。よろしくお願いします。
0.近況と目標
前回の「プロツアー・機械兵団の進軍」では11勝5敗で、「プロツアー・指輪物語」の権利を獲得しました。
次のプロツアーの権利が確定したので、プロツアー後はチャンピオンズカップファイナル サイクル3の解説をさせて頂いたりしていました。
・2022-2023シーズン「プロツアー3」における獲得精算マッチ・ポイント上位32名および同率32位のプレイヤー全員(すでに第29回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権へ招待されている者は除く)。
みなさんももう聞き飽きたかと思いますが、上記の条件での世界選手権出場を目論む「こっそり世界選手権出場計画」もいよいよ千秋楽と相成りました。
「プロツアー・指輪物語」出場前の精算マッチ・ポイントランキング(プロツアー・トップ8などで世界選手権の権利を既に有しているプレイヤーを除く)で12位、最終的に32位以内にいれば良いわけですから、かなりの好位置に付けています。
というか2プロツアーでの獲得精算マッチ・ポイントが想定より多かったため、「プロツアー・指輪物語」を初日抜けでマッチ・ポイントの上乗せが決まったら99.9%確定、なんなら初日落ちで上乗せができなかったとしても大体の確率で32位以内に入れそうな見立てです。
38点以下のプレイヤーは精算マッチ・ポイントによるプロツアー招待がありません。
前回の「プロツアー・機械兵団の進軍」で9勝7敗以上したプレイヤー以外を除くと、各々が地域チャンピオンシップでプロツアー権利を獲得しなければなりません。それ故に、ほとんどの人が「プロツアー・指輪物語」に参加すらできていない状況です。
まとめると、自分の下から追い上げてくるプレイヤーがそもそも少なく、20人も自分を追い抜くことはないだろうという判断になるわけです。
・直近3回分のプロツアーにおける合計精算マッチ・ポイント39点以上のプレイヤー。
世界選手権に出場するのみであればポジティブな情報が沢山あつまってきていますが、これからもプロツアーは続きます。ここで初日落ちしてしまうとこれから直近3回のプロツアー全てに影響が出てしまい、プロツアー継続参戦も困難に。
ゴチャゴチャ色々と書きましたが、つまるところ世界選手権をロックさせるために初日落ちを避けつつ、もちろん上位を目指すいつもと同じ感じの目標になりました。
1.調整メンバー
プロツアーとなれば恒例の調整メンバー大集合だわいわい。
「プロツアー・機械兵団の進軍」から継続参戦の7名。
- 市川 ユウキ
- 佐藤 レイ
- 高橋 優太
- 中村 修平
- 原根 健太
- 森山 真秀
- 矢田 和樹
佐藤さん以外は世界選手権の権利が確定しておらず、そのボーダーは人により様々ですが、みな鼻息の荒い面々です。
- 井上 徹
チャンピオンズカップファイナルで権利を獲得した井上さん。以前より調整メンバーに加わっていた経歴があり、今回よりプロツアーに復帰しました。
- 松浦 拓海
今回からは「プロツアー・ファイレクシア」でトップ8入賞し、世界選手権の権利を獲得した松浦さんも新たに加入。原根さんとは旧知の仲らしく、そこ経由での勧誘でした。
チーム内で希少なアグロデッキマスター、無尽蔵な体力から繰り出される練習量、そして持ち前の明るさでチームに貢献してくれました。
世界選手権、次シーズンのプロツアーと頼もしい仲間が増えましたね。
今回は以上の9名で調整を開始しました。
2.モダン
ラクドス想起
3 《血の墓所》 3 《湿地の干潟》 4 《黒割れの崖》 4 《血染めのぬかるみ》 1 《ロークスワイン城》 3 《沼》 1 《山》 1 《滅びの山》 -土地(20)- 4 《歴戦の紅蓮術士》 4 《ダウスィーの虚空歩き》 4 《激情》 4 《悲嘆》 4 《敏捷なこそ泥、ラガバン》 4 《オークの弓使い》 -クリーチャー(24)- |
2 《血染めの月》 3 《思考囲い》 3 《稲妻》 2 《終止》 3 《フェイン・デス》 3 《不死なる悪意》 -呪文(16)- |
