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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
プロツアー『ドミナリア』 前編
こんにちは! チーム『武蔵』の市川です。
今回もプロツアーに向けての調整記/大会レポートを綴っていこうと思います。
今回は6月1日~3日にかけて行われましたプロツアー『ドミナリア』に向けての調整記をお送りします。よろしくお願いします。
0.近況
前回のプロツアーでは9勝7敗で、加点1点止まりの4点と、成功と呼ぶには程遠い結果に終わってしまいました。
その後に開催されたグランプリ・京都2018では(チームメイトが強くて)11勝3敗でプロポイント3点獲得するも、今シーズンのプロポイントはわずかに16点。
シーズンの半分を終えてこのプロポイントは、プロツアーにすべて出られるプロレベルであるゴールド・レベル=35点を目指す私にとって、端的に言ってピンチと言える状況です。
またグランプリキャップ(シーズンのプロポイントとして参照する上限数)も6個中5個埋まっていて、グランプリでのプロポイントの上積みも望めない有様。
プロツアー『ドミナリア』の次のプロツアーである「マジック25周年記念プロツアー」はチーム戦で、プロポイントがどのように設定されるかわからない状態(編注:その後発表されました:英語)ですので、ここで最低でもプロポイント10点、11勝5敗は必要と言えます。
また、チーム武蔵のメンバーである覚前さんがプロツアー権利を逸したため、チームシリーズ始まって以来の5人でのプロツアー参加となりました。
チームシリーズのプロポイントの参照方法は、そのプロツアーでの上位5人のプロポイントを参照するため、1人欠けても最低参加点分取りっぱぐれるようなことはないのですが、大きなハンデとなるのは間違いなく。
個人、チーム事情ともにプロツアー『ドミナリア』は背水の陣、そう言える状態でした。
1.環境初期
プロツアー『ドミナリア』はプロツアー『イクサラン』と同じく、新セット発売5週間後のプロツアーです。
従来の発売2週後のプロツアーとは異なり、ある程度環境が煮詰まった状態でのプロツアーとなります。
緑単ガルタ
全カード発表時、最も注目されたのは《原初の飢え、ガルタ》をフィーチャーした緑単アグロ、通称「緑単ガルタ」でした。
11 《森》 1 《沼》 4 《森林の墓地》 4 《花盛りの湿地》 4 《ハシェプのオアシス》 -土地(24)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《原初の飢え、ガルタ》 4 《立て直しのケンラ》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《翡翠光のレインジャー》 4 《鉄葉のチャンピオン》 2 《不屈の神ロナス》 1 《新緑の機械巨人》 -クリーチャー(27)- |
4 《顕在的防御》 4 《キランの真意号》 1 《自然の流儀》 -呪文(9)- |
4 《打ち壊すブロントドン》 2 《貪る死肉あさり》 3 《歩行バリスタ》 2 《栄光の刻》 2 《ウルザの後継、カーン》 2 《生命の力、ニッサ》 -サイドボード(15)- |
スタンダードでは久しぶり、オーバーパワーとも言えるマナ・クリーチャー《ラノワールのエルフ》と、それから2ターン目に展開できる、これまたオーバーパワー3マナクリーチャー《鉄葉のチャンピオン》により大幅強化。
1ターン目《ラノワールのエルフ》、2ターン目《鉄葉のチャンピオン》、3ターン目《立て直しのケンラ》から《原初の飢え、ガルタ》と、最速で7点アタックしながら《原初の飢え、ガルタ》をプレイ出来るブン回りの強さが魅力です。
青白コントロール
「緑単ガルタ」のアンチデッキとしてMagic Onlineで頭角を現したのが青白コントロールです。
7 《平地》 6 《島》 4 《灌漑農地》 4 《氷河の城砦》 1 《イプヌの細流》 4 《廃墟の地》 -土地(26)- 4 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(4)- |
3 《本質の散乱》 3 《封じ込め》 2 《一瞬》 1 《否認》 1 《アズカンタの探索》 4 《不許可》 4 《天才の片鱗》 4 《残骸の漂着》 2 《排斥》 2 《暗記》 2 《燻蒸》 3 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(31)- |
3 《黎明をもたらす者ライラ》 3 《否認》 1 《ジェイスの敗北》 1 《封じ込め》 3 《俗物の放棄》 1 《排斥》 1 《イクサランの束縛》 2 《ウルザの後継、カーン》 -サイドボード(15)- |
[+1]でカードアドバンテージを得て良し、[-3]で盤面を整理して良し、[-8]は勝ちと書いてある、まさに歌って踊れるプレインズウォーカー《ドミナリアの英雄、テフェリー》の加入で大幅強化された「青白コントロール」。
《封じ込め》も求められていた2マナの除去呪文で、《屑鉄場のたかり屋》も《原初の飢え、ガルタ》もバッチリ!
