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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ) 後編
こんにちは! チーム『武蔵』の市川です。
今回は前回の続きとして、2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ)に向けての大会レポートを綴っていこうと思います。よろしくお願いします。
0.出発/トラブル
バルセロナは日本からは直行便がなく、どこかで乗り継ぎをする必要があります。
今回はオランダ、アムステルダム・スキポール空港で乗り継ぎすることにしました。
アムステルダム経由はバルセロナに行くにあたっては、ヘルシンキやドバイ乗り継ぎと比べると移動距離が少なく、少ない移動時間で済みます。
また、似たようなルートであるパリ経由は、空港が大きく乗り継ぎが大変です。それに伴いパリを経由すると荷物の紛失(バゲージロスト)、遅延も多く、あまり良い思い出がありません。
つまるところアムステルダム経由は移動時間もそこそこにトラブルの少ない空港で、私オススメのヨーロッパ乗り継ぎ空港なのです。……でした。
アムステルダムの空港に到着後、乗り継ぎ先のフライトのゲートに移動→その後ゲート変更→さらに移動→なかなか飛行機が飛ばず、予定の出発時間をゆうに1時間ほど過ぎた時に、無情にも響き渡るアナウンス。
「フライトはキャンセルされました。」
Per @eurocontrol, electrical issues with the fueling system at Amsterdam (AMS) are affecting flights and issues are expected to persist through tomorrow morning. At least one flight has diverted and others are expected. https://t.co/sVZWoPdKLK
— Flightradar24 (@flightradar24) 2019年7月24日
@Menzo2003 pic.twitter.com/qoHReBTI3A
なんと空港自体の給油システムのトラブルで、アムステルダム・スキポール空港ほぼ全ての便に影響が発生。
私たちが乗り継ぐ予定だったフライトもご多分に漏れずキャンセルになり、明日の便も含めてアムステルダム発、バルセロナ着の便は取れないとのこと。
該当便がエンジントラブルなどで欠航になり、次の便に乗って移動する話はよくあることですが、まさかの空港自体のトラブルによりバルセロナへの道が途絶えるとは。
兎にも角にもアムステルダムからバルセロナに空路で向かう道は消滅しました。
ここで取れる選択肢は近隣の国、空港からバルセロナに向かう、です。
「アムステルダムからバルセロナに向かえない」
という事実も空港内を右往左往してようやく確認できたことであり、この時にはすでに夜遅く。
アムステルダム空港全体の問題ですので、同じ事態になっている人は多く、さまざまな移動手段が秒単位で埋まっていきます。
周りのプレイヤーに聞いたり、インターネットで調べたりしてわかったことは、
- 向かうならパリかブリュッセル
- どちらもアムステルダムから高速鉄道で移動できる
高速鉄道の時刻表を確認するに、もうこの時間帯からパリおよびブリュッセルに移動することはできません。
ただ、朝であれば6時ごろから列車は出ており、それで該当の空港に2時間程度あれば到着できます。
万が一にさらなるトラブルに巻き込まれた場合、大きい空港である方が柔軟な選択肢を取りやすいだろうという判断から、13時にパリを発つ飛行機を手配することにしました。
とりあえずはアムステルダム空港近くでホテルを予約し、そこから早朝にアムステルダムの駅からパリへ向かうという旅程に。
と、決めたのも矢先。
高速鉄道は予約制で、アムステルダムからパリに向かう高速鉄道はもう売り切れ。
