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世界選手権11

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Round 8: 浅原 晃(東京) vs. 中島 主税(東京)

by Shiro Wakayama  浅原 晃と中島 主税。もう何度語られてきたかわからない、東京と神奈川の境あたりで、日本のマジックを引っ張ってきていた二人。  最近はmtg-jpでの連載で、常人にはできない異様な記事を生み出している浅原。別に、変態記事の専門家でもなんでもない。世界選手権でのTOP8経験が2度もある、強豪である。仕事が多忙を極め、近年はトーナメントシーンのトップを走り続けているわけではないが、グランプリ・広島でのTOP8等、いざマジックをすれば、活躍は間違いない強豪である。  対する中島。彼もマジックショップでの副店長として、忙しく仕事をしており、調整時間は以前よりも減っているとのことだが、今年はプロツアーTop4、グランプリ準優勝と絶好調。プロプレイヤーレベルをさらに上の段階に引き上げるべく、世界選手権でも気勢を上げている。  ここまで2敗と、まずまずの成績で進んできている二人。  14勝4敗あたりがTOP8のボーダーラインになるのでは?と思われるが、ここで勝ち星を重ねてさらに一歩全身するのはどちらか見てみよう。

Game 1

浅原 晃
浅原 晃
 先手は浅原でマリガンなし。  ファーストアクションは中島の《修道院の若者》。 浅原は《熟慮》から《ランタンの霊魂》。 中島は若者を《不浄の悪鬼》へと変身させてアタックしつつ、《錯乱した助手》をプレイして、後手ながらも盤面では浅原をぐいぐい押しこんでいく。  浅原の《ランタンの霊魂》も、《幻影の掌握》でライブラリートップに戻して盤面の優位をキープ。《錯乱した助手》ともども2体のクリーチャーでレッドゾーンへ進撃。浅原のライフは13に。  既に盤面に4点のクロックがある中島は、カードアドバンテージでは無く、テンポを重視したゲームプランを浅原に提示すると、浅原はここで効果的な手が打てず、《ランタンの霊魂》をプレイしなおすにとどまってしまう。  仮初めに得た、1ターン。中島はここで《錯乱した助手》からマナを出して墓地を肥やしてみるが、これは期待したカードでは無かったのか、無色マナを使わずに、《無私の聖戦士》をプレイ。これをサクリファイスして、《不浄の悪鬼》で4点アタックを敢行。  浅原のライフは9まで落ち込み、さらに先ほど墓地へと送り込んだ《無私の聖戦士》を餌に、《縫い合わせのドレイク》をプレイして、浅原に強いプレッシャーをかける。  かなり劣勢となってしまった浅原は、中島の《幻影の掌握》が効いているのか、土地が《》3枚で止まってしまっており、何もプレイができず、ディスカードをしてしまう羽目に。  中島が、《不浄の悪鬼》と《縫い合わせのドレイク》を攻撃へ向かわせ、浅原のライフを3とし、さらに《猛火の松明》をプレイ。  やっとのことで《》に辿り着いた浅原だが、あまりにも遅く、中島が先に星を掴む。 浅原 0-1 中島

