By Takeshi Miyasaka 　世界選手権二日目はイニストラード・ブースタードラフト6回戦で争われる。成績順に8人ごとのテーブルを作り、同じテーブル内でドラフトをし、3回戦を戦う。その後また成績順にテーブルをあらためて作り、ドラフトをし、3回戦を戦うのだ。 　Josh Utter-Leytonと森 勝洋はともに5勝1敗でスタンダードを終えて、第3ポッドに組み込まれた。最終日を狙う上では、このポッド内で2勝、できれば3勝でセカンドドラフトを迎えたい大事な戦いとなる。 　森にデッキの強さを尋ねたところ「まあまあっすね。そこそこ行けますよ。」とのこと。森の奮闘に期待したい。

Game 1

　ダイスロールに勝ったJosh Utter-Leytonが先攻で、二日目最初のフィーチャーマッチが始まった。 　《森》《アヴァシンの巡礼者》からの《平地》《声無き霊魂》という好ダッシュを見せるJosh Utter-Leytonに対し、森は《森》《平地》《小村の隊長》という立ち回り。 　Josh Utter-Leytonは《声無き霊魂》で攻撃すると、《森》をセットして《電位式巨大戦車》召喚、と押せ押せな攻勢が止まらない。 　森もJosh Utter-Leytonと同じく緑白という色をチョイスしているが《アヴァシン教の僧侶》を戦場へ投入するも追加の土地をプレイできずに足踏み状態。 　森がもじもじしている間に《声無き霊魂》と《電位式巨大戦車》がレッドゾーンへ送り込まれ、森のライフは 20→18→11 と急下降していく。 　さらに《平地》と《エストワルドの村人》をボードに追加して戦場を圧倒するJosh Utter-Leytonに対し、森はいまだ追加のマナソースを展開できず《宿命の旅人》をインプレイするのみで、Josh Utter-Leytonの攻勢を止めるにはかなり厳しそうだ。しかし《電位式巨大戦車》がアンタップしなければ、あるいは。 　《声無き霊魂》を《アヴァシン教の僧侶》でタップされて攻撃を抑制されたJosh Utter-Leytonは、《森》をセットするのみでターンを終えて《エストワルドの村人》を《エストワルドの吠え群れ》へと変身させる。 　森は目の前に立ち並ぶファッティたちを前にして、回避能力を持つ《声無き霊魂》を《信仰の縛め》することを選択するが、マナはタップアウトとなる。 　森のターン終了時に《待ち伏せのバイパー》を瞬速プレイすると、《エストワルドの吠え群れ》をレッドゾーンに送り込んで森のライフを7へ落とし込む。さらに《暗茂みの狼》を戦線へ追加し、森を処刑台へと誘っていく。 　4ターンぶりに土地を引き当てた森は、《アヴァシン教の僧侶》の能力を開放しつつ、《森》と《修道院の若者》を支配下に加える。 　すでに圧倒的な盤面を維持しているJosh Utter-Leytonだが、しかし考えることを放棄することはなかった。じっくりプランを練り上げると攻撃フェーズへ移行する。 　《エストワルドの吠え群れ》が《アヴァシン教の僧侶》にタップされるのを確認すると、《暗茂みの狼》だけを森の元へ立ち向かわせる。 　ブロックする方法をしばし考えていた森は、アンタップしている自軍の人間たち――《宿命の旅人》《小村の隊長》《修道院の若者》――すべてを狼退治へ向かわせる。《小村の隊長》によってすべてが 2/2 となっていたことにより、若者と隊長が命を失い《宿命の旅人》が生き残ることに。 　しかし、Josh Utter-Leytonが《旅の準備》で《アヴァシンの巡礼者》と《待ち伏せのバイパー》を育て上げると、森はお先真っ暗なこのゲームに終止符を打つことを選んだ。 Josh Utter-Leyton 1-0 森 勝洋 　ところで、Josh Utter-Leytonと言えば、あの独特のシャッフルが記憶に残る読者は多いと思う。どの？という方は、ぜひプロツアーフィラデルフィアの録画をご覧になっていただきたい。 　カードを横から差し込み続けるだけのシャッフルなのだが......どちらかというと雑なシャッフルだなあという印象を受けるのである。いや、もちろんよそ見をしながらシャッフルすることでカードを見てしまうことがないという意思表示は素晴らしいと思うのだが、もう少しカードを大事にしたシャッフルをしても罰は当たらないのではなかろうか、と考えてしまう。 　まあ、何が言いたいかというと、Josh Utter-Leytonのシャッフルによって、森のスリーブが次々と裂けていく様に、森が思わず「いま入れたばかりのスリーブがダメになってるんだから、もっと丁寧にシャッフルしようよ」とツッコミを入れていたのに思わずうなずいてしまった筆者である。 　その森に対してJosh Utter-Leytonは申し訳なさそうに「Sorry」とぽつりもらしていた。