2 《血染めの月》 3 《仕組まれた爆薬》 2 《真髄の針》 2 《虚空の杯》 2 《碑出告が全てを貪る》 3 《未認可霊柩車》 1 《黙示録、シェオルドレッド》 -サイドボード(15)- |
『指輪物語:中つ国の伝承』発売後、最初に注目を浴びたのはラクドス想起でした。
《オークの弓使い》は『指輪物語:中つ国の伝承』注目カードの1枚です。
《考慮》や《ミシュラのガラクタ》などのドロースペルに対して牽制を掛けつつ、《エスパーの歩哨》や忠誠値の残った《時を解す者、テフェリー》などを対処することが可能となります。
文字に起こすとなんだか大したことはなさそうですが、イゼット・マークタイドの《考慮》を《手練》に変えさせたり、《エスパーの歩哨》が主力であったハンマータイムを環境から退場させたりするほどのインパクトがあります。
そんな《オークの弓使い》ですが、ラクドス想起にもジャストフィット。
前環境のラクドス想起は2マナ域の能動的なアクションが《ダウスィーの虚空歩き》のみで、3マナ域に《歴戦の紅蓮術士》を筆頭に《血染めの月》、《鏡割りの寓話》など合わせて6~8枚入っていました。土地が20枚のデッキでそのマナカーブは正直絶望的です。
《悲嘆》+《フェイン・デス》コンボを決めたは良いものの、土地が2枚で止まって手札で3マナ域がもじもじしている間に相手に復帰される、といった展開が往々にしてありました。
そんな手薄な2マナ域をしっかり埋めてくれ、かつ手札で浮きがちな《フェイン・デス》とちょっと相性が良かったりなどシナジーもある《オークの弓使い》は前環境でティアー1デッキであったラクドス想起を更に押し上げ、一躍トップメタとなりました。
4色オムナス
4 《吹きさらしの荒野》 1 《聖なる鋳造所》 1 《踏み鳴らされる地》 3 《霧深い雨林》 1 《神聖なる泉》 1 《蒸気孔》 1 《繁殖池》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《寺院の庭》 1 《ラウグリンのトライオーム》 1 《ゼイゴスのトライオーム》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《平地》 1 《島》 1 《森》 -土地(23)- 3 《創造の座、オムナス》 4 《孤独》 2 《復活した精霊信者、ニッサ》 4 《喜ぶハーフリング》 -クリーチャー(13)- |
1 《エラダムリーの呼び声》 4 《レンと六番》 4 《時を解す者、テフェリー》 2 《表現の反復》 4 《虹色の終焉》 2 《鏡割りの寓話》 4 《力線の束縛》 3 《一つの指輪》 -呪文(24)- |
2 《虚空の杯》 1 《約束された終末、エムラクール》 2 《呪文貫き》 2 《秋の騎士》 2 《激情》 1 《黒曜石の焦がし口》 2 《忍耐》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 2 《一時の猶予》 -サイドボード(15)- |
『指輪物語:中つ国の伝承』で《オークの弓使い》を超える注目カード……それは《一つの指輪》です。
見た目はドローした枚数だけのライフロスを発生させる、さながら《ネクロポーテンス》ですが、《一つの指輪》はライフを失うタイミングが遅れてやってくるところがポイントです。
《時を解す者、テフェリー》でバウンスしたり、2枚目の《一つの指輪》で1枚目を墓地に送ることによって最後のライフルーズを帳消しにすることが可能です。
それゆえ6枚引いて3ライフルーズ、10枚引いて6ライフルーズといったような、極めて低いコストで大量のドローにありつけます。
戦場に出たときの能力も強力で、ハンマータイムやティムール続唱のような地道(諸説あります)にライフを削るデッキはプロテクションで大ブレーキ。
ドローエンジンを置いたと思ったら《濃霧》の役割も有しています。
4色オムナスはまさに《一つの指輪》を使うために存在しているようなデッキで、《創造の座、オムナス》で《一つの指輪》によって失ったライフを容易に取り返せますし、《孤独》や《激情》といったピッチスペルで溢れた手札をテンポに変換することも可能です。
