なんだ、また、話を聞きに来たのか？ そうだな……今日、1月31日は愛妻の日だ。トレイリアを悲哀とともに破壊し尽くした《抹消》にまつわる話をしようか。

　前回は《氷河期》の話をしたのを覚えているだろう？ その《氷河期》が終わった後、ひょっこりと戻ってきたウルザのボケは……失礼、ウルザはファイレクシアのドミナリア侵攻に備えるため《トレイリアのアカデミー》という魔術学校を建設した。魔導師を育て、さまざまな実験をしてファイレクシアに対抗しようと目論んだのだな。

　そして、その創設者の一人がバリンだった。バリンはウルザがスカウトした優秀な魔術師だったが、ウルザに目を付けられた時点でご愁傷様としか言いようが無い。我々の中では、金田◯一、江◯川コナン、ウルザは三大「近づくと厄介事に巻き込まれる人物」として知られていたからな。

　バリンには妻のレイン、そして、娘のハナがいた。だが、ファイレクシアの侵攻が始まると、激しい戦いの中でバリンは妻レインを失い、そして、他の土地で娘のハナが死んだことをウルザから聞かされる。彼はその時、気づいたのだ、彼が本当に守るべき、守られなければならなかったものを。

　そして、彼はトレイリアへと侵攻してきたファイレクシア軍を１人で迎え撃ち、妻と娘の墓を守るために、ある大魔導師から教わった呪文《抹消》を使い、島ごとトレイリアのすべてを吹き飛ばしたのだ。その破壊はウルザが癇癪を起こして氷河期を呼んだときの大破壊に匹敵したという。

　フレーバー通り、実際のトーナメントでも大量の《島》とともに薪の山となったプレイヤーも当時は多かっただろうな。打ち消されないのは、それだけの思いがこのカードに込められているからだ。

　ちなみに、バリンは優秀な先生でもあってな、ん？ 知ってる？ あの決めゼリフは流行したって？ そうそう、抹消打つなら「今でしょ！」……ってトレイリアは予備校じゃねーし！……コホン、例えば、テフェリーやジョイラもバリンの愛弟子だな。また、アーテイも、ん？ 知ってる？ 接点Ｔなら知ってる？ ぉーん、だから誘惑に負けてぇ、ファイレクシアに寝返ったら駄目だよぉ……って、トレイリアは代◯木ゼミナールじゃねぇし！てか、ネタ古っ！……コホン、まあ、アーテイのことは機会があれば何かのついでに話すとしよう。

　最後に聞きたいことはあるか？ 何？ 私自身はどうかって？ 私はこういった話はあまり縁が無くてな。なぜならって、そうだな、私には……ドミナリアという恋人がいるからな……、「ぷっ」って反応はやめろ！ 爆弾で吹き飛ばすぞ！