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プレイヤーズツアー・名古屋2020
プレイヤーズツアー・名古屋2020 1日目メタゲームブレイクダウン ~開拓者たちの選択~
2020年最初の日本国内最初となるプロ・プレイ。今年から長きにわたってマジックのプロシーンの骨子となっていたプロツアー/ミシックチャンピオンシップからプログラムが一変し、世界3か所で招待制ハイレベルトーナメントが行われるようになった。
そして、このプレイヤーズツアーで好成績を収めることで、プレイヤーたちはさらなる舞台、プレイヤーズツアーファイナルへと参加権利を手にすることができる。
いわばこのイベントは狭き門をくぐり抜けて来たプレイヤーたちによるハイレベルトーナメントでありながら、予選会の側面も持つトーナメントなのだ。
そして、プレイヤーたちが挑むのは新たなトーナメントシステムだけではない。
パイオニア。
昨年10月21日に発表された新たなフォーマットを、参加者たちは文字通り「開拓者」となって切り開いていくことになる。
新たなトーナメント、新たなフォーマットで、プレイヤーたちが選択したデッキは如何に――
デッキタイプ | 使用者数 | 割合 |
---|---|---|
真実を覆すものコンボ | 37 | 19% |
黒単アグロ | 26 | 13% |
5色ニヴ=ミゼット | 21 | 11% |
白青コントロール | 14 | 7% |
白青スピリット | 14 | 7% |
青赤魂込め | 13 | 7% |
ビッグレッド | 11 | 6% |
ロータスコンボ | 10 | 5% |
白単信心 | 9 | 5% |
緑黒アグロ | 7 | 4% |
その他 | 31 | 16% |
合計 | 193 | 100% |
メタゲーム分析
※筆者注:イベント進行の都合上、サンプルデッキリストのサイドボードは本来の枚数ではなく1枚と表記しています。
1位:真実を覆すものコンボ 37名
『テーロス還魂記』発売前、最も注目を集めていたのは、《太陽冠のヘリオッド》だろう。2020年1月13日 禁止制限告知でも触れられていたように、《歩行バリスタ》との2枚コンボは比較的カードプールの狭いパイオニアで猛威を振るうかと思われた。
しかし、いざ『テーロス還魂記』が発売され、このプレイヤーズツアーで強豪プレイヤーたちがこぞって選択したデッキは全く違うコンボデッキだった。
6 《島》 3 《沼》 4 《湿った墓》 4 《水没した地下墓地》 2 《詰まった河口》 2 《異臭の池》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《タッサの神託者》 4 《真実を覆すもの》 -クリーチャー(8)- |
4 《致命的な一押し》 4 《選択》 4 《思考囲い》 3 《思考消去》 2 《検閲》 1 《湖での水難》 1 《海の神のお告げ》 1 《残忍な切断》 4 《時を越えた探索》 3 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(27)- |
1 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《正気泥棒》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《スカラベの神》 1 《墓掘りの檻》 1 《減衰球》 1 《軍団の最期》 1 《害悪な掌握》 1 《究極の価格》 1 《肉儀場の叫び》 1 《神秘の論争》 1 《悪夢の織り手、アショク》 -サイドボード(12)- |
《真実を覆すもの》で自らのライブラリーを破壊し、《タッサの神託者》で勝利を手にする2枚コンボデッキが、パイオニアを席巻しようとしている。
《タッサの神託者》は当初「ロータスコンボ」の勝利手段として注目を浴びていたが、一気に本デッキが環境の本命候補に躍り出た。
上述の通り、多くの強豪プレイヤーたちがこの突如として現れたデッキを選択しており、一気にプレイヤーズツアーの頂点まで上り詰めるのか注目だ。
2位:黒単アグロ 26名