《オークの弓使い》が入ったラクドス想起、《一つの指輪》が加入した4色オムナス、『指輪物語:中つ国の伝承』で強化された2つのデッキを中心にモダンのメタゲームが形成されていくことになります。
リビングエンド
1 《島》 1 《沈んだ廃墟》 4 《霧深い雨林》 1 《森》 2 《蒸気孔》 2 《繁殖池》 2 《植物の聖域》 1 《踏み鳴らされる地》 1 《天上都市、大田原》 -土地(15)- 4 《意思切る者》 4 《通りの悪霊》 4 《断片無き工作員》 4 《秘法の管理者》 4 《縞カワヘビ》 3 《波起こし》 4 《悲嘆》 2 《オリファント》 4 《気前のよいエント》 -クリーチャー(33)- |
4 《暴力的な突発》 4 《死せる生》 4 《否定の力》 -呪文(12)- |
2 《活性の力》 3 《神聖の力線》 1 《神秘の論争》 4 《緻密》 3 《忍耐》 2 《基盤砕き》 -サイドボード(15)- |
『指輪物語:中つ国の伝承』で強化されたデッキの一つ、それがリビングエンドです。
土地サイクリングが土地の代わりに入っているので、「何枚かのサイクリング持ちカードでキープしたけどサイクリングが続かない」といった事象や「サイクリングでドローしていったけど3マナ目が引けず《死せる生》に繋がらない」といった事象を解消してくれます。
さらに、《気前のよいエント》と《オリファント》はクリーチャーサイズも優秀です。
《通りの悪霊》や《悲嘆》を引けていないと3ターン目までにサイクリングで墓地に送れるクリーチャーは最大3枚、それらが《意志切る者》などだと《死せる生》をキャストしても押しきれるか怪しいところですが、《気前のよいエント》や《オリファント》であれば3枚のクリーチャーでも十分にゲームを取ることが可能です。
わかりやすい強化から『指輪物語:中つ国の伝承』発売後に大活躍!……それゆえ強烈に対策されることに。
どんなデッキからもサイドボード後《虚空の杯》は出てきますし、《虚空の力線》のような墓地対策も少なくとも3枚程度は採用されています。
また、能動的に墓地にクリーチャーを落とせるラクドス想起との相性は絶望的です。
特に《ダウスィーの虚空歩き》は致命的で、召喚酔いが解けてしまうと《死せる生》のキャストに対応して《ダウスィーの虚空歩き》を生け贄に→《死せる生》で戦場に戻ってきて《死せる生》を再キャストで盤面が完全に戻ってしまいます。
《ダウスィーの虚空歩き》をプレイしたターンだったとしても《死せる生》に対応して《フェイン・デス》をプレイすると同じことが起きますので、かなり再現性の高い負けパターンと言えます。
環境の対策が十分、トップメタのラクドス想起との相性が悪い、使う理由はないでしょう。
イゼット・マークタイド
2 《沸騰する小湖》 3 《蒸気孔》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 3 《島》 4 《尖塔断の運河》 1 《天上都市、大田原》 -土地(17)- 3 《濁浪の執政》 2 《緻密》 4 《ドラゴンの怒りの媒介者》 4 《敏捷なこそ泥、ラガバン》 -クリーチャー(13)- |
4 《対抗呪文》 4 《稲妻》 2 《呪文貫き》 4 《ミシュラのガラクタ》 4 《表現の反復》 3 《邪悪な熱気》 4 《考慮》 1 《否定の力》 1 《厳しい説教》 -呪文(27)- |
2 《血染めの月》 2 《仕組まれた爆薬》 1 《狼狽の嵐》 1 《トーモッドの墓所》 1 《歴戦の紅蓮術士》 1 《神秘の論争》 2 《激しい叱責》 1 《激情》 1 《未認可霊柩車》 1 《否定の力》 2 《火の中へ投げ捨てる》 -サイドボード(15)- |
土地サイクリングで強化されたのはリビングエンドだけではありません。前環境の覇者その1、イゼット・マークタイドもその一つです。
《ロリアンの発見》はインスタントスピードで細かく動くイゼット・マークタイドにとっては貴重なソーサリーカウント、《ドラゴンの怒りの媒介者》の昂揚率が大幅にアップしました。《濁浪の執政》のサイズアップにも貢献してくれますし、もちろんロングゲームになって5マナでキャストすることもままあります。
