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世界選手権11
Round 13: 浅原 晃(東京) vs. Ali Aintrazi(アメリカ)
By Takeshi Miyasaka
いよいよ世界選手権も予選最終日を迎えた。プロツアー・フィラデルフィア以来となるモダンを使ったビッグイベントである。10 月から認定フォーマットとして正式採用されモダンを使った初めてのイベント、といってもいいかもしれない。この晴れの舞台に、世界の強豪たちは、各国の代表選手たちはどんなデッキを持ち込んできたのか。
現在3敗の浅原は、今日4勝以上の成績を残すことができれば三度目の世界選手権最終日へ進むことができる。その大事な日に選んだ相棒は、友人であり同僚でもある八十岡 翔太の作成したモダン版ヤソコン。
フィラデルフィアではあとわずかに勝ち点が足りず八十岡が入賞することはなかったが、禁止カードのあおりを受けることなく、イニストラードのカードを加えることができた。なにより、八十岡ブランドの安定性は折り紙付きだ。
浅原のほか、渡辺雄也、中村修平、ベン・スタークがヤソコンを八十岡からシェアされている。中村はレベル 8 を目指して、浅原と渡辺は世界選手権最終日を目指して、鬼才・八十岡が産み出した至高の一品に自身の命運をゆだねることにした。
モダンラウンド最初のフィーチャーマッチで浅原が呼ばれたのは、スターシティゲームズのシャツを着る巨漢の男、Ali Aintraziとマッチアップしたからだ。Ali Aintraziはプロレベル4のプロプレイヤーにして今年のアメリカ王者。
現在3敗1分で文字通りアメリカ代表を牽引しているアメリカチャンピオンは、個人・チームの双方で最終日を戦うべく、この席に着いている。強いアメリカがやってきているさなかにアメリカチャンピオンを獲得したAli Aintraziの実力もまた張り子ではない。
世界選手権最終日を目指す男たちの戦いが、いま幕を開ける。
浅原が攻撃に転じるべく《台所の嫌がらせ屋》を提示すると、Ali Aintraziは全力の《卑下》X=4 で、浅原はマナを支払ってアタッカーを着地させ、Ali Aintraziもまた占術で用がないカードをライブラリの底へ送り込む。さらにメインで《台所の嫌がらせ屋》を《撤廃》することでようやく《島》を入手することに成功した。Ali Aintraziに残されたマナは2つ。
振り出しに戻された浅原は《ヴェールのリリアナ》でAli Aintraziにふたたび判断を突きつける。
定位置についたプレインズウォーカーの[+1]能力でお互いに手札を捨てて忠誠度を4とすると、ふたたび《台所の嫌がらせ屋》を戦場へ。Ali Aintraziはふたたび《卑下》を X=1でプレイして占術することを選び、浅原もまた土地をフルタップしてこれに応じる。二度の《台所の嫌がらせ屋》により浅原のライフは24へ上昇した。
放置しておくと致命傷になりかねない《ヴェールのリリアナ》を《忘却の輪》で追放して急場を凌いだAli Aintraziへ、《台所の嫌がらせ屋》を向かわせて3ダメージを与えた浅原は、プレインズウォーカーで捨てた《罰する火》を相手にライフを与えて回収する。
回収した《罰する火》はメインに唱えられた《知識の渇望》によって《偶像の石塚》とともにみたび墓地へ向かう。そうして整えた手札から《地盤の際》をセットしてターンを終える。占術でライブラリを確認済みのAli Aintraziは、ライブラリトップから《金属海の沿岸》をタップインするのみだ。
《台所の嫌がらせ屋》がアメリカ人へ襲いかかってライフを15に減らすと、浅原は《永遠の証人》を自軍へ追加し、回収した《強迫》によってクリーチャーたちへの脅威となる《審判の日》を捨てさせる。
Ali Aintraziは手札に残された《世界のるつぼ》をコントロール下に展開してターンを終える。Ali Aintraziのライフを16に増やす代わりに《罰する火》を手にする浅原。
《台所の嫌がらせ屋》と《永遠の証人》がレッドゾーンへ送り込まれると、Ali Aintraziは先ほど引いた《流刑への道》で《台所の嫌がらせ屋》を追放し、ダメージを2点に軽減する。
