GAME PLAY
RULES
- ルール文書 -マジック:ザ・ギャザリング デジタル・イベント規定
はじめに
イベントでのプレイは常にマジック:ザ・ギャザリングの重要な一部であり続けてきた。デジタルで開催されるイベントが増えていくにつれ、デジタル・イベントでプレイしたりそれを運営したりする上で独特のことを明示する指針の存在がさらに重要になっている。
この文書は、テーブルトップMTRが示す指針と同様の基礎を提供するものであるが、デジタル・イベントや全世界に広がるプレイヤーとのイベントを運営することに伴う独特の問題に集中したものである。
可能な限りにおいて、デジタル・イベントはどこで開催されていても一貫性を持って運営されるべきである。これによって地球のどこにいるプレイヤーも同等の取り扱いを受け、スムーズに国際的イベントへと進むことが出来るようになる。プレイヤーは均等に扱われるべきであり、また、この文書で示されている責任を共有するべきである。プレイヤーもスタッフも、スムーズなデジタル・イベントを運営するという共通の目的に向かって協力すること。プレイヤーとスタッフは、ルールとそのルールが作られた精神の両方に従い、お互いに公正かつ敬意を持って接しなければならない。プレイヤーはデジタル・マジック・イベント規定とマジック総合ルールの最新版に従う責任がある。観客には観客の責任がある。これらの規則を破った個人には、該当する文書によって定められた懲罰が適用される。
この文書にある情報は、マジック総合ルールと矛盾する(あるいは総合ルールにおいて未定義である)ものがある。その場合、この文書の内容が優先される。
この文書は、デジタル・イベントの通常のルール群である。イベント主催者は、特定のイベント用に公式ファクトシートを定めることができ、それによってポリシーや手順が追加もしくは代替されて定義されることがある。この文書と公式ファクトシートの間で矛盾が生じた場合、ファクトシートの内容が優先される。
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストはこれらの規定を解釈し、調整し、明確化し、その他公式な変更を事前の告知なしで加える権限を留保する。
この文書は必要に応じて更新される。この文書に規定された各フォーマットにおけるカードの適正性については、1週間以上前に通知される。カードの適正性に関係しない更新は、事前の予告なしに行われる場合がある。
この文書は http://wpn.wizards.com/document/magic-gathering-tournament-rules から参照できるマジック・イベント規定の補足である。
1.イベントの基本
1.1 イベントの種別
この文書の扱うデジタル・イベントは、マジック:ザ・ギャザリング アリーナ(MTGアリーナ)ゲーム・クライアントを用いて運営される。
現在、デジタル・イベントには大きく分けて2種類あり、オンライン・イベントとLANイベントである。オンライン・イベントでは、プレイヤーは自分のデバイスと接続環境を使って離れた場所からプレイすることが多い。LANイベントでは、プレイヤーは同じ会場に集まり、同じネットワーク接続を用いることが多い。
テーブルトップ・イベントかデジタル・イベントかを問わず、公式戦イベントはプレミア・イベントと非プレミア・イベントの2つの種別に分けられる。プレミア・イベントはウィザーズ・オブ・ザ・コースト社、あるいはその選んだイベント主催者によって運営され、特定の名前と特徴を持つ。明示的にプレミアでないすべてのイベントは、非プレミア・イベントである。
プレミア・イベントの中には、同じイベントの中にオンライン・ステージとLANステージがあるものがある。
イベントのフォーマットは、大きく分けて2種類あり、リミテッドと構築である。それぞれのフォーマットに特有の規定が存在する。リミテッドでは、プレイに用いる物品はすべてイベントの間に提供される。構築では、プレイヤーはそれぞれに事前にデッキを準備し、それを用いて対戦する。プレミア・イベントの中には、複数のフォーマットやステージからなる単一のイベントも存在する。
1.2 イベント情報の公開
ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社は、イベント情報を(そのイベントの間も含む)いつでも公開する権利を有する。イベント情報の中には、プレイヤーのデッキ内容、戦略やプレイの解説、会話の内容、ビデオ録画などが含まれる。イベント主催者も、イベント終了後にイベント情報を公開する権利を持つ。