強化要素もありますが、感触はよくありません。とにかく《オークの弓使い》が厳しい!厳しすぎて《考慮》を《手練》に変えたリストなんかもありますが、それでは環境に合わせて弱体化しているだけです。
エース級の活躍を見せていた《帳簿裂き》も《オークの弓使い》を強制的に誘発させてしまったりで環境から退場。
また、4色オムナスに採用されている《喜ぶハーフリング》もネガティブ要素の一つ。
今までは《呪文貫き》や《対抗呪文》でキープして重たくソーサリータイミングのカードを弾くだけで盤面の優位を保てていたのですが、この一要素が入ってくると話は変わってきます。《喜ぶハーフリング》スタートされ、盤面に残ってしまうと《呪文貫き》も《対抗呪文》も機能しません。
そのためキープ基準の一つに「《喜ぶハーフリング》を対処できるカード」が増え、そうなってくるとマリガンも増えますし、逆に《喜ぶハーフリング》スタートされなかったとき手札に《稲妻》のような除去呪文が浮いてしまいます。
総合すると加点要素もありますが減点要素の方が多く、チーム内では高橋さんが熱心に調整していましたが調整終盤で《オークの弓使い》を筆頭に『指輪物語:中つ国の伝承』のカードが乗り越えられないと判断して断念していました。
5色独創力
2 《蒸気孔》 2 《血染めのぬかるみ》 4 《樹木茂る山麓》 1 《聖なる鋳造所》 1 《踏み鳴らされる地》 3 《ドワーフの鉱山》 1 《山》 1 《サヴァイのトライオーム》 4 《乾燥台地》 4 《沸騰する小湖》 1 《ジェトミアの庭》 1 《ザンダーの居室》 -土地(25)- 3 《残虐の執政官》 -クリーチャー(3)- |
4 《不屈の独創力》 4 《呪文貫き》 3 《時を解す者、テフェリー》 1 《異形化》 3 《表現の反復》 4 《稲妻》 1 《邪悪な熱気》 4 《鏡割りの寓話》 4 《レンと六番》 4 《力線の束縛》 -呪文(32)- |
2 《自然の要求》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 2 《否認》 2 《高山の月》 3 《夏の帳》 1 《平地》 1 《異形化》 3 《方程式の改変》 -サイドボード(15)- |
前環境の覇者その2、それが5色独創力です。
独創力のいいところは4色オムナスへの有利さ。
デッキのベースとなる《レンと六番》などのプレインズウォーカー、《力線の束縛》などの除去カードは似通っていますが、対戦相手が《創造の座、オムナス》をプレイするターンに《不屈の独創力》から《残虐の執政官》をプレイできると考えたらその差がお分かり頂けるでしょうか。
ここだけ聞くと良い感じですが、逆に良いところはここだけです。
ラクドス想起、イゼット・マークタイド、ティムール続唱などデッキの致命傷となる《血染めの月》をプレイしてくるデッキは環境に跋扈しています。
環境で浮上しつつある《スランの医師、ヨーグモス》などにも《残虐の執政官》の誘発型能力が《若き狼》などの不死クリーチャーで難なくかわされてしまったりと、看過できない障害が多すぎます。
ゴルガリ・ヨーグモス
1 《森》 1 《沼》 1 《ペンデルヘイヴン》 1 《ドライアドの東屋》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 2 《黄昏のぬかるみ》 4 《花盛りの湿地》 2 《草むした墓》 2 《育成泥炭地》 4 《新緑の地下墓地》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(22)- 3 《根の壁》 4 《若き狼》 4 《絡み根の霊》 1 《毒物の侍臣、ハパチラ》 1 《金のガチョウ》 1 《ズーラポートの殺し屋》 1 《忍耐》 1 《黙示録、シェオルドレッド》 4 《スランの医師、ヨーグモス》 4 《オークの弓使い》 4 《喜ぶハーフリング》 -クリーチャー(28)- |
4 《召喚の調べ》 2 《異界の進化》 4 《飢餓の潮流、グリスト》 -呪文(10)- |