そのため他の道のりでパリに向かわなければなりません。
同じミシックチャンピオンシップ参加者の方に、
アムステルダム→アントワープ(ベルギー)→パリ
の乗り継ぎであれば高速鉄道があると伺いましたが、
アムステルダム→アントワープ
の高速鉄道はもう私たちが見た時には売り切れていました。
そのため、まずアムステルダム→アントワープは配車アプリを利用して車で移動(約2時間)。その後アントワープ→パリは高速鉄道で移動(約2時間)。からのパリ→バルセロナの飛行機に乗るという手はずに。
まさかの日本→オランダ→ベルギー→フランス→スペインの5か国を股に掛ける大移動となることが決定。いよいよ欠航からフル回転させ続けている頭も吹き飛びそうですが、そんなことは言っていられません。
もう23時を回っていますし、明日は5時にホテルを発つことになりますが、少しでも休息は必要です。今日より明日の方が大変なわけですから。
一同、予約していたホテルに移動することに。
フロント「ウチ、18時以降○○(予約サイト)で予約されると、部屋が満杯でも際限なく予約を受けちゃうんだよね。キミたちの部屋はないよ。ロビーのWi-Fiを貸してあげるから、他のホテルを予約したら?」(本当にこう言われました。)
この時、行動をともにしていたのは調整チーム『武蔵』のチームメイトである行弘さん、高尾さん、原根さん、そして私。
日本から10時間以上かけてアムステルダムに到着。アムステルダムで乗り継ぎ便を待ちに待った挙句欠航。サービスカウンターをたらい回しにされてようやく実情を知り、慣れないながらも新たな旅程を作成。パリに直接向かえないないことが判明し、ベルギーを経由する大移動が決定。空港に人があふれかえっていて満足に食事も摂れない。空港からホテルまでの配車が上手くいかずなかなか車に乗れないetc……。
さまざまな要因が何時間も私たちを抑圧していましたから、私含む4人の心臓から「ボキ」と、心が折れる音が聞こえたような気がしました。それに腰も砕けていたような気がします。
また、このタイミング、水曜の0時までがデッキリストの提出期限。
本来ならバルセロナに到着してチームメンバーと討論して決めようと考えていた細部が全く詰め切れていませんが、どんだけ不運に見舞われようとも、期限は公平にやって来ます。
もう自分の感覚を信じて提出するしかありません。
しかし、やはり7月とはいえ夜の床は冷えます。
10代の頃はこういう無茶な雑魚寝をよくやりましたが、このくらいの歳になると全然無理。夜の3時くらいには寒さに耐えられず起きてしまいます。
行弘さんも同じだったようで、2人寒さに耐えながら、出発まで「ホガーク・ヴァイン」のサイドボード後をプレイすることにしました。
1.移動/トラブル
朝4時にブリュッセルへ移動する松本さん、村栄さんを見送り、私たちも車でアントワープへ移動。
普段のヨーロッパ遠征で見たこともない田舎道を通りながらも、朝の7時にはアントワープの駅へ到着。普段ミシックチャンピオンシップやマジックフェストが開催されている場所がヨーロッパの都市であることが実感できました。
アントワープ発、パリ着の列車は昨日予約できる便の中で一番早い8時半ごろの便。
アントワープから約2時間でパリ北駅に到着します。パリ北駅からパリの空港であるシャルルドゴール空港に向かうには30分程度ですから、おおよそ11時には空港に到着する予定です。
ヨーロッパ間の移動は日本でいうところの国内移動に近いので、出発の1時間前に空港にいれば大丈夫なはず。
13時にパリ発の飛行機ですから、ある程度余裕をもった旅程と言えるでしょう。
該当の列車は20分遅れでアントワープに到着。
それでも1時間程度余裕を持った旅程なので大丈夫……なはず。
とか考えていたら、なんとまだ道程の半分にも達していないブリュッセル駅で1時間以上の立ち往生。
ようやく動き出したと思ったらノロノロ走行(多分前の列車が詰まっていたんだと思います)で、なんとパリに到着したのは14時と、当初の到着時間より2時間以上の遅延。
これによりパリ→バルセロナで乗る予定だったら飛行機に乗れないことが確定しました。
