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世界選手権11

Round 16: 中島 主税(東京) vs. Ben Stark(アメリカ)
プロツアーシーンにおける現役日本勢の最長老ともいうべき存在が中島 主税だ。彼は十年を超えるキャリアをほこる大ベテランであり、今シーズンになって見せる活躍ぶりは凄まじく、もはやそのプレイスキルは円熟の域に到達している。
中島は今季のプロツアー・フィラデルフィアでは赤単親和デッキを駆って見事にベスト4入賞を果たしており、それによって彼は日本におけるモダン形式の第一人者となった。
そして、「フィラデルフィアの快挙再び」と意気込む中島の世界選手権のモダンラウンドのデッキも当然のように赤単親和。これは、フィラデルフィアでのプレイオフ(準々決勝)では「開幕ターンに手札をすべて使い果たす」という驚異的展開力を見せつけたことでも知られる、おそるべきアーキタイプである。
多数の禁止カード制定によりフィラデルフィアでの有力デッキが消滅ないし弱体化を余儀なくされた中、爆発力もムラもあるこの親和は、そっくりそのままこのフォーマットに生き残っているのである。
そんな親和デッキの中島に対するのが、Channel Fireball所属のアメリカ勢Ben Stark。Starkは今季のプロツアー・パリで見事優勝を飾っている強豪で、この日の朝の段階では「四色ヤソコン」か「Zoo」か最後の最後までデッキチョイスで悩んでいたとのことだが、最終的にはZooを選択し、本日ここまで2勝1敗という成績を挙げている。
親交のある二人は和やかな談笑からゲームを開始した。4敗ライン。どちらもベスト8入りの夢がかかっており、負けられない。
Game 1
ゲームは後手中島の「親和」らしい猛攻から開幕した。《墨蛾の生息地》、《羽ばたき飛行機械》《信号の邪魔者》、《オパールのモックス》《バネ葉の太鼓》、と一気に5枚のパーマネントを展開し、相手のターンには《感電破》を本体に4点叩き込んで見せた。手札は残り2枚。
対するStarkはフェッチランドである《沸騰する小湖》2枚からラヴニカ・ブロックの2色ランドを調達するという動きで、1ターン目にタップイン《踏み鳴らされる地》、2ターン目にアンタップイン《神聖なる泉》という二回の起動だけで4点のライフを失うアクションとなってしまうが、敵陣の《信号の邪魔者》にむけて放つ《稲妻のらせん》によって帳尻をあわせにかかった。
Starkがこのインスタント呪文を放ったのは当然中島の2ターン目の戦闘中のことで、なんとかライフを削り切りたい中島は、セットしていた《山》とあわせて2マナを捻出して《爆片破》を唱えた。

Game 2
待望の先手を獲得した中島が《山》セットからペイ2ライフとあわせて《大霊堂のスカージ》召喚。対するStarkはおなじみの「ペイ3ライフ」から《踏み鳴らされる地》をアンタップインし、すぐさま《稲妻》を見舞った。
中島の2ターン目は《オパールのモックス》、《メムナイト》《信号の邪魔者》、《山》というアクション。
対するStarkは《地平線の梢》をセットして2発の除去を撃ち込み、中島の戦線にクリーチャーが生き残ることを許さない。《流刑への道》と《稲妻》というダブルの除去が見舞われた。
3ターン目を迎えた中島はセット《墨蛾の生息地》から《頭蓋囲い》を設置にかかる。しかし、Starkもすぐさま《古えの遺恨》でこの装備品を破壊した。
4ターン目の中島の後続はセット《ちらつき蛾の生息地》と《電結の荒廃者》召喚。対するStarkは土地こそ2枚のままだが《野生のナカティル》を召喚してターンを返した。
中島は《信号の邪魔者》を召喚し、2枚の土地をクリーチャー化して毒1、ダメージ1の損害をStarkに与えた。
戦闘後、中島がここで熟考する。
中島 「・・・ここだけ、ちょっと考えさせてね。」
Stark 「この試合じゃ時間切れはないからごゆっくりどうぞ。」
結局、中島は《電結の荒廃者》と《金属モックス》を「電結」して《ちらつき蛾の生息地》を3/3に育て上げたのだが・・・そこにStarkからの《稲妻のらせん》が突き刺さる!
Starkは自陣に《貴族の教主》を加えてから《野生のナカティル》で4点のアタックを行い、中島が《頭蓋囲い》を《信号の邪魔者》につけてアタックを仕掛けたところで《流刑への道》を見舞ってみせた。
Starkは盤面に二枚目の賛美もちクリーチャーである《クァーサルの群れ魔道士》を追加し、《野生のナカティル》でアタック5点。中島はこれまでに毒カウンター3個を与えているものの、盤面ではかなり不利な状況となってしまった。
ここで中島は《頭蓋囲い》をクリーチャー化した《墨蛾の生息地》に装備させアタック宣言。Starkはここで《頭蓋囲い》を《クァーサルの群れ魔道士》で破壊することを選択し、毒カウンターがあらたに1個加わって、合計4つとなった。
ここで中島はペイライフしつつ《大霊堂のスカージ》を召喚し、《感電破》で《野生のナカティル》を破壊し、敵陣の脅威へと対処してみせた。
・・・しかし、ここからのStarkの展開が圧倒的だった!
Stark《タルモゴイフ》連打(二連続召喚)!
続くターンに《稲妻の天使》!!
中島は《爆片破》で《稲妻の天使》を除去することに成功したものの、まもなく圧倒的な緑色の洪水に飲み込まれてしまうこととなった。
中島 主税 0-2 Ben Stark
中島 「プロポイント6点、Top 32入りでプロプレイヤーレベル7に到達というのが目的でしたから残る試合もなんとか頑張りたいです。」
そう語る中島は、やはり今回は赤単親和がかなり対策されており、メタゲーム上の仮想敵とされていることを痛感しているようだった。
中島 「全般的に赤単親和にはつらい環境になったかもしれないですね。
たとえば、ZooはZooでもChannel Fireball勢は《緑の太陽の頂点》を失ってカウンターキャットから除去満載型Zoo生まれ変わったわけです。
《緑の太陽の頂点》をはじめとした遅いパーツやカウンターがほとんど親和には効かないのでフィラデルフィアでは有利だったんですが、今の試合がそうだった通り、新型Zooは除去だらけになってアタック力まで向上しているので・・・不利になってしまった感じですね。」
実際、中島は第17回戦にもOwen TurtenwaldのChannel Fireball Zooとマッチアップし、惜敗してしまっている。
中島 「それにしても、《忍び寄る腐食》までバントにうたれましたからね。(マッチには勝ったものの)さすがにそのゲームはボコボコにされましたよ。フィラデルフィアではメタ外だったからこそ勝てたという意味もあったので。
厳しい中ですが、なんとかTop32目指して頑張りたいと思います。」RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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