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは、懲罰ならびに資格停止に関する情報を公開する権利を有する。
1.3 イベント上の役職
イベントのために、以下の役職が定義されている。
- イベント主催者(TO)
- ヘッドジャッジ
- ジャッジ/イベント担当者
- 成績管理者
- プレイヤー
- 観客
上記のうち最初の4つの役職は、スタッフである。ヘッドジャッジとジャッジ/イベント担当者はあわせてジャッジと呼ばれる。1人の個人が複数のスタッフとしての役職を兼ねてもよい。イベントでジャッジでない個人は、本人がプレイしていないマッチに関しては観客である。取材者も観客として扱われる。
1.4 参加資格
以下の例外を除いて、DCI認定のデジタル・イベントには誰でもプレイヤーとして参加することができる。
- DCIによって資格停止処分を受けている個人。資格停止処分を受けているプレイヤーは、ウィザーズのイベント運営ソフトを使ったイベントでは登録できない。他のソフトで運営するイベントでは、主催者は資格停止中のプレイヤーが認定イベントで競技しないよう誠実に努力すること。DCIによって資格停止中の個人は、スタッフとしても参加できない。
- ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の方針によって特に参加を禁止されている個人(この決定はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の専権である)
- 13歳未満の個人は、DCI認定デジタル・イベントには参加できない。賞金のかかったデジタル・イベントでは、18歳未満の個人には追加の制限がかかる場合がある。
- 現地の法律、あるいはイベント主催者やイベント会場の規定によって禁止されているプレイヤー
- イベント主催者は、自身の主催するイベントについて追加の参加制限をすることができる。その制限は、イベントの告知およびイベントの情報を掲載するすべての場所で明確に表示されなければならない。(例えば、イベント主催者は16歳以下のためだけのフライデー・ナイト・マジックを開催することができる)
以下の例外を除いて、誰でもスタッフ(イベント主催者、ヘッドジャッジ、ジャッジ/イベント担当者、成績管理者)を務めることができる。
- DCIによって資格停止処分を受けている個人
- スタッフをしながらプレイしてもよいと明示的に規定されているものでないイベントにおいて、そのイベントでプレイしている個人
スタッフは、公式ファクトシートにおいてそのイベントにスタッフが参加してもよいと書かれているイベントではプレイできる。これはプレリリースやFNMといったカジュアルなイベントのみに限ること。
スタッフがファクトシートで許可されていないイベントでプレイしていた場合、そのイベントは無効となる。スタッフはイベントを公正に、また自己の利益を勘案せずに運営しなければならない。
プレミア・イベントを運営する組織のオーナーは、そのオーナーが書類上スタッフ(主催者、ジャッジ、成績管理者)として登録されていなくてもその種のイベントに参加することはできない。
一部のイベントは、プレイヤーとして参加したりスタッフを務めたりするために追加の条件がある(プレイヤーズツアーやプレイヤーズツアー・ファイナルなどの、招待選手のみによるイベントなど)。
プレイヤーズツアー招待ポリシーは、(プレイヤーズツアーやプレイヤーズツアー・ファイナルなど)招待選手のみによるプレミア・イベントの参加資格に関する規定を定義している。
イベントへの参加資格について疑問のある個人は、esports@wizards.comにメールしてウィザーズ・オブ・ザ・コーストに連絡すること。
1.5 ウィザーズ・アカウント
イベント参加者は、登録するためにマジック:ザ・ギャザリング アリーナでプレイするために必要なウィザーズ・アカウントを持っていなければならない。Wizards.comアカウントを持っていない個人は、マジック:ザ・ギャザリング アリーナのゲーム・クライアントを使ってアカウントを作成することができる。プレイヤーはアカウントを作成することによって利用規定、プライバシー・ポリシー、行動規範に同意する。
1.6 イベント主催者
イベント主催者は、イベントの運営のための以下のようなことに関して責任を持つ。