戦闘終了後に《けちな贈り物》をプレイした浅原は、《永遠の証人》《粗野な覚醒》《全ての太陽の夜明け》《踏み鳴らされる地》という4枚をアメリカ人に提示する。
ここから《粗野な覚醒》と《踏み鳴らされる地》をAli Aintraziは選択し、《踏み鳴らされる地》をセットして浅原はターンを終える。ゲームを決めるカードを日本人に託したアメリカ王者は、ドローゴーしかすることができない。
浅原が《粗野な覚醒》をプレイするとAli Aintraziはカードを片付けた。
浅原 晃 1-0 Ali Aintrazi
浅原 晃
先攻のAli Aintraziがまたもテイクマリガンして始まったセカンドゲーム。
《神聖の力線》《天界の列柱》、《霧深い雨林》からの《神聖なる泉》、《ウルザの鉱山》というスタートのAli Aintraziと、《新緑の地下墓地》をフェッチからの《踏み鳴らされる地》、《沼》《桜族の長老》というスタートの浅原。
ターン終了時に《桜族の長老》を《森》へ変換すると、3ターン目には《島》をセットして《タルモゴイフ》《桜族の長老》を戦場へ繰り出した。
ターン終了時に《知識の渇望》を求めたアメリカ王者は、メインで《ウルザの塔》をプレイしてウルザトロンからのビッグマナに王手をかける。
マナベースの構築から早期にダメージでの決着を余儀なくされた浅原は、《桜族の長老》を土地に変換することなく《タルモゴイフ》(4/5)とともにレッドゾーンへ送り込み、Ali Aintraziのライフを14とすると、《神聖の力線》を破壊するために《仕組まれた爆薬》を X=4で設置し、《草むした墓》をタップインして次に備える。
Ali Aintraziはメインで《けちな贈り物》をプレイし、《ウルザの魔力炉》《世界のるつぼ》《殴打頭蓋》《ワームとぐろエンジン》を提示する。ビッグマナを許せない浅原は《殴打頭蓋》《ワームとぐろエンジン》をAli Aintraziにわたす。
《平地》をセットすると《忘却の輪》で浅原が仕込んだ《仕組まれた爆薬》を追放する。
《神聖の力線》への対抗策を失った浅原は先ほどと同様に5点アタックしライフを9へ落として先を急ぐ。しかし、浅原は自身の希望を奪う2枚のカードを対戦相手に送っているのだ。
Ali Aintraziは《けちな贈り物》によって入手したけちではない《ワームとぐろエンジン》を戦場へ。ダメージでの決着を求めた浅原のプランを瓦解しにかかる。《霧深い雨林》を《繁殖池》に変え、《燃え柳の木立ち》追加と土地を伸ばすものの、モンスターを前にクリーチャーでの攻撃は中止せざるをえない。
浅原の攻勢をようやく抑止することに成功したアメリカ王者は、《アカデミーの廃墟》をセットすると日本人からもらったもう一つの贈り物である《殴打頭蓋》も戦場へ投入する。
もはやクリーチャーでの殴り合いプランが消失した浅原は、《壌土からの生命》で《新緑の地下墓地》《霧深い雨林》を回収して土地を伸ばすことを選択し、《新緑の地下墓地》をふたたびセットする。
Ali Aintraziは《けちな贈り物》で渡されなかった《世界のるつぼ》を《アカデミーの廃墟》で回収して設置すると、最後の一枚《ウルザの魔力炉》を墓地から戦場へプレイしてウルザの力を手にする。
攻撃はせずにターン終了。
もはや猶予がない浅原は《新緑の地下墓地》をフェッチして《血の墓所》へ変換し、細菌トークンへ《罰する火》をキャストして脅威を一つ排除するが、目の前に鎮座するワームに対する解答はいまだ見いだせていない。
《ウルザの塔》2枚に《ウルザの魔力炉》《ウルザの鉱山》《平地》《天界の列柱》《神聖なる泉》《アカデミーの廃墟》という土地をコントロールしているAli Aintraziは、メインで《知識の渇望》をプレイすると土地を墓地へ送り込み、《世界のるつぼ》で墓地から《霧深い雨林》をセットする。
余ったマナで《殴打頭蓋》を《ワームとぐろエンジン》へ装備させて攻撃へと転じる。
この化け物の攻撃を《桜族の長老》、次いで《タルモゴイフ》の犠牲により凌いだものの、減らしてきたライフは絆魂により初期状態へと戻ってしまう。
もはやブロッカーもいない浅原は、そのために伸ばしてきた土地10枚をフルタップして《粗野な覚醒》を双呪プレイして一発逆転にかけるが、当然のようにAli Aintraziの手札にはこのゲームで見せていなかった《卑下》が鎮座していたのだった。