単体除去には《顕在的防御》で若干の耐性がある緑単ガルタですが、《残骸の漂着》などの全体除去にはお手上げ。
サイドボード後繰り出される《黎明をもたらす者ライラ》も対処しづらく、メインサイド合わせて青白側が有利と言えます。
2.グランプリ・バーミンガム~グランプリ・トロント
リミテッドで行われたグランプリ・北京2018で久しぶりの初日落ち(2015年のグランプリ・香港以来、約3年ぶりみたいです)をキめてしまい、寝込んでいると翌週にはバーミンガムで構築グランプリが行われていました。
赤黒機体
11 《山》 1 《沼》 4 《泥濘の峡谷》 4 《竜髑髏の山頂》 2 《燃え殻の痩せ地》 2 《産業の塔》 1 《霊気拠点》 -土地(25)- 3 《損魂魔道士》 4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《歩行バリスタ》 4 《ゴブリンの鎖回し》 2 《ピア・ナラー》 2 《再燃するフェニックス》 2 《栄光をもたらすもの》 -クリーチャー(19)- |
2 《マグマのしぶき》 4 《削剥》 3 《無許可の分解》 3 《キランの真意号》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 2 《ウルザの後継、カーン》 -呪文(16)- |
1 《栄光をもたらすもの》 3 《強迫》 2 《チャンドラの敗北》 1 《大災厄》 1 《焦熱の連続砲撃》 1 《無情な略奪》 1 《ヴラスカの侮辱》 1 《グレムリン解放》 1 《木端 // 微塵》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 1 《ウルザの後継、カーン》 1 《炎鎖のアングラス》 -サイドボード(15)- |
このトーナメントで6人をトップ8に送り出し、大会を席巻したのは「赤黒機体」でした。
従来の《屑鉄場のたかり屋》《キランの真意号》パッケージに加えて、『ドミナリア』から《ゴブリンの鎖回し》と《ウルザの後継、カーン》が加入。
特に《ゴブリンの鎖回し》の環境定義力は凄まじく、《ラノワールのエルフ》や《光袖会の収集者》、《ボーマットの急使》や《機知の勇者》など、タフネス1のクリーチャーの存在を否定します。
私はこの間リミテッドにかまけていて気付かなったのですが、Magic Onlineでも勢力を伸ばしているようで、グランプリでも堂々の戴冠。
名実ともにトップメタに躍り出ました。
青白コントロール(再)
7 《平地》 6 《島》 4 《灌漑農地》 4 《氷河の城砦》 3 《曲がりくねる川》 1 《天才の記念像》 2 《廃墟の地》 -土地(27)- -クリーチャー(0)- |
3 《一瞬》 3 《本質の散乱》 3 《封じ込め》 2 《アズカンタの探索》 4 《不許可》 3 《排斥》 3 《残骸の漂着》 2 《燻蒸》 2 《中略》 2 《明日からの引き寄せ》 1 《暗記 // 記憶》 1 《試練に臨むギデオン》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(33)- |
1 《領事の権限》 3 《否認》 2 《魔術遠眼鏡》 1 《霊気溶融》 4 《ベナリア史》 2 《神聖の発動》 1 《燻蒸》 1 《試練に臨むギデオン》 -サイドボード(15)- |
トップ8のデッキリストで特に注目を浴びたのはこちらの「青白コントロール」。
《ドミナリアの英雄、テフェリー》が4枚で、メインに《奔流の機械巨人》や《副陽の接近》などの勝ち手段が無し。
メインの勝ち手段は《ドミナリアの英雄、テフェリー》の[-8]能力で相手の土地を含むすべてのパーマネントを吹き飛ばし、相手の勝利条件を奪います。
その後《試練に臨むギデオン》が殴り勝つか、《試練に臨むギデオン》がそれまでの過程で対処されていたら《ドミナリアの英雄、テフェリー》の[-3]能力で《ドミナリアの英雄、テフェリー》をライブラリーに戻すことによってライブラリーアウトを防いで、相手がライブラリーアウトするまで待つのみ。