- ウィザーズ・オブ・ザ・コーストから認定番号を受け取っておく
- イベントに必要と思われるだけのイベント運営プラットフォームを選ぶ
- イベント当日に先んじてイベントを宣伝する
- イベント運営のために必要なスタッフを集める
- イベントに必要な、プレイヤーやスタッフのコミュニケーション拠点(主催者がオーナーであるDiscordサーバーなど)を用意する
- イベントの結果をウィザーズ・オブ・ザ・コーストに報告する
- イベントのデータを(マッチに関する審判請求のため)6ヶ月間保存する
1.7 ヘッドジャッジ
認定イベントでは、論争の裁定やルールの解釈その他公式な決定を下すために、ヘッドジャッジが必要である。ヘッドジャッジはイベントにおいて最終裁定権限者であり、すべてのイベント参加者はその解釈に従わなければならない。
ヘッドジャッジの責任には、以下のようなものがある。
- すべての上訴に対し、最終裁定を下す。ヘッドジャッジ以外のジャッジ/イベント担当者の裁定を覆すこともある。
- 必要に応じて、ジャッジに役目を割り振る。
しばらくの間任を果たせない場合、必要であれば、ヘッドジャッジは一時的に他のジャッジに義務を移管してもよい。また、そうしなければイベントの完全性が損なわれるような特別な条件下においては、イベント主催者はヘッドジャッジに代わってもよい。一部のプレミア・イベントにおいては、複数のヘッドジャッジがいたり、イベントの部分ごとに異なるヘッドジャッジがいたりすることもある。ヘッドジャッジとして務めている限りにおいて、すべてのヘッドジャッジは同等の責任を持ち、同等の権限を行使する。
1.8 ジャッジ/イベント担当者
ジャッジ/イベント担当者はプレイヤーや観客の質問に答えたり、問題解決を助けたり、その他妥当な要請に応えるために存在する。
1.9 成績管理者
成績管理者は、イベントを通して、適正な組み合わせとイベント記録を作ることを任務とする。成績管理者の責任には、以下のようなものがある。
- 適正な組み合わせを毎ラウンド作成し、ラウンドの結果を正確に入力する
- 必要な時に順位表や対戦表を作成する
- 成績記録処理上発生したあらゆる問題を、ヘッドジャッジと協力して解決する
- イベント全体を通じて、懲罰を記録する
ヘッドジャッジは、成績記録処理上で発生した問題を解決するための行動の決定に関する最終権限を持つ。
1.10 プレイヤー
プレイヤーには、以下の責任がある。
- スタッフ、他のイベント参加者、観客に対して常に紳士的態度を保ち、非紳士的行為を慎む
- 告知された開始時間ならびに時間制限に従う
- マッチ内でルールやポリシーの違反を見付けた場合に注意喚起する
- イベントのマッチ結果に矛盾を見つけた場合にジャッジを呼ぶ
- 他人と共有していない単一のウィザーズ・アカウントを維持する
- イベント主催者が指示したコミュニケーション・チャンネルに参加する
- ポリシーによって参加が認められていないイベントに参加しない
- この文書に含まれる規定を知る
- 物理的あるいはオンラインで参加し、そのイベントに能動的に対応できる状態である
プレイヤーは参加するために以下のものが必要である。
- 安定したインターネット接続
- 最新のマジック:ザ・ギャザリング アリーナのゲーム・クライアントとその推奨環境を満たした正常にそのプログラムを動かせるデバイス (https://magic.wizards.com/en/mtgarena/faq 参照)
推奨環境以下のデバイスでイベントに参加する場合、ゲームプレイや接続に関して生じる問題の責任はその本人に帰すものとし、理由を問わず、イベント主催者やウィザーズ・オブ・ザ・コーストはそれらのプレイヤーに生じた問題の責任を追わない。
プレイヤーはイベント主催者が提供した備品を使うよう求められることがある。その場合には、イベント主催者が提供した備品に関する責任はイベント主催者にあり、プレイヤーにはない。イベント主催者が明示的に備品やインターネット接続を提供すると言っていない場合、プレイヤーは自分の道具を準備する必要があると考えること。
自身の責任を果たさなかったプレイヤーは、懲罰と調査を受ける。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは、事前の予告なしでプレイヤーの資格を停止させ、あるいは無効にする権限を留保する。
1.11 観客
