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週刊デッキ構築劇場
第75回:井川良彦のデッキ構築劇場・全知全能のアイディア
読み物
週刊デッキ構築劇場
2012.08.27
第75回:井川良彦のデッキ構築劇場・全知全能のアイディア
演者紹介:井川 良彦
2007年の横浜でプロツアーに初参加、「初の海外旅行は、マジックのプロツアーで行きたい」という自身の言葉を2010年のプロツアー・サンディエゴで実現、海外緒戦にしてトップ8入賞を決めてみせた「驚嘆の男(ザ・ワンダーリング・ワン)」。
その後も、伊藤 敦・高橋 純也と組んだ調整チーム『神様へのブラフ』で切磋琢磨し、日本選手権2011で4位に入賞するなど、多忙な日々にあってもフォーマットを問わずマジックに取り組む、情熱あふれるプレイヤー・ライターである。
おむうううううううううううううううううううううううううううにしぇんす!!
ということで、どっかの誰か風に始めてみましたが、叫びたくなるぐらい、今レガシーで《全知》が熱いのです!
先週のビッグバン田中さんの記事にもありましたように、《全知》の入ったデッキが頭角を現し出しました。
関東の代表的なレガシートーナメントであるAncient Memory Conventionではベスト8のうち6人を占め、300人以上が参加したMagic Online Championship Seriesでは見事優勝を飾りました。
その珠玉のデッキ達を順に見ていきましょう。
2 《島》 4 《Volcanic Island》 2 《Underground Sea》 4 《沸騰する小湖》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地(20)- 2 《グリセルブランド》 2 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(4)- |
2 《水蓮の花びら》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《定業》 2 《親身の教示者》 4 《目くらまし》 4 《燃え立つ願い》 3 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 4 《全知》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(37)- |
3 《赤霊破》 1 《思考囲い》 2 《真髄の針》 2 《墓掘りの檻》 1 《紅蓮地獄》 1 《ぶどう弾》 1 《実物提示教育》 3 《虐殺》 1 《洞察力の花弁》 -サイドボード(15)- |
まずはこちら。
《実物提示教育》に全てを託した形であり、非常にオーソドックスな形と言えるでしょう。
《実物提示教育》に依存しているからこその《親身の教示者》の採用には好感が持てます。
《燃え立つ願い》がこのデッキの核ですね。コンボパーツである《実物提示教育》、フィニッシュカードである《洞察力の花弁》&《ぶどう弾》、カウンター対策の《思考囲い》。
《紅蓮地獄》や《虐殺》は《スレイベンの守護者、サリア》や《ガドック・ティーグ》といった苦手なクリーチャーを対処してくれます。
2 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地(20)- 4 《グリセルブランド》 3 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(7)- |
2 《水蓮の花びら》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《定業》 3 《もみ消し》 4 《燃え立つ願い》 3 《実物提示教育》 3 《騙し討ち》 4 《Force of Will》 4 《全知》 -呪文(33)- |
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 2 《外科的摘出》 3 《赤霊破》 1 《圧服》 2 《大祖始の遺産》 1 《生ける願い》 1 《紅蓮地獄》 1 《ぶどう弾》 1 《実物提示教育》 1 《原初の命令》 1 《洞察力の花弁》 -サイドボード(15)- |
既存のSneak&Showに《全知》を加えた形ですね。
《全知》を使うことにより、《謙虚》《罠の橋》《Karakas》《金粉のドレイク》といったメタカードを軒並み無視することができます。もちろん、通常のSneak&Show同様、《騙し討ち》経由で勝つこともできるので、非常に柔軟に戦うことができます。
