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ワールド・マジック・カップ2018
王座奪還へ:イタリア代表
2018年12月15日
デンマーク代表とイタリア代表は、過去6回のワールド・マジック・カップで優勝した国の中で、今回王座奪還を狙える位置にいる唯一の2か国である。
イタリア代表のアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciは、今回で5回目のワールド・マジック・カップ出場。代表チームに二度選ばれるだけでもその国で最も素晴らしいプレイヤーの1人であることの証明になるが、5回目ともなればその国で本当に突き抜けていることに疑いの余地はない。そして彼は過去にチームを優勝、3位、そして4位に導いており、このイベントを「メングッチ・インビテーショナル」だと言う者も多い。
メングッチにとってマジックでの最高の記憶は、2015年にイタリア代表が優勝トロフィーを獲得した瞬間だ。その頃チームは4人制であり、そのうちの1人はコーチ役であった。結果として、フランチェスコ・ビフェロ/Francesco Biferoはほとんどマジックをプレイしないまま大会優勝に尽力し、これはイタリア代表の中でその年一番の笑い話となった。しかし、他の誰よりも、メングッチはそれがチーム全体の力であったことをよく知っており、誰が欠けても2015年のイタリア代表の成功はなかったと思っている。
その後のワールド・マジック・カップでも、イタリア代表は他のどの国もなし得ないほどの安定した成績を見せた。2016年、アンドレア・メングッチ、アレッサンドロ・カサメンティ/Alessandro Casamenti、マティア・リッツィ/Mattia Rizzi、そしてアレッサンドロ・ポルタロ/Alessandro Portaroのイタリア代表はトップ4入りし、さらに2017年もまたアンドレア・メングッチ、マティア・リッツィ、そしてアドリアノ・モスカート/Adriano Moscatoの3人でトップ4入賞を果たしたのだった。
彼らの勝利の秘訣とはなんだろうか? 今回メングッチと、2018年の彼のチームメイトであるティエンファ・ムン/Tian fa Munとマティア・バジリコ/Mattia Basilicoの話を聞くと、2つのことが際立っていた。
ハードワーク
「イタリアは本当に頑張ってるんだよ」とメングッチは最初に言った。「他の多くのチームが休暇を取ってる中で、僕はワールド・マジック・カップへの準備も他のプロツアーと同じようにやってるんだ。僕たちはFacebookのチャットでたくさん議論して、たくさんプレイテストして、また議論してきた。バルセロナに来てからもとにかくマジックをプレイして、自分たちのデッキについては本当によく知ってるんだ。繰り返すけど、プロツアーと同じように準備することが、イタリアチームの秘訣なんだ」
競技シーンに最近登場したティエンファ・ムンやマティア・バジリコにとって、この準備方法は新鮮な経験だった。メングッチの厳しい指導の下バルセロナで過ごした4日間について私が尋ねると、マティア・バジリコは笑いながら「もう悪夢だったよ」と言った。
彼は続けて、「まず家から出られないんだ」と言う。「一日中マジックをプレイさせられる。朝飯も昼飯もなし、夕食だけさ……」こうした献身的な準備について、バジリコやムンが最初不安を覚えたことは確かだろうが、それでも彼らはキャプテンに最上の尊敬と信頼を置いている。
「別に厳しくしたつもりはないんだけど」と、メングッチは懸念を払拭しようと言う。「でも、やっぱりいい結果を残したいならプレイテストは大事なんだよ。ちゃんとやれば、その分有利になるんだ。僕のチームメイトは1つのイベントのためにこんなに一生懸命やったことはないって言ってたから、僕はそこに自信を持ってるんだ」
国の誇り
イタリアの成功を支えるもう1つの動力源は、イタリアのマジック・プレイヤーが国に対して誇りを持っていることだ。彼らはFacebookにイタリアのマジック・コミュニティのグループページを持っており、イタリア代表チームに関する投稿には数百もの「いいね」が付き、彼らのモチベーションを高める一助となっているのだ。
イタリアのプレイヤーは情熱的だ。ワールド・マジック・カップ2015の決勝が終わったとき、イタリア代表チームが喜びにトロフィーを掲げ「Campioni del mondo!」を歌いだしたことは、今でも私の記憶に残っている。彼らは母国がサッカーで勝利を収めたときを思い出させるほどの情熱で勝利を祝った。その愛国心は自身のためのみならず、イタリアという国をワールド・マジック・カップで幾度となく成功させるための原動力となっているのだ。
夢はまだ続く
昨日、イタリア代表チームは1試合も落とすことなく2日目に進出した。今日の第1ステージの組分けでは、強豪デンマーク、オーストリア、ポルトガルと同じ「死のプール」でプレイし、第1回戦で死闘の末ポルトガルには破れたものの、その後2連勝して次のステージに進出した。
第2ステージ進出を決めた今、ワールド・マジック・カップ史上初の2回優勝というメングッチの夢はまだ続いている――それは彼自身の夢であると同時に、イタリア全体の夢でもあるのだ。
(Tr. Keiichi Kawazoe)
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