イベント会場に存在し、あるいはイベント主催者が公式イベント情報を通知する場所として指定したチャンネルに存在していて、かつ上記のどの分類にも当てはまらない人物は観客である。観客が、ルールやポリシーの違反を見つけたと思った場合、可能な限り早くジャッジを呼ぶことが望ましい。
2.イベントの機構
2.1 マッチの構成
マジックのマッチは、一方が一定数(通常は2つ)のゲームに勝つまで続けられる一連のゲームからなる。引き分けのゲームはこの数に考慮しない。両方のプレイヤーが同数のゲームに勝利していた場合、マッチは引き分けとなる。
イベント主催者は、イベントの開始前に変更を告知した上で、イベント内の任意の部分で勝利に必要なゲームの数を変更することができる。
デジタル・イベントでは、イベントがウィザーズ・オブ・ザ・コーストに報告される際にはマッチの結果だけが報告される。ただし、タイブレーカーのためにイベント主催者はゲームの結果を記録しておくこと。
2.2 プレイ/ドロー・ルール
マッチの第1ゲームにおいて、スイス・ラウンド中はMTGアリーナが無作為に選んだプレイヤーが、決勝ラウンド中はスイス・ラウンド終了時点での順位の高い方のプレイヤーが、先攻か後攻かを選ぶ。
マッチ中の各ゲームの後は、そのゲームの敗者が次のゲームの先攻を決める。その決定はサイドボードの終了時までに行なう。直前のゲームが引き分けに終わっていた場合、そのゲームの最初に先攻後攻を選んだプレイヤーが再び先攻後攻を決定する。
2.3 ゲーム開始前の手順 - MTGアリーナの指名対戦の情報
各ゲームの開始前に、以下の手順を適当な時間内で行なわなければならない。
- 対戦相手の、MTGアリーナのユーザーIDを調べる
- MTGアリーナのゲーム・クライアントを起動し、指名対戦を選ぶ
- 対戦相手のMTGアリーナのユーザーIDを入力する (注:MTGアリーナのユーザーIDでは大文字と小文字は区別される)
- 現在参加しているステージに設定(指名対戦かトーナメント戦か)があっていることを確認する
- そのイベントのために登録してあるデッキを選択する
- 対戦申請を送る
両プレイヤーが申請した後、MTGアリーナのゲーム・クライアントがそれ以降の工程を行ない、ゲーム開始前の手順に従ってプレイヤーに指示を出す。
2.4 ゲームまたはマッチの、投了または同意による引き分け
ゲームやマッチが終わっていない限り、プレイヤーは投了したり、双方の合意の元でそのゲームやマッチを引き分けにしたりすることができる。マッチは、結果が成績管理者に届けられた時点で終了したものとして扱う。その瞬間までは、マッチ内のゲームに勝っていたプレイヤーであっても相手に投了することができる。1本でも勝っていた場合、マッチの結果は2-1となる。
謝礼の類と引き替えに、投了したり引き分けに同意したりしてはならない。それらの行為は〔買収行為〕となる(5.2節参照)。
プレイヤーがプレイしようとしない場合、そのプレイヤーはそのマッチを投了したものとして扱う。
2.5 マッチ終了時の手順
MTGアリーナでは、トーナメント戦では両プレイヤーの持ち時間は30分である。このタイマーは各プレイヤーにそれぞれ対応しており、プレイヤーが優先権を持っているか決定するべきことがあるときにだけ進む。プレイヤーのタイマーが切れたら、そのプレイヤーはそのゲームと、(必要であれば)そのマッチの残りのすべてのゲームに敗北する。
そのオンライン・イベントの成績管理者は、50分経過した時点で、ジャッジに、結果が報告されていないマッチのプレイヤーがプレイを続けているか確認するために連絡を取らせることができる。反応しなかった場合、懲罰が与えられる場合がある。(デジタル・マジック違反処置指針 3.5節〔回線切断〕 参照)
2.6 デッキ登録
プレイヤーはデッキとサイドボードを登録する必要がある場合がある。
登録されたデッキリストは、デッキと(存在するなら)サイドボードの元の構成を記録したものである。デッキリストをスタッフが受理した後では、そのデッキリストを編集することはできない。
プレイヤーには自分のデッキリストを見る権利がある。
デッキリスト提出期限は、イベント主催者が定める。通常、デッキリストは第1回戦の開始前が締切であるが、イベント主催者はそれよりも早い締切を定めることができる。
2.8 公開/非公開デッキリスト
デッキリストの提出が必要なイベントは、そのリストのイベント中の扱いに関して大きく2種類に分類される。デッキリストはそのイベント中、プレイヤーに秘密にされる(非公開デッキリスト)ことも、プレイヤーに公開される(公開デッキリスト)こともありうる。
