読み物
Round 8: 浅原 晃(東京) vs. 中島 主税(東京)
by Shiro Wakayama
浅原 晃と中島 主税。もう何度語られてきたかわからない、東京と神奈川の境あたりで、日本のマジックを引っ張ってきていた二人。
最近はmtg-jpでの連載で、常人にはできない異様な記事を生み出している浅原。別に、変態記事の専門家でもなんでもない。世界選手権でのTOP8経験が2度もある、強豪である。仕事が多忙を極め、近年はトーナメントシーンのトップを走り続けているわけではないが、グランプリ・広島でのTOP8等、いざマジックをすれば、活躍は間違いない強豪である。
対する中島。彼もマジックショップでの副店長として、忙しく仕事をしており、調整時間は以前よりも減っているとのことだが、今年はプロツアーTop4、グランプリ準優勝と絶好調。プロプレイヤーレベルをさらに上の段階に引き上げるべく、世界選手権でも気勢を上げている。
ここまで2敗と、まずまずの成績で進んできている二人。
14勝4敗あたりがTOP8のボーダーラインになるのでは?と思われるが、ここで勝ち星を重ねてさらに一歩全身するのはどちらか見てみよう。
Game 1
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浅原 晃 | |
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先手は浅原でマリガンなし。
ファーストアクションは中島の《》。 浅原は《》から《》。 中島は若者を《》へと変身させてアタックしつつ、《》をプレイして、後手ながらも盤面では浅原をぐいぐい押しこんでいく。
浅原の《》も、《》でライブラリートップに戻して盤面の優位をキープ。《》ともども2体のクリーチャーでレッドゾーンへ進撃。浅原のライフは13に。
既に盤面に4点のクロックがある中島は、カードアドバンテージでは無く、テンポを重視したゲームプランを浅原に提示すると、浅原はここで効果的な手が打てず、《》をプレイしなおすにとどまってしまう。
仮初めに得た、1ターン。中島はここで《》からマナを出して墓地を肥やしてみるが、これは期待したカードでは無かったのか、無色マナを使わずに、《》をプレイ。これをサクリファイスして、《》で4点アタックを敢行。
浅原のライフは9まで落ち込み、さらに先ほど墓地へと送り込んだ《》を餌に、《》をプレイして、浅原に強いプレッシャーをかける。
かなり劣勢となってしまった浅原は、中島の《》が効いているのか、土地が《》3枚で止まってしまっており、何もプレイができず、ディスカードをしてしまう羽目に。
中島が、《》と《》を攻撃へ向かわせ、浅原のライフを3とし、さらに《》をプレイ。
やっとのことで《》に辿り着いた浅原だが、あまりにも遅く、中島が先に星を掴む。
浅原 0-1 中島
Game 2
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中島 主税 |
先手は浅原。中島が《》《》と展開してゲームはスタート。対する浅原は、《》スタート。
しかも、《》を手に入れるために《》を墓地に落とさざるを得ないという、ちょっと厳しい展開。中島の展開が少しゆったりなのが、救いだろうか。
手札を整理してゲームプランを立てられた浅原。《》をプレイして、後続を展開できていない中島に対してプレッシャーをかける。
だが、そんな浅原に対して、中島は逡巡を全く見せずに《》に対して《》でアタック。浅原、少し警戒してこれをスルーする。ライフは18へ。
浅原はさらに《》をプレイして、場を固く、守っていく。
青赤のアドバンテージ重視であろう浅原のデッキに対して、テンポよくせめて行きたい青白ビートダウンを構築した中島だが、いまいち展開が芳しくない。《》をプレイして、ターン終了。
盤面での優位を築き上げた浅原が、攻勢に転じて2体のクリーチャーでアタック。しかし、中島のターン終了は手札が弱かったわけではないことがここで判明する。《》は《》、《》は《》でチャンプブロックしつつ、飛行トークンを生成して航空戦力を配備。
あくまで攻める姿勢を崩さない。
だが、浅原は2体目の《》をプレイして、制空権を譲らない。
返ってきて、中島のターン。序盤の攻防が終わって中盤戦以降のために小考してゲームプランを練り込む。
まずは《》からマナを出して、墓地へとカードを送り込んでみる。ここで墓地に落ちたのが《》で、大当たり。墓地に2体目のクリーチャーが落ちたことで、《》がプレイできることになり、空がダメなら、陸から物量作戦で。というプランがやや結果オーライ気味に成立する。
1度は《》でアタックし、《》のアタックを通してライフを12とした浅原だが、このまますれ違っても負けてしまうだけの浅原。《》も防戦に回す。
《》(+墓地に落ちたときの能力で3点)+《》で何とか《》を打ち取れる算段だ。
中島は、この浅原のプランをたった1マナで壊してみせた。《》をプレイし、《》をレッドゾーンへと送り込む。だが、浅原はこれを当初のプラン通り、2体のクリーチャーでブロック。なるほど。手札にきっと《》か《》でもあるのだろう。それなら《》のも他のクリーチャーに投げつけられて、悪くない交換ができそうだ。
だが、ブロック後に浅原が選択したプレイは、《》の3点飛ばす能力の対象は中島 主税。
自らの陣営が焼け野原になったというのに、本体への直接火力。あまりにもおかしい。
帰ってきた浅原のターン。その違和感のある行動の答えが明らかになる。
第7ラウンドで、《》×2、そして「乾杯デーモン」こと《》を擁する赤黒バンパイアを一蹴した、浅原のデッキ最強のボムカードがここで明らかに。
《》によって、中島の盤面はペンペン草も残らない状況に。
これにはマジック界の好々爺の異名を持つ、中島も渋い顔。大きくため息をつく。
後詰としての《》だったため、後続を用意できない中島。
当然全てを知っていた浅原は《》、《》と温存していた戦力を一気に展開する。これに対して《》を何とかトップデッキする中島だが、浅原は《》でアタック。さらに《》を後続として展開し、中島を追い詰める。
だが、プロツアーTOP4、グランプリファイナリストと、ノリに乗っている今年の中島は、ヒキが強い。中島は浅原の罠を予測していなかったが、ライブラリーは全てを知っていた。《》をさらにトップデッキし、《》と相打ちさせつつ、飛行戦力を配備。
さらには《》までもトップデッキ。
浅原の《》と《》、スピリット・トークンがすれ違っていたせいで、お互いのライフは危険水域まで落ち込む。
浅原の《》が《》へと変身し、一瞬強いプレッシャーとなるが、《》でブロックして手札に戻してお茶を濁しつつ、《》をライブラリから発見し、《》と共にプレイして、《》へと再度変身させる。
最後のすれ違いで、浅原がずっと温存していた《》が、《》への変身によって、中島のライフをどうやっても削りきれなくなってしまった浅原。
残念ながら、ここで投了。
浅原 0-2 中島
ゲームが終わって1分程は、旧知の仲である筆者も話しかけられないような雰囲気を放っていた二人。
中島 「ラス(《》)は全然想像してなかったから、かなりやばかった。ライブラリートップ強すぎたよー。ハッピー度☆☆☆☆☆」
浅原 「絶対3-0できると思ったんすけどね。相当悔しいっす。放送禁止用語使って悔しがったって書いといてください。」
やっと一息つけると思ったのか、カバレージを書いていた筆者向けに、外向けの、サービス精神満載のコメントを用意してくれる二人。
18回戦という長丁場。2敗や3敗でもまだまだTOP8の目はある。
第9回戦を終えてやっと折り返しという長丁場で勝利をつかみ取るためには、勝った中島は上手く勢いにのり、敗れた浅原は、うまく切り替えて次に臨んでほしい。
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