3 《思考囲い》 1 《喉首狙い》 1 《致命的な一押し》 2 《虚空の杯》 2 《活性の力》 3 《忍耐》 1 《機能不全ダニ》 2 《一つの指輪》 -サイドボード(15)- |
前述したヨーグモスデッキ。
小粒のクリーチャーが多いため《オークの弓使い》が致命的に見えますが、マナクリーチャーをタフネス2の《喜ぶハーフリング》にしたら意外と《オークの弓使い》でキレイに対処されるカードがなくなり耐性を持ちました。
むしろ自分で採用している《オークの弓使い》が序盤の相手の猛攻を止めたり、頭数が2体出ることから《召喚の調べ》や《スランの医師、ヨーグモス》と相性が良く純粋強化。
受けるデッキには滅法強い印象で4色オムナスなどには有利に立ち会える一方、《スランの医師、ヨーグモス》でライフをリソースに変換する関係からライフを詰めてくるデッキには苦戦を強いられます。
ラクドス想起には《憤怒》+《フェイン・デス》でクリーチャーの塵も残りませんし、《ダウスィーの虚空歩き》も基本的に対処しづらく、盤面に残ってしまうと不死クリーチャー達が止まってしまいます。
ティムール続唱なども《衝撃の足音》のサイトークンがトランプルを有していて小粒のチャンプブロックを許してくれず、《スランの医師、ヨーグモス》が出る頃にはライフが少なく効果的な働きをさせてもらえません。
その他
4 《島》 2 《沼》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《水辺の学舎、水面院》 2 《沈んだ廃墟》 4 《汚染された三角州》 2 《湿った墓》 1 《ヴァントレス城》 2 《沸騰する小湖》 1 《霧深い雨林》 1 《天上都市、大田原》 -土地(21)- 2 《濁浪の執政》 3 《緻密》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 4 《オークの弓使い》 -クリーチャー(11)- |
1 《呪文貫き》 4 《否定の力》 2 《湖での水難》 4 《致命的な一押し》 4 《対抗呪文》 2 《シェオルドレッドの勅令》 4 《サウロンの交換条件》 4 《一つの指輪》 -呪文(25)- |
2 《虚空の杯》 1 《大祖始の遺産》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《集団的蛮行》 2 《滅び》 1 《虚無の呪文爆弾》 2 《神秘の論争》 3 《思考囲い》 1 《激しい叱責》 1 《緻密》 -サイドボード(15)- |
《一つの指輪》を設置し、相手の《一つの指輪》を《否定の力》したときの万能感は凄いがうっかり通ってしまうと対処出来ないディミーア・コントロール。
4 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 1 《ロークスワイン城》 4 《解体爆破場》 10 《沼》 4 《陰謀団の貴重品室》 4 《廃墟の地》 -土地(27)- 4 《黙示録、シェオルドレッド》 -クリーチャー(4)- |
4 《大いなる創造者、カーン》 4 《致命的な一押し》 4 《血の長の渇き》 4 《不憫な悲哀の行進》 2 《滅び》 4 《大祖始の遺産》 3 《一つの指輪》 4 《夜の囁き》 -呪文(29)- |
1 《仕組まれた爆薬》 1 《ワームとぐろエンジン》 4 《思考囲い》 1 《歩行バリスタ》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《虚空の杯》 1 《液鋼の塗膜》 1 《隔離するタイタン》 1 《石の脳》 1 《街並みの地ならし屋》 1 《一つの指輪》 1 《罠の橋》 -サイドボード(15)- |
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》と複数の《陰謀団の貴重品室》が揃うと凄いマナが出るぞ!→トロンでOKな黒単貴重品室。