イベントの同じステージに参加しているすべてのプレイヤーは、デッキリストなどの情報について均等な扱いを受ける。
2.9 ヘッドジャッジへの上訴
プレイヤーがジャッジの裁定に納得できない場合、そのプレイヤーはヘッドジャッジに上訴することができる。ヘッドジャッジは同じく上告を受ける権限を持つアピールジャッジを指名することができる。
プレイヤーは、対応したジャッジが裁定を終えるまでは上訴することはできない。ヘッドジャッジ、または指名されたアピールジャッジの裁定は最終決定である。
2.10 イベントからの棄権
プレイヤーはいつでもイベントから棄権できる。プレイヤーが第1ラウンド開始前に棄権した場合、そのプレイヤーはそのイベントに参加していないものとして扱われる。
イベントから棄権することを選んだプレイヤーは、次のラウンドの組み合わせが生成される前に成績管理者にその意志を伝えなければならない。成績管理者が次のラウンドの組み合わせを作り始めた以降に棄権を告げたプレイヤーは、そのままそのラウンドは組み合わせられる。プレイヤーがマッチに姿を見せなかった場合、成績管理者に報告していない限り、そのプレイヤーはそのイベントから棄権したものとして扱う。頻繁に、あるいは故意に、成績管理者に報告することなくイベントから棄権するプレイヤーは、資格停止を含む懲罰の対象となりうる。
足切りが行なわれた後でプレイヤーがイベントから棄権する場合、他のプレイヤーがその代わりに進出することはない。
イベントのシングル・エリミネーション・ステージやダブル・エリミネーション・ステージで対戦表が作られた後にプレイヤーが棄権した場合、棄権したプレイヤーがそれ以降に対戦するマッチで【マッチの敗北】を受けたものとしてそのイベントを予定通り進行する。
棄権したプレイヤーは、ヘッドジャッジの判断によってイベントに再参加することができる。
謝礼の類と引き替えに、イベントから棄権してはならない。その行為は〔買収行為〕となる(5.X節参照)。
2.11 記録を取ること
プレイヤーはマッチの進行中に記録を取ってもよく、その記録をそのマッチの進行中に参照してもよい。プレイヤーはその記録について他のプレイヤーに公開する必要はない。
LANイベントでは、記録の使用が制限されることが多い。プレイを始める前に、イベントのファクトシートを確認しておくこと。
2.12 ビデオカバレージ
イベントの中には、生中継や録画放送のためにビデオを使うものがある。ビデオ・コメンテーターはイベント上は観客として扱われる。カバレージの間、イベント参加者すべてに対して敬意を持ってふるまう責任がある。
オンラインでプレイしている間に自分のマッチを放送することを選ぶプレイヤーもいる。プレイヤーがそうすることはできるが、少なくとも2分の遅延をおいて放送することが推奨される。
ビデオカバレージでフィーチャーに選ばれたプレイヤーは、フィーチャーされる上で必要な手順が増える場合がある。それらの手順は、プレイを始める前にスタッフからプレイヤーに明瞭に伝えられる。それらの手順によってデッキリストなどの情報の参照可否がそのイベントの同一ステージにおける他のフィーチャーされたプレイヤーとの間に差異が生じてはならない。
観客も、邪魔にならない限りマッチを記録することができる。
ジャッジはプレイヤーに、そのプレイヤーがイベントに参加しているときならいつでも、問題の確認や質問や懸念の確認のために、イベント運営のためにイベント主催者が用意したチャット・サービスを通じて、ゲーム・クライアントの画面を共有するように求めることができる。
ヘッドジャッジは、その裁量で、イベントでの裁定を下す助けとしてビデオ・リプレイを使うことができる。ビデオ・リプレイは、のちの調査手順で用いられることもある。
さらなる用心として、外部情報を探し求めることの可能性や有効性を減らすため、主催者は中継に少なくとも2分の遅延を置くこと。
3.イベント規定
3.1 タイブレーカー
通常、以下のタイブレーカーを用いて、イベントにおけるプレイヤーの順位を決定する。
- マッチ・ポイント
- オポネント・マッチ・ウィン・パーセンテージ
- ゲーム・ウィン・パーセンテージ
- オポネント・ゲーム・ウィン・パーセンテージ
イベント主催者とプラットフォームは、他のタイブレーカーを使ってもよい。そうする場合、その詳細はイベントに告知される。
3.2 フォーマット区分