15 《沼》 4 《ロークスワイン城》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《血に染まりし勇者》 4 《漆黒軍の騎士》 2 《戦慄の放浪者》 2 《どぶ骨》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《残忍な騎士》 3 《悪ふざけの名人、ランクル》 3 《騒乱の落とし子》 -クリーチャー(26)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 1 《闇の掌握》 1 《死の国への引き込み》 -呪文(10)- |
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《強迫》 1 《苦悶の悔恨》 1 《軍団の最期》 1 《自傷疵》 1 《虚空の力線》 1 《霊気圏の収集艇》 -サイドボード(7)- |
パイオニア制定後、一貫してトップメタに位置している黒単アグロが使用者数2位となった。
《密輸人の回転翼機》を失った後もその勢力は衰えず、『エルドレインの王権』の《ロークスワイン城》で継続力もある。
本イベントと並行して行われているプレイヤーズツアー・ブリュッセル2020では使用者数No.1となっており、名古屋においても引き続き本命候補だ。
- Players Tour Brussels Day 1 Pioneer Metagame(プレイヤーズツアー・ブリュッセル2020 1日目メタゲームブレイクダウン:英語)
3位:5色ニヴ=ミゼット 21名
1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 1 《山》 1 《森》 1 《遊牧民の前哨地》 1 《開拓地の野営地》 1 《華やかな宮殿》 1 《神聖なる泉》 1 《神無き祭殿》 1 《秘密の中庭》 1 《寺院の庭》 2 《湿った墓》 1 《蒸気孔》 2 《繁殖池》 1 《植物の聖域》 1 《血の墓所》 1 《草むした墓》 1 《花盛りの湿地》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《寓話の小道》 -土地(26)- 4 《森の女人像》 2 《楽園のドルイド》 2 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 3 《包囲サイ》 1 《人質取り》 3 《ニヴ=ミゼット再誕》 -クリーチャー(15)- |
2 《突然の衰微》 1 《戦慄掘り》 2 《ケイヤの誓い》 1 《轟音のクラリオン》 1 《微塵》 1 《漂流自我》 1 《至高の評決》 1 《完全なる終わり》 4 《白日の下に》 1 《永遠神の投入》 4 《時を解す者、テフェリー》 -呪文(19)- |
1 《ヴィズコーパの血男爵》 1 《冥府の報い》 1 《思考囲い》 1 《安らかなる眠り》 1 《神秘の論争》 1 《殺戮遊戯》 1 《破滅の刻》 1 《思考のひずみ》 1 《ラクドスの復活》 -サイドボード(9)- |
環境随一のアドバンテージカードである《ニヴ=ミゼット再誕》を軸に据えたコントロールデッキが使用者数第3位となっている。
『テーロス還魂記』から《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が投入されている。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は自然にマナを伸ばしつつライフ回復とキャントリップを行うことができ、「脱出」せずとも本デッキに十分貢献できる戦力となっている。
ビートダウンデッキに対しては《至高の評決》《轟音のクラリオン》といった全体除去に加え、《包囲サイ》や《永遠神の投入》といった盤面を制圧するカードたちによって、めっぽう強い構成となっている。
現在増加中の「真実を覆すものコンボ」に対しても、メインデッキの《漂流自我》やサイドボードで十分に対策することができる。
《ニヴ=ミゼット再誕》が降臨すれば速やかにゲームを終わらせることがるし、また《白日の下に》で戦況に合わせたカードをライブラリーから持ってくることも可能となっており(もちろん《ニヴ=ミゼット再誕》を唱えることも可能)、上位進出が期待されているデッキと言っていいだろう。
4位:白青コントロール、白青スピリット 各14名
5 《島》 3 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 3 《灌漑農地》 1 《ヴァントレス城》 3 《アーデンベイル城》 2 《廃墟の地》 -土地(25)- 1 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(1)- |
