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プレイヤーズツアー・名古屋2020
デッキテク:覚前 輝也が選んだ「ライザ式・青単信心タッチ真実を覆すものコンボ」の全容公開
(本記事は1日目・第7回戦終了後に取材したものです)
プレイヤーズツアー・名古屋2020のメタゲームブレイクダウンが1日目、2日目ともに発表された。
1日目使用者最多となったのは「真実を覆すものコンボ」だ。「《真実を覆すもの》+《タッサの神託者》」によるセルフライブラリーアウトを勝ち手段にする非常に稀なコンボであり、過去モダンやスタンダードで活躍した「《欠片の双子》+《詐欺師の総督》」の双子コンボにも比肩しうる強力なデッキとしてにわかに注目を集めている。
193人中、37人。約20%と5人に1人がこのコンボを選択しているが、新しいデッキだけあってリストの細部はさまざまに調整されているようだ。基本は手札破壊を中心に妨害しつつコンボを揃えるコントロール・コンボ型が多いが、《グルマグのアンコウ》などの「探査」を持つクリーチャーを足した形などもある。しかし「アレンジ」と呼ぶには明らかに異端、異色のリストを持ち込んでいるプレイヤーが2人いた。
覚前 輝也と、リミテッダーにしてデッキビルダーである石村 信太朗(通称、ライザ)だ。石村が作り上げたデッキを2人は練習会を経て共有し、ごくごくわずかな差異だけでシェアデッキとして今大会に持ち込んでいた。
コンボを決め、早々に試合を終えた覚前に話を伺った。
覚前 輝也 |
「青単信心タッチ真実を覆すもの」デッキ
7 《島》 4 《湿った墓》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 2 《欺瞞の神殿》 1 《ヴァントレス城》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(26)- 4 《潮流の先駆け》 4 《マーフォークのペテン師》 4 《タッサの神託者》 1 《凍結燃焼の奇魔》 4 《厚かましい借り手》 4 《真実を覆すもの》 4 《老いたる者、ガドウィック》 -クリーチャー(25)- |
2 《魔術師の反駁》 4 《予期の力線》 3 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(9)- |
2 《思考囲い》 1 《無効》 2 《漸増爆弾》 1 《霊気の疾風》 1 《害悪な掌握》 4 《神秘の論争》 3 《漂流自我》 1 《神秘を操る者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
7 《島》 4 《湿った墓》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 2 《欺瞞の神殿》 2 《ヴァントレス城》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(27)- 4 《潮流の先駆け》 4 《マーフォークのペテン師》 4 《タッサの神託者》 4 《厚かましい借り手》 4 《真実を覆すもの》 4 《老いたる者、ガドウィック》 -クリーチャー(24)- |
2 《魔術師の反駁》 4 《予期の力線》 3 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(9)- |
2 《思考囲い》 1 《無効》 1 《払拭》 2 《霊気の疾風》 2 《漸増爆弾》 4 《神秘の論争》 1 《漂流自我》 1 《幻惑の旋律》 1 《神秘を操る者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
デッキ選択の理由
覚前「パイオニアは環境のデッキが多いと思ってます。10個くらいあって、多いですよね。その上で、それぞれ苦手な相手がまあまあいるかなって。僕、このあいだ『赤単』でパイオニアの大きい大会で勝ったんですけど、対策されると辛いんです。例えば『白単ヘリオッド』みたいなデッキには勝てないですし」
先日、Magic Onlineで開催された「Pioneer Showcase Challenge」。そこで覚前は《僧院の速槍》からゲームを始めて4ターン目の《朱地洞の族長、トーブラン》で「締める」といったスピード感を持つ「赤単アグロ」を持ち込み、優勝している。
これまでパイオニアの赤単はミッドレンジ型が主体であり、アグロ型を覚前が示したことでメタゲームは一歩進んだかに見えていたが、その製作者である覚前自身は「さらに一歩」前に進んで環境を理解していた。
覚前「ただ、メタデッキのなかで唯一、青黒(真実を覆すものコンボ)は苦手がいないと思ってるんですが、75枚の選択がすごく難しくて。自分では、ベストな選択を取れないなって思いました」
最高峰のトッププロを示した「プラチナレベル・プロ」の称号も有していた覚前をして、難しいと言わしめる「真実を覆すものコンボ」。しかしその「難しい」は使わないことの言い訳ではなく、より自らに「アジャストした形」を追う探求の一言であった。