イベントのフォーマットは、そのイベントでどのデッキ構築規定を用いるかを宣言する。現在この文書でサポートされており、MTGアリーナで使用できるフォーマットは以下の通り。
構築フォーマット
- スタンダード
- ヒストリック
3.3 カードの使用許可 - 新製品
カードはMTGアリーナで発売されるとデジタル・イベントで使用可能になる。
3.4 サイドボード
サイドボードとは、そのプレイヤーがマッチのゲームとゲームの間にデッキを調整するために用いてもよいカード群のことである。マッチの第1ゲーム終了後は、それらのカードをメインデッキに入れて使ってもよい。
各マッチの第1ゲームの開始前に、デッキとサイドボードは本来の状態に戻されなければならない。
サイドボードの構成と使用に関する制限は、それぞれのフォーマットごとのデッキ構築規定に含まれている。
ゲームの開始前に、プレイヤーが懲罰によってマッチの第1ゲームに負けになった場合、あるいは1枚のカードもプレイしていない間に第1ゲームを同意による引き分けにした場合、どちらのプレイヤーもそのマッチの次のゲームにおいてサイドボードを使うことができる。
「ゲームの外部にある(カード)」を参照するカードが存在する。トーナメント戦では、大会においては、その条件に当てはまるのはそのプレイヤーのサイドボードにあるカードだけである。
3.5 共有情報と秘匿情報
デジタル・イベントでは、情報は2種類にだけ区分される。共有情報と秘匿情報である。
共有情報は、ゲーム・クライアントによって公開されているあらゆる情報を含む。これには、以下のようなものがある。
- ライフ総量
- プレイヤーにつけたカウンタ~
- そのプレイヤーに適用される、ゲーム内に定義された期限が存在しない継続的効果。統治者、都市の承認、紋章など。
- プレイヤーのマナ・プールにある未消費のマナ
- 表示されているオブジェクトの名前
- オブジェクトやプレイヤーの状態(タップされているか、他のパーマネントについているか、裏向きか、など)と現在の領域
- 後にスタックに置かれて解決されることになる遅延誘発型能力
- 現在のマッチのゲーム点数
- 現在のステップやフェイズと、どちらのプレイヤーがアクティブ・プレイヤーか
- ゲームの領域に存在する各種オブジェクトの数
- 公開領域にあるオブジェクトの、クリーチャーのパワーやタフネスなどのあらゆる特性
- ゲーム・クライアントで得られる情報から類推できる情報
秘匿情報は、ゲーム・クライアントによって公開されてないあらゆる情報である。これには以下のようなものがある。
- プレイヤーの手札にあるカード
- 対戦相手には公開されているが自分には公開されていないカード(例:対戦相手が占術を行なってカードを見た場合、その見たカードがライブラリーの一番上に置かれたか一番下に置かれたかはわかるが、そのカードそのものは公開されていない。)
プレイヤーは、対戦相手の秘匿情報を能動的に求めることをしない義務がある。能動的に求めた場合、懲罰が与えられる場合がある。
4.プレイヤーの意思疎通
あらゆるゲームで、プレイヤー間の意思疎通は、ゲームを成立させるために不可欠である。ほとんどのデジタル・イベントは、公式なイベント情報を告知するプラットフォームを通知している。プレイヤーはイベントに参加するため、そのプラットフォームに参加しなければならない。
規定のプラットフォームに参加する以外でも、プレイヤーはジャッジなどのスタッフからの意思疎通に応答しなければならない。オンライン・イベントの性質上、スタッフに反応しない場合は懲罰が与えられることがある。(デジタル・マジック違反処置指針 3.5節〔回線切断〕 参照)
状況によらず、プレイヤーは対戦相手に礼儀正しく敬意を持って接すること。そうしなかったなら、〔非紳士的行為〕の懲罰が与えられる場合がある。
5.イベント規定抵触行為
5.1 故意の違反
故意の違反は許されない行為である。ヘッドジャッジは、故意の違反に関するすべての申し立てをよく検討し、プレイヤーが不正な行為をしたと判断した場合には、デジタル・マジック違反処置指針に基づく適切な懲罰を与える。すべての失格は、DCIの調査を受け、更なる懲罰が適用される可能性がある。
5.2 買収
棄権、投了、あるいはIDへの同意、その他ゲーム内の決定は、利益や何らかの要因の申し出と引き換えであったり影響されたりしたものであってはならない。そのような見返りについて申し出たり、他者がそのような申し出をするよう誘導することは禁止されており、それらは買収とみなされる。プレイヤーは、スタッフに対して裁定の結果に影響を与える目的でそのような申し出をしてはならない。