3 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Tundra》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《霧深い雨林》 1 《新緑の地下墓地》 3 《魂の洞窟》 -土地(20)- 3 《アカデミーの学長》 3 《グリセルブランド》 3 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(9)- |
3 《水蓮の花びら》 3 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《陰謀団式療法》 4 《生ける願い》 4 《実物提示教育》 3 《Force of Will》 2 《全知》 -呪文(31)- |
1 《ヴィリジアンのシャーマン》 1 《アカデミーの学長》 1 《無限に廻るもの、ウラモグ》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 2 《外科的摘出》 2 《自然の要求》 2 《虚無の呪文爆弾》 1 《破滅的な行為》 1 《Force of Will》 1 《魂の洞窟》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《ファイレクシアの塔》 -サイドボード(15)- |
こちらは一風変わった《全知》デッキ。
《全知》を出す手段として、《アカデミーの学長》+《陰謀団式療法》が追加されています。《アカデミーの学長》を引かなくても、《ギタクシア派の調査》と組み合わせればほぼ確実に相手のカードを落とせるので非常に良い構成ですね。
緑を採用している理由は《生ける願い》。《アカデミーの学長》《実物提示教育》をカウンターから守れる《魂の洞窟》《すべてを護るもの、母聖樹》は大活躍したのではないでしょうか。
このように、様々な構成の《全知》デッキが登場しました。
これからも細部を変えながら、時には全く別のアプローチの《全知》デッキがレガシーを荒らすことでしょう。
正直に言いますと、僕はこのように大活躍するまで、《全知》は弱いと思っていました。
Sneak&Showの《騙し討ち》やHive Mindの《集団意識》と異なり、ほぼ100%《実物提示教育》経由でしか場に出せないため、実質的にコンボの枚数が増えてしまうのが大きなマイナス点に思えたのです。
ですが、実際には上記のように、Sneak&Showに入れて《Karakas》《罠の橋》といった弱点を無効化したり、《全知》+《実物提示教育》に全てを注ぎ込んだ新しい形のコンボデッキが出てきました。
特にMagic Online Championship Series優勝のタイプは《燃え立つ願い》が追加の《実物提示教育》かつ《洞察力の花弁》&《ぶどう弾》を持ってこれるフィニッシャーまで兼ねているのです。
さらには《渦まく知識》《思案》といった基本に加えて《定業》《親身の教示者》まで採用してどこまでも安定して動くようになっていたりと、その完成度に惚れ惚れしました。
《全知》が弱いと思った僕の目は、完璧に節穴でしたね。
今をときめく《全知》。マジック基本セット2013のカードなので、もちろんスタンダードやモダンでも使うことが可能です。
レガシーで活躍してからエクステンデッドやモダンでも姿を見せた《むかつき》のように、《全知》も他のフォーマットでも輝けるはず!
モダンには本家《実物提示教育》こそ無いですが、《全知》を直接場に出す手段がいくつか存在します。
《アカデミーの学長》の正統なる後継者!!
...のはずだったのですが、いつの間にか付け加えられた「その上に時間カウンターが1個も置かれていない場合」の一文が余分。
時間カウンターが無くなるのを待ってる間に、自分が負けちゃいます。1アウト。
スタンダード、エクステンデッドで実績あるこのカード。ライブラリーから直接戦場へ!!!
まさに求めていた品質!!
...で、この「歴伝」って能力はなんでしたっけ?2アウト。
《罪》なら、たったの5マナ(!)で墓地から《全知》を戦場に出すことができます!
...相手の墓地にあれば、ね。3アウト。ゲームセット。
ダメだー。「モダン版《全知》デッキ」は流石に厳しい。諦めよう。
そんなとき、ある一枚のカードが古いストレージから僕を呼びました。
「《全知》愛があれば、運に依存するぐらい余裕でしょ!?」
確かに、この《上天への門》なら《全知》のマナコストを踏み倒すことができます。
幸いなことに、フィニッシュ手段である《引き裂かれし永劫、エムラクール》も、《洞察力の花弁》+《ぶどう弾》もモダン環境にあるのです!
これぞまさに天啓!
新世代の《実物提示教育》を使った、モダン版《全知》スペシャルはこれだ!!!