7 《島》 8 《平地》 4 《灌漑農地》 4 《氷河の城砦》 2 《天才の記念像》 2 《廃墟の地》 -土地(27)- -クリーチャー(0)- |
3 《一瞬》 3 《本質の散乱》 3 《封じ込め》 2 《アズカンタの探索》 1 《否認》 4 《不許可》 3 《排斥》 3 《残骸の漂着》 2 《燻蒸》 2 《中略》 2 《明日からの引き寄せ》 1 《暗記 // 記憶》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(33)- |
3 《善意の騎士》 2 《否認》 2 《魔術遠眼鏡》 1 《霊気溶融》 3 《ベナリア史》 2 《神聖の発動》 1 《燻蒸》 1 《試練に臨むギデオン》 -サイドボード(15)- |
この「《ドミナリアの英雄、テフェリー》だけで勝つ」と言うコンセプトは目から鱗で、その後のグランプリ・トロント2018(3人チーム構築戦)でブラッド・ネルソン/Brad Nelson、オリヴァー・ティウ/Oliver Tiuとアメリカプロプレイヤーが使用している事実を考えるに、環境のトップのデッキと言えるでしょう。
環境の2トップは「赤黒機体」と「青白コントロール」。
この認識からチーム武蔵の調整は始まります。
3.調整
今回も例によって例の如く、チーム武蔵の面々と原根健太さん、プロツアー地域予選(RPTQ)で権利を獲得した高尾翔太さんの8人での調整となります。
この2人はあまりにもお馴染み過ぎるので、紹介はこんなもんにしておきましょう。写真もなしです。
覚前さんは前述した通りプロツアー権利はないものの、Magic Onlineのプロツアー予選(MOPTQ)がスタンダードであること、またチームへの貢献も込めて調整に参加してもらいました。
チーム武蔵の面々は私含めてミッドレンジ~コントロール志向のプレイヤーが多いので、覚前さんのようにアグロ、ビートデッキを好むプレイヤーからの視点は貴重です。
白黒機体
8 《平地》 2 《沼》 4 《孤立した礼拝堂》 4 《秘密の中庭》 1 《放棄された聖域》 1 《シェフェトの砂丘》 4 《イフニルの死界》 -土地(24)- 4 《模範的な造り手》 4 《悪意の騎士》 4 《屑鉄場のたかり屋》 3 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(15)- |
3 《致命的な一押し》 4 《ベナリア史》 2 《排斥》 4 《キランの真意号》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 3 《試練に臨むギデオン》 4 《ウルザの後継、カーン》 -呪文(21)- |
2 《黎明をもたらす者ライラ》 1 《賞罰の天使》 4 《強迫》 2 《喪心》 1 《俗物の放棄》 1 《不敬の行進》 1 《強者鏖殺》 1 《イクサランの束縛》 2 《燻蒸》 -サイドボード(15)- |
環境初期のMOPTQを制し、その後も度々結果を残していた「白黒機体」。
チーム調整でも最初の方は感触良く、結果も良かったのですが、後半に行くにつれ周りのデッキの完成度も上がっていき、次第に評価、結果ともに右肩下がりに。
このデッキの安定性を下げているカードは、具体的に《模範的な造り手》と《キランの真意号》です。
十分なアーティファクトを有していないこのデッキの《模範的な造り手》は1/1であるタイミングが多いですし、《キランの真意号》は搭乗要員が少なく、デッキの中核でベストな3ターン目の動きである《ベナリア史》と噛み合いません。
《悪意の騎士》の白いパーマネント条件なども含め、さまざまなカードが綱渡り的なシナジーで支え合っているデッキなので、安定性は皆無と言えます。