現在のイベントで得られる予定の賞を任意に分け合うことをマッチの間あるいはマッチ前に取り決めておくことは買収には当たらない。ただし、そのゲームやマッチの結果、あるいはプレイヤーのイベントからの棄権が、賞を分け合ったことに起因するものであってはならない。
シングル・エリミネーションの最終戦と告知されているマッチにおいて、勝者と、その結果の賞品の分け方を決定することは買収には当たらない。この場合、そのテーブルのプレイヤーのうち1人はイベントを棄権することに同意しなければならない。その後、プレイヤーは最終の順位による賞品を受け取る。
マッチやゲームの結果は無作為にあるいは自由意志で決定されてはならず、通常のゲームによって決められなければならない。サイコロ、コイントス、腕相撲、他のゲームの結果などによって決めることは認められない。
プレイヤーは他のマッチと関連して同意を導いてはならない。プレイヤーは他のテーブルのマッチやゲームの状態を見て判断しても良いが、マッチ中に席を離れたり、この種の情報を得るために過剰な努力をすることは認められない。
現金、商品券、未開封の商品だけが提供されているイベントのシングル・エリミネーション・ラウンドでは、イベント主催者の許可があれば、プレイヤー全員が賞を均等に分割することを選んでも良い。その時点でイベントを終わりにしても良いし、プレイを続けても良い。この同意のためには、イベントに残っているプレイヤー全員が同意する必要がある。
例:1位が12パック、2位が8パック、3位4位がそれぞれ4パックを得られるというイベントの準決勝開始前に、プレイヤーはイベント主催者に、イベントを終了させ、全員が7パックずつを手にする許可を得ても良い。
例:交通費と参加資格が得られる1人枠のプレイヤーズツアー予選の決勝で、決勝進出者2名は同意によってイベントの賞を分け合っても良いが、その同意によってマッチの結果が変化してはならない。1人がイベントから棄権し、棄権しなかったプレイヤーは交通費と参加資格を得る。その後、それ以外の賞品を同意したとおりに分け合って良い。交通費と参加資格はひとまとめであり、切り離すことはできない。
5.3 賭博行為
イベント参加者、スタッフ、観客は、イベント、マッチ、ゲームの結果ならびにそれらの一部に関しての賭けを行なってはならない。
5.4 非紳士的行為
非紳士的行為は決して容認されない。イベント参加者は、礼儀正しく敬意を持って振る舞わなければならない。非紳士的行為には以下のようなものが含まれる。
- 不敬を働く
- 常識的に考えて嫌がらせ、いじめ、つきまといと思われるような行動をする
- スタッフ、プレイヤー、観客に対して、言い争ったり、けんか腰に振舞ったり、侮辱したりする
- 観客やスタッフも含む参加者のプライバシーや安全性を侵害する
- ソーシャルメディアや公開チャットを使って他の参加者をいじめ、侮辱、威嚇する
- スタッフの指示に従わない
スタッフは気がついた問題のありうる行動を可能な限り早く調査し、その行動が繰り返されないように行動すること。非紳士的行為はすべてさらなる調査を受けることになる。
5.5 遅いプレイ
ほとんどのマッチは、プレイヤーはプレイヤーが選択するために使える時間を制限するタイマーがあるトーナメント戦機能を用いて行なう。しかしながら、一部のイベントではクライアント上のタイマーが存在しない指名対戦を用いる。その場合も、プレイヤーは適切な速度でプレイする責任がある。時間稼ぎは許されない。プレイヤーはジャッジに、そのゲームが遅いプレイでないか見るように頼んでもよい。その種の要求は、イベントの状況によっては受け入れられない場合がある。
5.6 外部情報の参照
マッチの進行中、プレイヤーはプレイについての助言を観客に求めてはならず、同様に観客はプレイについての助言をプレイヤーに与えてはならない。助言を求めたプレイヤーには、懲罰が与えられる場合がある。トーナメント戦で対戦しているプレイヤーにプレイについての助言を与えた観客は、会場からあるいは該当するオンライン・プラットフォームから追放される場合がある。
プレイヤーは、意図せず一方的に受け取ったプレイに関する助言をスタッフに報告すること。
これらの制限の一部は、公式な報道やカバレージのために無視されることがあるが、そのような場合、影響を受けるプレイヤーはその例外について説明を受ける。
6.構築・イベント規定
6.1 デッキ構築上の制限