1 《沼》 1 《森》 3 《吹きさらしの荒野》 2 《草むした墓》 2 《寺院の庭》 1 《神無き祭殿》 4 《新緑の地下墓地》 1 《花盛りの湿地》 4 《ウルザの物語》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(20)- 4 《屍肉喰らい》 3 《楕円競走の無謀者》 4 《大釜の使い魔》 2 《金のガチョウ》 4 《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》 3 《サリンスの鋼探し》 1 《機能不全ダニ》 4 《オークの弓使い》 4 《サムワイズ・ギャムジー》 -クリーチャー(29)- |
1 《バネ葉の太鼓》 4 《破滅の終焉》 1 《影槍》 4 《地獄料理書》 -呪文(10)- |
1 《虚空の杯》 1 《真髄の針》 3 《思考囲い》 2 《減衰球》 2 《活性の力》 1 《魂標ランタン》 2 《万物の姿、オルヴァール》 3 《虹色の終焉》 -サイドボード(15)- |
《サムワイズ・ギャムジー》と《大釜の使い魔》と《屍肉喰らい》が揃うと無限ドレイン!→ヨーグモスでOKなサムワイズコンボ。
その他既存のデッキであるハンマータイム、ボロス・バーンなども試してみますがどれも感触はよくありません。
調整も難航し、最終的にチームの使用デッキは4つに分かれることになりました。
3.使用デッキ
ラクドス想起
3 《沼》 2 《血染めのぬかるみ》 2 《汚染された三角州》 2 《湿地の干潟》 4 《黒割れの崖》 1 《硫黄泉》 2 《新緑の地下墓地》 4 《血の墓所》 -土地(20)- 4 《激情》 4 《悲嘆》 4 《歴戦の紅蓮術士》 1 《砕骨の巨人》 4 《オークの弓使い》 4 《ダウスィーの虚空歩き》 4 《敏捷なこそ泥、ラガバン》 -クリーチャー(25)- |
4 《思考囲い》 3 《終止》 3 《不死なる悪意》 3 《フェイン・デス》 2 《稲妻》 -呪文(15)- |
2 《碑出告が全てを貪る》 2 《鏡割りの寓話》 1 《戦慄の朗詠者、トーラック》 2 《コラガンの命令》 2 《未認可霊柩車》 2 《真髄の針》 2 《虚空の杯》 2 《血染めの月》 -サイドボード(15)- |
まずは環境トップのラクドス想起。
ここまで調整してきて、ネガティブな要素が「4色オムナスとティムール続唱にちょっと不利」以外ありません。不利なマッチアップも《悲嘆》+《フェイン・デス》コンボなどで勝ち得、ブン回りのあるデッキの良さも見えます。
真の問題はミラーマッチ。《オークの弓使い》に射抜かれたり、《歴戦の紅蓮術士》のトークンでもじもじしてしまう《敏捷なこそ泥、ラガバン》をアウトしきれる枚数をサイドボードに用意するのは重要ですが、それ以上でもそれ以下でもありません。
そこがスタートラインで、そこがゴール。
その他にメインに《血染めの月》を入れずに少しでもミラーマッチでポジティブな要素を作ろうとしましたが正直焼け石に水に感じます。
ミラーマッチで上回る要素を見つけられず、これは本番でも50%のゲームだな、といった印象。またここは感覚ですが、その安定性の低さから誰か勝つデッキではあるけど自分が勝っているイメージが沸かず私は使用を断念しました。
とはいえ理論的には悪いことは決してなく、このデッキを主体で調整していた松浦さんを筆頭にチームで最多の4名が使用。
ティムール続唱
1 《繁殖池》 2 《島》 1 《森》 4 《霧深い雨林》 1 《宝石の洞窟》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 2 《天上都市、大田原》 1 《山》 2 《蒸気孔》 1 《ケトリアのトライオーム》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《樹木茂る山麓》 -土地(22)- 2 《濁浪の執政》 2 《激情》 3 《緻密》 1 《厚かましい借り手》 4 《断片無き工作員》 -クリーチャー(12)- |
4 《ロリアンの発見》 4 《衝撃の足音》 4 《火 // 氷》 4 《死亡 // 退場》 2 《神秘の論争》 4 《暴力的な突発》 4 《否定の力》 -呪文(26)- |