Game 2

　先攻を選んだ森だがダブルマリガンを余儀なくされてセカンドゲームが幕を開ける。 　《平地》《森》から《ガツタフの羊飼い》というスタートの森に対して、Josh Utter-Leytonは《平地》《森》からの《アヴァシンの巡礼者》とややぎくしゃくとした展開。 　今度は順調に3枚目の土地として《平地》をセットした森は《ガツタフの羊飼い》を戦闘に差し向ける。アップキープに《ガツタフの羊飼い》が《ガツタフの咆哮者》へ変身するのを見届けたJosh Utter-Leytonは《森》セットで4マナへジャンプすると《修道院のグリフィン》を召喚して軸をずらした戦線を構築するが、森がコントロールする《ガツタフの咆哮者》への回答にはならず、攻撃を受けてJosh Utter-Leytonのライフは15へ落ち込む。 　さらに4マナ目の《平地》をセットした森は《ただれ皮の猪》を戦場へ投入し、ダブルマリガンとは思えない順調さで自軍を組み上げていく。 　森がダブルマリガンながらの好ダッシュだとしたら、Josh Utter-Leytonは後手マリガンなしで3枚のアドバンテージがある。3枚目の《森》をプレイすると《エストワルドの村人》と《幽体の乗り手》を展開し、《ガツタフの咆哮者》に昼の光を当てて変身を解いた。ブロックされない《修道院のグリフィン》は上空から森のライフを狙う。 　ここまで序盤をリードしていた森はここで分水嶺を迎える。先ほどまで攻勢を維持していた闇夜の力は《ガツタフの羊飼い》に及んでいないので攻撃することはできない。となれば、当面の脅威を刈り取るべきだろう。 　まずは《悪鬼の狩人》で《エストワルドの村人》を狩ると、4枚目の《森》セットから《信仰の縛め》をブロックできない《修道院のグリフィン》へエンチャントして無力化する。その後《ただれ皮の猪》をレッドゾーンへ送り込み、Josh Utter-Leytonのライフを12とした。 　攻め手を目の前で絡め取られたJosh Utter-Leytonは、《森》と《霊廟の護衛》を追加してターンを返すと、森はなにもせずに《ガツタフの羊飼い》を《ガツタフの咆哮者》へサイズアップし、将来の攻撃チャンスをうかがわせる。 　凪の後には動きがやってくる。《電位式巨大戦車》がJosh Utter-Leytonのコントロール下に追加されたことで、主導権が森からJosh Utter-Leytonへと移ったのが見て取れた。 　5/5 の巨大戦車が森に襲いかかると、ノータイムで《ガツタフの咆哮者》と《ただれ皮の猪》がブロックし「ビフォアダメージ。」と発言した森は《叱責》で《電位式巨大戦車》を破壊する。ただ巨大戦車を失っただけのJosh Utter-Leytonは、《霊廟の護衛》をおかわりしてビッグターンを終えた。 　当面の脅威を排除した森は《ガツタフの咆哮者》を攻撃に向かわせるが、《アヴァシンの巡礼者》がチャンプブロックして墓地へ向かう。一瞬「？」が頭に浮かんだ筆者である。 　その理由はすぐに氷解した。Josh Utter-Leytonは《平地》をセットすると《願い事》で、墓地にある《アヴァシンの巡礼者》《電位式巨大戦車》を回収し、《アヴァシンの巡礼者》をプレイしたのだ。 　Josh Utter-Leytonはライフを3点軽減しつつ、ビッグアクションで失った巨大戦車を回復し、さらに森の《ガツタフの咆哮者》を《ガツタフの羊飼い》へ戻すことに成功したのだ。 　森は《小村の隊長》を、Josh Utter-Leytonは回収済みの《電位式巨大戦車》をそれぞれ戦場へ投入してターンを返すと、森はみたびなにもせずに終えるターンを作り《ガツタフの羊飼い》を《ガツタフの咆哮者》へと変身させる。 　しかし、ここからJosh Utter-Leytonが反撃に転じる。 　《信仰の縛め》を《ただれ皮の猪》にエンチャントすると、《電位式巨大戦車》をレッドゾーンに送り込み、森のライフを13まで減じて、さらに《上座の聖戦士》を追加して《ガツタフの咆哮者》を小さくする。森は《ガツタフの羊飼い》をもう一度《ガツタフの咆哮者》へと変身させるのだが。 　《上座の聖戦士》と2体の《霊廟の護衛》がレッドゾーンへ送り込まれると、《上座の聖戦士》を《悪鬼の狩人》でブロックして残りをテイクして森のライフは9となる。 　いちおう《ガツタフの咆哮者》で攻撃してみる森だったが、その後頭を振って右手を差し出すのだった。 Josh Utter-Leyton 2-0 森 勝洋