構築のデッキは、60枚以上のカードで構成されなければならない。デッキに入れられる枚数に上限はない。サイドボードを使う場合、15枚以下でなければならない。
特殊タイプとして基本を持っているか、あるいは文章に特にそう書いてあるカードを除いては、1人のプレイヤーのデッキとサイドボードを合わせて、英語版のカード名に直して同名のカードは4枚までしか入れることができない。
6.2 適正なカード
特定のフォーマットにおいて使えるカードは、そのフォーマットで使用できるセットのカードと、それと同名のカードだけである。特定のフォーマットにおいて禁止されているカードは、そのフォーマットのデッキでは使用できない。特定のフォーマットにおいて制限されているカードは、デッキとサイドボードをあわせて1枚しか入れてはならない。
6.3 スタンダード・フォーマット・デッキ構築
スタンダード・フォーマットで使用可能なのは、以下のカード・セットである:
- 『ラヴニカのギルド』
- 『ラヴニカの献身』
- 『灯争大戦』
- 『基本セット2020』
- 『エルドレインの王権』
- 『テーロス還魂記』
- 『イコリア:巨獣の棲処』
以下のカードは、スタンダード・フォーマットにおいて使用が禁止されている:
6.4 ヒストリック・フォーマット・デッキ構築
ヒストリック・フォーマットでは、以下の禁止カードを除いて、MTGアリーナで使用できるカードを使用してもよい。
ヒストリック・フォーマットでは、カードが一時停止になることがある。一時停止になったカードは、ヒストリック・フォーマットで一時的に使用できない。
以下のカードは、ヒストリック・フォーマットにおいて使用を一時停止されている。
- 《裏切りの工作員》
- 《創案の火》
- 《軍団のまとめ役、ウィノータ》
付録A - 過去の版からの変更点
現在の版とその直前の版との変更点だけがこの付録に記されている。
2020年6月5日
文書作成。
付録B - 制限時間
MTGアリーナでは、トーナメント戦を使って各プレイヤーに30分の持ち時間が与えられている。可能な場合はこの方法を使って時間を管理することを推奨する。
イベントの各ラウンドで結果を提出していないプレイヤーにジャッジが連絡を取る時間として、以下の通り推奨する。
- 構築またはリミテッドのイベント - 60分
- シングル・エリミネーションの準々決勝および準決勝 - 90分
- シングル・エリミネーションの決勝戦 - 時間無制限
この時間の経過後、連絡をとったジャッジにプレイヤーが反応しなかった場合、懲罰が与えられる場合がある。(デジタル・マジック違反処置指針 3.5節〔回線切断〕 参照)
この時間はプレイヤーがマッチを終わらせなければならない制限時間ではなく、単にプレイヤーがプレイを続けていることをジャッジが確認し始める時間であることに注意。
ヘッドジャッジが、そのイベントの制限時間に関する最終権限者である。しかし、推奨時間から逸脱する場合、それをイベントの受付前と受付中に告知しなければならない。
プレミア・イベントにおいては、これ以外の時間制限が定められることがある。制限時間に関しては、そのイベントまたはイベント・シリーズのファクトシートを参照すること。
付録D - スイス式イベントにおいて推奨されるラウンド数
プレミア・イベントのスイス式ラウンド数は以下の通り。非プレミア・イベントにおいても、イベント主催者の決定によりこれを用いてもよい。
参加者数 | スイス式ラウンド | 決勝ラウンド |
---|---|---|
8 | シングル・エリミネーション3回戦(スイス式ラウンドなし) | なし(シングル・エリミネーションで開催) |
9-16 | 4(決勝ラウンドがブースタードラフトを使ったリミテッド・フォーマットの場合) 5(その他のフォーマットの場合) |
トップ8(決勝ラウンドがブースタードラフトの場合) トップ4(その他のフォーマット) |
17-32 | 5 | トップ8 |
33-64 | 6 | トップ8 |
65-128 | 7 | トップ8 |
129-216 | 8 | トップ8 |
217-256 | 8 | トップ16 |
257-512 | 9 | トップ16 |
512+ | 10 | トップ16 |
チーム戦の場合、各チームを1人のプレイヤーとして計算する。
不戦勝が与えられているイベントにおいては、1不戦勝を持つプレイヤーは2人分、2不戦勝を持つプレイヤーは4人分、3不戦勝を持つプレイヤーは8人分として上の表を用いること。