4 《選択》 4 《アゾリウスの魔除け》 3 《検閲》 1 《神聖な協力》 1 《ドビンの拒否権》 2 《吸収》 2 《悪意ある妨害》 1 《拘留の宝球》 4 《至高の評決》 2 《排斥》 2 《時を越えた探索》 2 《タッサの介入》 3 《時を解す者、テフェリー》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 2 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(34)- |
1 《僧院の導師》 1 《夢さらい》 1 《疎外》 1 《霊気の疾風》 1 《ドビンの拒否権》 1 《安らかなる眠り》 1 《拘留の宝球》 1 《神秘の論争》 1 《残骸の漂着》 1 《即時却下》 -サイドボード(10)- |
2 《平地》 2 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 4 《寺院の庭》 4 《繁殖池》 4 《植物の聖域》 -土地(24)- 4 《霊廟の放浪者》 2 《幽体の船乗り》 4 《鎖鳴らし》 4 《無私の霊魂》 4 《至高の幻影》 4 《天穹の鷲》 4 《ネベルガストの伝令》 4 《呪文捕らえ》 2 《厚かましい借り手》 -クリーチャー(32)- |
4 《集合した中隊》
-呪文(4)- |
1 《蔓延するもの》 1 《拘留代理人》 1 《大天使アヴァシン》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《安らかなる眠り》 1 《神秘の論争》 1 《残骸の漂着》 -サイドボード(7)- |
現環境のアゾリウス=白青を代表する2デッキが使用者数同数となった。色こそ共通しているものの、両者の戦略は全く異なる。
「白青コントロール」はいわゆる「古き良き」コントロールデッキ、打ち消し呪文や全体除去で序盤を捌き、少ないフィニッシャーを探しつつ時間をかけて勝利を目指すデッキであるのに対し、
一方の「白青スピリット」は低マナ域のダメージ減=クロックを設置し、急所となるカードを《呪文捕らえ》で追放したり、ダメージレースを《厚かましい借り手》でかわすことで、比較的早期の決着を志向するデッキだ。
両デッキを合わせれば28名と、「黒単アグロ」を越える使用者数となるが、果たしてコントロールとスピリットのどちらのアゾリウスカラーデッキがより多く上位にプレイヤーを送り込むことになるのだろうか。
6位~10位 青赤魂込め、ビッグレッド、ロータスコンボ、白単信心、緑黒アグロ
1 《島》 1 《山》 2 《蒸気孔》 4 《シヴの浅瀬》 4 《尖塔断の運河》 3 《産業の塔》 4 《ダークスティールの城塞》 3 《変わり谷》 -土地(22)- 4 《ボーマットの急使》 4 《ジンジャーブルート》 2 《ギラプールの希望》 4 《技量ある活性師》 3 《湖に潜む者、エムリー》 1 《熱烈の神ハゾレト》 4 《石とぐろの海蛇》 -クリーチャー(22)- |
3 《乱撃斬》 4 《アーティファクトの魂込め》 4 《爆片破》 1 《神秘の論争》 4 《幽霊火の刃》 -呪文(16)- |
1 《トーモッドの墓所》 1 《潜水》 1 《削剥》 1 《霊気の疾風》 1 《溶岩コイル》 1 《神秘の論争》 1 《実験の狂乱》 1 《霊気圏の収集艇》 -サイドボード(8)- |
5 《山》 4 《聖なる鋳造所》 4 《断崖の避難所》 4 《感動的な眺望所》 4 《ラムナプの遺跡》 2 《エンバレス城》 2 《変わり谷》 -土地(25)- 4 《損魂魔道士》 3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《砕骨の巨人》 4 《ゴブリンの鎖回し》 2 《暴れ回るフェロキドン》 4 《朱地洞の族長、トーブラン》 3 《栄光をもたらすもの》 -クリーチャー(24)- |
4 《乱撃斬》 4 《ボロスの魔除け》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(11)- |
1 《瘡蓋族の狂戦士》 1 《再燃するフェニックス》 1 《石の宣告》 1 《丸焼き》 1 《安らかなる眠り》 -サイドボード(5)- |