ここまで来るといよいよ何かしらの《運命のきずな》をもって私をミシックチャンピオンシップに出場させない何かが働いているのかなとかオカルトめいたことを考え出しますが(精神的にも肉体的にも憔悴しています)、そんなことは言っていられません。
空港に着いて、一応はカウンターで事情を説明してみるも、やはり陸路での遅延は保証対象ではなく却下、この航空券代は完全に丸損です。
予定していた航空会社は当日中のバルセロナ行の便はもうなかったので、他の航空会社に掛け合って、何とか夜の22時ごろに着く便を手配します。
普通の航空会社→LCCという格安航空会社に変更した分、だだっ広いシャルルドゴール空港のターミナル間を長時間を要して移動。
しかし、いよいよもって、紆余曲折を経て、とうとうバルセロナ行の飛行機の前までたどり着いた一行。見えない道を歩き続けるような不安感に苛まれてきましたが、ゴールが見え安堵感に包まれます。ほぼ飲まず食わずで移動していたので、軽食ではありますが何か摂ろうかと、交代でカフェで注文をしていきます。
私が軽食を持ってテーブルに戻ってきたら、同行者の原根さんが何やら慌ただしい様子。
話を伺ってみると、どうやらカバンに入れていたユーロが丸々なくなっていたとのこと。
ヨーロッパはスリが多いですし、おおよそ高速鉄道の中で盗られたことが予想されます。
最後の最後まで、本当にトラブル続きの旅でした。
何とかバルセロナに到着したのが木曜日の22時。本来なら水曜日の18時ごろに到着する予定だったので、24時間以上移動に浪費したことになります。
さすがにバルセロナのホテルに着いた時には、移動中に感じていた「果たしてミシックチャンピオンシップに間に合うのか」「これだけコストを掛けて間に合わなかったらどうしよう」という強いストレス状態から解放されたことも相まって完全ダウン。
本当は今日はドラフトをする予定だったんだけどなぁ……と考える間もなく眠りにつきました。
2.初日
ドラフトラウンド
初手はトップアンコモンとも呼び声高い《金切るときの声》。
白は『モダンホライゾン』環境において最も弱いカラーリングであることは間違いありませんが、《金切るときの声》は別格。白に参入する少ない動機の1つでしょう。
白は《叶えられた祈り》、《変容の軍勢》などマナ拘束の強いカードがコモンに多く、白を使うのであれば《平地》が10~11枚入るような、白単ベースなピックが求められます。
そのノウハウに沿って、1パック目をほぼ白単気味にピック。
2パック目からはその恩恵か白のトップコモンである《ロウクスの古参兵》、《叶えられた祈り》などがドシドシ流れて来て良い展開。
と思ったら2パック目の5手目と、とても遅い順目で《金切るときの声》が!
16 基本土地 1 《灼陽大峡谷》 -土地(17)- 1 《セゴビアの天使》 2 《復讐に燃えた悪魔》 1 《第六隊の騙し屋》 1 《ザルファーのおとり》 3 《ロウクスの古参兵》 1 《変容の軍勢》 3 《千本刀の壁》 1 《炎血の精霊》 -クリーチャー(13)- |
1 《炎恐怖症》 1 《避難》 1 《奮起の演説》 3 《叶えられた祈り》 1 《揮発性鉤爪》 2 《金切るときの声》 1 《超現実的決着》 -呪文(10)- |
- 第1回戦 緑白 ○○ (Ben Friedmanさん)
- 第2回戦 赤黒 ○○ (Simon Gortzenさん)
- 第3回戦 青黒 ××
結果は2勝1敗。
23枚目として採用した《揮発性鉤爪》が良く《金切るときの声》と組み合わさって火を噴いてくれました。
第1回戦の1ゲーム目は《ロウクスの古参兵》→《金切るときの声》→《揮発性鉤爪》でパワー4が5体でアタックと、1回の攻撃で20点ピッタリ削り切る活躍。
第3回戦の青黒は、環境最強の「青黒忍者」ではなく、《ミルカイト》とサイクリングカードを組み合わせた、どちらかというと「青赤スペル」に近い構成でした。
そこまで相手のデッキも強くなさそうでしたが、マリガン続き+デッキの大部分とも言える《金切るときの声》をドローできずで敗北。
構築/使用デッキ
使用デッキは「ホガーク・ヴァイン」。