2 《嵐の息吹のドラゴン》 1 《激情》 2 《黒曜石の焦がし口》 1 《緻密》 1 《探索する獣》 3 《忍耐》 1 《厚かましい借り手》 2 《嘲笑 // 負傷》 1 《神秘の論争》 1 《四肢切断》 -サイドボード(15)- |
私が最も調整に時間を掛けたデッキ、それがティムール続唱です。
このデッキもイゼット・マークタイドと同じく、《ロリアンの発見》で強化されました。
マナが比較的伸びやすいデッキですから《ロリアンの発見》の通常プレイも可能で、この構成では入っていませんが《血染めの月》下で《島》を持ってこられるのもこのデッキに合っています。
1ターン目のアクションが続唱デッキの関係上少ないことから、《ロリアンの発見》をサイクリングする余裕も多いです。
ラクドス想起は相性の良いマッチアップです。
《悲嘆》+《フェイン・デス》で手札を荒らされても《断片無き工作員》などの続唱呪文をトップデックするだけで一気に有利になります。また、それらのコンボも《否定の力》や《緻密》でキャンセルすることができ、序盤の攻防でも負けていません。
後半のトップデッキ合戦でも各種続唱呪文、《ロリアンの発見》、《激情》などの想起クリーチャーと、ラクドス想起を上回るカードクオリティで相手を圧倒することが出来ます。
ただ、対4色オムナスについては分が悪いです。先手《喜ぶハーフリング》から《時を解す者、テフェリー》は必殺パターンで、《死亡 // 退場》を引けていないと止める術がありません。
その他《一つの指輪》には《否定の力》、《創造の座、オムナス》には《緻密》といった回答こそデッキに入ってはいますが、それらをキレイに引けていないと即デッドと、分の悪い賭けが続きます。
また対トロンの相性も悪く、《血染めの月》だと時間稼ぎに過ぎないので時間稼ぎ+クロックという観点から《黒曜石の焦がし口》を採用。ただそうすると《ウルザの物語》デッキに対しての対応カードがなくなりトータルのバランスが悪くなっていきます。
《嵐の息吹のドラゴン》も同様で、4色オムナスには優れたサイドカードなのですが、それ以外にはサイドインできるマッチアップがありません。
総合すると、ガードを上げた相手には勝率をある程度改善できますが、その分デッキがピーキーになってしまいます。そのあたりのバランスを取るのが非常に難しく、私は途中で断念してしまいました。
チームでは途中から気に入ってプレイしていた佐藤さんが使用。
緑単トロン
4 《ウルザの鉱山》 3 《森》 4 《ウルザの魔力炉》 4 《ウルザの塔》 3 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(18)- 3 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 3 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(6)- |
4 《大いなる創造者、カーン》 4 《森の占術》 4 《古きものの活性》 2 《歪める嘆き》 4 《一つの指輪》 4 《忘却石》 2 《刻まれたタブレット》 4 《彩色の宝球》 4 《彩色の星》 4 《探検の地図》 -呪文(36)- |
1 《隔離するタイタン》 1 《街並みの地ならし屋》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《湧き出る源、ジェガンサ》 1 《機能不全ダニ》 1 《歩行バリスタ》 1 《歪める嘆き》 1 《罠の橋》 1 《液鋼の塗膜》 1 《石の脳》 2 《大祖始の遺産》 1 《虚空の杯》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《トーモッドの墓所》 -サイドボード(15)- 《湧き出る源、ジェガンサ》 -相棒 - |
モダン黎明期から活躍するビッグマナデッキ、緑単トロン。
《一つの指輪》は相性抜群。ターンを稼いで《絶え間ない飢餓、ウラモグ》などのフィニッシャーに繋げたいデッキですから、《濃霧》能力もドロー能力も非常に強力です。
登場当初はデッキのエースだった《解放された者、カーン》が入っていないと考えると時代の流れを感じます。