覚前「チーム『武蔵』の練習会でライザさんがこのデッキを回していて。それを見ていて、コントロールではなくクロックパーミッション的に動くことができるデッキで、そこまで難しくない、自分に合ってると感じました。まだリストもあまり知られてないですしね」
プロツアー・チームシリーズを戦い抜いたプロチーム「武蔵」。プレイヤーズツアーに向けた練習会は引き続き行われており、ライザら有志も参加していたようだ。覚前が語る「そこまで難しくない」という表現は「コントロールよりクロックパーミッションの方がデッキとして簡単」という意味合いではなく、多様性のある現在のメタゲームにおいては、相手のデッキを完全に読み解いてコントロールしきることは困難で、ある程度自分の動きを押し付けていく形をとれることがより良い可能性が高いという判断だ。
カードの選択
覚前「普通の『真実を覆すものコンボ』だと、アグロに対して比較的勝率が良くないことが気になったので、2マナのクリーチャーをしっかり確保した形にしています。もともと《海の神、タッサ》が入っていた枠があるんですが、これ、なんもしないな、ってなって。《魅了された者、アリリオス》にした形を練習で試しもしたんですが、3マナなのと、信心を稼ぎづらい点が気になって《凍結燃焼の奇魔》にしました。ライザは土地(2枚目の《ヴァントレス城》)にしてますね」
《タッサの神託者》と合わせて、「黒単アグロ」の2/1クリーチャーをガッツリと止める優秀なサイズだ。またもう1種類の2マナクリーチャー、《潮流の先駆け》も信心をしっかりと稼ぎつつ、バウンスでしっかりとコンボ完成までの時間を稼ぐ優秀なクリーチャーだ。
覚前「《予期の力線》は完全に信心用です。とにかく信心を稼いで、《タッサの神託者》か《ニクスの祭殿、ニクソス》と《老いたる者、ガドウィック》の組み合わせでコンボパーツを探して、引くという形ですね」
本来、《ニクスの祭殿、ニクソス》のマナ加速は通常のデッキが使用すれば「オーバーパワー」になりがちだが、《老いたる者、ガドウィック》がいればその心配はゲームの終了まで無用のものになる。
青い呪文に反応する誘発型能力も、2マナクリーチャーたちの攻撃を通すのに最適であり、「青単信心」ベースにする最大の理由がこのパッケージにあるようだ。
サイドボーディング
「《真実を覆すもの》+《タッサの神託者》」、「《ニクスの祭殿、ニクソス》+《老いたる者、ガドウィック》」。2つのコンボがデッキ内で見事なシナジーを形成している。
そして完成度の高いコンボデッキの宿命として、サイドボーディングのイン・アウトが難しいというものがある。ほとんどのカードがコンボに寄与するものであり、どれをどれだけ抜くかという観点は使う上で先達に助言を求めたくなることが多いだろう。
覚前は仮想敵を「なんでもいる」と読んでいた上で、それぞれのイン・アウトをメモの形で取りまとめていた。その一部を今回、共有してくれた。
対・真実を覆すものコンボ(コントロール型)
アウト:《真実を覆すもの》1枚、《予期の力線》4枚、《凍結燃焼の奇魔》1枚、《潮流の先駆け》4枚
イン:《漂流自我》3枚、《思考囲い》2枚、《神秘を操る者、ジェイス》1枚、《神秘の論争》4枚
(※石村はサイドボードの《漂流自我》を《払拭》、《幻惑の旋律》と散らしている。)
覚前「基本はエゴ(《漂流自我》)がかなりクリティカルなので、これを通すゲームになります。ハンデスとカウンターで守って、通す形ですね」
コンボとビートダウンの勝ち筋を両立させる「青単信心」型は《漂流自我》がコントロール型ほど顕著に効かないとも表現できそうだ。
対・黒単アグロ
アウト:《魔術師の反駁》2枚
イン:《漸増爆弾》2枚
覚前「《厚かましい借り手》なども弱いカードなんですが、他のカードに替えても、そこまでなので、替えません」
サイドボーディングの考え方
覚前「相手のデッキにカウンター(打ち消し呪文)があるかないかで、判断します。サイド後はカウンターがなければ基本は《真実を覆すもの》のコンボで勝って、カウンターがある相手にはクロックパーミッション的に勝つことを目指します。特に《予期の力線》はコンボ勝ちのときは残して、クロックパーミッションで行くときには抜きますね」
「《真実を覆すもの》コンボ」と「《ニクスの祭殿、ニクソス》+《老いたる者、ガドウィック》コンボ」そして「軽量クリーチャーによるクロックパーミッション」。登場したばかりのデッキは多面性を備えることで一つ先、二つ先の姿へと進化していた。
新フォーマット「パイオニア」と新デッキ「真実を覆すものコンボ」、プロプレイヤーたちの研鑽によってその全容が同時に少しずつ明らかになっていく。覚前、そして石村、2人が切り開く未来はすぐそこだ。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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