2 《沼》 2 《草むした墓》 1 《血の墓所》 1 《湿った墓》 1 《蒸気孔》 4 《汚染された三角州》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《宝石鉱山》 2 《マナの合流点》 -土地(19)- 4 《屍肉喰らい》 4 《墓所這い》 4 《面晶体のカニ》 4 《縫い師への供給者》 2 《墓所破り》 4 《恐血鬼》 4 《サテュロスの道探し》 4 《復讐蔦》 4 《甦る死滅都市、ホガーク》 -クリーチャー(34)- |
4 《信仰無き物あさり》 3 《致命的な一押し》 -呪文(7)- |
2 《疫病を仕組むもの》 4 《思考囲い》 4 《暗殺者の戦利品》 4 《虚空の力線》 1 《活性の力》 -サイドボード(15)- |
デッキは前回書いた通り、調整チーム『武蔵』『曲者』謹製の「ホガーク・ヴァイン」。
《面晶体のカニ》入りの「ホガーク・ヴァイン」はジャンド型の「ホガーク・ヴァイン」に有利です。
メインデッキは基本的にはお互いの《甦る死滅都市、ホガーク》のぶつけ合い、出し合いからスタートします。それをするには十分な墓地が必要ですから、それを継続的に供給してくれる《面晶体のカニ》はその点で相手より優位に立てます。
また、《甦る死滅都市、ホガーク》の次にゲームを決めるのは《復讐蔦》の枚数です。ライフが詰まってくると《甦る死滅都市、ホガーク》は《甦る死滅都市、ホガーク》で受け止めざるを得ず、その脇を《復讐蔦》が抜けていく展開になるからです。その面でも《面晶体のカニ》が入っている分有利と言えます。
サイドボード後は基本的に《虚空の力線》を巡る攻防にしかならず、五分以上の相性がどうしても取れなかったので、《面晶体のカニ》の優位性でメインデッキを取って、サイドボード後の五分のゲーム2本のどちらかを取ることを狙いとします。
もちろん、4色にすることによって、マナトラブル、マリガントラブルが発生しやすくなるので、色が少なくても良いならそれに越したことはありません。そのためジャンド型もかなりの時間を用いて検討しました。
ただ、ジャンド型だと《面晶体のカニ》が採用できない分フリースロットが多く、その枠に《傲慢な新生子》や《ゴルガリの凶漢》など、納得のいかないパーツを採用せざるを得ないのが問題点です。
それを解消できない、満足のゆく構築が不可能であると結論付け、《面晶体のカニ》入りの「ホガーク・ヴァイン」を使用することを決意しました。
帯に短し襷に長しになりがちではありますが、その汎用性が魅力です。
ミラーマッチでは《虚空の力線》を対象に取るなら《自然の要求》の方が優れていますが、「お互いに《帰化》系スペルでキープ」すると《虚空の力線》がお互いにサイドボード後も出ないことがあり、そういう時は《甦る死滅都市、ホガーク》などを対処できる《暗殺者の戦利品》は頼りになります。
「ホガーク・ヴァイン」は基本土地を《沼》1枚しか採用していないことが多く、《暗殺者の戦利品》は重ねて引けば引くほど強く、それならば4枚取ろうと考えました。
《活性の力》は正直、緑のカードが足りていない関係で打ちづらく、全然好きではないのですが、《虚空の力線》×2のような展開に奇跡を起こすのも事実で、デッキリスト公開(サイドボードは枚数は出ずサイドに採用しているカード名だけわかります)を考えると1枚は採用しておかないと相手のプレイングが簡単になってしまうと考え、1枚採用しました。
サイドボードのフリースロット枠には《思考囲い》と《疫病を仕組むもの》を採用。
《思考囲い》は直前のMagic Onlineのリーグで「青白コントロール」が体感的に増加傾向にあり、ミシックチャンピオンシップにも多いのではないかと考えて、4枚取ることにしました。
「青白コントロール」の墓地対策は《外科的摘出》と《安らかなる眠り》で、どちらにも《思考囲い》は有効なので、対「青白コントロール」において最も強力なサイドカードと言えます。
その他、「ネオブランド」などのイレギュラーなマッチアップでもサイドインでき、その丸さも魅力と言えます。
