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ワールド・マジック・カップ2017
デッキテク:白青サイクリング
Frank Karsten / Tr. Tetsuya Yabuki
2017年12月2日
今大会のチーム共同デッキ構築スタンダードでは、多くのチームが《熱烈の神ハゾレト》を採用したデッキと《霊気との調和》を駆使するデッキを選択しており、それらに採用するカードとの被りを避けるため、第3のデッキとして白青系のものを構成に含めている。デッキ構築における制限を考えれば、《氷河の城砦》を用いるデッキが多くなるのは驚くことではない。
しかし現在「白青系」といえば、《王神の贈り物》あるいは《副陽の接近》を中心に据えた形が主流であり、それらと比べて《ドレイクの安息地》を決め手とするデッキは珍しい形のはずだった。ところが驚くべきことに、今大会では73チーム中実に17ものチーム(割合で言えば23.3%)が、《ドレイクの安息地》を中心にした白青デッキを選択しているのだ。
このデッキが最初に活躍を見せたのは、プロツアー『イクサラン』でのことだった。このデッキを使用したエリオット・ブウサー/Eliott Boussaudが、スタンダード・ラウンドで8勝2敗の好成績を収めたのだ。そしてその数週間後、コーリー・バークハート/Corey Burkhartがこのデッキを改良し(《農場 // 市場》を不採用とし、《威厳あるカラカル》と《奔流の機械巨人》の「変形サイドボード」戦略をとった形)、グランプリ・ポートランド2017にて15位に入賞した。その後Magic Onlineで爆発的に人気を集めたということはなかったのだが、この週末での活躍を受けて流行を見せるのは間違いないだろう。《ドレイクの安息地》を用いたデッキはワールド・マジック・カップ2017の参加者たちに好まれ、とりわけゴールド・レベルやプラチナ・レベルのプロ・プレイヤーたちにも強い支持を受けているのだ。
プロ・プレイヤーたちも、ブウサーとバークハートの活躍を見て感銘を受けた。カナダ代表のキャプテン、エドゥアルド・サイガリク/Eduardo Sajgalikは次のように語る。
「コーリーがグランプリでこのサイクリング・デッキを使って勝ち進むのを見ていた。『ティムール・エネルギー』や『ラムナプ・レッド』との対戦を目の当たりにして、『これはすごい。本当にいけるぞ』と感じたんだ」
このデッキに感動したプロはサイガリクだけではない。アルゼンチン代表のキャプテン、ルイス・サルヴァット/Luis Salvattoもまた、バークハートのデッキリストを見て実際に試すと、すぐにその魅力に気づいたという。「プレイしていて本当に楽しい。大好きな《アズカンタの探索》を用いるコントロール・デッキだし、《残骸の漂着》も最高だ」
このデッキのゲーム・プランはいたってシンプルだ。序盤はサイクリングで手札を回しながら《残骸の漂着》や《燻蒸》で盤面を一掃し、この流れを何度か繰り返す。現時点で2日目第2ステージへの進出を決めているポーランド代表のピオトル・グロゴウスキー/Piotr Glogowskiは、次のように語る。
「全体除去が大量に搭載されており、サイクリングを駆使してそれらを安定して引き込めるため、『ティムール』相手にかなり有利だと思います。1発2発なら押し切られますが、3発4発となれば話は別です」
盤面を一掃したのちは《排斥》や《相殺の風》で1対1交換を取っていき、やがてサイクリングと相性抜群の3マナのカードを設置してゲームを制圧する。「《見捨てられた石棺》は15枚くらいドローするようなものですよ」と、グロゴウスキーは満面の笑みを見せて言っていた。実際の勝ち手段は、(ごくまれに《秘法の管理者》で勝つこともあるが)《ドレイクの安息地》だ。このデッキにはサイクリングを持つカードが25~26枚採用されているため燃料には困らず、飛行を持つトークンの群れで対戦相手を圧倒できるだろう。
勝ち手段が7マナではなく3マナである点がこのデッキの大きな強みであると、話を聞いたプレイヤーたちは声を揃えて言う。「設置後も相手ターンの終了時にドレイクを生み出すことができ、隙がありません。7マナのソーサリーに勝ち手段を頼るなんて恐ろしくてしかたがありませんよ」とは、グロゴウスキーの言葉だ。とりわけ、対戦相手がサイドから《否認》を投入しこちらのプランを打ち消しにかかってきた場合、そのマナの差が重要になる。《否認》の人気を考えると、早い段階で置いておける勝ち手段が大きな意味を持つのだ。