3 《島》 1 《山》 4 《ウルザの塔》 4 《ウルザの魔力炉》 4 《ウルザの塔》 3 《沸騰する小湖》 2 《ハリマーの深み》 2 《蒸気孔》 -土地(23)- 2 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(2)- |
4 《イゼットの印鑑》 2 《連合の秘宝》 1 《有毒の蘇生》 4 《差し戻し》 3 《時間の把握》 3 《紅蓮地獄》 2 《倦怠の宝珠》 1 《ぶどう弾》 4 《知識の渇望》 1 《不気味な行列》 4 《上天への門》 1 《裂け目の突破》 1 《洞察力の花弁》 4 《全知》 -呪文(35)- |
2 《墓掘りの檻》 4 《広がりゆく海》 4 《睡眠発作》 3 《編直し》 2 《粉砕の嵐》 -サイドボード(15)- |
マナブーストからの《上天への門》で《全知》と《引き裂かれし永劫、エムラクール》をドン!!!
という非常に大雑把なデッキに仕上がりました。
ウルザ土地+《連合の秘宝》等で《全知》を通常プレイできるのは、レガシーと違った強みと言えるのではないでしょうか。
《上天への門》はライブラリートップに依存していますが、《時間の把握》《ハリマーの深み》で操作することも可能ですし、ベースがウルザトロンなので単純に土地が場に出るだけでも嬉しいですね。
対戦相手が《上天への門》の恩恵を受けるかもしれませんが、某王道バスケット漫画の主人公を見習って唱えましょう。『外せ外せ外せ外せ外せ外せ...!』
《全知》さえ場に出てしまえば、レガシー同様《引き裂かれし永劫、エムラクール》で勝つも良し、《洞察力の花弁》無限プレイからの《ぶどう弾》で勝つも良し。
ドローを多めに搭載していますので、《洞察力の花弁》or《不気味な行列》のどちらかにたどり着くことができるでしょう。
その際は、《差し戻し》を自分の呪文に使ってドローを進める、というテクニックも忘れないでください。
《洞察力の花弁》の水増しでもある《不気味な行列》ですが、秘儀である《裂け目の突破》をサーチすることもできます。
手札に《引き裂かれし永劫、エムラクール》が揃ったら、いつも通りエムラシューーーーーーーーーーート!!
《有毒の蘇生》は、《洞察力の花弁》《ぶどう弾》がハンデス等で墓地に行ってしまった時用の保険です。
《上天への門》が場に出ているときは、《知識の渇望》で《全知》を捨てて《有毒の蘇生》でライブラリートップに乗せることもできます!
モダンの主要デッキである、《出産の殻》デッキや《欠片の双子》コンボに非常に強く、また《瞬唱の魔道士》にも刺さるこのカード。
サイドボードで使用されるケースがほとんどですが、このデッキでは自分へのデメリットが無いのでメインボードで採用しました。
出すだけで勝てるマッチがあるのは素晴らしい。イージーウィンも大切ですね。不要な相手と当たった時は、《知識の渇望》で墓地へと投げ捨てましょう。
サイドボード後は《上天への門》が《古えの遺恨》でパリンパリンと割れてしまうことが容易に想像されますので、《全知》を出す手段として《編直し》を用意しました!
《広がりゆく海》もしくは《睡眠発作》のどちらかと一緒にサイドインして、エンチャントを《全知》に変身させちゃいましょう!
《ハリマーの深み》《時間の把握》があればベストですが、もしライブラリー操作が無くても強気に行きましょう。確率的には2枚目以降の《広がりゆく海》などがめくれる確率よりも《全知》が出る確率が高いはず。人生は博打です。Let's challenge!
今回はモダンでの紹介でしたが、スタンダードでも《全知》の夢は広がります。
たとえば、前回某王子が紹介していた《かごの中の太陽》を使えば比較的早いターンに《全知》をプレイできます。
《全知》からの《ルーン傷の悪魔》×4→《熱情》で24点アタック!なんてカッコイイですよね。ワクワクしちゃいます。
まだまだ可能性が無限大の《全知》。
カードリストとにらめっこし、その知能をフルに使って、それぞれの《全知》を手に入れましょう!
それではまた、次回お会いしましょう!
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