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EVENT COVERAGE
プロツアー『イクサラン』
デッキテク:ウィルソン・ハンターの「白単吸血鬼」
Corbin Hosler/ Tr. Tetsuya Yabuki
2017年11月4日
吸血鬼がスタンダードに足跡を残すときがきた。
この『イクサラン』の部族は1か月以上前にスタンダードへ上陸したものの、強力なカードがありながらリミテッドから飛び出し構築シーンで活躍する姿は見受けられなかった。確かに《薄暮の使徒、マーブレン・フェイン》や《軍団の上陸》は目を引くカードだが、プロツアー『イクサラン』に臨むプレイヤーたちはそれらをどのようにデッキとして機能させるか見出だせないでいた。
その状況を一変させたのが、ウィルソン・ハンター/Wilson Hunterとフィリップ・ブレイヴァーマン/Phillip Braverman。
「白単吸血鬼」の登場である。
15 《平地》 4 《シェフェトの砂丘》 3 《屍肉あさりの地》 -土地(22)- 2 《薄暮まといの空渡り》 4 《アダントの先兵》 4 《格納庫の整備士》 4 《金属ミミック》 4 《軍団の征服者》 3 《薄暮の使徒、マーブレン・フェイン》 3 《発明の天使》 -クリーチャー(24)- |
4 《軍団の上陸》 4 《オケチラの碑》 1 《飛行機械による拘束》 3 《イクサランの束縛》 2 《排斥》 -呪文(14)- |
4 《栄光半ばの修練者》 1 《賞罰の天使》 2 《断片化》 2 《飛行機械による拘束》 1 《ギデオンの介入》 4 《黄昏 // 払暁》 1 《霊気圏の収集艇》 -サイドボード(15)- |
プロツアー『イクサラン』に向けては多くのプレイヤーがチームで取り組み、長年のプロ・プレイヤーたちが何週間にもわたってプレイテストを積み上げてきた。彼らはテストの繰り返しで環境のベスト・デッキを掘り下げていき、その完成形を求めていった。
だが全参加者がそうやって準備してきたわけではない。プロツアーの経験が比較的浅いハンターとブレイヴァーマンは、自分たちでは現環境のベスト・デッキである「エネルギー」デッキの完成形を作り上げることはできないと判断した。ふたりは、友人のポール・マイケル/Paul Michelとともにレガシーのポッドキャスト「The Brainstorm Show」を配信するなど、エターナル環境に精通していた。しかしスタンダードは、彼らの専門外だったのだ。
それでも競技シーンでの活躍を目指すふたりにとって、プロツアーは慣れないフォーマットに飛び込むだけの魅力があった。もちろん、最初はどこから始めるかもわからなかった。
「《オケチラの碑》を用いたデッキを試してみたいと思いました」と、ハンターは小さく肩をすくめた。「Magic Onlineで安く組めたし、試さない理由はないなと。そうしたら手応えを感じて、そのまま調整してみたんです」
《軍団の上陸》と《軍団の征服者》は最初からデッキの中核だったという。《軍団の上陸》は第1ターンの動きとして最高で、ゲーム後半にもアドバンテージをもたらしてくれる。また《軍団の征服者》と《格納庫の整備士》は《オケチラの碑》との相性が良く、コストが減ったクリーチャーを連打して瞬く間にトークンの軍勢を生み出す。
しかしこのデッキをネクスト・レベルに押し上げたのは、トークン戦略だけでなく「吸血鬼」の要素を受け入れることだった。
ハンターは言う。「1ターン目《軍団の上陸》から《金属ミミック》、《薄暮の使徒、マーブレン・フェイン》という動きは本当に強力で、《金属ミミック》を採用したら多くのことがうまくいきました。このデッキにはたくさんのシナジーと相互作用があります。吸血鬼の部族デッキでありながら、《オケチラの碑》も活かせるんです」
盤面を築く手段の次は、ゲーム後半の全体強化だ。《発明の天使》や《シェフェトの砂丘》は、トークン軍団を強化して一気にゲームを終わらせられる。もちろん、22枚の土地で5マナを捻出するのは難しいが、土地になる可能性がある《軍団の上陸》を4枚搭載している点が、ゲームを決めるのに必要なマナを揃えるための鍵となるだろう。
このデッキは「エネルギー」系のデッキや「ラムナプ・レッド」には強いが、「副陽の接近」とトークン戦略には不利だという。だが今大会では「エネルギー」系と「ラムナプ・レッド」が大部分を占めるだろうと期待して、ハンターはそのチャンスに賭けた。
「僕たちはプロ・プレイヤーのように最高の『ティムール・エネルギー』を作り上げることはできません。だからリスクを負う必要があるんです」と、3回目のプロツアーで自身初の2日目進出を果たしたハンターは、自身のデッキ選択をそう振り返る。
そしてその判断は報われた。ハンターは「白単吸血鬼」デッキを手に今大会を力強く進み、この時点で5勝1敗の好成績を収めている。「ティムール・エネルギー」に対してはサイドボードの《黄昏 // 払暁》も効果的だが、サイドボードについては苦手なコントロール・デッキ対策に偏らせているらしい。
「今大会のメタゲームを突いたデッキですが、地力もあると思います」とハンターは評する。「序盤、中盤の動き、そして終盤の決め手まで揃っていますから」
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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