さらに、現在のメタゲームではエンチャントがかなり安全である点も見逃せない。《秘宝探究者、ヴラスカ》や《俗物の放棄》のようなカードを除いて、現在スタンダードにあるデッキのほとんどが《ドレイクの安息地》を破壊する手段を持っていないのだ。「これは『副陽の接近』デッキの強化版ですよ」とグロゴウスキーは主張する。他の「白青サイクリング」デッキ愛好家たちも、その意見に頷いている。
エドゥアルド・サイガリクは、このデッキが他の白青系デッキに対しても有利であることを強調した。「他の《氷河の城砦》を用いるデッキと当たるたびに、有利を実感していったよ。コントロールの同系戦では、基本的に確定カウンターの数は同じくらいだ。その中で、こちらは3マナの呪文を通せば良いのに対して、相手は7マナの呪文を通す必要があるわけだからね」
そして、「王神の贈り物」デッキと比較しても「白青サイクリング」の優れた点が浮かび上がる。「白青サイクリング」の方が干渉手段が豊富なのだ。ブラジル代表のパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaいわく、「『王神の贈り物』デッキには相手への干渉手段がない。《暴れ回るフェロキドン》を出されて、それを対処できずにそのまま負けることが何度もあった」とのことだが、「白青サイクリング」は《排斥》や豊富な除去呪文、打ち消し呪文を持ち、大抵の脅威に対して回答を用意することができるのだ。
以上、「白青サイクリング」デッキをご紹介した。このデッキは現行スタンダードで戦える力を十分に備えており、コントロール・デッキが好きな人や2/2のドレイクの群れで勝ちたい人にとって最高の選択肢だ。カード選択やサイドボード・プランなどさらに詳しく知りたい方は、ぜひ(エリオット・ブウサーとともにプロツアーに向けた調整を行った)ラファエル・レヴィ/Raphael Levyやコーリー・バークハートの記事(いずれもリンク先は外部サイト・英語)をお読みいただきたい。
8 《平地》 6 《島》 4 《氷河の城砦》 4 《灌漑農地》 1 《シェフェトの砂丘》 1 《イプヌの細流》 -土地(24)- 1 《秘法の管理者》 -クリーチャー(1)- |
4 《検閲》 3 《アズカンタの探索》 4 《相殺の風》 4 《ドレイクの安息地》 4 《新たな信仰》 1 《見捨てられた石棺》 4 《排斥》 4 《ヒエログリフの輝き》 4 《残骸の漂着》 3 《燻蒸》 -呪文(35)- |
2 《奔流の機械巨人》 4 《領事の権限》 2 《ジェイスの敗北》 1 《アズカンタの探索》 1 《魔術遠眼鏡》 2 《不許可》 1 《見捨てられた石棺》 1 《俗物の放棄》 1 《イクサランの束縛》 -サイドボード(15)- |
8 《平地》 6 《島》 4 《氷河の城砦》 4 《灌漑農地》 1 《シェフェトの砂丘》 1 《イプヌの細流》 -土地(24)- 2 《秘法の管理者》 -クリーチャー(2)- |
4 《検閲》 3 《アズカンタの探索》 4 《相殺の風》 4 《新たな信仰》 3 《ドレイクの安息地》 1 《見捨てられた石棺》 4 《排斥》 4 《ヒエログリフの輝き》 4 《残骸の漂着》 3 《燻蒸》 -呪文(34)- |
3 《威厳あるカラカル》 2 《奔流の機械巨人》 4 《領事の権限》 2 《ジェイスの敗北》 2 《不許可》 1 《見捨てられた石棺》 1 《ドレイクの安息地》 -サイドボード(15)- |
8 《平地》 7 《島》 4 《氷河の城砦》 4 《灌漑農地》 1 《シェフェトの砂丘》 -土地(24)- 2 《秘法の管理者》 -クリーチャー(2)- |
4 《検閲》 2 《アズカンタの探索》 4 《相殺の風》 4 《新たな信仰》 3 《ドレイクの安息地》 2 《見捨てられた石棺》 4 《排斥》 4 《ヒエログリフの輝き》 4 《残骸の漂着》 3 《燻蒸》 -呪文(34)- |
3 《威厳あるカラカル》 3 《奔流の機械巨人》 4 《領事の権限》 1 《ジェイスの敗北》 2 《不許可》 1 《ドレイクの安息地》 1 《俗物の放棄》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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