浅原 晃 1-1 Ali Aintrazi
Ali Aintrazi
先攻の浅原が《森》《燃え柳の木立ち》《桜族の長老》、Ali Aintraziは《金属海の沿岸》《ウルザの魔力炉》《アゾリウスの印鑑》という順調な立ち上がり。
ターン終了時に《桜族の長老》を《沼》に変換した浅原は、《強迫》によって公開された《知識の渇望》《流刑への道》《ワームとぐろエンジン》《悪斬の天使》《亡霊の牢獄》《アゾリウスの印鑑》というAli Aintraziの手札から《知識の渇望》を選んで、カードへのアクセスを抑止する。
さらに《地盤の際》をセットして《タルモゴイフ》を戦場へ。Ali Aintraziは引いてきた《天界の列柱》と《アゾリウスの印鑑》をプレイし、5マナへ到達する。
《タルモゴイフ》で3点のダメージを与えた浅原は《燃え柳の木立ち》をセットするが、Ali Aintraziはまず《悪斬の天使》を降臨させる。
浅原の目の前に現れた天使は浅原にとっては悪魔に見えることだろう。天使を前に攻撃ができない浅原は《燃え柳の木立ち》を追加するのみ。
《悪斬の天使》が駆け抜けて浅原のライフは15、Ali Aintraziは22となる。さらに引いてきた《神聖なる泉》をアンタップでプレイしたAli Aintraziは、浅原の望みを断つ2体目の化け物《ワームとぐろエンジン》を戦線へ追加し絆魂祭りを展開する。
浅原がプレイした《桜族の長老》は、目の前の化け物たちを前には児戯にも等しい。メインに《桜族の長老》を《流刑への道》してブロッカーを排除したAli Aintraziは、モンスターたちを進軍させる。
《桜族の長老》を《沼》にした浅原は《ワームとぐろエンジン》に《タルモゴイフ》を捧げるものの、《悪斬の天使》のダメージを受けてライフは10となる。かたやAli Aintraziのライフは30点を超えた。
引いてきた《知識の渇望》に活路を見いだす浅原は、4枚目の《燃え柳の木立ち》をプレイすると、《原基の印章》を設置して《ワームとぐろエンジン》に備える。
そのターン終了時に《けちな贈り物》によって、《アカデミーの廃墟》《世界のるつぼ》《殴打頭蓋》《トレイリア西部》を提示したAli Aintraziは、土地 2 枚を獲得する。
さっそく《アカデミーの廃墟》を設置すると、《天界の列柱》を起動して《ワームとぐろエンジン》《悪斬の天使》とともにレッドゾーンへ。《原基の印章》が《ワームとぐろエンジン》を、《地盤の際》が《天界の列柱》をそれぞれ対処するが、《悪斬の天使》が浅原のライフを5とする。
浅原は《けちな贈り物》をプレイしてライブラリに助けを求めるが、中身をすべて確認すると、アメリカ王者へ右手を差し出した。
浅原 晃 1-2 Ali Aintrazi
Game 1
先攻のアメリカ人がテイクマリガンして始まった13回戦のフィーチャーマッチ。 《ウルザの塔》 2 枚から《アゾリウスの印鑑》というスタートのAli Aintraziに対して、浅原は《草むした墓》《燃え柳の木立ち》から《強迫》で、強力なサーチカード《けちな贈り物》をアメリカ人に捨てるよう要求する。 都合2枚のディスアドバンテージを負ったAli Aintraziは《秘教の門》、続くターンには《エスパーのオベリスク》と展開すれば、浅原も《沼》《島》、《桜族の長老》から《沼》をサーチとお互いマナベースの構築に余念が無い。 余剰なマナができたところで浅原の手札から《罰する火》が現れ、Ali Aintraziのライフは19へ。 《黄昏のぬかるみ》を加え《桜族の長老》を《森》に変換と、浅原がコントロールする土地はいつしや7枚に。一方のAli Aintraziは5マナでストップしてしまっている。《けちな贈り物》を落とされたのが地味に効いているようだ。 浅原はAli Aintraziのライフを20として《罰する火》を回収する。Game 2
Game 3
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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