ゲームレンジが似たようなコンセプトの「赤黒機体」よりやや遅く、引きムラがゲームの勝敗に出やすく、安定性の無さが露骨に出てしまうのも要因の一つでしょう。
八十岡さんはそんな《模範的な造り手》と《キランの真意号》を廃した「エスパー・ナイト」(青はサイドの打ち消しだけ)を構築して回していましたが、感想は微妙。
特に青系コントロールへの相性が良くなく、敢え無く解体。
《ベナリア史》を軸にした形はチーム内でも数多く試していて、《不屈の護衛》、《光袖会の収集者》などの軽量クリーチャーを追加し、それらを《立身 // 出世》で使いまわす「白黒タッチ赤ナイト」を行弘さんは調整。
ただ、デッキを軽くするにあたって土地を切り詰める+《光袖会の収集者》用に《霊気拠点》を入れる→マナベースが崩壊。
また、タフネス1を2種類入れると鎖に回されたり、青白コントロールの追放除去を前に《立身 // 出世》が腐るなどの欠点が露呈し、こちらも敢え無く解体。
青黒ミッドレンジ
5 《沼》 1 《島》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 4 《孤立した礼拝堂》 2 《氷河の城砦》 4 《霊気拠点》 2 《廃墟の地》 -土地(26)- 4 《光袖会の収集者》 3 《帆凧の掠め盗り》 2 《歩行バリスタ》 4 《機知の勇者》 2 《貪欲なチュパカブラ》 2 《スカラベの神》 -クリーチャー(17)- |
4 《致命的な一押し》 2 《喪心》 3 《大災厄》 4 《ヴラスカの侮辱》 1 《ウルザの後継、カーン》 2 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 1 《死の権威、リリアナ》 -呪文(17)- |
1 《豪華の王、ゴンティ》 1 《人質取り》 3 《強迫》 4 《否認》 2 《アルゲールの断血》 2 《喪心》 2 《魔術遠眼鏡》 -サイドボード(15)- |
前環境終盤では環境のトップメタであった「青黒ミッドレンジ」。
《光袖会の収集者》や《帆凧の掠め盗り》など「青白コントロール」キラーなカードも多く、青系コントロールには無類の強さを誇ります。
問題は赤系、具体的には《ゴブリンの鎖回し》。
《光袖会の収集者》と《機知の勇者》から得られるアドバンテージを軸に戦うこのデッキでは、それらをなぎ倒してしまう《ゴブリンの鎖回し》はご法度。
ですが、Magic Onlineでは度々マッチングしますし、プロツアー2週前のMOCS Monthlyでは複数上位に残る活躍ぶり。
このまま回さなくて見落としになったらイケないなぁと思っていたら、ちょうど原根さんがチーム調整に持参していて捗ります。
市川「赤系キツいと思っているんだけど、どう?」
原根「意外とイけますよ、アレでコレでソレ(真剣に聞いていなかったので覚えていません。)」
と、いうことで借りて赤系とスパーリングしてみることに。
すると、
全然無理でした。
赤系には《光袖会の収集者》は出さないで《機知の勇者》で捨てるんだよとは原根さんの弁ですが、そもそも《機知の勇者》を引いていない場合は出さざるを得ませんし、《光袖会の収集者》を処理する《機知の勇者》自体もタフネス1なので何とも本末転倒な話です。
メインはそんなこんなで不利、サイド後もタフネス1のクリーチャーをサイドアウトして重た目にシフトするのですが、結局それによって組みあがる形は出来損ないの青黒コントロール。メインサイド合わせて不利と言う感想に落ち着いてやはりボツに。
赤黒機体
13 《山》 1 《沼》 2 《泥濘の峡谷》 4 《竜髑髏の山頂》 1 《イフニルの死界》 2 《霊気拠点》 1 《屍肉あさりの地》 -土地(24)- 4 《ボーマットの急使》 3 《損魂魔道士》 4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《地揺すりのケンラ》 2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《ゴブリンの鎖回し》 1 《ピア・ナラー》 4 《再燃するフェニックス》 2 《熱烈の神ハゾレト》 2 《栄光をもたらすもの》 -クリーチャー(28)- |