《疫病を仕組むもの》は対「人間」、対「ドルイド・コンボ」を見越しての採用。
「人間」は練習の結果、チーム内ではバッドデッキの評価になりましたが、それでもある程度のパーセンテージはいるだろうと考えました。
《ルーンの与え手》の加入によって除去1枚程度では意に介さなくなった「ドルイド・コンボ」は「ホガーク・ヴァイン」に相性が良く、もしかするとチームで持ち込むところがあるかもしれません。
《疫病を仕組むもの》は「ドルイド・コンボ」にも強く、クリーチャータイプで「人間」を指定しておけば《療治の侍臣》が維持できない関係上コンボが決まりません。
- 第4回戦 青白コントロール ○○
- 第5回戦 ホガークヴァイン ○○
- 第6回戦 イゼットフェニックス ○×○
- 第7回戦 エルドラージトロン ○○
- 第8回戦 青白《最高工匠卿、ウルザ》 ××
初日の構築ラウンドは想定通りのデッキと当たり、星を稼ぐことができました。
最終戦の「青白《最高工匠卿、ウルザ》」はメインに1枚の《墓掘りの檻》が2ゲームとも1ターン目に置かれる展開で、サイドボード後は《暗殺者の戦利品》を持ってはいましたが、《墓掘りの檻》の他にも《最高工匠卿、ウルザ》、《練達飛行機械職人、サイ》、《罠の橋》と致命的なパーマネントの連打に泡を吹いている間に《飛行機械の鋳造所》と《弱者の剣》が揃ってしまいました。
とは言え、それまでのラウンドで終始幸運だったこともあり、4勝1敗。トータル6勝2敗で2日目へ進出。
目標としている11勝5敗へは5勝3敗で到達できますし、ドラフトラウンド次第でトップ8も見える好位置に付けました。
3.2日目
ドラフトラウンド
2日目のドラフト卓は流石にメンツも濃く、MPLメンバーでドラフトマスターのマルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalhoさんを筆頭に、プロツアートップ8・2回のジェイコブ・ウィルソン/Jacob Wilsonさん、プロツアー『タルキール龍紀伝』優勝のマーティン・ダン/Martin Dangさんと強豪揃いです。
初手は、本当に何もなく《高山の案内人》。
コモンで優秀なカードがあったらそちらを優先するレベルのパワーレべルですが、これ以外はアンプレイアブルなカードで埋め尽くされたパックで選択肢がありません。
初手《高山の案内人》はゲンナリしましたが、それ以降は環境トップコモンと名高い《大クラゲ》が2連続で流れて来る展開で息を吹き返します。
その後も青いカードを重点的にピックしていき、一周で《多角ミノタウルス》が流れてきたため「青赤スペル」デッキを狙うことに。
2パック目の2手目でマルシオさんが《霧組のナーガ》を流してきてくれたのでありがたくキャッチし、ディティールは甘いながらもそれなりに満足の行くデッキに仕上がりました。
15 基本土地 1 《焦熱島嶼域》 1 《忘れられた洞窟》 -土地(17)- 2 《ミルカイト》 1 《オークの厄介者》 1 《復讐に燃えた悪魔》 1 《明日の見張り》 3 《大クラゲ》 2 《多角ミノタウルス》 1 《高山の案内人》 1 《霧組のナーガ》 1 《貪欲な巨人》 1 《炎血の精霊》 1 《鉱石鱗の守護者》 -クリーチャー(15)- |
1 《無謀なる突進》 1 《独創のタリスマン》 3 《幻影変化》 1 《ゴブリンの戦闘隊》 1 《啓示の雨》 1 《マグマの陥没孔》 -呪文(8)- |
- 第9回戦 白黒 ×○× (Jacob Wilsonさん)
- 第10回戦 緑白 ○○
- 第11回戦 黒緑 ○○
初戦のラウンドを落とした以外は危なげなく勝利し、セカンドドラフトは2勝1敗。トータル8勝3敗で構築ラウンドへ。
初戦のジェイコブ・ウィルソンさんのデッキはレアこそ《疫病を仕組むもの》以外プレイされませんでしたが、まとまったアグロデッキで猛攻を抑えきれず負けてしまいました。
こちらは序盤を《大クラゲ》で支える構成なので、《叶えられた祈り》2連打でハマってしまう展開になってしまいました。
