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EVENT COVERAGE
プロツアー・パリ11
Round 16: Paul Rietzl (アメリカ) vs. Luis Scott-Vargas (アメリカ)
きみの力が必要なんだ!
by Nate Price / traslated by Yusuke Yoshikawa
ポール・リーツェル (ボロス) vs. ルイス・スコット=バルガス (Caw-Go)
「自分の名前がフィーチャーマッチとしてコールされたとき、それがいい知らせじゃないってわかったよ。」
ルイス・スコット=バルガス(以下LSV)はそう言ってがっかりしながら、アリーナに入っていった。しかし、このラウンドの対戦相手を見て、彼は明るさを取り戻していた。
「もし誰かと戦わなきゃいけないのなら、気に入ってる奴のほうがいいな。」
彼はそう言って、ポール・リーツェルに握手を求めるべく手を差し出した。
彼らのうち一方だけが、トップ8に入ることができる。それは、彼ら自身もわかっている。
Game 1
リーツェルの立ち上がりは早かった。第1ターンの《ステップのオオヤマネコ》からフェッチランド経由で4点のダメージを与えると、続いて《戦隊の鷹》を加え、さらに3枚を探し出した。一方LSVは、自らの《石鍛冶の神秘家》で《シルヴォクの生命杖》を手中におさめた。この装備品からのライフゲインは、このマッチアップで極めて重大であることが証明されている。
すべての視線が、フィーチャーマッチエリアのポール・リーツェルとルイス・スコット=バルガスに注がれている。 |
リーツェルは続くターンの攻撃に思考を振り絞った。《湿地の干潟》をプレイし、《戦隊の鷹》と《ステップのオオヤマネコ》で攻撃。熟考の末、3点のみを与えることとして、LSVのライフは13となった。リーツェルの決定がなぜであったかは、2枚目の《ステップのオオヤマネコ》をプレイしたことで明白になった。
LSVはカードを引き、そのままターンを返した。
リーツェルは手札にある3枚目のフェッチランドを示し、クリーチャー群がLSVのライフをちょうど削り切るに足ることを告げた。
リーツェル 1-0 LSV
第1ゲームはたった4ターンしか続かず、わずか8分のみを消費するだけだった。
「俺には早い勝負が必要なんだ」とリーツェルがコメントする。「ラウンド1で白青相手に引き分けたからね」
「ボロスには今回のプロツアーで2回勝ったよ。それで運を使い切っちゃったのかな」 そう言って、LSVはため息をついた。
Game 2
第2ゲームのリーツェルの引きは、ちょっと出足の遅いものだった。最初のターン、《ステップのオオヤマネコ》の代わりに《トゲ撃ちの古老》が出せる精一杯だった。LSVは2枚目の土地を置くのみでターンを返す。
リーツェルの第2ターンはなかなかに刺激的だった。《冒険者の装具》と《ステップのオオヤマネコ》が手札から飛び出し、相手を脅威を与える。だがLSVは《失脚》を持っており、これをオオヤマネコへ。そして、《戦隊の鷹》の群れに繋がる最初の1枚をも持っていたのだ。
やぁやぁLSV、そこには何体の《戦隊の鷹》がいるんだい? |
リーツェルは《冒険者の装具》を《トゲ撃ちの古老》にまとわせて攻撃、ブロック宣言前に鷹を《稲妻》で押しのけると、《進化する未開地》で《山》を持ってきた。これでLSVはライフ14。
続くターン、LSVは2体の《戦隊の鷹》で壁を形成するが、リーツェルは喜んで突っ込んでいく。しばしの黙考の後、彼は3マナ分の土地と《進化する未開地》を立たせたままターンを返した。
LSVは自らのターン、マナをどう使うかを考えさせられることになった。結局《ギデオン・ジュラ》を着地させ、すぐさま2番目の能力で《トゲ撃ちの古老》を狙い撃つ。対応して、リーツェルは《進化する未開地》を起動、3/3となった《トゲ撃ちの古老》でダメージを《ギデオン・ジュラ》に振り向けた。
アンタップして、リーツェルは《電弧の痕跡》を使い《ギデオン・ジュラ》とLSVに残された鷹の両方を除去する。そして自らの《戦隊の鷹》でもって戦力を補充した。