3 《削剥》 3 《無許可の分解》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(8)- |
1 《熱烈の神ハゾレト》 1 《栄光をもたらすもの》 2 《強迫》 2 《マグマのしぶき》 1 《削剥》 2 《大災厄》 1 《最古再誕》 1 《グレムリン解放》 2 《ウルザの後継、カーン》 1 《炎鎖のアングラス》 1 《屍肉あさりの地》 -サイドボード(15)- |
MOCS Monthlyで唯一の8勝0敗をマークしたのは赤黒機体、それも《ボーマットの急使》を投入した、より軽い形でした。
《地揺すりのケンラ》も若干数投入され、従来の赤黒機体と赤単の中間のような構築です。
早速チームで試してみるも。感触は悪く。
4マナ域が8枚、5マナが2枚と上のマナ域がタップリ入っていて、《ボーマットの急使》にバリューを感じられないのが最もな原因でしょう。
《アン一門の壊し屋》などの除去を打たずに戦線を開くカードに乏しく、チグハグな印象。
一方、従来の重めな赤黒機体の評価は上々。
サイドボードカードとして、《炎鎖のアングラス》、《最古再誕》が「青白コントロール」に強く、メインは不利だが、サイド後は7:3くらいまで改善されるだろうと目算。
アグロスキーで赤黒スキーな高尾さんを軸に調整が進み、メイン、サイドあわせて赤黒に有利なデッキはなかなか現れません。
青白コントロール
ここからは怒涛の青系コントロール調整記が続きます。
まずは環境筆頭のコントロールデッキ、「青白コントロール」。
メインボードはノンクリーチャーの構成から、対戦相手の除去が完全に不要牌となり有利なマッチアップが多い「青白コントロール」ですが、問題はサイドボード後です。
《屑鉄場のたかり屋》などでプレッシャーを掛けられた後に《強迫》などの手札破壊で揺さぶられ、《ウルザの後継、カーン》などの脅威を通される展開が主な負け筋となりますが、青白はサイドボードの選択肢に乏しく、それらを攻略することができません。
一般的なサイドボードカードは《ベナリア史》や《善意の騎士》などのアグレッシブサイドボードですが、決定力に乏しく、ライフが1でも残ってしまうとそれらでライフを詰めたことは無に帰してしまいます。
また、《封じ込め》や《残骸の漂着》などの状況を選ぶ除去呪文は、相手が優位な状態ではケアも比較的容易で、リストが知れ渡ってしまった今では相手も適切にプレイしてくる印象。
メタデッキのひとつとして対策は必至ですが、自分たちでプレイすることはないだろうという結論に。
青黒コントロール
お次は八十岡さんの「青黒コントロール」。
6 《島》 5 《沼》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 3 《水没した骨塚》 3 《廃墟の地》 1 《オラーズカの拱門》 -土地(26)- 2 《スカラベの神》 4 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(6)- |
4 《致命的な一押し》 2 《喪心》 1 《一瞬》 1 《本質の散乱》 1 《渇望の時》 1 《否認》 1 《アズカンタの探索》 1 《魔術遠眼鏡》 3 《不許可》 1 《至高の意志》 4 《ヴラスカの侮辱》 3 《天才の片鱗》 2 《ヒエログリフの輝き》 3 《中略》 -呪文(28)- |
3 《悪意の騎士》 3 《強迫》 2 《ジェイスの敗北》 1 《アルゲールの断血》 1 《渇望の時》 1 《否認》 1 《アズカンタの探索》 1 《魔術遠眼鏡》 2 《最古再誕》 -サイドボード(15)- |