Game 2

中島 主税
中島 主税
 先手は浅原。中島が《旅行者の護符》《宿命の旅人》と展開してゲームはスタート。対する浅原は、《禁忌の錬金術》スタート。  しかも、《》を手に入れるために《護符破りの小悪魔》を墓地に落とさざるを得ないという、ちょっと厳しい展開。中島の展開が少しゆったりなのが、救いだろうか。  手札を整理してゲームプランを立てられた浅原。《縫い合わせのドレイク》をプレイして、後続を展開できていない中島に対してプレッシャーをかける。  だが、そんな浅原に対して、中島は逡巡を全く見せずに《縫い合わせのドレイク》に対して《宿命の旅人》でアタック。浅原、少し警戒してこれをスルーする。ライフは18へ。  浅原はさらに《燃え投げの小悪魔》をプレイして、場を固く、守っていく。  青赤のアドバンテージ重視であろう浅原のデッキに対して、テンポよくせめて行きたい青白ビートダウンを構築した中島だが、いまいち展開が芳しくない。《錯乱した助手》をプレイして、ターン終了。  盤面での優位を築き上げた浅原が、攻勢に転じて2体のクリーチャーでアタック。しかし、中島のターン終了は手札が弱かったわけではないことがここで判明する。《縫い合わせのドレイク》は《叱責》、《燃え投げの小悪魔》は《宿命の旅人》でチャンプブロックしつつ、飛行トークンを生成して航空戦力を配備。  あくまで攻める姿勢を崩さない。  だが、浅原は2体目の《縫い合わせのドレイク》をプレイして、制空権を譲らない。  返ってきて、中島のターン。序盤の攻防が終わって中盤戦以降のために小考してゲームプランを練り込む。  まずは《錯乱した助手》からマナを出して、墓地へとカードを送り込んでみる。ここで墓地に落ちたのが《修道院の若者》で、大当たり。墓地に2体目のクリーチャーが落ちたことで、《スカーブの大巨人》がプレイできることになり、空がダメなら、陸から物量作戦で。というプランがやや結果オーライ気味に成立する。  1度は《縫い合わせのドレイク》でアタックし、《スカーブの大巨人》のアタックを通してライフを12とした浅原だが、このまますれ違っても負けてしまうだけの浅原。《縫い合わせのドレイク》も防戦に回す。  《燃え投げの小悪魔》(+墓地に落ちたときの能力で3点)+《縫い合わせのドレイク》で何とか《スカーブの大巨人》を打ち取れる算段だ。  中島は、この浅原のプランをたった1マナで壊してみせた。《無私の聖戦士》をプレイし、《スカーブの大巨人》をレッドゾーンへと送り込む。だが、浅原はこれを当初のプラン通り、2体のクリーチャーでブロック。なるほど。手札にきっと《霊炎》か《硫黄の流弾》でもあるのだろう。それなら《燃え投げの小悪魔》のも他のクリーチャーに投げつけられて、悪くない交換ができそうだ。  だが、ブロック後に浅原が選択したプレイは、《燃え投げの小悪魔》の3点飛ばす能力の対象は中島 主税。  自らの陣営が焼け野原になったというのに、本体への直接火力。あまりにもおかしい。  帰ってきた浅原のターン。その違和感のある行動の答えが明らかになる。  第7ラウンドで、《血統の守り手》×2、そして「乾杯デーモン」こと《血の贈与の悪魔》を擁する赤黒バンパイアを一蹴した、浅原のデッキ最強のボムカードがここで明らかに。
 《冒涜の行動》によって、中島の盤面はペンペン草も残らない状況に。  これにはマジック界の好々爺の異名を持つ、中島も渋い顔。大きくため息をつく。  後詰としての《スカーブの大巨人》だったため、後続を用意できない中島。  当然全てを知っていた浅原は《ハンウィアーの砦守り》、《月鷺》と温存していた戦力を一気に展開する。これに対して《幽体の乗り手》を何とかトップデッキする中島だが、浅原は《月鷺》でアタック。さらに《血に狂った新生子》を後続として展開し、中島を追い詰める。  だが、プロツアーTOP4、グランプリファイナリストと、ノリに乗っている今年の中島は、ヒキが強い。中島は浅原の罠を予測していなかったが、ライブラリーは全てを知っていた。《霊廟の護衛》をさらにトップデッキし、《血に狂った新生子》と相打ちさせつつ、飛行戦力を配備。  さらには《ランタンの霊魂》までもトップデッキ。  浅原の《月鷺》と《幽体の乗り手》、スピリット・トークンがすれ違っていたせいで、お互いのライフは危険水域まで落ち込む。  浅原の《ハンウィアーの砦守り》が《ハンウィアーの災い》へと変身し、一瞬強いプレッシャーとなるが、《ランタンの霊魂》でブロックして手札に戻してお茶を濁しつつ、《無私の聖戦士》をライブラリから発見し、《ランタンの霊魂》と共にプレイして、《ハンウィアーの砦守り》へと再度変身させる。  最後のすれ違いで、浅原がずっと温存していた《硫黄の流弾》が、《ハンウィアーの砦守り》への変身によって、中島のライフをどうやっても削りきれなくなってしまった浅原。  残念ながら、ここで投了。 浅原 0-2 中島  ゲームが終わって1分程は、旧知の仲である筆者も話しかけられないような雰囲気を放っていた二人。 中島 「ラス(《冒涜の行動》)は全然想像してなかったから、かなりやばかった。ライブラリートップ強すぎたよー。ハッピー度☆☆☆☆☆」 浅原 「絶対3-0できると思ったんすけどね。相当悔しいっす。放送禁止用語使って悔しがったって書いといてください。」  やっと一息つけると思ったのか、カバレージを書いていた筆者向けに、外向けの、サービス精神満載のコメントを用意してくれる二人。  18回戦という長丁場。2敗や3敗でもまだまだTOP8の目はある。  第9回戦を終えてやっと折り返しという長丁場で勝利をつかみ取るためには、勝った中島は上手く勢いにのり、敗れた浅原は、うまく切り替えて次に臨んでほしい。
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RESULTS

対戦結果 順位
18 18
17 17
16 16
15 15
14 14
13 13
T4
T3
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
T2
T1
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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