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プロツアー『ニクスへの旅』
ブロックをめぐって:『テーロス』ブロック構築トップ10カード
Blake Rasmussen / Tr. Yusuke Yoshikawa
2014年5月16日
ご覧の皆様の多くにとって、『テーロス』ブロック構築はちょっとした謎だろう。確かに、Magic Onlineのイベントはいくつかあったもののインパクトは小さく、それに『ニクスへの旅』を含んだイベントの結果はほんのわずかしか含まれていない。格の高いイベントはなく、そしてプロたちはプロツアーのフォーマットについて固く口を閉ざしがちで、このフォーマットについてはほとんど記事は書かれていない。
そういうわけで、テーロスへの旅を始めよう(ニクスかもしれないね)。我々はプロたちに、このフォーマットの頂上に位置する、最も強力で、最も環境を定義づけるカードを、彼らの見解に基づいて投票を行なってもらった。以下は、最も言及された――あるいは最も強調された――カードの上位である。
惜しくも選ばれなかったカード
《エレボスの鞭》、《運命の工作員》、《破滅喚起の巨人》、《世界を喰らう者、ポルクラノス》、《開花の幻霊》
これらのカードは全て、誰かに言及されたものの、それが1人しかいなかったものだ。人々に関心と注目を呼び起こすには十分なものの、フォーマットを捻じ曲げるには、その小さな、あるいは大きな指は十分ではなかったということだ(指があったとして)。
第10位 《悪夢の織り手、アショク》
スタンダードでは、アショクは脇役に追いやられている。しかしブロック構築では、プレインズウォーカーへの攻撃の難しさ――とりわけ、アショクのような軽いものには――から、コントロールおよびミッドレンジを使うプレイヤーにとって、攻撃的ではないデッキに対する助けとなる。こうした例では、奥義の脅威が長期戦で大いに有利に働き、《クルフィックスの狩猟者》を何枚も目にするような時や、リアクション手段、ただし《英雄の破滅》以外を手札いっぱいに抱えるような相手には、アショクは真なる悪夢となるだろう。
第9位 《オレスコスの王、ブリマーズ》
ミッドレンジやコントロールデッキに競り勝ちたいようなデッキにとって、《オレスコスの王、ブリマーズ》以上のものは実際のところないだろう。軽く、高打点、おまけに出てくるトークンの扱いに困らない色にあって、ブリマーズはほぼ全ての白いアグロデッキのキーカードであり、ミッドレンジ寄りでさえ採用がありうる。
第8位 《嵐の息吹のドラゴン》
速攻。飛行。巨大で迅速。《嵐の息吹のドラゴン》は、《世界を喰らう者、ポルクラノス》とあわせて、赤緑怪物デッキの主要な脅威のひとつである――スタンダードでそうであるように。ひねりもなく、特別なデッキもなく、策謀も、移ろいゆくメタゲームの要請もない。ただひたすらに、相手の顔面への攻撃と結果登録用紙のサインへ一直線。それはこのドラゴンが一噛みすればすぐに訪れるだろう。
第7位 《歓楽者ゼナゴス》
《歓楽者ゼナゴス》は《太陽の勇者、エルズペス》ではないかもしれないが、つまるところ、このブロックには563枚もの不運を運命づけられたカードがあるのだ。「これはエルズペスではありません」と。しかしエルズペスではなくとも、ゼナゴスは倒しにくいプレインズウォーカーとしての、非常に素晴らしい仕事を果たしている。時には第3ターンという早さで着地し、ゼナゴスは常にいくばくかの価値を生み出す。たとえその価値が2/2のサテュロスに過ぎなくとも。パトリック・チャピン/Patrick Chapin曰く、このフォーマットは「何かプレイする、相手がそれに対処する、他の何かをプレイする、相手はまたそれに対処する」といったものになっていくという。そうなると、対処された後にわずかでも価値を残していくものは、それがダメージであれクリーチャーであれ、消耗戦となるマッチアップに臨むプレイヤーにとって助けになるだろう。
第6位 《予知するスフィンクス》
「おそらく、このブロックで最高のフィニッシャーだろう」
――パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa
《予知するスフィンクス》をスタンダードでプレイしたことがあるプレイヤーなら、このコメントは、多少、いや、奇妙に映るだろう。5マナで3/5の飛行持ち、時々呪禁を得て、まあ確かに重要な占術を与えてくれるにしても、これよりは良いものがあるのではないかと。しかしこの予知者は多くのことができる。エルズペスより1マナ軽く、より早く着地することができ、エルズペスのパワー4以上のクリーチャーを一掃する能力を避けることができる。飛行を持ち、エルズペスのトークンに邪魔をされない。そしてこの6マナのプレインズウォーカーを2回の攻撃で倒すに十分な大きさ。これらのことを、マッチアップで本当に上手くやってのけるのだ。このフォーマットで使われる除去のラインナップには、《予知するスフィンクス》を倒しうる一掃呪文が欠けるのだから。
第5位 《信者の沈黙》
単なる除去の枠を越えて、《信者の沈黙》は奮励によって複数のクリーチャーを破壊でき、厄介な授与クリーチャーも追放する追加の一文によって対処でき、最高の場合、その両方ができる。除去にしては重いが、全ての信者が沈黙するときには良心の呵責に苛まれるように、このフォーマットはよくできている。
第4位 《予言の炎語り》
「このブロックで最高の赤のカードだ」
――コンリー・ウッズ/Conley Woods
ウッズは普段から物事を誇張しがちではあるが、この点に関しては非常に正確である。《予言の炎語り》は多くのプロから高い評価を受けた。今回何らかの言及を得た赤単色のカードは《嵐の息吹のドラゴン》とこれの2枚だけである。「赤単」はこのフォーマットに存在しているが、それは炎語りが予言を、それも1/3というパワー以上のものを語りだしてからだ。
第3位 《英雄の破滅》
この場に及んで語ることはない。《英雄の破滅》は、このフォーマットで最も軽い万能除去という点で重要である。このリストで示されているように、プレインズウォーカーを除去できるという点で非常に重要である。何もかもをめった切りにして、ミッドレンジとコントロールを存在させているという点で重要である。
第2位 《クルフィックスの狩猟者》・《森の女人像》
《森の女人像》と《クルフィックスの狩猟者》はこのリストの2位タイに位置しているが、どちらが上かということは誰もわからないだろう。一方をプレイしているデッキは、ほぼ他方もプレイしているということを考えれば、それはどうでもいいことだ。我々の取材でこの2枚に言及した全てのプロが――つまり我々が取材した全てのプロが――2枚を同時に挙げた。《森の女人像》はマナの問題を軽減し、《クルフィックスの狩猟者》はライフとカード双方のアドバンテージを、フィールドに多数存在するミッドレンジ・デッキに与える。このフォーマットで、あるデッキで緑のカードがプレイされているなら、この2枚もプレイされているということで――それはこの2枚のために緑をプレイしているということだろう。
第1位 《太陽の勇者、エルズペス》
他よりはるかに抜けて、このフォーマットで最も重要、かつパワフルなカードである。事実、エルズペスは、何人かのプレイヤーがこの6マナのプレインズウォーカーにうっかり言及し忘れるくらい、このフォーマット全体に広がっている。太陽の勇者は、望めば当たり前のようにそこにいるように思えるからだ。もしあなたが注意を払っていれば(かつ第1位の項を飛ばしていなければ)、エルズペスがいるときにどのように力を発揮するかによって、ほとんどのカードを推し量ることができる。
エルズペスはこのフォーマットの試金石としての役割を果たしている。彼女が何かを為す前に勝つか、彼女が何かを為すことを封じ込めるか。または、御存知の通り、自分で使うかだ。
彼女を使うものか、彼女を倒すものか。最高のデッキがどちらであるにせよ、《太陽の勇者、エルズペス》は間違いなく、今週末で最も注目のカードである。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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