《残骸の漂着》がケアされて、良いところ2:1交換くらいの今、別に全体除去が無いカラーリングでもコントロールは成立するでしょう。
テンポ&アドバンテージ、《ヴラスカの侮辱》を複数プレイできるとそれだけで勝てる《奔流の機械巨人》をタップリと。
感触は悪くないのですが、問題点も噴出しました。
まずはフィニッシャーの枠。《奔流の機械巨人》は悪くないのですが、問題は《スカラベの神》。
「4色エネルギー」の時は猛威を振るっていた《スカラベの神》だけあって、盤面の制圧力はピカイチですが、それは盤面に残れば、の話です。
それまでクリーチャーを一切出さないコントロールデッキですから、対戦相手の手札に除去呪文は溜まっていやすく、もしプレイしてターン終了時に《無許可の分解》を唱えられようものなら敗北は必至、次のターンにプレイもままならないことが多かったです。
また、青黒と言うカラーリングゆえの不器用さも致命的です。
《アルゲールの断血》や《造命師の動物記》などのエンチャントやアーティファクトへの対処手段に乏しく、サイドボード後は辛いゲームを強いられます。
これらの問題点は現環境のスタンダードのプールでは克服しづらく、感触は悪くないが問題点を克服することは難しそうだなあという感想に。
エスパー・コントロール
1 《平地》 4 《島》 4 《沼》 2 《灌漑農地》 2 《氷河の城砦》 2 《孤立した礼拝堂》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 1 《水没した骨塚》 1 《霊気拠点》 2 《廃墟の地》 -土地(27)- 2 《スカラベの神》 3 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(5)- |
4 《致命的な一押し》 2 《喪心》 2 《アズカンタの探索》 1 《霊気溶融》 1 《一瞬》 1 《本質の散乱》 1 《否認》 1 《魔術遠眼鏡》 3 《不許可》 4 《ヴラスカの侮辱》 2 《天才の片鱗》 1 《ヒエログリフの輝き》 3 《中略》 2 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(28)- |
4 《悪意の騎士》 3 《強迫》 2 《アルゲールの断血》 2 《否認》 1 《ジェイスの敗北》 1 《魔術遠眼鏡》 2 《俗物の放棄》 -サイドボード(15)- |
それなら、青黒に《ドミナリアの英雄、テフェリー》をタッチすれば良いじゃない!な「エスパー・コントロール」。
《スカラベの神》とスイッチできるフィニッシャーでありつつ、置物に触れる器用さ。
これぞ青黒コントロールが求めていたものだ!
「エスパー・コントロール」の問題点はマナ基盤の脆さ。
3色デッキでありながら青と黒のカラーカウントが足りずに《水没した骨塚》が入っている辺り、苦しさが構築に表れています。
また《水没した地下墓地》はまだしも、《氷河の城砦》、《孤立した礼拝堂》の白絡みのコアランドはそれらをアンタップインさせる土地タイプが乏しいためタップインしやすく、確定タップイン7+結構タップインの4枚と、タップイン祭りにも陥りやすいです。
また、「白黒ミッドレンジ」が減少中の今、サイドボードの《悪意の騎士》の有用性は下がっていて、サイドボードの弱さも致命的。
4.難航/閃き
「赤黒が強い」という、当たり前の結論を前に調整は難航。
マナベースの脆さ、サイドボードの弱ささえ攻略できれば、「エスパー・コントロール」は悪くない選択肢だと思うんだけどなぁ……。
市川「閃いたわ」(ひとり言)
市川「んん!?!?」(ひとり言)
市川「なんだってー!?!?」(ひとり言)
ということで、この辺で調整記の前編は終了!
後編はチーム武蔵で初めて?チームデッキとなった私主導で調整したデッキの紹介と、ドラフト雑感、大会レポートと盛りだくさん!
お楽しみに!
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