9-2 won a strong pod. I went 20-4 in draft last 4 PTs pic.twitter.com/cQS3gvSD4R
— Jacob Wilson (@JacobWilson95) 2019年7月27日
ちなみに今シーズンのジェイコブ・ウィルソンさんのドラフトスコアは20勝4敗(!?)と圧倒的な勝率だったようです。
20勝4敗となると、ひとつのミシックチャンピオンシップで5勝1敗平均ということになります。凄すぎる……。
構築ラウンド
- 第12回戦 人間 ○×○
- 第13回戦 ホガーク・ヴァイン ×○○
- 第14回戦 ホガーク・ヴァイン ○×× (Jelger Wiegersmaさん)
- 第15回戦 ホガーク・ヴァイン ○×× (Reid Dukeさん)
- 第16回戦 ホガーク・ヴァイン ×× (Martin Dangさん)
最後の3連戦を3連敗、構築ラウンドを2勝3敗。トータル10勝6敗で、前回のミシックチャンピオンシップ・ロンドンと同様にあと1勝足らず、ミシックチャンピオンシップの権利を逃してしまいました……。
2 《冠雪の沼》 2 《草むした墓》 2 《血の墓所》 2 《新緑の地下墓地》 2 《血染めのぬかるみ》 2 《湿地の干潟》 3 《汚染された三角州》 1 《花盛りの湿地》 1 《育成泥炭地》 2 《黒割れの崖》 -土地(19)- 4 《屍肉喰らい》 4 《墓所這い》 4 《縫い師への供給者》 2 《墓所破り》 4 《恐血鬼》 4 《サテュロスの道探し》 2 《ロッテスのトロール》 4 《復讐蔦》 4 《甦る死滅都市、ホガーク》 -クリーチャー(32)- |
4 《信仰無き物あさり》 2 《稲妻の斧》 3 《虚空の力線》 -呪文(9)- |
2 《疫病を仕組むもの》 2 《自然の要求》 2 《思考囲い》 3 《暗殺者の戦利品》 2 《突然の衰微》 1 《古えの遺恨》 2 《活性の力》 1 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
2 《沼》 2 《草むした墓》 2 《血の墓所》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《新緑の地下墓地》 4 《血染めのぬかるみ》 1 《汚染された三角州》 3 《黒割れの崖》 -土地(19)- 4 《屍肉喰らい》 4 《墓所這い》 4 《縫い師への供給者》 3 《傲慢な新生子》 4 《恐血鬼》 4 《サテュロスの道探し》 4 《復讐蔦》 4 《甦る死滅都市、ホガーク》 -クリーチャー(31)- |
4 《信仰無き物あさり》 2 《稲妻の斧》 2 《暗殺者の戦利品》 2 《虚空の力線》 -呪文(10)- |
2 《朽ちゆくレギサウルス》 3 《思考囲い》 2 《仕組まれた爆薬》 2 《致命的な一押し》 1 《自然の要求》 2 《暗殺者の戦利品》 1 《悪ふざけ》 2 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
※Jelger WiegersmaさんとReid Dukeさんは同一の調整チームで、リストの差異は《冠雪の沼》→《沼》のみです。
敗因は明確と言えます。最後の3連戦の「ホガーク・ヴァイン」のリストは、メインデッキから《虚空の力線》を採用していました。
私たちが《面晶体のカニ》でミラーマッチを制そうとしているところを、《虚空の力線》でさらに引き離されてしまったのです。
もちろん、通常ならサイドカードである《虚空の力線》をメインデッキに採用することは多分のリスクが伴います。
全く効かない「人間」「エルドラージ・トロン」などがメタゲーム上に存在しますから、それらに対したときにドローしてしまうと完全な不要牌になってしまいます。
ただ、それをデッキリスト公開というルールが補ってくれます。
お互いにマッチが始まる前にリストが公開され、相手のデッキがわかっているならそれに合った初手をキープできるからです。