2 《森》 2 《繁殖池》 4 《植物の聖域》 4 《神秘の神殿》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《睡蓮の原野》 2 《マナの合流点》 4 《演劇の舞台》 1 《爆発域》 -土地(25)- 3 《願いのフェイ》 1 《タッサの神託者》 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 4 《砂時計の侍臣》 2 《厚かましい借り手》 -クリーチャー(14)- |
4 《神々との融和》 4 《見えざる糸》 4 《森の占術》 3 《死の国からの脱出》 2 《慢性的な水害》 4 《熟読》 -呪文(21)- |
1 《沈黙》 1 《秘本掃き》 1 《漸増爆弾》 1 《死の国からの脱出》 1 《霊気のほころび》 1 《至高の評決》 1 《全知》 1 《無限への突入》 1 《神秘を操る者、ジェイス》 1 《目覚めた猛火、チャンドラ》 -サイドボード(10)- |
11 《平地》 4 《寺院の庭》 4 《陽花弁の木立ち》 4 《要塞化した村》 1 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(24)- 4 《スレイベンの検査官》 3 《魅力的な王子》 3 《白蘭の騎士》 2 《族樹の精霊、アナフェンザ》 2 《太陽に祝福されしダクソス》 2 《高名な弁護士、トミク》 1 《無私の霊魂》 4 《太陽冠のヘリオッド》 4 《民兵のラッパ手》 3 《ベナリアの軍司令》 4 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(32)- |
4 《集合した中隊》
-呪文(4)- |
1 《弁論の幻霊》 1 《博覧会場の警備員》 1 《秋の騎士》 1 《安らかなる眠り》 1 《奇妙な幕間》 1 《停滞の罠》 1 《試練に臨むギデオン》 -サイドボード(7)- |
9 《森》 4 《草むした墓》 4 《花盛りの湿地》 4 《ラノワールの荒原》 -土地(21)- 4 《エルフの神秘家》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《屑鉄場のたかり屋》 1 《クロールの銛撃ち》 4 《鉄葉のチャンピオン》 4 《恋煩いの野獣》 4 《朽ちゆくレギサウルス》 2 《不屈の神ロナス》 3 《狩猟の統率者、スーラク》 3 《原初の飢え、ガルタ》 -クリーチャー(33)- |
4 《グレートヘンジ》 2 《キランの真意号》 -呪文(6)- |
1 《クロールの銛撃ち》 1 《闇の裏切り》 1 《自然のままに》 1 《思考囲い》 1 《突然の衰微》 1 《破滅の刃》 1 《大災厄》 1 《虚空の力線》 -サイドボード(8)- |
さて、6位から10位は以上のような結果となった。《死の国からの脱出》により注目を集めていた「ロータスコンボ」や、以前から勢力を保っている「青赤魂込め」などが一定数の使用者数を集めることとなった。
比較的珍しいアーキタイプとしては「緑黒アグロ」や「白単信心」も見られ、果たしてどのようなデッキが上位に進出することになるのか注目だ。
さて、冒頭の表では使用者数5名以下のデッキは「その他」としてまとめたが、それらを集計したものが以下のリストとなる。
アーキタイプ | 使用者数 |
---|---|
緑単ランプ | 5 |
赤単アグロ | 3 |
イゼット・フェニックス | 2 |
スラムオーラ | 2 |
青黒コントロール | 2 |
4色ラリー | 1 |
呪禁オーラ | 1 |
白黒吸血鬼 | 1 |
ドレッジ | 1 |
グルールアグロ | 1 |
白緑鱗 | 1 |
白緑ランプ | 1 |
人間 | 1 |
ジェスカイ・ファイアーズ | 1 |
ジャンド・サクリファイス | 1 |
ケシス・コンボ | 1 |
青単テンポ | 1 |
黒単吸血鬼 | 1 |
赤緑ストンピィ | 1 |
シミック・ランプ | 1 |
白黒手札破壊 | 1 |
白青ヘリオッド・コンボ | 1 |
合計 | 31 |
さて、強豪プレイヤーたちの選択をご覧いただいたが、いかがだっただろうか。
パイオニアはまだまだ生まれたてであり、それだけに開拓しがいのあるフォーマットだ。皆さんもぜひこののフォーマットに飛び込んでいただければと思う。
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