緑単トロンの弱点はズバリ……ラクドス想起に相性が悪い!リスト公開なのもネガティブな要素です。
普通ならほとんど行わない《激情》+《フェイン・デス》も対トロンであれば妨害されない8点クロック。そこに《敏捷なこそ泥、ラガバン》の疾駆が続くだけで3ターンキルの完成です。
《ダウスィーの虚空歩き》は《彩色の星》でドローできなくなるのもヤバいですが、そこから《思考囲い》などに繋がって《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を捨てられるとチョーヤバいです。というか負けです。
チーム内スパーリングでも対ラクドス想起はボコボコで、練習開始からずっと緑単トロンを調整していた井上さんをして「対ラクドス想起は割り切るしかない」とのこと。
その分4色オムナスやティムール続唱、ゴルガリ・ヨーグモスなど相性の良いマッチアップも環境に多く、割の良いベッドにも思えます……が、私はやはり環境トップのラクドス想起に勝てないと考えるとどうしても使う気が起きませんでした。
チームでは前述した井上さんが使用。
4色オムナス
1 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《森》 1 《天上都市、大田原》 1 《ラウグリンのトライオーム》 1 《繁殖池》 1 《平地》 1 《島》 4 《霧深い雨林》 1 《聖なる鋳造所》 1 《蒸気孔》 1 《踏み鳴らされる地》 1 《寺院の庭》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《インダサのトライオーム》 -土地(24)- 2 《激情》 4 《孤独》 4 《創造の座、オムナス》 2 《復活した精霊信者、ニッサ》 4 《喜ぶハーフリング》 -クリーチャー(16)- |
4 《時を解す者、テフェリー》 4 《レンと六番》 4 《虹色の終焉》 4 《一つの指輪》 4 《力線の束縛》 -呪文(20)- |
1 《隔離するタイタン》 1 《機械の母、エリシュ・ノーン》 2 《忍耐》 3 《砕骨の巨人》 2 《ドビンの拒否権》 1 《エラダムリーの呼び声》 2 《虚空の杯》 3 《耐え抜くもの、母聖樹》 -サイドボード(15)- |
最終的に私が使用することにしたのは4色オムナスです。
まず、環境トップのラクドス想起に有利であること。トップデックの強いデッキですし、カード1枚1枚のインパクトでラクドス想起に勝ります。
サイドボード後の《血染めの月》や《戦慄の朗詠者、トーラック》は鬼門ですが、《血染めの月》下でもプレイでき、《戦慄の朗詠者、トーラック》の手札破壊から逃げられ、スタックであれば除去することも可能な《砕骨の巨人》を見つけてからはサイドボード後も明確に有利に感じられました。
また、ミラーマッチも《隔離するタイタン》を採用することでサイド後有利に立ち向かえます。《隔離するタイタン》は本当に劇的なカードで、だいたい戦場に出たときに相手の土地5枚を叩き割り、戦場から離れたときに更に相手の土地3枚、こちらの土地1枚くらいを破壊します。
デッキリストを見ていると《隔離するタイタン》を採用したリストはチラホラと散見されますが、メジャーなアプローチではなく、これは十分にミラーマッチを制するエッジだと考えました。
ラクドス想起と4色オムナスミラー、2つのTier1デッキに明確なゲームプランを持っていることが決定打となり、自分自身では10マッチくらいしかプレイしていませんでしたが、使用を決意しました。
調整初期から4色オムナスをプレイし続けていた森山さんを筆頭に、3人のプレイヤーが使用。
9人で本当に様々なデッキを試してきたんですが、最終的な候補が「ラクドス想起」「ティムール続唱」「緑単トロン」「4色オムナス」――なんとも普通な4択で、如何にモダンの牙城を崩すのは難しいのか実感しました。
と、いったところで前編は終わり。
後編はドラフト環境の考察からトーナメントレポートをお届けします。お楽しみに!
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