ミラーマッチのメインデッキは顕著で、メインデッキに《虚空の力線》を対処できるカードは入っていませんから、トリプルマリガンしてでも《虚空の力線》さえ初手にあればメインデッキを取ることができます。その方針を、新しいマリガン方式であるロンドン・マリガンもサポートしていますね。
第14回戦、第15回戦と奇跡的にメインデッキを取るに至りましたが、ただ《虚空の力線》を引かれなかっただけで、それだけでツいていました。サイドボード後2本取られてしまうのは不運に見えますが、そもそも相性が絶望的なマッチアップであるため文句は言えないでしょう。
「自分たちが『ホガーク・ヴァイン』を最強だと感じたのであれば、他も一緒だろうからメインデッキから《虚空の力線》を採用してメインデッキを何としても取る」という、私たちより一歩先を行く発想に脱帽です。
私たちはメインデッキに《虚空の力線》を採用する発想がそもそもなかったわけですが、その理由として、幸か不幸か《面晶体のカニ》入りのリストに早期にたどり着いてしまったことにあります。
《面晶体のカニ》入りのリストはチーム内でも非常に好評で、《面晶体のカニ》で「ホガーク・ヴァイン」のフリースロットたる部分を不満なく埋められていて、かつミラーマッチのメインデッキの勝率を高く出せていたので、そこに疑問を持つタイミングが存在しなかったのです。
一方、ジャンド型を回していると、どうしても埋まらない3枚程度のスロットが存在しました。《ゴルガリの凶漢》や《臭い草のインプ》などを試してはみましたがどれもしっくり来ません。
また、通常のリストだともちろんメインデッキの勝率は五分。おおよそここを突き詰めていった結果、「どれも気に入らないから、いっそ尖らせてメインデッキに《虚空の力線》を入れよう」という発想に至ったのでしょう。
私は決して日本の調整チームが劣っていると感じていません。
ただ、今回に関しては少し運が悪かったと思っています。
4.終わりに
今回もミシックチャンピオンシップ権利を逃す結果に終わってしまいましたが、やはり私はミシックチャンピオンシップが好きなんだと思いました。
トータル40時間超の大移動にもなりましたが、今回のミシックチャンピオンシップもそれを覆す楽しさでした。
その要因として、いつもそうですが、今回もクリーンでスポーツマンシップあふれるプレイヤーたちと、全力を持って対戦できたからです。
初日に、手札に《縫い師への供給者》と《屍肉喰らい》がある状態で、誤って《屍肉喰らい》をプレイして、ライブラリーを3枚削ってしまったゲームがありました。
ジャッジが来て聞き取りに入ったのですが、対戦相手の方が「彼はちゃんと誘発を宣言していたし、私も誤って許可してしまった。私も悪いんだ。」と進言してくれました。対戦相手の紳士な発言に私は感激しました。
ちなみにジャッジの裁定後、ゲームを再開。私の側に「ゾンビ」を指定した《疫病を仕組むもの》があったのですが、彼が《縫い師への供給者》をプレイ→3枚削ってエンドしてしまい、本来墓地に落ちるはずの《縫い師への供給者》が戦場に残り、連続してジャッジを呼ぶことになりました。ジャッジの方々にはご迷惑をお掛けしましたが、即もう一回ジャッジを呼ぶテンポ感にお互い大笑いしました。
また2日目の構築ラウンドでも「日本のグランプリに出たことがあるんだ! 私はこの文化が好きだよ!」と言いながらサイドボードを15枚提示して来たりと、ミシックチャンピオンシップにはお互いを尊重する文化が存在しています。
※ゲーム開始前にサイドボードを15枚広げて提示するのは日本の文化です。
その他、「グッドラック」で始まり「グッドラック」で終わる対戦が私は好きです。競技レベルが高いほど、懸かっているものが大きいときほど紳士にゲームをしたいものです。
またミシックチャンピオンシップの権利が途絶え、次のミシックチャンピオンシップに出られるかは、これから始まるミシックチャンピオンシップ予選に懸かっています。
この憧れで最高に楽しい舞台に戻って来られるよう、全力を持って挑みたいと思います。
今回はこれまで!
またの機会にお会いしましょう!
市川
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