2枚目となる《ギデオン・ジュラ》が呼び出され、リーツェルの鷹に自らを攻撃するよう迫ると、リーツェルは少しの間動きを止めた。結局、鷹に《冒険者の装具》を持たせ、土地をプレイしてギデオンを攻撃、さらに2体の鷹を送り込んでターンを終えた。
そこで、LSVは急襲をかけた。
《審判の日》が戦線を薙ぎ払い、その後にLSVが出した最後の鷹を除いて戦場は空っぽになった。《ギデオン・ジュラ》で攻撃するよりもカウンターを加えることを選び、これで忠誠度は7となった。
リーツェルはこれ以上の出血を食い止めるべく、《電弧の痕跡》で最後の鷹を倒すとともにギデオンの忠誠度を5に下げる。そしてこちらも最後となる鷹を出し、装備して終えた。
しかしこれも、LSVがギデオンをクリーチャー化して、今出したばかりの《饗宴と飢餓の剣》を装備させて攻撃してきたことで、チャンプブロックで役目を終えることになる。
リーツェルがプレインズウォーカーをつつく。 |
リーツェルには考えなければいけないことがあった。LSVの手札は1枚だが、盤面を掌握しつつある。その手札が《マナ漏出》なのかどうか、である。
結局ないと判断したのか(あるいは、今回はあろうとなかろうと関係ないと考えたのか)、彼は《オキシド峠の英雄》を戦場に駆り出し、《冒険者の装具》、土地プレイを経て攻撃することで、7に戻っていたギデオンの忠誠度を1に減らした。
LSVはこれを受け流した。ただアンタップして、《エルズペス・ティレル》をプレイしたのだ。彼女は3体の兵士トークンをもたらし、リーツェルとギデオンの間に障壁をこしらえた。そして《ギデオン・ジュラ》は《饗宴と飢餓の剣》をつかむと、守りの薄いリーツェルを攻撃した。これで《天界の列柱》を含むLSVの土地がアンタップ。守りがより一層強固になった。
リーツェルが投了するには十分だった。
リーツェル 1-1 LSV
「このドローで勝てるかどうかは、わからない」とLSVは熟考する。「(ほかのボロス相手の)第3ゲームもこのくらいだったが、どれも接戦だったから」
Game 3
いざ第3ゲームになると、リーツェルは絶好のスタートを切った。
第1ターンにプレイできるものこそなかったのだが、それでもキープすることを選んだ。彼は《進化する未開地》から《山》を引っ張ってきて、続く《板金鎧の土百足》へとつなげた。一方、LSVは2枚の《定業》をプレイするのみで2ターンを終えていた。
そして第3ターン、リーツェルが爆発的猛攻を見せる。まず《冒険者の装具》が《板金鎧の土百足》に取り付けられると、《乾燥台地》で土百足がパワーアップし、さらにフェッチした《山》から《ゴブリンの先達》を呼び出したのだ。
3枚目の土地を置く前に、ライフ9となってしまったLSVは、自らのターンで《石鍛冶の神秘家》で、実に大事な《シルヴォクの生命杖》を持ってきた。
しかし、LSVが手に持ったデッキを置き直すその前に、リーツェルは1枚のカードをきらめかせた。
それは速攻のヒーロー、《オキシド峠の英雄》。
続くターンに勝負を決める一撃が来るとわかり、常に一流の紳士たるスコット=バルガスは、投了を伝えてリーツェルをTop8に送り出したのだった。
リーツェル 2-1 LSV
「あの初手をキープするかに、はっきりした根拠があったわけじゃないんだ」
マッチの後、リーツェルはそう認めた。
手札には《板金鎧の土百足》《ゴブリンの先達》、そして《オキシド峠の英雄》があった。ここまではあのゲームで見せたとおりである。
しかし、土地はあの《進化する未開地》と数枚の《平地》だけだったのだ。続けて2枚のフェッチランドを引き込んだことで、彼の手札は大器晩成型から超大物手へと、瞬く間に変貌を遂げたのだ。
「最初は自信があったわけじゃなかった。彼、LSVにもこの手札に対処する時間があるだろうと思っていた。けれど、《乾燥台地》が見えた瞬間、この手札は絶対に負けないものへと変わったのさ」
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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